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小論文を書くとは 自分と向き合うことである

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Presentation on theme: "小論文を書くとは 自分と向き合うことである"— Presentation transcript:

1 小論文を書くとは 自分と向き合うことである
自分探しの小論文 編入センター 倉持益子

2 小論文は、自分の主張を客観的に 述べることが「柱」になる (有地2006)
上記は有地智枝子の『論文・小論文の文章作法がわかる本』の 一節です。 そこでは小論文を次のように定義づけています。

3 「小論文とは、社会事象や文化に ついて、自分の考えを述べるもの」
 つまり、自分の考えが述べられなければ小論文として 評価されないということになります。 (注1) 注1:小論文と称する記述試験の中には、意見を求めない知識を問う問題もあるが、 受験生の考えを記述させるものが一般的である。

4 でも、「私の考え」って何だろう? 考え あれこれ頭を働かせて判断すること。 また、そのようにして得た意見、結 論、予想、覚悟など。
精選版日本国語大辞典(2006)より

5 まずは小論文問題例を 考えてみよう 「より多くの大学入試でTOEICの成績を重視するべ きか」 解答例 「重視するべきである」 <理由>
解答例 「重視するべきである」 <理由> 1)現在はグローバル化が進んでいるから。 2)TOEICは世界で広く行われている英語試験だから。 3)一発勝負の入試英語より、本当の実力が発揮できるから。

6 突っ込みどころ満載の理由1 理由1 現在はグローバル化が進んでいるから。 ① グローバル化とは何か?
理由1 現在はグローバル化が進んでいるから。  <つっこみ> ① グローバル化とは何か? ② グローバル化と大学がどんな関係があるのか。 ③ グローバル化とTOEICがどんな関係があるのか。

7 突っ込みどころ満載の理由2 理由2 TOEICは世界で広く行われてい る英語試験だから。 <つっこみ>

8 突っ込みどころ満載の理由3 理由3 一発勝負の入試英語より、 本当の実力が発揮できるから。 <つっこみ>
理由3 一発勝負の入試英語より、      本当の実力が発揮できるから。 <つっこみ> 大学で測りたい実力とは何なのか。TOEICで測定  できるものなのか。

9 これらの理由で終わってしまうこと。 それが「一般論」である
1)現在、多くの人が「グローバル化」という言葉を身近に感じて いるのは、受験者に指摘されるまでもない。主張すべきはそこでは ない。 2)TOEICは世界で広く行われている英語試験だからというが、だ から何なのか。 3)一発勝負の入試英語より、本当の実力が発揮できるからという が、そもそも入試では、どんな能力を測る必要があるのか。 論点を見出していない。

10 論点とは何か 論を展開させるための問題点である。これは、自 分が疑問を持つことで見出せる。 例 ① この言葉は、どう定義すればよいのだろう。
① この言葉は、どう定義すればよいのだろう。 ② その背景である現代とはどういう特徴を持つ 時代なのか。 ③ この時代に必要とされるものは何だろう。

11 論点を掘り下げる。 このとき使う手法が分析である。
分析とは もつれている事柄や複雑な事柄を、一つ一つ の要素や性質に分けること。 精選版日本国語大辞典(2006)より

12 例:「TOEIC」を分析しよう TOEICは何を測るのか TOEICによって基礎的な文法がどのくらい理解できているのかを知ることが できる
ビジネスシーンや日常生活でよく使う英語がどのくらい理解できるかがわかる。 世界の多くの国でほぼ共通した内容で使われているため、コミュニケーション ツールとしての英語の理解度を知ることができる。 しかし、大学入試で測りたい英語力は、これで十分なのか。

