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京大炉(KUR)及び関連施設の現状 京都大学原子炉実験所 川端祐司 中性子イメージング専門研究会

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1 京大炉(KUR)及び関連施設の現状 京都大学原子炉実験所 川端祐司 中性子イメージング専門研究会
京大炉・事務等会議室  平成23年 12月16日

2 原子炉実験所の主要3施設 KUR:1964年6月初臨界 KUCA:1974年8月初臨界 イノベーションリサーチラボ:2004年3月竣工
(FFAG陽子加速器・加速器BNCT) 原子炉実験所の主要3施設  KUR:1964年6月初臨界  KUCA:1974年8月初臨界  イノベーションリサーチラボ:2004年3月竣工

3 ► 新燃料による運転再開(2010 - ) 濃縮度低減: 93% [高濃縮U]  20%未満[低濃縮U]
U密度の増加: 0.58gU/cm3→3.2gU/cm3 燃料組成の変更: U-Al (ウラン-アルミ合金)  U3Si2-Al (シリサイド) 最高燃焼度の増加: % of U-235  35% of U-235 製作する燃料は総計30体 (標準燃料:24体、特殊燃料6体) 運転時間・出力の制限が必要 1MWを主とした運転計画 予算上の制約 使用済燃料の引取契約は2016年までに使用したものに対してのみ。 その後については未定 → これはJAEA炉についても同様

4 日本学術会議の提言 提言 学術の大型施設計画・大規模研究計画 -企画・推進策の在り方とマスタープランの作成について- (平成22年3月17日) この提言は、日本学術会議 科学者委員会 学術の大型研究計画検討分科会の審議結果を取りまとめ公表 日本学術会議は学術の推進上の重大な問題点を認識し、科学者コミュニティの専門的意見を集約して、大型施設計画および大規模研究計画の検討を行い、わが国として初めての全分野にわたる大型計画のマスタープラン(全43課題)を策定した。 京大炉提案「複合原子力科学の有効利用に向けた先導的研究の推進」 : 原子力を表看板に掲げた唯一の課題

5 複合原子力科学の有効利用に 向けた先導的研究の推進 (京都大学原子炉実験所)
大規模研究計画(大型施設計画ではない) 初期投資:60、運用経費:3.8×10年(億円) 人類社会の持続的発展には原子力・放射線の利用が必要である。本計画では、研究炉・加速器を用いる共同利用・共同研究を軸に、複合的な原子力科学の発展と有効利用に向けた先導的研究を推進し、その拠点を形成する。

6 学術研究の大型プロジェクトの推進について(審議のまとめ) ー学術研究の大型プロジェクトの推進に関する 基本構想「ロードマップ」の策定ー 科学技術・学術審議会 学術分科会 研究環境基盤部会 平成22年9月2日 ロードマップは、日本学術会議のマスタープランに盛り込まれた43計画についてさらに検討を深め、大型プロジェクト推進に当たっての優先度を明らかにする観点から、各研究計画について、本作業部会としての評価結果を整理した。 評価の観点は、日本学術会議のマスタープランのリストアップ基準である、①研究者コミュニティの合意、②計画の実施主体、③共同利用体制、④計画の妥当性のほか、⑤緊急性、⑥戦略性、⑦社会や国民の理解を加えて設定 評価の結果をまとめると、基本的な要件が満たされており、一定の優先度が認められる計画が18計画、これらのうち、上記2)について評価の高かったものから順に、「a」が8計画、「b」が5計画、「c」が5計画と整理される。

7 複合原子力科学の有効利用に向けた 先導的研究の推進
評価①: a 評価②: a 主な優れている点等:・京大の原子炉実験所を中心としたネットワークの責任体制が明確になっている。・大学が有する我が国唯一の教育・研究用の原子炉として、運転を持続させるとともに、維持発展すべき。・利用分野は広がっており、特にガン治療などの医用について国民の理解が得られる。・原子力人材を育てる教育機関としても重要な役割を担う。 主な課題・留意点等:・オールジャパンとしての原子力研究に位置づけられておらず、大学や独法全体における検討が必要。・期待される成果と緊急性について更なるアピールが必要。

