第三者認証: 食料流通の国際化と安全性確保

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1 第三者認証: 食料流通の国際化と安全性確保
第三者認証: 食料流通の国際化と安全性確保 鹿児島大学名誉教授 岡本嘉六 2018年1月 生活の全ての側面で急速な国際化が進行しており、その流れは食生活をも巻き込んでいる。ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」といえども、素材に遡れば「純国産」で揃えるのが困難になりつつあるだろう。伝統的な地域の食文化は、料理、調理方法、食事の作法、食を通した「ものの考え方」などソフトに重きを置いている。 それとは逆に、食の安全性や品質に関してはこれまでなかった手法が育っており、伝統的な考え方では対応できなくなっている側面がある。すなわち、従来の考え方にこだわっていると取引が成立しない可能性ができつつあり、安全性と品質を第三者が認証するソフトを理解する必要がある。 GAPやHACCPの生産工程管理およびその第三者認証のシステムが日本に登場してから10年以上経過するが、中小の食品企業や第一次産業への普及は十分とは言えない。海外旅行者が激増する東京オリンッピクを前にして、 原材料調達に重点を置いたHACCP導入を推進する動きがあるが、あくまでも自主衛生管理の取組みであり、法的強制力(罰則)をちらつかせては意味がない。

2 食の安全性が求められる背景 国際取引による食品事故の影響の広域化 ➜ 国際基準の設定 第二次世界大戦後、第三次世界大戦を引起さないための国際的枠組みの一つとして、無差別(最恵国待遇、内国民待遇)を原則とする自由貿易を基本とする「関税および貿易に関する一般協定(GATT)」が締結された。しかし、・・・ 七面鳥X病: 1960年にイギリスで七面鳥70万羽が斃死  ➜ 原因物質はブラジルから輸入された落花生粕に着生したカビが産生したアフラトキシンによると判明。 アフラトキシンは、ヒトの肝癌の原因となることが疫学的に証明。乳に移行するので乳製品がとくに問題。  この他にも、様々なカビ毒、重金属、農薬による農産物汚染が明らかになっていった。

3 衛生水準が同等の国同士では問題は生じないが、衛生水準が異なると・・・・ FAO/WHO合同国際食品規格委員会1962年に設置
危害因子についての国の衛生基準 非関税障壁 (WTO訴訟) A国は損害賠償する B国 A国 衛生水準が同等の国同士では問題は生じないが、衛生水準が異なると・・・・ E国 Codex委員会 FAO/WHO合同国際食品規格委員会1962年に設置 C国 D国 自由貿易の枠組み(WTO)と衛生基準の関係概念図 物流に伴う病気の世界的蔓延を防ぐため、自由貿易の例外規定として「衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)」が結ばれた。

4 平成25 年度輸入食品監視統計 輸入量 違反 違反率(%) 国 件数 重量(t) 合計 2,185,480 30,982,370 1,043
71,059 0.05 0.23 米国 241,522 10,119,480 196 65,174 0.08 0.64 カナダ 28,256 4,221,095 14 779 0.02 中国 676,475 4,054,887 244 1,608 0.04 オーストラリア 54,157 2,060,502 9 37 0.00 タイ 144,870 1,541,592 74 613 ブラジル 28,690 1,300,335 23 41 フィリピン 35,633 1,172,819 13 25 韓国 130,562 806,911 36 0.03 0.01 メキシコ 26,207 592,821 10 79 フランス 206,054 433,497 31 5 ベトナム 51,997 368,523 69 371 0.13 0.10 ニュージーランド 27,295 355,982 3 38 イタリア 103,860 342,272 52 18 インドネシア 38,725 280,863 35 0.06 南アフリカ 5,837 221,748 6 台湾 28,218 198,765 19 59 0.07

5 輸入食品の食品衛生法の違反条項別割合 おもちゃ 包装容器 腐敗・変敗、有害物質、病原微生物、不潔・異物 穀類156 件(15.0%)
畜産加工品84 件(8.1%) 魚類加工品70件(6.7%) 種実類66 件(6.3%) 野菜加工品62 件(5.9%) 積み戻し、廃棄又は食用外転用等の措置に要する出費を防ぐには、「顧客の要望」を満たすことが重要 衛生管理の強化を訴えても事態の改善は進まず、安全確保のための抜本的改革が求められてきた! と畜場法、食鳥処理場法違反 農薬、動物薬の残留 添加物 輸入食品の食品衛生法の違反条項別割合

