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農薬科学Ⅰ ・座席指定します(番号順に着席してください)
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講義日程および内容 ・講義日程(毎週火曜日 9時10分~) 9月 20日,27日 10月 4日,11日,18日,25日
・講義日程(毎週火曜日 9時10分~) 9月 20日,27日 10月 4日,11日,18日,25日 11月 8日,15日,22日,29日 12月 6日,13日,20日 1月 10日(13時10分~,14時50分~,2講連続) ・内容 「農薬概説」の全て(p1~p233)を農薬科学Ⅰ(p1~p121)とⅡ(p122~p233)で行います 尚,農薬科学Ⅰの講義資料は,本日分も含め下記にアップロードしてあります.予習復習に活用して下さい
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出欠席および試験 ・カードリーダーによる 全て機械的に管理しますので,学生証をカードリーダーに読ませるのを忘れないようにしてください
学生証を忘れた場合,講義開始前に申し出てください(ただし,念のため毎回の講義の際に出席を取りますが,カードリーダーによる出席は必ず行ってください) 6回欠席すると自動的に「欠格」となりますので注意してください ・定期試験(追再試験)・・・70点分 過去の「農薬管理指導士認定試験」から出題します
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レポート提出 課題提出による(平常点30点分) ◎タイトル 「農薬行政の歴史とIPMの概念に基づく農薬利用の未来」
◎タイトルに沿って自分の言葉で考察し,以下のキーワードを文中に「全て」記載し,そのキーワードを使用した箇所が分かるように「キーワードを赤色」で表記してください 「農薬の歴史」,「行政機関」,「法制度」,「農薬の特異的薬効メカニズム」,「農薬施用の無人化・効率化」,「省力化」,「費用対効果」,「GAP」,「環境保全」,「生態系」 ◎提出期間:11月24日(木)~11月30日(水)17時(〆切厳守) ◎提出場所:タワー3F学務事務,レポート提出BOX(提出場所厳守)
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レポート規格 ◎A4サイズコピー用紙1枚 ◎ページ設定 ・余白:上下左右30mm ・40文字×45行
・文字:MS明朝 サイズ10.5pt(10.5ポイント) ◎文字数 ・40行(1600字)~45行(1800字)の中に全文章が収まるように記載 ◎規格厳守・・・異なる用紙サイズや文字数・行数など,規格に則っていない場合,採点対象としない
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勉強のコツ(講義中の意識) ①まとめ→②理解→③試験(確認)→①②③へ ・上記を「みずから」やること←ここポイント
先生の話を聞いて分かった気になっていても,いざ試験をすると・・・できない理由は・・・「自分の頭を使って自分でやってないから」 ・いくら,わかりやすい講義を聞いても「できる」ようにはなりません.「わかる」ことと「できる」ことは全く違うものです.「できる」ようになるよう「みずから」やってみましょう. 農薬科学では,各章の項目ごとに,どんなことを学んだか?一言で表現できるか?(重要点を簡潔にまとめることができるか?)考えながら講義に参加してみて下さい.
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2W and 3WH を意識する ①Who・・・誰が? ②What・・・何をした(する)?
③When・・・いつ? ④Where・・・どこで? ⑤Why・・・なぜ? ⑥How・・・どのように? (注:状況に応じて①~⑥の全ては必要無い) 例:緊急防除について ①農林水産大臣が ②寄主植物(および対象病害虫)を防除・移動制限・移動禁止する ここまでが2W(重要な2点) ③有害植物がまん延する恐れがある時に ④防除実施指定地域で ⑤未発生地域へのまん延を防ぐために ⑥・・・(例:緊急に;頻度→年間10回に渡り等) ここまでが3WH(2Wの次に重要な4点)
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講義,試験,資料などの情報 http://yamaguchilab.webnode.jp/
山口のHP(メールアドレスも記載・・・面会の問い合わせなどに対応・・・よほど何かない限り,24時間以内には返信します) 9/20
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第1章 作物保護と農薬 1.作物保護の目的 ・作物保護(植物防疫)・・・農作物を病・虫・雑草害から保護する
第1章 作物保護と農薬 1.作物保護の目的 ・作物保護(植物防疫)・・・農作物を病・虫・雑草害から保護する ・作物保護の目的・・・減収防止(安価で豊富な食糧の恒常的供給)と品質の向上(良質な農作物の供給) ・そもそも「農作物」とは何か?・・・人の嗜好(しこう)や目的に合うように特定の形質だけを発達させてきた,人為的な植物 →自然状態では,経済面や品質面で人の求めるものが作れないため,どうしても何らかの保護が必要となる
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2.病害虫と雑草による被害 (1)病害 ・6,000以上(大部分は農作物の病害) ・病害の誘発は,農作物自体の病害への感受性と栽培環境が要因
(2)虫害 ・日本の昆虫の記録 29,000種(そのうち2,900種が害虫として報告) (3)雑草害 ・450種以上 ・光,水,養分を奪う→農作物の減収・品質低下
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3.病害虫・雑草による農作物の経済的損失 (4)我が国の環境条件と病害虫雑草の発生 ・多雨,多湿で夏は高温
→病害虫や雑草の発生にとって好都合 3.病害虫・雑草による農作物の経済的損失 (1)世界 ・Oerkeによる損失の概念(p3 図1-1) ・約40%は病・虫・雑草害により損失している(p4 図1-2) ・世界的に重要とみなされる8作物についても,約29~51%は損失している(p4 表1-1) ・地域差もある(p4 表1-2)
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(2)米国 ・農薬使用削減に伴う推定減収率(p5 表1-3) (3)日本 1)病害虫による農作物の経済的損失 ・減収率および減益率(p6 表1-4) ・コズメティックペスト(農作物の基本的な品質・収量には影響を及ぼさないが外観を加害する病害虫)による減益(p6 表1-5) 2)雑草による農作物の経済的損失 ・水稲(p7 表1-6) ・ノビエ優先条件(p7 図1-3) ・畑作物および野菜(p7 表1-7)
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4.作物保護における農薬の位置づけ 防除法 農薬(化学農薬),耕種的防除法,物理的防除法,生物的防除法
・農薬は,効果・省力・コストの面で優れる(不可欠) ・防除経費と労力(p8 表1-8) ・水稲作における防除経費(p8 図1-4) ・水稲栽培における10aあたりの労働時間(p9 図1-5) ・コメ生産に要するエネルギー消費,CO2排出量(p9 表1-9)
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1.作物保護の目的 2.病害虫と雑草による被害 3.病害虫・雑草による農作物の経済的損失 4.作物保護における農薬の位置づけ
第1章 作物保護と農薬 まとめ 1.作物保護の目的 2.病害虫と雑草による被害 3.病害虫・雑草による農作物の経済的損失 4.作物保護における農薬の位置づけ 減収防止と品質の向上(p1) 多雨・多湿・夏の高温(p2) 約40%(p4) 不可欠(p9) 9/27
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第2章 植物防疫行政 1.農業と植物防疫 (1)日本農業における植物防疫の重要性
第2章 植物防疫行政 1.農業と植物防疫 (1)日本農業における植物防疫の重要性 ・農業の生産(食料自給率向上の要請)・価格(農産物価格の低迷,農業所得の伸び悩み)・構造(兼業農家の増大,農業後継者の減少)など課題 →安全で優良な農作物を安定的・効率的に生産するため,植物防疫の重要性が増大している. →輸入品目や輸入地域の拡大により,海外からの病害虫侵入にも対処する必要がある.
