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伝染病発生のリスク査定、探知、および対処の方法論: リスク解析
伝染病発生のリスク査定、探知、および対処の方法論: リスク解析 通常の感染症と違って、伝染病は家畜生産に壊滅的打撃を与え、さらに、人畜共通感染症の場合には家畜生産の問題よりも公衆衛生上の問題が遥かに大きい。 家畜伝染病の脅威に対して、獣医療は何を為すべきか、何ができるのか・・・。それ以前に、伝染病の「脅威」の大きさと、その家畜生産ならびに公衆衛生上の影響の大きさを見定める必要があるが、その方法論は?
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ヒトの食中毒 人畜共通感染症報告: 英国2000
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WHO: About risk analysis in food
リスク解析は、様々な分野における基本的方法論として定着している。家畜伝染病の制御を使命とする国際機関OIEでは、どのような使われ方をしているのか? 陸生動物衛生規約 本章では、国際貿易のための透明性があり、客観的かつ防御的なリスク解析を実施するための指針と原則を規定している。 SPS協定は、各国政府がリスク解析の広範な活用を奨励する。すなわち、WTO加盟国は、状況に応じて適切な、関連する実際のリスクに係る査定を実施しなければならない。 WHO: About risk analysis in food
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衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)
国際流通におけるリスク解析の必要性 衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定) 第五条 リスク査定および衛生植物検疫上の適切な保護水準の決定 1. 加盟国は、関連国際機関が作成したリスク査定の方法を考慮しつつ、自国の衛生植物検疫措置が、人、動物又は植物の生命又は健康に対するリスクに関し、状況に適切なものとして、査定に基づくことを確保しなければならない。 2. リスク査定において、加盟国は、入手可能な科学的証拠、関連する生産工程と生産方法、関連する法的検査、試料採取と検査方法、特定の疾病または有害動植物の発生状況、有害動植物や疾病の清浄地域の存在、関連する生態学的または環境の状況、ならびに、検疫やその他の措置を考慮しなければならない。 5. 人の生命または健康、動物および植物の生命または健康へのリスクに対する衛生植物検疫の適切な保護水準の概念の適用における整合性を図るため、各加盟国は、様々な状況において適切と認められる水準について恣意的または不当な区別となることを避けなければならず、そのような区別が国際貿易における差別または偽装した制限となってはならない。 WTO: Standards and safety The WTO Agreement on the Application of Sanitary and Phytosanitary Measures (SPS Agreement) WTO/SPS協定(農水省)
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FDA/APHIS: Risk Analysis Overview リスクの特性に基づいて、数種の管理措置選択肢を提示する
動植物検疫局(APHIS )のリスク解析は、貿易上の安全性を確保するための動植物検疫局の意思決定者に対して勧告を行う。リスク解析の手順は、動植物検疫局の貿易上の協力者に対して公開されている。このことは、 SPS協定に基づいて、全ての情報がリスク解析の過程を通して動植物検疫局の貿易上の協力者に共有されていることを意味する。 リスク解析は、次の三つの手順を含んでいる。 1. リスク査定: 生物学的リスクおよびその潜在的帰結についての科学的評価 2. リスク管理: リスクを減らすための適切な措置を決定する手順 3. リスクコミュニケーション: リスク情報の共有 査定 管理 コミュニケーション 危害の特定 危害の特性解明 暴露査定 リスクの特性解明 リスクの評価 管理措置選択肢の査定 措置選択肢の実行 モニタリングと再吟味 透明性の確保 リスクの特性に基づいて、数種の管理措置選択肢を提示する 管理措置選択肢を評価して決定・実行する
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リスク査定では、何を行い、何を行ってはならないか