8 世界初の本格的スーパーミラー導管設備 (1984)
中性子イメージング、PGAA 世界初の本格的スーパーミラー導管設備 (1984) 日本初の中性子導管 (1973) 世界で最高の治療実績をもつ BNCT設備 日本初の冷中性子源(1987) SANS 反射率計 以下使用停止 CNS 光学実験ポート VCN 世界唯一の極低温照射装置 撤去:特殊照射装置を設置

9 京大炉(KUR)及びホットラボの利用高度化に関する研究の概要
原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ 研究炉・ホットラボ等活用研究プログラム 合理的管理のための放射線管理 中性子利用微量元素分析 システム開発研究 HLにおける合理的放射線管理構築研究 微量元素総合計測システム 陽子線 加速器 (FFAG) 試料移送 精密制御照射 炉心照射 放射化分析 蛍光X線 装置 電子線 加速器 ICP-AES 低温照射 短寿命核種用 放射化分析 ICP-MS X線 回折装置 電 子 顕微鏡 引張り 試験機 汎用 HL 試料 試験 装置 即発γ線分析 X線マイクロ アナライザ B4実験孔 試料加熱引張り ホルダ 試料温度 コントローラ (スーパーミラー導管) 照射後材料試験システム 中性子ラジオ グラフィ装置 大電力 加熱装置 京大炉(KUR) 金属材料 照射効果研究 医療 照射 線量評価 システム 医療照射(BNCT)システム 中性子イメージングシステム 線量評価高度化研究 大電力利用二相流研究

10 B4中性子導管 世界初の本格的スーパーミラー導管

11 沸騰二相流用中性子イメージング装置の開発 ボイド率データベース構築
二層流研究は中性子イメージングの重要な応用分野 原子炉廻りで大電力の使用は、原子炉の安全確保上困難 特徴的周辺装置の整備によって他ではできない研究を実施 ・平滑管内沸騰流の流動様式観察 ・平滑管内沸騰流のボイド率計測 ・溝付管内沸騰流の流動様式観察 ・溝付管内沸騰流のボイド率観察

12 中小型源でのみ 実施可能! PGAAでは世界初! 自由で広い空間・移動可能な簡易遮蔽 低中性子強度(低精度)だが大型炉ではできないことを
JRR-3M TNRF 自由で広い空間・移動可能な簡易遮蔽 低中性子強度(低精度)だが大型炉ではできないことを PGAAでは世界初!

13 中性子イメージング : B4実験孔の活用・E2実験孔の復活
                            理研(山形Gr)の貢献 大型炉でできないことをやる!(実施への意志とそれを支える文化) 二相流研究(神戸大・関大・京大炉) → 大電力 超臨界水(東北大) → 高温・高圧 人工衛星用推進薬(ヒドラジン)(JAXA) → 毒薬かつ爆薬 コンクリート爆裂実験(東京理科大) → 火気使用 コンクリート中水分挙動(茨城大) → 30日間(!) 連続測定 JRR-3との協力によるユーザーの誘導(棲み分けと協力) Dynamic NR of Air-water upward two-phase flow in a round tube recorded at 200fps (Kansai Univ.) 3年前にはKUR内部の専門家から「KURでは動画撮影は絶対無理!」と断定されていた。 ユーザーの声:視野は狭いがJRR-3で見える現象はKUR B4で見える           JRR-3では絶対に無理な実験ができる