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(2)植物防疫事業の歴史 ・1925年~ 農薬は作物栽培に不可欠なものとなる ・1945年~ 食料の増産が急務となり,「植物防疫事業の草分け時代」となる (1948年 農薬取締法の制定) ・1955年~ 「畑作・果樹振興と防除の近代化」→機械化・省力化の要請が強まる ・1971年 農薬取締法の大改正 ・1992年~ 環境保全に資する農業への行政方針転換 ・2005年 総合的病害虫・雑草管理(Integrated Pest Management: IPM)→4つの基本方針(p13 参照),IPMの3つの体系(p12 図2-1) ・2015年 海外からの病害虫侵入防止強化(植物防疫官の増員)
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2.植物防疫行政の組織体制 (1)国の組織 ・農林水産省 消費安全局 植物防疫課(1951年創設)
・農林水産省 消費安全局 植物防疫課(1951年創設) ・独)農林水産消費安全技術センター農薬検査部(2007年)→4つの事務(p14 参照) (2)都道府県の組織 ・病害虫防除所(1952年) 最大540ヶ所→49ヵ所(2016年)→6つの業務(p15 参照) ・病害虫防除員 2,427人(2016年3月現在) 組織体制の全体像は,p16 図2-2を参照のこと
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(3)ネットワークを利用した病害虫防除指導 ・植物防除情報総合ネットワーク(JPP-NET) →病害虫発生予察関連情報の発信
3.病害虫発生予察事業 (1)病害虫発生予察とは ・現在の病害虫の発生状況や作物の生育状況,気象などから,今後の病害虫発生を予測すること (2)病害虫発生予察事業の仕組み 1)病害虫発生予察事業 ・1941年開始 約80作物,700種類超(指定は111種類)の病害虫が対象
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2)病害虫発生予察事業の推進体制 ・農林水産省植物防疫課(国) ・病害虫防除所(県)(p18 図2-3) 3)発生予察情報の手順 ・4つの手順(p18 参照) 4)発生予察情報の種類 ・4つの種類(p19 参照) 農薬管理指導士の資格試験に高頻度に出題
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(4)全国ネットワークと全国予報 1)全国ネットワーク 各都道府県の病害虫防除所および農林水産省植物防疫課が連携→電子メールによる相互通信
(3)病害虫防除のための調査・検定 ・発生予察に基づき,国及び都道府県が行う 1)害虫や病原菌の薬剤感受性・耐性菌検定 2)ウィルス保毒虫の検定 →検定結果や防除の必要性の情報公開 (4)全国ネットワークと全国予報 1)全国ネットワーク 各都道府県の病害虫防除所および農林水産省植物防疫課が連携→電子メールによる相互通信 2)全国予報(病害虫発生予報) 天気予報の病害虫版(年10回・・・農林水産省) プレスリリース 病害虫の発生動向の解析に基づく 10/4
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(5)発生予察の高度化の取組み ・病害虫の発生状況→予察ほ場および作物の生産地で月2回調査(調査地点:ほ場25箇所,生産地205箇所)
1)病害虫発生予察シミュレーションモデル コンピュータ解析による いもち病(イネ),かんきつ黒点病,チャノ黄色アザミウマ(茶,果樹,野菜),ミカンハダニ,果樹カメムシ,クワシロカイガラムシ(茶),クモヘリカメムシ(イネ),ウンカ(イネ),有効積算温度害虫一般発生モデル 2)自動カウントフェロモントラップ 性フェロモン誘引による害虫の自動計測→データ入手の遠隔地利用(携帯や無線データ送信機)
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(6)指定有害動植物の見直し ・2015年度から見直しされた病害虫一覧 りんご:褐斑病 かき:ハダニ類 なす:タバコガ類 きゅうり:褐斑病 たまねぎ:アブラムシ類 にんじん:アブラムシ類 レタス:タバコガ類 きく:ハスモンヨトウ もも:ハモグリガ かき:カキノヘタムシガ,フジコナカイガラムシ くり:モモノゴマダラノメイガ ピーマン:タバコガ類
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4.防除事業 ・農林水産省の施策(しさく) (1)病害虫防除 1)基本的な考え方 6項目(p21~22参照)
2)現在進められている防除対策事業 ①IPMの推進 ②マイナー作物の農薬登録促進 ③農産物輸出促進のための新たな防除対策の確立事業・・・「日本再興戦略(2013年)」→2020年に輸出額1兆円を目指す(現在4,500億円) (2)緊急防除・・・農林水産大臣が緊急に行うもの
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5.農林水産航空事業 (1)有人ヘリコプターの利用 1)事業の歴史 1953年 日本発の病害虫防除試験 石川県(北海道でセスナ機)
1953年 日本発の病害虫防除試験 石川県(北海道でセスナ機) 1962年 農林水産航空事業促進要綱(ようこう) 2001年 同廃止(水田面積減少,農地と住宅地の混在) 2004年 農林水産航空事業実施ガイドライン 2)安全対策等 1997年 航空防除農薬環境影響評価報告書 →気中濃度評価値の設定(10種の農薬)
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1991年 無人ヘリコプター利用技術指導指針(2014年一部改正・・・報告体制の強化,安全対策の追加)
(2)無人ヘリコプターの利用 1)事業の歴史 1980年 技術開発の開始 1991年 実用化(水稲の病害虫防除) ・2,799機,1,058,371haで農薬の空中散布に利用(東京ドーム約22万分の面積:2015年現在) 2)安全対策等 1991年 無人ヘリコプター利用技術指導指針(2014年一部改正・・・報告体制の強化,安全対策の追加) 「マルチローター式小型無人機による農薬散布の暫定運行基準」(2016年) ドローン等への対応 10/11
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6.植物検疫 歴史的背景 1872年 ブドウ害虫予防令(世界初の植物検疫:ドイツ) 1914年 輸出入植物取締法 1950年 植物防疫法