リスク査定の概念をより良く理解するために、何を行い、何を行ってはならないかについて考えることが役に立つ。 <リスク査定で行うこと> ● 有害動物や疾病が侵入、定着、拡大する可能性の推定 ● 生物学的および経済的帰結の推定 ● 有害動物や疾病による被害の可能性の推定 ● 不確実性の表明: 病原体、人為的過失、使用した方法 ● 様々な緩和策と係わるリスクの推定 ● 危害とその帰結に関する組織的、系統的な情報提供 ● 政策決定者に対して作成される勧告の根拠の明示 <リスク査定で行ってはならないこと> ● 許容できるリスク水準の設定 ● 有害動物が侵入した場合、それが定着した場合、被害の内容を確定的に記載する ● 政策の決定。それは政策決定者の仕事である。 ● 政策決定に情報提供するのみ
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適切なリスク査定を行うために何をする必要があるか
リスク査定には膨大な情報を必要とする。解析者(Analyst)は、その情報を組織立った系統的方法で評価する。情報自体に加えて、解析者は、輸出国におけるサーベイランス・システム、試験室の能力、当該国の検疫計画の様々な側面の質的評価によって、情報の信頼性をも考慮する。リスク査定は、不確実性(判っていない情報やデータ)、用いられた仮定、ならびに、リスクの最終的推定に及ぼすそれらの影響を記載しなければならない。リスク査定は、追加情報が得られ次第、更新しなければならない。 動植物検疫局の取組み方は、リスクを伴うかまたは有害な商品や行為の特定から開始される(危害の特定 Hazard Identification )。あらゆる望ましくない帰結を評価し特定するためには、そうした行為や商品を正確に記述することが重要である。 解析者(Analyst)とは、種々の分野における最高位の称号であり、たとえば、証券アナリスト(Financial Analyst)の資格取得には3つの試験に合格し、少なくとも4年間の投資分析関連の職務経験を要する。
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正確な記述 正確な記述では、商品の数量と地理的説明、ならびに、現在の輸入要件やリスク査定者が解析に必要とする変量の数を制限することを可能にするその他のデータについて記述する。 正確な説明の例: ● 100羽の鶏をひとまとまりで輸入した ● X国のY地方の特定の種鶏業者に由来した ● 以下の規則にしたがって輸入された ○ 検疫要件 ○ 検査要件 好ましくない帰結についての正確な説明の例: ● 輸入された鶏がニューカッスル病に感染しており、米国の家禽と接触する状態にある。 ● 米国でニューカッスル病が発生 ● ニューカッスル病が米国の家禽に定着・流行する
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不正確な記述 不正確な記述では、多数の見込まれる変量を含むリスクについて記述される。その結果として、それらのリスクを解析し、悪影響の可能性と程度を判定することがほぼ不可能になる高度の不確実性が生まれる。 不正確な記述の例: ● 車両に積込まれるリスクは何か? ● 繁殖用豚を輸入するリスクは何か? ● 海老を輸入するリスクは何か? 基本的に、リスク査定者が自問する問の種類は、以下のように要約される。 ● どのような支障が起き得るか(仮に何もしなければ)? ● それが起きる可能性(または確率)はどれくらいか? ● その帰結の重要性はどれくらいか? ● 私はどれくらい確信しているか?
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質的リスク査定と量的リスク査定のやり方 リスク査定者は、質的リスク査定と量的リスク査定の二種類の方法を使って進める。リスク査定には、しばしば両方を合わせて使われる。両方法の鍵となる原則は、透明性と全ての利害関係者との情報の共有である。 質的リスク査定のやり方 質的リスク査定の方法では、入力と出力に主として分類別変数を使用する。入力変数は、「低度、中度、高度」あるいは「0、1」で表記される2区分のように、分類別に定義される。これらの分類別入力変数は、「低度、中度、高度」のような分類別出力、あるいは、(結果は技術的に質的なものではあるがと断った上で)数量的出力を決定するために、系統的に処理される。