6 食品安全のシステム:HACCPの基礎 最終製品の検査 ➜ 工程管理
最終製品の検査 ➜ 工程管理 危害解析によって、安全性を損なっている工程を特定し、管理基準を定める。モニタリング(警報 付き温度計)によって 常時監視し、逸脱 した製品を廃棄・ 回収する。 逸脱の原因を特定し、是正措置を講じる。これらを厳格に行うことで、 安全でない自社製品による健康被害を防止できる。 HACCP ハサップ、ハセップ ただし、一般的衛生管理が不十分な状態では、必須 Hazard Analysis and Critical Control Point 危害解析必須管理点 管理点が多くなり、厳格な適用ができない。 一般的衛生管理 前提条件プログラム (PP; Prerequisite programme) 施設・設備、給水(受水槽、塩素濃度)、排水・廃棄物(環境負荷軽減、鼠族昆虫の侵入防止)、従事者(手洗い、服装、教育)、規格基準と検査 「食品衛生法」などによる法的規制 食品衛生監視員による立ち入り検査 食品関連事業を行う際、厚労省による許可を必要とし、営業許可証が発行される。日本国内はほぼ問題ないが・・・、

7 Objectives of application of the HACCP system HACCP システムを 適用する目的
食品媒介性疾患の防止 Prevention of foodborne illness More efficient quality assurance system より効果的な 品質保証システム Reduction of costs of food analyses 食品検査に要する 費用の削減 製品回収による 損失の削減 Reduction of losses due to product recall 企業の評判を守る Protection of reputation WHO 「HACCPシステムの必要性」 の 1枚

8 生産工程管理(GAP: Good Agricultural Practices)
飼養衛生管理基準: 家畜伝染病予防法に基づき、農家が遵守すべき基本的事項をまとめたもの(補償などの罰則有)。⇒ 農水省 伝染病の予防・防除ととともに、畜産物の安全確保の観点を重視して、健康な家畜を育て、畜産物の安全性を向上させる取組みを農水省が推奨し、指針、基準、認証などのシステム作りを行っている。 家畜の生産段階における衛生管理ガイドライン:  農場HACCP導入の前提となる飼養衛生管理の方法を畜種ごとに一般的衛生管理マニュアルとして整理したもの(自主的取組み)。⇒ 農水省 農場HACCP: 危害要因(微生物、化学物質、異物など)を防止するための管理ポイントを設定し、継続的に監視・記録を行うことにより、農場段階で危害要因を制御する手法(認証制度)。⇒ 農水省 農業生産工程管理(GAP): 関係法令等の内容に則した点検項目に沿って、農業生産活動の各工程の正確な実施、記録、点検及び評価を行う持続的な改善活動(農産物が主、県の認証)。⇒ 農水省

9 衛生標準作業手順 生産管理手順に、法令に定められた衛生基準を組み込む作業 法令に基づく適正規範(GMP、GAP)
(SSOP;Sanitation Standard Operation Procedure)  生産管理手順に、法令に定められた衛生基準を組み込む作業 標準作業手順 (SOP;Standard Operation Procedure) 一般的衛生管理プログラム (PP;Prerequisite Program) 法令に基づく適正規範(GMP、GAP) 事業活動における3つのC Conformance (適合性): 消費者の期待に合致する。 Cost(費用): 金額に見合った価値を期待する。 Consistency(一貫性): 常に安定供給をする。

10 HACCPは定まった衛生水準を規定するものではなく、衛生水準を向上させる永続的システムであり、そのシステムの可否を認証するものである。
永続的改善システム 衛生標準作業手順 SSOP 再吟味 検証 記録 重要管理点 危害分析 衛生標準作業手順 SSOP 再吟味 検証 記録 重要管理点 危害分析 衛生標準作業手順 SSOP  HACCPは定まった衛生水準を規定するものではなく、衛生水準を向上させる永続的システムであり、そのシステムの可否を認証するものである。 標準作業手順 SOP 一般的衛生管理 PP HACCPと衛生水準

11 附属文書 2. HACCPの原則と適用 ( コーデックス委員会の 「国際的業務規格として推奨されている食品衛生の一般的原則, CAC/RCP , 改訂版 2003年4月」 の適用 ) 事前の作業 1.製品と工程に関する専門知識のあるHACCP チームを編成 2.製品の記述 3.意図する使用を特定 4.工程流れ図の作成 5.操業中の工程(または計画された工程)において流れ図を確認 7原則12手順 とくに、健康弱者向けの製品かどうか HACCP の原則 HACCP の手順 1 .危害解析を実施 2 . CCP (決定的管理点)の決定 3 . CL(決定的限界値)の設定 4 . CCP管理の監視システムの確立 5 .モニターがCCP制御不能になったことを示した際の是正処置の確立 6 . HACCPシステムが有効に働いていることを確認する検証手順の確立 7 .これらの原則と適用に関わる全ての手順及び記録を網羅する文書の作成 6.各工程に関係する全ての潜在的危害を列挙し、特定された危害の制御のためにあらゆる手段を検討する。 7.CCP(決定的管理点)の決定。 8.CL(決定的限界値)および許容範囲の設定。既知の限界値または未知の場合はリスクアセスメントに基づいて、 CLを超えるポイントを決定する。 9.制御不能、たとえばCLを超えた時に検知することができるCCP監視システムを確立する。持続的監視および定期監査を考慮する。 10.制御不能に陥った場合に対処でき、 CCPが制御下に戻ったことを確認できる是正措置を確立すること。 11.HACCPシステムとCCPが維持されていることを確認するための記録、逸脱および是正措置の記録についての再検討を含む、検証と監査のための手順を確立する 12.文書化と記録の管理は、事業体の特性と規模に応じた適切なものでなければならない。