1872年 ブドウ害虫予防令(世界初の植物検疫:ドイツ) 1914年 輸出入植物取締法 1950年 植物防疫法 1996年 植物防疫法の大幅改正(WTO:国際調和) 2014年 植物防疫法施行(しこう)規則等関係法令の改正(経済のグローバル化に伴う対応(輸入):検疫対象病害虫778種→990種)
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(1)輸入検疫・・・1)検疫有害動植物,2)輸入の制限,3)輸入の禁止,4)検査の対象,5)検査後の処置,6)輸入禁止品の条件付き輸入解禁 p27参照 (2)輸出検疫・・・輸入国の要求により行う (3)国内検疫 (4項目;目的:重要病害虫のまん延防止) 1)指定種苗検疫・・・ジャガイモ(10種類の病害虫),リンゴ・ミカン(ウイルス病) 2)侵入警戒調査・・・未発生の病害虫(チチュウカイミバエ,クインスランドミバエ,コドリンガ,火傷(かしょう)病) 全国の主要な海港・空港などで定期調査 3)移動規制・・・指定病害虫(アリモドキゾウムシ(根絶?),イモゾウムシ),根絶害虫(ミカンコミバエ,ウリミバエ) 沖縄などの南方諸島 4)緊急防除・・・p23参照
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1.農業と植物防疫 2.植物防疫行政の組織体制 3.病害虫発生予察事業 4.防除事業 5.農林水産航空事業 6.植物検疫
第2章 植物防疫行政 まとめ 1.農業と植物防疫 2.植物防疫行政の組織体制 3.病害虫発生予察事業 4.防除事業 5.農林水産航空事業 6.植物検疫 IPM(p13) 病害虫防除所(p15) 4つの予察(p18) 緊急防除(IPMは1.で既出)(p23) 無人ヘリコプター(p25) 4つの国内検疫(p28)
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第3章 農薬行政 1.農薬の歴史 (1)明治年代(草創期) 1670年 ウンカ駆除に鯨油(げいゆ)が初(江戸時代)
第3章 農薬行政 1.農薬の歴史 (1)明治年代(草創期) 1670年 ウンカ駆除に鯨油(げいゆ)が初(江戸時代) 1885年 除虫菊輸入開始 1896年 害虫駆除予防法 1899年 ボルドー液 1904年 二硫化炭素によるくん蒸開始 1907年 石灰硫黄剤(カイガラムシ)
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(2)大正年代(本格期) 1919年 クロルピクリン(貯穀害虫) 1921年 デリス剤:ロテノン(アブラムシ,キジラミ) 1921年 硫酸ニコチン
(3)昭和初期から20年(不可欠期) 1937年 ひ酸石灰,銅製剤(無機農薬) 1938年 輸入農薬統制組合 (硫酸ニコチン,デリス根,鉛,松脂(まつやに)の輸入) 1937年 メリクロン(有機水銀剤:種子消毒) (4)昭和21年から40年(量産期) 1947年 DDT(有機塩素系殺虫剤:最初の粉剤) 1948年 農薬取締法
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1951年 EPN(有機リン系)パラチオン,マラソン 1955年 PCP殺菌剤 1956年 PCP除草剤(のちに魚介類への被害)
(5)昭和41年から63年(懸念期) 1962年 Silent Spring(レイチェル・カーソン) 1969年 DDT汚染問題(米ミシガン湖) 1971年 農薬取締法改正(有機塩素系農薬制限・禁止) 1973年 有機水銀剤失効 1975年 急性毒性強い農薬失効(パラチオン等) 1980年~低毒性有機リン系,カーバメート剤,昆虫成長・代謝制御剤,性フェロモンなど新規農薬が出現
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(6)平成年代(環境期) 1990年~ 問題のある農薬は次々に失効 生物農薬,性フェロモン剤,マクロライド系(殺虫剤),ストロビルリン系(殺菌剤),トリケトン系(除草剤)など新規の農薬の登録 2002年 農薬取締法改正(無登録農薬の全面禁止,使用基準の設定,罰則の強化) 10/18
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2.農薬行政の概況 (1)農薬取締法(p33 表3-1) 1948年 制定 1971年 改正 検査強化(健康・環境保全)
1948年 制定 1971年 改正 検査強化(健康・環境保全) 2002年 改正 登録・使用・罰則強化(IPOの概念につながる p13基本方針4つ参照),国際基準との調和 (2)独)農林水産消費安全技術センター農薬検査部 1947年 農薬検査所(p33 表3-2) 1967年 農薬残留検査室設置 1990年 農薬環境検査課設置 2007年 独)農林水産消費安全技術センター農薬検査部(2001年に独立行政法人化) (3)補助事業 農薬使用者講習会,農薬飛散防止技術調査など
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3.農薬の登録 農薬取締法 3つの大目的 ①農業生産の安定 ②国民の健康の保護 ③生活環境の保全 (1)農薬の登録制度の概要
農薬取締法 3つの大目的 ①農業生産の安定 ②国民の健康の保護 ③生活環境の保全 (1)農薬の登録制度の概要 登録制度の目的:農薬の品質の確保,人畜への安全性の確保 農薬の製造・輸入は農林水産大臣の登録を受けなければならない(農薬取締法第2条) 登録の有効期間は3年(以降は再登録申請) 2016年3月現在 登録件数4,355 有効成分573
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(2)登録の手続きと検査の仕組み 独)農林水産消費安全技術センター農薬検査部が窓口 (p35図3-1参照) 6つの検査項目(試験成績と見本を添えて申請) (p35~p40) 1)品質 2)薬効・薬害 3)毒性 4)残留性 5)水産動植物に対する毒性 6)その他(カイコ,ミツバチ,害虫の天敵(ツヤコバチ)への影響)
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4.農薬の果たす役割 農薬の功績 ・いもち病,ニカメイガの防除(稲) ・除草革新
・豊富な農作物(p40表3-3:約60年で多い作物では2倍以上の収量) 持続的な発展(今後の課題) ・GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理) (農業生産工程:正確な実施・記録・点検および評価) 2010年 GAPの共通基盤に関するガイドライン(農水省)
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5.指導者の認定 (1)農薬管理指導士(事故防止,適正使用,保管・管理) ・都道府県による認定制度 ・44,056人(2012年4月現在)