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質的リスク査定の例 解析の範囲 ある国のある州における連邦政府査察済みの食鳥処理場からの冷蔵や冷凍の鶏肉またはその他の鶏製品の輸入によるニューカッスル病ウイルスの侵入リスク。当該国のその他の州はニューカッスル病が存在することが判っていた。 提出された情報: 製品の輸入許可を求めたその州は、以下の情報を提出した。 ● 獣医療当局、獣医療組織および社会基盤 ● 疾病のサーベイランスと制御体制 ● 試験室の診断能力 ● 近隣の州を含めた問題となる州の疾病の発生歴および流行状況 ● 疾病の制御計画 ● 予防接種状態、リスクが高い地域から当該地域の物理的またはその他の障壁による隔離 ● リスクが高い地域からの動物と製品の移動を管理する体制 ● 家畜飼養頭羽数と売買実績 ● 当該地域における動物疾病制御のための動物衛生政策および社会基盤
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量的リスク査定 量的リスク査定の方法では、所定期間または所定製品量当りの発生確率など、入力および出力に数値表現を用いる(たとえば、オレンジの単位数量当りのミバエの数)。それには、以下の事項が含まれる。 ● 行為とその帰結に関する詳細な質問を求める ● 行為とその帰結を結びつける数理モデルを作成する ● そのモデルに関する証拠を集める ● そのモデルに対する数量を特定する ● 帰結を計算する ● 専門家の評価を求める
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量的リスク査定の例 解析の範囲 外国のある州における連邦政府査察済みの施設で処理された商業養豚場由来の食用の冷蔵や冷凍の豚肉製品の輸入による豚コレラが米国に侵入するリスク。原産国は、輸入許可を求めた州以外で豚コレラが存在することが判っていた。 データ解析: 懸案の州における商業養豚場からデータが提出された。解析は、サーベイランスとモニタリング活動に焦点が当てられ、輸出しようとしている製品量の推定、それらの製品が汚染している可能性、ならびに、汚染製品が米国の家畜を感染させる可能性をも含んでいた。 多くの状況で典型的であるように、豚コレラに対する質的査定も実施された。質的リスク査定の例で上げた全ての要素が検討された。 注意点: 動物および動物由来製品に関する例は、地域指定規則の対象となる。外国からの求めに応じて、動植物検疫局は、特定の海外病、あるいは、輸入に伴う重要なリスクとなり得ると規定されたその他の要因に関して清浄であるかどうかを判定する。動植物検疫局は、個々の動物や製品の輸入についてのリスク査定は行わない。
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獣医療と関連するリスク解析の指針 概要 動物および動物由来製品の輸入に関する動植物検疫局(APHIS)の方針の概要
1997年10月28日に、米国農務省動植物検疫局(APHIS)は、世界貿易機関(WTO) および衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)が求める地域指定とリスク査定の原則を受入れる方針を決定した。 この方針の宣言は、連邦公報( Federal Register, Vol. 62, No. 208)に掲載されている。 動植物検疫局(APHIS)の地域指定方針の実施には、動物および動物由来製品の輸入の申込みに伴うリスクの評価を含み、個々の国に対して清浄または汚染状態を評価するのではなく、輸出する地域の状況判定に基づく。
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地域の定義 動植物検疫局の方針は、疾病のリスク評価の目的において、地域とは、地理的、政治的あるいは調査上の区域として特定することができるあらゆる地理的陸地部分として定義されることを了解している。換言すれば、単一の国においても、異なる輸入要件の負荷を必要とする異なるリスク特性がある複数の地域があり得る。 国々は、典型的には、当該疾病について清浄国と汚染国に区別されてきた。しかしながら、ある場合においては、ある疾病要因がそれ以外は清浄な国に近接して存在し、当該国の輸入業務がやや高度のリスク水準を示唆する場合に、条件付清浄(modified-free)という名称が割り当てられた。
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リスク水準の基準 動植物検疫局の方針は、3種類のリスク区分システムから5種類の基準となるリスク水準へと現在拡大された。