14 事 業 名:原子力利用を支える新しい安全基盤科学の構築 -研究炉の活用による「包括的な原子力安全基盤科学研究と人材育成」-
 事 業 名:原子力利用を支える新しい安全基盤科学の構築   -研究炉の活用による「包括的な原子力安全基盤科学研究と人材育成」-  京都大学 平成24年度概算要求額     80,200千円 【概要】福島第一原子力発電所の事故により、原子力安全に対する社会的信頼が失われると共に、放射線・放射能に対する忌避感情が高まり、原子力科学全体に対する社会的信頼が揺らいでいる。この事態に鑑み、原子力利用を支えるための安全基盤としての科学的視点からの研究および実験教育活動を強化し、安全基盤科学の構築と人材育成に資する。 【背景と課題】福島第一原子力発電所の事故への科学的視点に基づく対応 ○事故が発生した原因や被害を大きなものにした要因及び事故の結果生じた影響や被害の詳細な検証と分析 ○原子炉の安全強化、使用済燃料や放射性物質汚染物の安全管理強化、地震・津波等自然災害への   予防的対応や防災技術の高度化 ○放射線による人体影響に関わる基礎的なメカニズムの解明や人体への放射線影響評価の精緻化 ○事故後の措置や住民の安全確保等を含む広い視点から原子力安全を見る取組みや人材育成の推進 国民の原子炉や放射線・放射能に対する忌避感情の高まり 【課題解決への取組内容】 ◆ 「原子力安全基盤科学研究」としての取組  ○ 「事故関連データの検証と集約」:《事故時の影響と対策を再評価》 大学独自の科学的視点により福島第一原子力発電所の事故に関わる    検証・分析・データ集約を実施し、被害地域や原子力施設の復興に関わる    技術的提言や我が国の原子力安全規制に対する改善の提言を行う。  ○ 「統合原子力安全科学研究」:《原子力システムのリスクを再評価》 原子力最適化研究ユニットを中心に添え、今後重要となる幾つかの重要課題    に横断的な統合調整機能の下で連携して取り組むことによって、真の統合的    原子力科学研究の場を構築する。 ◆ 「包括的原子力安全基盤教育」としての取組  ○研究炉等を用いて原子力安全及び放射線安全について包括的に学ぶことのできる    実験教育コースを新設し、原子力安全基盤科学を包括的に理解する人材育成を    (200人/年)を行う。 政府等関係機関の役割 事故の対応として特に重要かつ緊急性が高く、政府のトップダウンで行う以下の取組  ・事故の調査及び検証  ・対策の策定及び実施 役割分担 原子炉安全 ・津波・防災 自然災害・ 地震 放射性廃棄物 使用済燃料・ 環境影響 放射線安全・ 原子力安全規制・原子力政策・社会制度 従来型原子力工学研究・教育 (無事故を前提とした縦割り) テ ー マ 毎 に 個 別 の 教 育 見 直 し 包括的原子力安全基盤教育 原子力利用を支える「原子力安全基盤科学研究教育拠点」の形成

15 補足説明①:なぜ京都大学原子炉実験所でのみ実施可能なのか
補足説明①:なぜ京都大学原子炉実験所でのみ実施可能なのか  ①大学所有としては世界最大級の研究用原子炉(KUR)を用いた豊富な研究実績 ②教育に利用できる世界でも数少ない臨界集合体(KUCA)による豊富な国際的教育実績 ③教員による原子炉施設の運転・安全管理→豊富な「現場経験」に基づく研究・教育の実施 ④極めて良好な地元自治体との協力関係 研究用原子炉(KUR) 定格出力5MWのスイミング プールタンク型の研究炉。 平成22年度より低濃縮燃料 にて再稼働開始。国内の大学 炉は、他に近大炉(1W)があ るのみ。 全国共同利用 平成18年から21年までは新 燃料導入のためのKUR停止 のため、減少したが 通常時は年間 約160件の 共同利用研究を実施 年間来所者数約4000人日 KUCA実験教育 国内;~120名/年  現在、全国11大学(国立9、私立2)が参加して大学院生実験が行われている(京都大学については学部学生実験あり) 国外;~30名/年  平成15年度から韓国6大学合同学生実験開始、平成18年度からスウェーデン実験開始 KURとKUCA KURの安全に対する熊取町等、地元自治体の理解   協定に基づき、安全確保を前提として研究炉を利用する研究の推進に対する地元の理解。長年に亘る地元との交流を介して、良好な相互信頼の関係。 熊取アトムサイエンスパーク構想   熊取町・京都大学共同の将来構想。熊取町第3次総合計画( )に推進   を明記。熊取町・大阪府・京都大学共同で総合特区申請等の活動を実施。

16 国内外の原子力教育への貢献 KUCA実験教育の現状: 京都大学原子炉実験所 KUCA 大韓民国 スウェーデン 国内;~120名/年
北海道大学 東北大学 東京工業大学 武蔵工業大学 名古屋大学 京都大学 大阪大学 神戸大学 九州大学 東海大学 福井大学 KUCA実験教育の現状: 国内;~120名/年  大学院学生実験   全国11大学(国立9、    私立3)が参加  (京都大学は学部学生   実験あり) 国外;~30名/年  2003年度:韓国学  生実験開始  2006年度:スウェー  デン学生実験開始 国内外の原子力教育への貢献 KUCA 京都大学原子炉実験所 受講者数 (1975~2008実績) 2,720名 大韓民国  慶煕大學校  ソウル大學校  漢陽大學校  朝鮮大學校  濟州大學校  韓國科學技術院 スウェーデン  チャルマース工科大学 近畿大学