・7つの任務(p42,①~⑦参照) (2)農薬適正指導アドバイザー(農家へのアドバイス) ・15,290人(2012年4月現在) (3)関係団体主催の研修会 ・日本植物防疫協会(植物防疫研修会) ・全国農薬共同組合(農薬安全コンサルタント) ・緑の安全推進協会(緑の安全管理士) ・全国農業協同組合連合会(JA:防除指導員) ・技術士(国家資格:農業部門・・・「植物保護」選択科目)
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1.農薬の歴史 2.農薬行政の概況 3.農薬の登録 4.農薬の果たす役割 5.指導者の認定等
第3章 農薬行政 まとめ 1.農薬の歴史 2.農薬行政の概況 3.農薬の登録 4.農薬の果たす役割 5.指導者の認定等 6つの年代(p30-32) 農薬取締法(p32) 件数・成分数・有効期間・検査(p35) GAP(p41) 農薬管理指導士(p41) 10/25
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第4章 関係法令解説 1.農薬に関わる法体系 化学物質であるがゆえに規制対象となる. ・農薬取締法(農林水産省のページ)
第4章 関係法令解説 1.農薬に関わる法体系 化学物質であるがゆえに規制対象となる. ・農薬取締法(農林水産省のページ) 農薬検査部は,一般公開や見学会も行っている ・他(毒物及び劇物取締法,消防法,食品衛生法,水質汚濁防止法,環境基本法,廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
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2.農薬取締法の解説 (1)農薬取締法の変遷 1948年 制定 1963年 改正(水産動植物被害防止) 1971年 改正(人畜被害防止)
1948年 制定 1963年 改正(水産動植物被害防止) 1971年 改正(人畜被害防止) 2002年 改正(IPOの概念,国際基準) (2)農薬取締法の概要 p47(図4‐1)が全て 1)目的 ・農薬の品質の適正化とその安全かつ適正な使用の確保 ・農業生産の安定と国民の健康の保護に資するとともに,国民の生活環境の保全に寄与する
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2)定義 ・農作物を害する病害虫および雑草の防除に使う薬剤 ・農作物等の生理機能の制御(促進・抑制)に使う薬剤 ・農作物の病害虫防除に利用される天敵 3)製造者及び輸入者による製造・輸入時における農薬の登録 ・全ての農薬は農林水産大臣の登録を受ける (同一有効成分でも剤型・含有量などが違えば別々に登録を受ける) ・特定農薬(伝統的に使用されているもので認められたもの:食酢,重曹,エチレン,次亜塩素酸水,天敵)は登録しなくてもよい
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4)記載事項の訂正又は品質改良の指示 (簡単に言うと駄目出しの指示) ①~⑩の該当項目を指定し,登録の保留および品質の改良を指示するもの(p51~p52) ④~⑦については,環境大臣が基準を定めている(p54~p55) ・作物残留に係る基準 ・土壌残留に係る基準 ・水産動植物の毒性に係る基準 ・水質汚濁に係る基準
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よく見かける使用農薬の例示(用途別抜粋)
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6)申請による適応病害虫の範囲等の変更の登録 下記を提出する(基本的に新規登録と同様に申請) ・申請書 ・登録票
5)登録の有効期間 3年 6)申請による適応病害虫の範囲等の変更の登録 下記を提出する(基本的に新規登録と同様に申請) ・申請書 ・登録票 ・変更後の薬効・薬害・毒性及び残留性に関する試験成績 ・農薬の見本 11/8
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7)職権による適用病害虫の範囲等の変更の登録及び登録の取り消し
毒性等に新たな知見が明らかになった場合,農林水産大臣が登録を取り消す等の措置を講じる 8)製造者及び輸入者の農薬の表示 販売の際の表示制度 第七条に記載の12項目を表示する(p56~p57) 表示がなければ販売は不可
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農薬の表示例1
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農薬の表示例2
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9)販売者の定義及び届出 農薬を販売する者(販売以外の授与を含む) ・氏名及び住所 ・当該販売所 ・上記の変更 ・販売所の増設(2週間以内) 都道府県知事に届ける 10)販売者についての農薬の販売の制限又は禁止等 安全性上問題がある農薬については,農林水産大臣は販売を制限又は禁止できる
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11)販売禁止農薬等の回収命令 農林水産大臣が回収等必要な措置を命ずることができる 12)帳簿 製造者,輸入者 ・農薬の種類,数量,譲渡量,譲渡先 販売者 ・譲受数量,譲渡数量,水質汚濁性農薬の場合は譲渡先別の譲渡数量も記載 帳簿の保存期間は3年
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13)虚偽の宣伝等の禁止 有効成分の含有量や効果,登録の有無等において,虚偽はもちろん,誤解を招くような宣伝も禁止する 14)農薬でない除草剤の表示義務 ・容器等に「農薬として使用できない」と表示 ・小売店にも同様の表示を義務付ける 15)無登録農薬の使用禁止 省令による試験研究目的,特定農薬は除外される
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16)農薬の使用基準の遵守義務化 農薬使用者(農家等)の遵守事項 ・適用作物,使用量,使用濃度,使用時期,使用回数 強毒性農薬使用時の倉庫のくん蒸,航空散布,ゴルフ場の遵守事項 ・農薬使用計画書を農林水産大臣に提出する 17)水質汚濁性農薬の使用の規制 ・現在の登録はシマジン(除草剤)のみ ・都道府県知事が使用許可をする(勝手に使用できない)