動植物検疫局の方針は、3種類のリスク区分システムから5種類の基準となるリスク水準へと現在拡大された。 無視できる(Negligible)、若干(Slight)、低度(Low)、中等度(Moderate)、ならびに、高度(High)のリスク。 無視できる(Negligible)、若干(Slight)、および高度(High)のリスクの基準は、おおよそ、従前の清浄(free)、条件付清浄(modified-free)および汚染(affected)の区分に相当する。低度(Low)と中等度(Moderate)の基準は新たなものである。低度(Low)リスクの基準はワクチン使用により発生がないと考えられる場合、中等度(Moderate)リスクの基準は病原体の存在は判っているが発生頻度が低い場合である。 ワクチン使用により発生がないという基準は、最近、米国と協定が交わされた20,000トンの関税率割当を履行する手助けに適用された。関税と貿易に関する一般協定 に係るウルグアイラウンドの一部としてアルゼンチンから牛肉が輸入された。この輸入は、従前採用されていた3種類のリスク区分システムの下で達成されたものではない。
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WTO-SPS要件との整合性 発生頻度が低いことの基準は、発生頻度が低い地域と認めるWTO-SPS要件を満たしている。それぞれの基準について言えば、現在清浄国に区分されている国がもたらすかも知れないリスクと近似する無視できる水準までリスクを減らす輸入要件を個々の国について策定するための努力である。 個別の状況の長所に基づく要望を評価することが動植物検疫局の方針であり、5つの基準に基づく厳格な区分計画に従うことではない。報告する可能性がある地域からの全ての要望は、個別に評価され、それぞれの事例は個々の状況の長所に基づいて評価されるだろう。その評価に基づいて、動植物検疫局は、米国に対するリスクが無視できる水準となるために必要な適切な輸入要件に関する提案を作成する。その提案は、国民がその評価と提案について吟味して意見を表明し、動植物検疫局に追加情報を寄せる機会を作るため、連邦公報に公開される。
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「米国・カナダの輸出プログラムにより管理された牛肉・内臓を摂取する場合と、我が国の牛に由来する牛肉・内臓を摂取する場合のリスクの同等性」に係る食品健康影響評価について (2005年12月 食品安全委員会) リスク管理機関から提示された輸出プログラム( 全頭からのSRM 除去、20 ヶ月齢以下の牛等)が遵守されるものと仮定した上で、米国・カナダの牛に由来する牛肉等と我が国の全年齢の牛に由来する牛肉等のリスクレベルについて、そのリスクの差は非常に小さいと考えられる。
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6 結論への付帯事項 本諮問に答えるにあたり、2 つのことを強調しておきたい。1 つは諮問の経緯で述べたようにリスク評価機関とリスク管理機関の責務を明確にする必要があることである。本答申を受けて、リスク管理機関が判断し施策を実行する場合は、その結果を国民に説明すること、輸入再開の場合は輸出国に対して輸出プログラムの遵守を確保させるための責任を負うものであることを確認しておきたい。 第2 に、食品安全委員会プリオン専門調査会は、本諮問に答えるために、我が国と米国及びカナダの国内対応の違い等を比較した。諮問は日本向け輸出プログラムの上乗せ条件を前提としたリスク評価を求めたものであり、リスク評価も輸出プログラムが遵守されることを前提に評価した。従って、輸出プログラムが遵守されるためのハード、ソフトの確立とその確認は最も重要なことである。もし、輸出プログラムが遵守されない場合はこの評価結果は成立しない。
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USDA APHIS: Animal Health Monitoring & Surveillance
サーベイランスとは? 国の動物衛生サーベイランス・システムの目的において、動物衛生サーベイランスとは、特定疾病情報の継続的かつ系統的収集、照合、解析および解釈、ならびに、その情報を行動を起こすために知る必要がある人々に普及することである。サーベイランスの目的は、疾病の侵入と緊急事態の発生の早期発見、モニタリングと流行病についての実効性のある情報提供、ならびに、取引き上重要な疾病の地域的罹患率の測定にある。 調査監視、発生動向調査、広域調査 データの継続的かつ系統的収集 照合、解析および解釈 情報の還元・普及 対策の立案と実行
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Strategic Plan: National Animal Health Surveillance System