17 KUR京都大学原子炉 350例 世界のBNCT施設 FiR-1フィンランド研究炉(1999~)300例
BMRR ブルックヘブン医学研究炉(1951~1961、1994~1999)99例 FiR-1フィンランド研究炉(1999~)300例 JRR-2日本原子力研究開発機構33例 LVR-15チェコ研究炉(2000~)2例 JRR-4日本原子力研究開発機構 107例 HFRPペッテン研究炉(1997~)22例 KUR京都大学原子炉 350例 MITR マサチューセッツ工科大学(1959~1961、1994~19999)42例 イタリア研究炉(2002~)2例 THOR台湾研究炉 10例 (2010~) アルゼンチン研究炉(2003~)7例

18 Cyclotron Based epi-thermal Neutron Source(CBNS)
1620 mm 3030 mm 1724 mm Sumitomo Heavy Industries:HM30 Accelerated particle : negative hydrogen ion(-H) Maximum Energy:30MeV Maximum beam current: 2mA Maximum power : 60kW

19 KUCA-FFAG結合実験のイメージ図 核分裂連鎖反応で中性子を増倍 核破砕反応で 中性子を発生 陽子の生成 KUCA A架台
陽子ビーム KUCA A架台 陽子を 100 MeVまで加速 陽子の生成 未臨界体系 KUCA-FFAG結合実験のイメージ図 ビームシャッター 核分裂連鎖反応で中性子を増倍 核破砕反応で 中性子を発生 電磁石 2009年2月から実験開始 ターゲット イオン源

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21 まとめ 「複合原子力科学の推進」の実施 KUR及び加速器の利用、原子力研究・教育 基本姿勢は「学術の基盤を支える」
  KUR及び加速器の利用、原子力研究・教育   基本姿勢は「学術の基盤を支える」 KUR利用延長を目指す(使用済燃料問題) 中長期的には、FFAG利用としてのパルス中性子源及び連続中性子源としてのADS

22 中性子イメージング専門研究会における 中性子イメージング研究グループからの意見(1)
(利用に関する感想) B4実験孔整備は非常に有効であり、共同利用研究の活性化に非常に役立っている 。 特に、研究に対する自由度の高さは重要であり、JRR-3では実質的に実施が難しい実験が行われている。この結果、JRR-3との役割上の棲み分けが行われており、良い関係ができている。 JRR-3とKURの装置責任者の間で相談し、共同利用者にとって適した施設を利用できるように協力する関係が築かれつつある。 特にJRR-3が大震災で停止してからの対応が適切になされたことが、利用者にとって非常に役だった。 数年前までは教授1名で対応されており、無理があった。しかし、2年前から准教授が現場を仕切るようになって非常に研究が活性化された。さらに助教が着任するとのことで、さらなる共同利用の活性化が期待できる。

23 中性子イメージング専門研究会における 中性子イメージング研究グループからの意見(2)
(要望) JRR-3の稼働開始時期がまだ決まらないため、KURの重要性はさらに高まる。新規ユーザー受け入れ体制をさらに充実してもらいたい。 B4実験孔の利用はすでにあふれており、割り当てられるマシンタイムは希望したものから減らされている。今後さらに利用希望者が増える可能性も高いため、他の導管利用等による利用可能なマシンタイムの増加を希望する。 新規ユーザーに対する教育の必要性は理解するが、年2回しかない日にあわせてまる1日の教育を受講するのは負担がたいへんすぎる。実験初日に教育を受けるようにしてもらいたい。 共同利用者が実験で来所した際に利用できるスペースがなく困っている。実験準備室のようなものを早急に整備してもらいたい。 実験記録等の提出締め切りが早すぎる。4週間以上も前に出張計画を確定することは困難。実験記録の提出は早くてもしかたがないが、出張計画の締めきりを遅くできないか。 5MW運転の増加を希望する。 中性子の産業利用が国策として重要視されているなか、KURにおいても私企業による利用研究が実施できるように検討してもらいたい。

24 “Applications and Imaging for Neutron Radiology and Tomography”,
please send in your Abstract by Monday, January 16, 2012.


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