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18)報告及び検査 製造者及び輸入者 ・定期的に製造輸入数量及び譲渡数量の報告を義務化 ・販売者にも必要に応じて報告義務化 ・不良な農薬等の発見,排除のための立入検査も行う(農林水産大臣,農林水産消費安全技術センター理事長,都道府県知事から権限を与えられた職員が実行) 19)監督処分 ・農薬取締法の違反者(製造者,輸入者及び販売者)に対し,農薬の販売を禁止する(悪質な場合,業者登録を抹消する)
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製造者,輸入者,販売者が法人で下記の場合
20)罰則 (自然)人 ・3年以下の懲役又は100万円以下の罰金 法人 ・100万円以下の罰金(下記の場合以外) 製造者,輸入者,販売者が法人で下記の場合 ①法人登録違反,②販売違反(無登録農薬,無表示農薬等),③制限品・禁止品販売違反(p59記載のもの等) ・1億円以下の罰金 11/15
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3.関係法令と動向 (1)毒物及び劇物取締法(主な所管 厚生労働省) 1)目的 毒物及び劇物について,保健衛生上の立場から必要な取締りをする
(1)毒物及び劇物取締法(主な所管 厚生労働省) 1)目的 毒物及び劇物について,保健衛生上の立場から必要な取締りをする 憲法第二十五条の公衆衛生の向上及び増進の精神に基づく 2)定義 毒物(27化合物 p277別表第一) 劇物(93化合物 p277~p279別表第二) 特定毒物(9化合物 p279別表第三) 登録農薬件数中,毒物は0.2%,劇物は約9%,特定毒物はリン化アルミニウム製剤の1つのみ
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3)禁止規定 毒物,劇物の製造,輸入,販売の登録を受けた者以外は毒物および劇物を扱えない 特定毒物は,都道府県知事の許可を得なければ扱えない(毒性が非常に強いため) 4)営業の登録 製造及び輸入(5年ごとに更新)→厚生労働大臣 販売(6年ごとに更新)→都道府県知事または市区長:p68①~③の基準を満たすこと
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5)販売業の登録の種類 (一)一般販売業 全て (二)農業用品目販売業 限定 (三)特定品目販売業 限定 6)毒物劇物取扱責任者 毒劇物営業者(製造,輸入,販売)は,毒物劇物取扱責任者を置かないといけない ①薬剤師,②応用化学に関する学科を終了した者,③試験に合格した者 主な業務はp69①~⑤参照
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7)毒物又は劇物の取扱い 盗難又は紛失を防ぐ必要な措置をすること 8)毒物又は劇物の表示 p70(一)~(四) 毒物・・・赤地に白文字 「医薬用外毒物」 劇物・・・白地に赤文字 「医薬用外劇物」 有機リン系農薬が指定されている 解毒剤の表示 ・2-ピリジルアルドキシムメチオダイド(2-PAM) ・硫酸アトロピン
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9)毒物又は劇物の譲渡手続 下記三項目を記載し,販売者が5年間保存する(営業者同士の場合,売り手が記入保存,それ以外は買い手が記入捺印したものを販売者が保存する) (一)名称及び数量 (二)販売又は授与の年月日 (三)譲受人の氏名,職業及び住所(法人は所在地) 10)毒物又は劇物の交付の制限等 販売・譲渡はもちろん,受取人として渡すこともできない者を規定{p71第十五条(一)~(三)参照}.引火,発火,爆発性{亜塩素酸ナトリウム(30%以上含有),塩素酸塩類(35%以上含有),ナトリウム,ピクリン酸}のものは交付時に住所,氏名を身分証明とともに確認する
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11)廃棄 廃棄方法を規定している ①毒物,劇物に相当しないようにする ②少量ずつ放出又は揮発 ③少量ずつ燃焼 ④地中又は海水中に埋没 (p72①~④参照). 12)回収等の命令 都道府県知事又は市長,区長などが廃棄物の回収を命ずる(廃棄物が不特定又は多数の者の保健衛生上の危害が生ずるおそれがある場合)
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13)運搬などについての技術上の基準等 運搬方法を規定している(例:標識,保護具を2人分設置する等) 四アルキル鉛については,特に詳細に規定 14)事故の際の処置 保健所,警察署又は消防機関に届け出る義務(不特定又は多数の者の保健衛生上の危害が生ずるおそれがある場合) 盗難又は紛失の際も同様に届け出る
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厚生労働大臣及び都道府県知事が必要な調査,監督を行える(薬事監視員を指定して実施)
15)立入検査等 厚生労働大臣及び都道府県知事が必要な調査,監督を行える(薬事監視員を指定して実施) 16)登録の取消等 厚生労働大臣が設備の改善命令,毒物劇物取扱責任者の変更命令,登録の取消し,業務停止,許可取消しの権限を持つ 17)業務上取扱者の届出等 学校や農家等は届出は基本的に不要であるが,業者によっては届出が必要 11/22
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(2)食品安全基本法(p76図4-2参照 主な所管 内閣府)
2003年制定(2001年BSE問題が大きな影響) 3つの基本理念に基づき,国,地方公共団体,関係者,消費者の責務・役割を規定 農薬に関しては,ADI,ARfD (2014年より)の設定,特定農薬の指定,変更に際し食品健康影響評価を行うことを規定 食品安全委員会→内閣総理大臣が任命
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(3)食品衛生法(主な所管 厚生労働省) 1947年制定(2003年大改正) 1)国民の健康保護の観点からの法の目的の見直し及び国等の責務の明確化 「食品の安全性を確保することにより,国民の健康の保護を図る」 趣旨の明確化 国及び地方公共団体に共通する責務 p78①~⑥ 国の責務 p78①~③
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2)食品の規格や基準等に関する規制の見直し
1968年 5農薬の残留基準 1978年 26農薬の残留基準 2006年 ポジティブリスト制の導入(799農薬の残留基準値設定 ・残留基準値が設定されていない農薬 「人に健康を損なうおそれがないと認められる量として,薬事・食品審議会の意見を聴いて定める量」 一律基準 0.01ppmを設定