世界的リスクの早期発見と サーベイランス 生産と流通に主要な影響を与える疾病についてのモニタリングとサーベイランス 目標 現在の「重点疾病」に対するサーベイランスの強化 方針 海外疾病 新興感染症 1. 2. 3. 4. 7. 11. 12. ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 1. 疾病のサーベイランス計画と実施における調整と協力(標準的手順) 2. 現在および将来のサーベイランス・システムのための標準手法、品質管理および実施基準の策定 3. 早期かつ迅速な疾病摘発およびデータ解析のための新技術の開発と適用の推進 4. データの収集、解析、解釈および流布の支援と実行(標準手法の活用) 7. 疾病サーベイランス情報の国内および国際的情報源との連携強化 11. 動物衛生と生産動向のモニタリングに関する調整と協力 12. 疾病の予防、制御および防除の計画の進捗状況を査定するための厳密な科学的方法の策定と評価
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国の動物衛生モニタリング・システム(NAHMS)
APHIS VS: National Animal Health Monitoring System 国の動物衛生モニタリング・システム(NAHMS) NAHMS計画班は、米国の家畜および家禽集団の健康と衛生管理に関する国家的研究を実施している。 継続監視、定期検査、定点観測 全国家畜衛生モニタリング・システム 肉牛編 National Animal Health Monitoring System, Feedlot ‘99 USDA, APHIS, VS, May 2000 セクションI: 牛群の推定 セクションII: 方法 A. 配置の概要 1. 牛の種類、性および出荷 2. 牛の導入元と配置の所有権 3. 到着前の処置 A. 必要性(ニーズ)の査定 B. サンプリングと推定 C. データ収集 D. データ解析 附属書類 I:サンプルの概要 A. 参加事業体 附属書類 II:フィードロット数と飼養頭数 C. 栄養管理 1. 飼料添加物 2. その他の栄養管理 B. 到着時の管理と群の処置 1. 新たに到着した家畜の管理 2. 最初の処置時期 3. 導入時の措置手順 4. 烙印と特定 5. 到着後30日以内の二度目の処置 6. インプラント D. 健康管理 1. 病畜の記録と獣医療活動 2. 死体の処分方法 E. 品質保証および環境計画 1. 品質保証 2. 環境計画
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高病原性鳥インフルエンザに関する全国一斉サーベイランスの実施について
調査監視、発生動向調査、広域調査(surveillance) 疾病対策の企画、実施、評価に必要なデータを系統的に収集・分析し、その結果を対策の改善に役立てるための調査。集団内の広域調査によって疾病の発生を見張ること(survey)。 (例)家畜伝染病予防法に基づく監視体制(受動的)、能動的な例としては、 高病原性鳥インフルエンザに関する全国一斉サーベイランスの実施について 1 目的 本年6月、茨城県下の採卵鶏飼養農場において、感染した鶏に明確な臨床症状をもたらさない弱毒タイプのH5N2亜型のA型インフルエンザウイルスが初めて確認された。このため、国内の他の地域においても、この種のウイルスが存在する可能性は否定できないことから、本ウイルスの浸潤状況を把握し、もって的確な防疫対策に資するものとする。 2 方法 (1)検査戸数:対象地域、農場規模、無作為抽出による対象農家の選定、・・・ (2)採材羽数:1農場10羽以上 (3)検査方法: 血清抗体検査(ゲル内沈降反応)、その他必要な検査(死亡羽数の増加等の異常が確認された場合には、ウイルス検査等も実施) 3 期間、結果の報告及び公表 サーベイランスの期間は9月16日までとし、結果については毎週1回、都道府県からの報告を受け、公表。ただし、血清抗体検査において陽性が確認された場合には、検査結果の精査、ウイルス検査等を実施し、血清亜型が確認された段階で公表。 4 防疫対応 高病原性鳥インフルエンザ抗体が確認された段階で、家禽疾病小委員会の意見を聴き、防疫指針に即した措置を実施。
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継続監視、定期検査、定点観測(monitoring)