13 例:TOEIC分析(続き)大学が必要としているもの
グローバル時代とは、世界がお互いに多様性と共通性を認識し、国境を超えて 交流していく時代と定義づける。 そのためには、共通したコミュニケーションツールがあったほうがいい。 そのために、各学部で英語審査を必要とすることはわかる。 しかし、大学で必要な英語力とは、各専門分野の情報を理解するためのアカデ ミックな英語であり、それを使って論文化し、議論をするための「発信する英 語」のはずである。 TOEICばかりを重視していたら、時代の要請を満たせない。 したがって、TOEICを重視した英語入試を多くの大学、学部で行うことには賛 成できない。

14 脱「一般論」。 そのために何をするのか 必要なのは分析です。 現在、どんな状況にあるのか(状況分析) なぜこれが生じたか(要因を挙げる)
このままではどうなっていくのか できうることは何か これらは自分の知識と経験、さらに考えるトレーニングによって磨か れる推るです。

15 考える方法1(思考のプロセス) 成田(2012)は、『8つの日本語スキル』の中で「「考える」ことの基本 は、思考の「拡散」と「収束」の繰り返しと述べています」。いかに 同書の説明をまとめてみます。 問題解決のプロセス ①問題を発見するまでのプロセス  情報をもとに発想を広げる(拡散)→問題を絞り込む(収束)→解決す べき問題を絞り込む ②解決策を構想する  ブレインストーミングを行い、様々な案を考えられるだけ出す(拡散) →  案を絞り込む(収束)→解決案を判断する

16 考え方の方法2 (問題発見・解決のヒント) 成田(2012)にヒントとして使えそうな考え方のポイントが紹介さ れています。小論文に使えそうな部分を抜粋して紹介します。 ①視点を変える   今までとは別の視点に立ってみる。 ②似たものから攻めていく   未知のものに出会ったとき、いままでで経験したことの中から 似ているものはないか考える。 『8つの日本語スキル』p100より 

17 考えるとは自分の知識と経験を 活用すること
これまで述べてきたように、「考える」とは、自分の知識 と経験に向かい合い、「問い」の答えを探す行為です。 そして、「小論文」とは、その「問い」の答えを自らの言 葉で書くことによって他者に発信することです。 いうなれば、「自己の総力戦」といえるかもしれません。

18 自分の言葉で他者を納得させる 自己の総力戦は簡単にできるものではなく、非常に苦しい し、時間もかかります。
しかし、それができるようになるということは、自分への 信頼も高まり、人とのコミュニケーションの自信にもつな がるはずです。 したがって、小論文は自分探しであり、自分が他者に、社 会にできることを探すことにつながるわけです。

19 我思う。ゆえに我あり 17世紀フランスの哲学者デカルトの有名な言葉です。ここでは、彼の 哲学を紹介するのではなく、「考えることの意義」について考えたい と思います。 人はだれでも個性を持っています。このことが人類が様々な変化を乗 り越えて存続してきた秘訣に思えます。 様々な時代に生じたいくつもの問題を、人は個性によって生み出され たいろいろな意見を通して解決方法を見出してきました。 私たちは、多様な意見を出せるがゆえに存在意義があるのではないで しょうか。

20 まとめ 自分の考え・意見・主張は あなたと社会を結ぶもの
何かの問題に対して考えるには、自分の知識と経験を総動員すること が必要です。 それは、自分に向き合うことにほかなりません。 あなた方が意見を求められるということは、社会が様々な問題を抱え、 その解決に多様な意見を必要としているからです。 人は誰もが社会的な生き物です。社会のために自分の存在が意味があ ると分かったとき、人間は喜びを感じるのではないでしょうか。

21 考えましょう!意見を出しましょう! 社会に踏み出すあなた方、自分で考え、意見が言える人に なってください! 未来づくりに関わってください!
小論文の真の目的はそこにある、そう私は信じます。

22 参考文献 有地智枝子(2006) 『論文・小論文の文章作法がわかる本』秀和システム p12,p16
成田秀夫(2012) 『学びと仕事をつなぐ8つの日本語スキル』丸善プラネット 山口裕之(2013,2014) 『コピペといわれないレポートの書き方教室』新曜社


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