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3)食品等の監視・検査体制の強化 ・食品衛生監視員(応化卒業生は,食品衛生管理者と共に自動的に付与)を置く(厚生労働大臣及び内閣総理大臣) ・食品衛生監視指導計画を定める(都道府県) ・輸入食品の監視指導計画(国) 厚生労働大臣は,営業禁停止処分を遂行できる 4)食中毒等飲食に起因する事故への対応の強化 大規模な中毒発生時は,都道府県は厚生労働大臣に報告を義務づけ 5)罰則の見直し(違反者の公表も行う) 最大3年以下の懲役,300万円(法人は1億円)以下の罰金
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(4)環境基本法(主な所管 環境省) ・1993年施行 ・環境政策の要となる基本法 ・3つの基本理念及び4つの責務主体を規定 ・プログラム規定(指針を示す条項であり,法的強制力は下位に別途個別法を定めて規定する) ・本法施行により公害対策基本法(1962年)は廃止 1)目的 現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする.
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2)環境基準 政府は,大気・水質・土壌・騒音に関し,人の健康の保護及び生活環境の保全上望ましい基準を定める. p81表4-1 水質汚濁に係る環境基準(健康項目) 農薬関連では4物質 p81表4-2 要監視項目(農薬関連では12物質) p82表4-3 土壌の汚染に係る環境基準(農薬関連では5項目8物質) p82表4-4 地下水の汚染に係る環境基準(農薬関連では4物質)
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3)排水等に関する規制 国は,環境保全上の大気・水質・土壌・悪臭・騒音・振動・地盤沈下に関し公害を防止するための規制を定める. 例:水質→水質汚濁防止法(水の排水基準を定める) (5)水質汚濁防止法(主な所管 環境省) 1)目的・定義 公共用水域の水質の汚濁防止を図り,国民の健康を保護・生活環境を保全 *下水道以外の水域を「公共用水域」という ・特定事業場(p83①~③の施設)からの排水は,雨水等も含む全ての排水が規制対象になる
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2)排水基準 ①有害物質(健康項目p83~p84表4-5(a)一律排水基準) ・全ての特定事業場に適用 27項目に基準値(内,農薬は5項目) 1項目(アルキル水銀)は「検出されてはならない」 ②生活環境項目(p84表4-5(b)) ・50m3以上/日の排水量の特定事業場に適用 15項目に基準値 都道府県により上乗せ排水基準を設定できる 3)排出水の排出の制限 基準に満たない排水の禁止・罰則及び改善命令や排出停止命令ができる.
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4)特定地下浸透水の浸透の制限(農薬は5項目)
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(6)水道法(主な所管 厚生労働省) 1)目的・定義 水道の布設・管理・整備,清浄で豊富低廉(ていれん)な水を供給→公衆衛生の向上・生活環境の改善に寄与 「水道」・・・導管により飲用水を供給する施設の総体 2)水質基準 細菌・化合物など51項目の基準 3)水道管理目標設定項目 水道管理上留意すべき項目(26項目) ・うち,農薬は120物質(p86-p87)・・・検出指標値(DI)が1を超えないこと
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4)水質検査計画の策定と情報の提供 水道業者の情報提供(水質検査計画及び検査結果)の義務化 (7)消防法(主な所管 総務省消防庁) 発火性又は引火性の危険物(p88~p89 表4-6)に関する規制 ◎指定数量以上 貯蔵場所・取り扱い・貯蔵の技術上の基準・位置・構造及び設備の技術上の基準 ◎指定数量未満 取り扱い及び貯蔵の技術上の基準(市町村条例で定める) ◎運搬容器,積載方法,運搬方法の技術基準は,量の多少に関わらず全ての危険物に適用 危険物取扱者「甲種」受験資格
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(8)廃棄物の処理及び清掃に関する法律 (主な所管 環境省) 背景:廃棄物の大量発生,産業廃棄物の不法投棄の問題,再生使用(リサイクル)の促進 1)目的 廃棄物に関する処理→生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る 2)定義 一般廃棄物・・・一般(家庭)ごみ 産業廃棄物・・・事業ごみ(排出の多い業種?1番多い産業廃棄物は何?) 特別管理・・・爆発性,毒性,感染性のもの
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3)事業者の責務 産業廃棄物は,事業者に全ての責務がある (ちなみに一般廃棄物の責務は,市町村(長)が負う) 4)事業者の処理 自身の処理施設又は専門業者に委託処理 5)産業廃棄物管理票(マニフェスト) ・産業廃棄物の処理を委託した場合 →委託業者にマニフェストを交付(廃棄物の種類・数量・運搬業者・処分業者・取扱い上の注意事項等を記載) →委託された中間業者は90日以内に中間処理報告 →最終処分業者は90日以内に中間業者に最終処理報告 180日以内に最終処理がなされている証明 ・保存は5年間
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6)投棄禁止 何人も廃棄物を捨ててはならない→罰則あり(比較的重い刑が科せられる) 5年以下の懲役 1000万円(法人は3億円)以下の罰金 未遂でも罰せされる! 7)焼却の禁止 例外(たき火,キャンプファイヤー,農家の稲わらの焼却)を除き,廃棄物の焼却はできない
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1.農薬に関わる法体系 2.農薬取締法の解説 3.関係法令と動向
第4章 関係法令解説 まとめ 1.農薬に関わる法体系 2.農薬取締法の解説 3.関係法令と動向 農薬取締法(p45) 1971年,2002年(p45-p46) 8つの関係法令(p66~,目次ⅳ) 12/6
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第5章 農薬の一般知識 1.農薬の名称 農薬は,5種類の名前がある(p95).