我が国の家畜衛生分野における 薬剤耐性モニタリング体制 JVARM(Japanese Veterinary Antimicrobial Resistance Monitoring System) Ⅰ. 目的 食用動物由来細菌における薬剤耐性、 動物用抗菌剤の有効性、 動物用抗菌剤の使用量を調べることにより、 薬剤耐性に関するリスク分析の基礎資料を提供し、動物用抗菌剤の“慎重使用”に反映させる。 Ⅱ. 調査の概要 (1) 抗菌剤使用量:有効成分・系統別の製造量、輸入量、動物種別使用量、・・・ (2) 野外流行株の薬剤耐性:病性鑑定材料から分離したサルモネラ、大腸菌、 ・・・ (3) 食品媒介性病原細菌・指標細菌の薬剤耐性:健康動物由来のカンピロバクター、・・・ Ⅲ. 薬剤耐性調査内容 Ⅳ. 実施体制と役割分担 野外流行株は家畜保健衛生所が分離・同定し、動物医薬品検査所はMICを測定して遺伝学的性状の解析、薬剤耐性機構の解明等を実施する。・・・ Ⅴ. 品質保証システム MIC精度管理参照株を対照として精度管理を行う。・・・ Ⅵ. 成績の公表 成績及び解析結果は、関連学会、学術誌に発表し、生産局畜産部衛生課発行の“家畜衛生週報”、ならびに、動物医薬品検査所のホームページに公表する。
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スクリーニング、ふるい分け(screening)
牛海綿状脳症(BSE)スクリーニング検査の検査結果について 症状を呈する牛 30ヶ月齢 以上の牛 その他の牛 計 陰性 陽性 陰性 陽性 陰性 陽性 陰性 陽性 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 計 1,851 2,970 6,264 8,307 7,441 6,603 6,235 5,401 674 45,746 3 2 1 9 215,529 517,744 494,983 472,718 465,676 473,535 471,230 475,112 74,572 3,661,099 19 23 4 12 7 1 73 306,152 733,053 751,370 784,565 759,126 738,137 750,788 761,649 124,824 5,709,664 40 18 7 15 2 86 523,532 1,253,767 1,252,617 1,265,590 1,232,243 1,218,275 1,228,253 1,242,162 200,070 9,416,509 59 44 13 30 9 10 3 168 約940万頭がスクリーニングにかけられ、陽性と判定されたのは168頭のみ。
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殻付き卵および卵製品中Salmonella Enteritidisの
リスクアセスメントのための各種パラメータ 新興感染症として登場したSEによって、死亡を含む多数の食中毒患者が発生する米国で、有効な対策を立てるために行われたリスク解析の立派な見本である。 卵および卵製品のための「農場から食卓まで」のリスクアセスメント・モデル 殻付き卵 処理/流通 公衆衛生上の 影響 卵生産 調理と摂取 卵製品 加工/流通 5つのモジュールに分け、それぞれについて全国的実態調査を実施し、それらの検査結果に基づいて危害緩和策(衛生基準と管理基準)を提言した。
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鶏卵の生産過程におけるサルモネラ汚染の査定
感染若雌 殻付き卵の SE汚染率 SEの毒性の程度 0~60% 1万個に1個 採卵鶏群の 保菌率 汚染環境 卵の汚染率 5~70% 30%~ 10万 1 1~70% 汚染飼料・水 強制換羽の 有無 卵製品の SE汚染率 0~40% 危害緩和策としては、 サルモネラ陰性の雛と飼料を購入すること、鶏群の定期的なサルモネラ検査の実施などを定めた「家禽向上国家計画(NPIP)」が策定された。種鶏業者、孵化業者、飼料製造工場などの衛生管理基準が次々と規則に盛り込まれた。
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生産モジュールのダイアグラム ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ 鶏群の規模;鶏群1日当り卵生産量;鶏群の生産期間
米国の採卵鶏群 米国の採卵鶏群 ▼ SE陽性鶏群の割合 SE陽性鶏群の割合 高度汚染鶏群 軽度汚染鶏群 ▼ ▼ ▼ SE陽性鶏群 強制換羽鶏群の割合 強制換羽鶏群の割合 ▼ 強制換羽鶏群の割合 強制換羽鶏群の割合 SE陽性鶏群中の高度汚染鶏群の割合 SE陽性鶏群中の高度汚染鶏群の割合 ▼ ▼ ▼ ▼ 高度汚染 強制換羽鶏群 高度汚染 非強制換羽鶏群 軽度汚染 強制換羽鶏群 軽度汚染 非強制換羽鶏群 鶏群の規模;鶏群1日当り卵生産量;鶏群の生産期間 鶏群の規模;鶏群1日当り卵生産量;鶏群の生産期間 高度汚染強制換羽鶏群が生産したSE陽性卵の割合 高度汚染強制換羽鶏群が生産したSE陽性卵の割合 高度汚染非強制換羽鶏群が生産したSE陽性卵の割合 高度汚染非強制換羽鶏群が生産したSE陽性卵の割合 軽度汚染非強制換羽鶏群が生産したSE陽性卵の割合 軽度汚染非強制換羽鶏群が生産したSE陽性卵の割合 軽度汚染強制換羽鶏群が生産したSE陽性卵の割合 軽度汚染強制換羽鶏群が生産したSE陽性卵の割合 モジュールのアウトプット: SE陽性卵の年間総生産量 モジュールのアウトプット: SE陽性卵の年間総生産量 Key: モジュール・インプット変数 計算されたモジュール変数 生産モジュールのダイアグラム