第5章 農薬の一般知識 1.農薬の名称 農薬は,5種類の名前がある(p95). (1)種類名・・・農薬登録の際(有効成分の一般名+剤型名)にて命名. (2)商品名・・・銘柄名 (3)化学名・・・化学構造による名称 (4)一般名・・・ISO一般名 (5)試験名・・・コードネーム
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2.農薬の分類 (1)用途別分類 殺虫剤,殺菌剤,殺虫殺菌剤,除草剤,植物成長調整剤,殺そ剤,その他の7種(p95~p96:その他はp96①~⑤) (2)剤型別分類 水等で希釈して施用するものと,そのまま施用するものがある→大別して15種(p97~p98),さらに11種(p98~p99)がある→p97図5‐1(粒径参照) (3)化学組成による分類 化学農薬・・・有機リン系,カーバメート系等 生物農薬・・・微生物剤,天敵等
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3.農薬の特性 (1)物理化学的性状 1)純品または原体・・・化学物質そのものの性状 2)製剤・・・剤型による性状
(2)作用機構(p322~p353) 1)殺虫剤・・・神経機能阻害(アセチルコリンエステラーゼ阻害),表皮形成阻害,昆虫成長制御剤(Insect Growth Regulator:IGR) ①昆虫と人畜との選択毒性および②昆虫の殺虫剤抵抗性を考慮する
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病原菌のエネルギー代謝阻害,菌体成分の代謝阻害,細胞分裂阻害等 ①病原菌と作物との選択毒性および②病原菌の殺菌剤耐性を考慮する
2)殺菌剤 病原菌のエネルギー代謝阻害,菌体成分の代謝阻害,細胞分裂阻害等 ①病原菌と作物との選択毒性および②病原菌の殺菌剤耐性を考慮する 3)除草剤 雑草の代謝阻害,光合成阻害,生長リズムのかく乱,細胞分裂阻害等 植物成長調整剤(Plant Growth Regulator: PGR) 4)その他 フェロモン製剤・・・害虫を誘引してトラップ,交尾活動阻害 生物農薬・・・天敵による寄生・捕食により,病害虫や雑草を抑える 12/13
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4.農薬の開発 (1)理想の農薬 理想的農薬の具備すべき9条件(p104, 1~9) 人畜のみならず環境に対しても安全な農薬の開発
(2)新農薬開発のプロセス 1)スクリーニング 生理活性物質を探索→生物試験にて目的にかなう物質を選抜(スクリーニング) ・新農薬として成功する確率 1/2万~3万 ・効率化(コンピュータによる新規農薬のデザイン,生理活性をシミュレーション)
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2)薬効・薬害・毒性・残留性などの試験 急性毒性試験→小規模圃場での薬効・各種毒性試験→分析法・製剤・製法の研究 ・1剤の開発に8~10年掛かる(p105,図5-2) ・発がん性等の長期毒性試験は結果がまとまるまで2年以上を要する+数億円の費用 3)総合評価,登録申請 各種試験や研究および需要予測(マーケティング)等も検討し,登録申請を行う
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(3)開発の現況 平成3年~27年に農薬登録された新規有効成分(p106,表5-1) ・最近10年は,年平均して10種の成分程度 ・1剤開発に40~50億円の経費(継続的な販売額が見込まれなければ開発が厳しい状況) ・特許による優先権は15年(以降は,ジェネリック品が出てくる可能性)→製品寿命の短命化(開発リスク↑) (4)製剤の進歩 農薬の有効成分施用量 数g~数百g/10a(極めて少量) ・均一散布のための希釈化の工夫 ・製剤化の工夫(例:育苗箱への施用で,水稲生育後期まで効果のある箱粒剤等)
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5.農薬の生産と流通 (1)農薬の生産 農薬の生産金額(p107, 図5-3) ・1950年~1985年あたりまで右肩あがり
・最近10年は約3,500~4,000億円で推移 用途別生産金額(p108, 図5-4) ・1970年以降 殺虫剤,除草剤,殺菌剤の順で多い ・近年は除草剤がトップになる
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剤型別生産量(p108, 図5-5) ・1950年~1985年あたりまで粉剤がトップ ・1985年以降は粉剤は減少し,2013年では粒剤,乳・液剤,水和剤,粉剤の順になっている 毒性別生産割合(p109, 図5-6) ・2014年では普通物が約88%,劇物が約12%,毒物は1%未満 (2)農薬の流通 系統ルート(60%)および商系ルート(40%)によって各農家に流通(p110, 図5-7)
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1.農薬の名称 2.農薬の分類 3.農薬の特性 4.農薬の開発 5.農薬の生産と流通
第5章 農薬の一般知識 まとめ 1.農薬の名称 2.農薬の分類 3.農薬の特性 4.農薬の開発 5.農薬の生産と流通 有効成分の一般名+剤型名(p95) 用途・剤型・化学組成(p95-p100) 物理化学的・作用機序(p100-p103) 年間約10成分・開発経費50億円(p106) 年間約3,500~4,000億円(p107)
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◎1月の定期試験用練習問題◎ ◎アップロード済 http://yamaguchilab.webnode.jp/ 「2年生講義資料」に記載
「2年生講義資料」に記載 ◎過去に農薬管理指導士の試験に出題されたものが3回分あります(各回の問21までが出題範囲となります) ◎尚,練習問題の解説に「テキスト○○ページ」とありますが,そのページは,年度によってずれている可能性がありますので,ページ番号は参考程度としてください 12/20
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第6章 施用技術 1.散布技術の基礎 (1)散布粒子の大きさ 小さい粒子ほど作物体への付着はよい