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SE陽性鶏群の区分ならびにそれらの区分における規模層がSE陽性卵に占める平均割合(%)
鶏群当り羽数 (%) 鶏群の区分 全体 1~1.9万 2~4.9万 5~9.9万 >10万 高度汚染、強制換羽鶏群 高度汚染、非強制換羽鶏群 軽度汚染、強制換羽鶏群 小区分1 小区分2 軽度汚染、非強制換羽鶏群 計 15.44 50.94 7.49 0.25 25.02 0.85 100.00 1.28 4.43 0.64 0.02 2.15 0.07 1.79 6.34 0.91 0.03 3.03 0.10 2.26 7.15 1.05 0.04 3.52 0.12 10.12 33.02 4.88 0.17 16.31 0.55 (%) 小区分1:廃鶏調査(+)スワブ(+)、小区分2:廃鶏調査(ー)スワブ(+)
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インプット変数とSE陽性卵の年間生産数との相関
インプット変数名 相関係数 高度汚染/非強制換羽鶏群におけるSE陽性卵の頻度 10万羽以上の鶏群規模層におけるSE陽性鶏群の割合 軽度汚染/非強制換羽鶏群(小区分1)におけるSE陽性卵の頻度 高度汚染鶏群の頻度 10万羽以上の鶏群規模層における明らかなSE陽性鶏群の割合 廃鶏調査から計算された明らかなSE陽性鶏群の割合 環境試験の感度 強制換羽後のハイリスク日数 高度汚染/強制換羽鶏群におけるSE陽性卵の頻度 試験で陰性の鶏群における明らかな鶏群内割合 0.62 0.54 0.34 0.26 0.24 0.10 0.09 0.08 0.06 0.03
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(NPIP: National Poultry Improvement Plan)
家禽向上国家計画 (NPIP: National Poultry Improvement Plan) (d) S.Enteritidis清浄(S. Enteritidis Clean): この区分は、生産された種卵と雛がSalmonella enteritidis不在であると証明されていることを顧客に保証することを望む採卵用種鶏業者に用意されたものである。 (1)公式州機関によって決定される下記の要件を 満たした鶏群、ならびにそれが生産した種卵と雛。 (i) 鶏群が「S.Enteritidis清浄」に由来するか、または、雛箱から採った胎便および発生後7日以内に死亡した雛のサンプルについて公認検査所により細菌学的にサルモネラを検査すること。 (ii) 鶏群に与えた飼料の全てが、下記の要件を満たすこと。 ペレットは、動物性蛋白を全く含まないか、あるいは、「動物性蛋白製品製造業(APPI)サルモネラ教育/低減実施要綱」の下で生産された動物性蛋白製品に限るべきである。蛋白製品は、最低14.5%水分含量で、製造工程を通して、最低87.8℃以上、最短20分以上最低73.9℃以上、70ポンド圧下で最低84.4℃以上、加熱されなくてはならない。・・・・以下省略
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卵および卵製品のための「農場から食卓まで」の
リスクアセスメント・モデル 殻付き卵 処理/流通 公衆衛生上の 影響 卵生産 調理と摂取 卵製品 加工/流通 5つのモジュールに分け、それぞれについて全国的実態調査を実施し、それらの検査結果に基づいて危害緩和策(衛生基準と管理基準)を提言した。 全てのモジュールについての調査と解析が終了した段階で、「公衆衛生上の影響」を最小にするための危害緩和策として、何が最も効果的であるかを解析した。
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鶏卵のサルモネラ汚染問題 ● 卵白にSEが侵入した菌数はわずかであり、新鮮な状態で食べてもヒトが発症することはないが、流通過程で常温保管されるとSEが増殖して発症菌数に達する。 新鮮卵 卵黄膜がしっかりしている。 常温保管した卵 卵黄膜が脆弱化している。 保管不良 割卵状態 野鳥の卵は雛が育つまでなぜ腐らないか? 卵白には細菌の発育を抑制する様々な成分が含まれており、新鮮卵では細菌が増殖できない。卵黄成分が混じると、抑制力が失われる。 菌を増やさないため、農場から食卓までの温度管理が重要である
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5種の軽減策によるSE患者の予測数と減少率
軽減策の種類 SE患者数 減少数 減少率 ME ベースライン Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 期間 温度 期間と温度 661,633 584,884 575,621 522,028 561,065 567,681 496,225 449,910 76,749 86,102 139,605 100,568 93,952 165,408 211,723 11.6% 13.0% 21.1% 15.2% 14.2% 25.0% 32.1% 0.46 0.52 0.84 0.61 0.57 1.00 1.28 Ⅰ:家庭、公共施設および小売店における貯蔵期間の25%短縮、温度上昇機会の25% 減少、あるいはその両者の組合わせ。 Ⅱ:最大羽数規模層における鶏群のSE 陽性率を25%減少 Ⅲ:高度SE 汚染鶏群の25%減少 Ⅳ:SE 陽性鶏群の全卵の25%を転用 Ⅴ:最大羽数規模層における鶏群のSE 陽性率を25%減少とⅠとの組み合わせ ME :軽減策の弾力性
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誰しも生活費等の収入を得るために働いている。それは、個人、地域社会、国においても同じであり、ボランティアで社会が回れば費用対効果の問題は発生しない。
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通常の疾病に対してどの選択肢を選ぶか? 判断基準は、農家の利益 利益: 0.8x(300-50)=200 利益ー損益=186
ワクチン等の衛生対策をいやがる農家を説得できますか? 利益: 0.8x(300-50)=200 損益: 0.2x(50+20)=14 利益ー損益=186 小動物病院に設備投資する際に、何を判断根拠としますか? 利益: 0.4x300=120 損益: 0.6x20=12 利益ー損益=108
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沖縄県八重山での肉牛のバベシア病撲滅作戦の費用便益分析
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EU食品衛生規則を統合する提案に対する全面的な法令影響査定 表4. 食品衛生規則: 費用と便益に関する証拠の要約
八重山では、バベシア病が根絶されたことから、その便益は当該事業期間の費用便益解析では判断できない。その事業で費やされた費用が、何年間で回収され、便益が上回るようになるまで何年かかるかが庶民感覚! EU食品衛生規則を統合する提案に対する全面的な法令影響査定 表4. 食品衛生規則: 費用と便益に関する証拠の要約 年 費用 便益(年3%) 1 13,200万ポンド(264億円) 4,500万ポンド(90億円) 2 9,600万ポンド(192億円) 9,000万ポンド(180億円) 3 13,600万ポンド(272億円) 4 18,100万ポンド(352億円) 5 22,600万ポンド(456億円) 6~10 註1: 初年度の費用は食品安全管理手順を実施する立ち上げ資金のため高額となるが、その費用は1度限りで次年度以降は少なくなる。 註2: 便益は、国内の食品媒介性疾患が5年目までは年3%減少し、その後は一定であるという仮定で計算した。
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日本では「安全安心」という呪文を唱えれば、全てが解決するかのような風潮にあるが、「不安」を叫ぶ多くの人は、バーゲン製品に群がり、購買行動においては「安全性」を全く無視する。「台所のHACCP」など言おうものなら、「生産者の回し者」と冷たい目で糾弾される。 生産、処理、加工、流通業者(これが一番悪徳)があって、一般消費者は食料を購入できるのであり、自分の子供達もそこで働いていることもあろう。自分の「利益?」だけを主張する「無知からくる不安」を適切な教育で正していかなければならない。 高病原性鳥インフルエンザが発生すると、「鶏肉や卵から感染することはありません」というキャンペーンを繰り返しているが、100回繰り返せば終わるのか? 1万回繰り返さなければならないのか?
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