第6章 施用技術 1.散布技術の基礎 (1)散布粒子の大きさ 小さい粒子ほど作物体への付着はよい →一方,ドリフトによる散布ロス,散布者や周辺への暴露が懸念される. p111,表6-1 剤型別散布粒子の大きさ参照
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(2)散布薬液の付着と展着剤 主成分は,界面活性剤(使用種類と量により展着剤を分類) 1)展着効果のあるもの 表面張力を下げ,虫体や作物に付着させる ・ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(非イオン界面活性剤) ・陰イオン界面活性剤も含むものもある 2)固着効果のあるもの 固着性をよくし残効を高める(果樹の保護殺菌剤に使用) ・パラフィン
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3)機能性展着剤(アジュバント) 肥料成分や水溶性の高い農薬と混合散布し,成分の浸透移行性を高める 4)その他特徴を持つもの 陽イオン農薬用専用展着剤,消泡(しょうほう)性展着剤,水分蒸散防止展着剤(ドリフト防止) (3)散布時の気象条件 1)風(朝夕の無風状態がよい),2)雨(散布は控える),3)気温(上昇気流のない朝夕に行う),4)霧(夜露と日中の乾燥が繰り返されると薬剤の固着が促進される)
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2.施用(散布)方法 (1)水に希釈して施用するもの(液剤散布) 1)噴霧機 人力式と動力式がある
①背負式動力噴霧機,②可搬形動力噴霧機,③定置式動力噴霧機,④走行式動力噴霧機,⑤スピードスプレーヤー ・噴射ノズルは,粒径の大きいノズルを使用する(ドリフト防止のため)
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2)最近の液剤散布機 ①無人走行バッテリーカー(スピードスプレーヤーの自動電動タイプ) ②少量散布(高濃度) (2)そのまま施用するもの ・各剤型により多口ホースなどを使用する ・フロアブル剤(溶剤に溶けにくい農薬成分を微粒子にした液剤)散布 ・ジャンボ剤(投げ込み剤) ・豆つぶ剤(拡散性に優れる)
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(3)空中散布 防除機具,種類別の作業人員と作業能力(p118,表6-3参照) 1)有人ヘリコプター 2)無人ヘリコプター,ドローンの活用 (4)施設(ハウス等)における散布法 作業性,安全性の問題 1)液剤散布法,2)煙霧法等がある (5)土壌消毒 マルチ・土壌消毒同時作業
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第6章 施用技術 まとめ 1.散布技術の基礎 2.施用(散布)方法 ドリフト,暴露による薬害に注意(p111)
第6章 施用技術 まとめ 1.散布技術の基礎 2.施用(散布)方法 ドリフト,暴露による薬害に注意(p111) 機械化・無人化(例:無人ヘリ,p119) 1/10
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1.作物保護の目的 2.病害虫と雑草による被害 3.病害虫・雑草による農作物の経済的損失 4.作物保護における農薬の位置づけ
第1章 作物保護と農薬 まとめ 1.作物保護の目的 2.病害虫と雑草による被害 3.病害虫・雑草による農作物の経済的損失 4.作物保護における農薬の位置づけ 減収防止と品質の向上(p1) 多雨・多湿・夏の高温(p2) 約40%(p4) 不可欠(p9)
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1.農業と植物防疫 2.植物防疫行政の組織体制 3.病害虫発生予察事業 4.防除事業 5.農林水産航空事業 6.植物検疫
第2章 植物防疫行政 まとめ 1.農業と植物防疫 2.植物防疫行政の組織体制 3.病害虫発生予察事業 4.防除事業 5.農林水産航空事業 6.植物検疫 IPM(p13) 病害虫防除所(p15) 4つの予察(p18) 緊急防除(IPMは1.で既出)(p23) 無人ヘリコプター(p25) 4つの国内検疫(p28)
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1.農薬の歴史 2.農薬行政の概況 3.農薬の登録 4.農薬の果たす役割 5.指導者の認定等
第3章 農薬行政 まとめ 1.農薬の歴史 2.農薬行政の概況 3.農薬の登録 4.農薬の果たす役割 5.指導者の認定等 6つの年代(p30-32) 農薬取締法(p32) 件数・成分数・有効期間・検査(p35) GAP(p41) 農薬管理指導士(p41)
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1.農薬に関わる法体系 2.農薬取締法の解説 3.関係法令と動向
第4章 関係法令解説 まとめ 1.農薬に関わる法体系 2.農薬取締法の解説 3.関係法令と動向 農薬取締法(p45) 1971年,2002年(p45-p46) 8つの関係法令(p66~,目次ⅳ)
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1.農薬の名称 2.農薬の分類 3.農薬の特性 4.農薬の開発 5.農薬の生産と流通
第5章 農薬の一般知識 まとめ 1.農薬の名称 2.農薬の分類 3.農薬の特性 4.農薬の開発 5.農薬の生産と流通 有効成分の一般名+剤型名(p95) 用途・剤型・化学組成(p95-p100) 物理化学的・作用機序(p100-p103) 年間約10成分・開発経費50億円(p106) 年間約3,500~4,000億円(p107)
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第6章 施用技術 まとめ 1.散布技術の基礎 2.施用(散布)方法 ドリフト,暴露による薬害に注意(p111)
第6章 施用技術 まとめ 1.散布技術の基礎 2.施用(散布)方法 ドリフト,暴露による薬害に注意(p111) 機械化・無人化(例:無人ヘリ,p119) 1/10
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