12 国連・各国の行政 民間組織 グローバルスタンダード 自主的認証システム 国際流通 消費者ニーズ 国際食品規格委員会 Codex
国際標準化機構 ISO 品質保証 食品衛生 安全性(Safety) 完全性(Wholesomeness) 健全性(Soundness) HACCP System ISO 22000 第一次機能 栄養 価格 第二次機能 嗜好性 環境負荷の軽減 第三次機能 健康増進 生産と提供の喜び 収益 食品の機能 生産者の意欲と競争 食品の品質と安全性に関係するシステム

13 国際標準化機構(ISO; International Organization for Standardization)
スイスのジュネーブに本部を置く1947年に設立された非政府組織で、工業分野の国際規格(IS; International Standard)を策定している。自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化してしまう「もの」や「事柄」について、経済・社会活動の利便性の確保、生産の効率化、公正性を確保、技術進歩の促進、安全や健康の保持、環境の保全等の観点から、「国際規格」を制定し、統一する。 日本工業標準調査会(JISC)、米国 アメリカ規格協会 (ANSI)、英国(BSI)、フランス(AFNOR)などほとんどの国の政府関連機関が参加している。 JISC は、「工業標準化法」に基づいて経済産業省に設置されている審議会で、「計量法」によって、商取引に用いる計器(長さや重さ等)は、JISマークの付いたもので、定期的な行政検査を受けなければならないと定められている。 消費者政策委員会 政策開発委員会 技術管理評議会 適合性評価委員会 総会 理事会 中央事務局

14 各国に一つの適合性認定機関を設け、審査・認定基準を統一する
日本適合性認定協会 JAB 認証機関 審査 ・認定 組織・企業 監査・ 認証 国際的相互認証協定 A国 適合性認定協会 製品 国際標準化機構(ISO) 同等性 各国に一つの適合性認定機関を設け、審査・認定基準を統一する

15 適合性認定機関の役割・仕組み・活動 製品を生産・製造する規格・基準を定めて適合性を認証するためには、生産・製造組織きだけでなく、生産工程管理方法・システムの試験・検証を行う機関、生産工程が適切に管理されていることを検査する機関、規格・基準に適合していることを確認して認証する要員の育成機関などが必要になる。これらの認証システムは、公正、公平、透明性などが不可欠であり、それらを担保するISO規則を遵守しなければならない。認定機関は、以下の認証機関などを認証して傘下に置く必要がある。 マネジメントシステム認証機関: 生産・製造組織全体が方針と目的に沿って管理されるルール、「規定」や「手順」を運用していることを確認して認証する機関。そのために必要な部課長などの職制が整えられ、各役職の「責任」と「権限」を明確に規定されているとともに、それらが組織全体に行き届く仕組みが整備されていることを確認する。 認証要員: 規格・基準に適合していることを確認して認証する要員は、認証機関が技量、公正、公平、透明性などを確保する基礎であり、その育成機関は第三者認証の核心部である。 検査機関: 生産・製造工程が定められた管理方法で運用され、原材料から製造途中の半製品においても適切な品質・規格を満たしていることを抜き取り検査する機関。 製品認証: 製造組織の一部の製造ラインで生産される製品が適合していることを認証する。その他の製造ラインと明確に区別されている。 「国際的相互認証協定」によって認定機関のこれらの資格が定められている。

16 適合性評価−製品、プロセス及びサービスの認証を行う機関に対する要求事項 JIS Q 17065:2012
ISO/IEC 17065:2012(旧Guide 65) 適合性評価−製品、プロセス及びサービスの認証を行う機関に対する要求事項  JIS Q 17065:2012 1. 適用範囲 2. 引用規格 3. 用語及び定義 4. 一般要求事項 4.1. 法的及び契約上の事項、4.2. 公平性のマネジメント、4.3. 債務及び財務、4.4. 非差別的条件、4.5 機密保持、4.6. 情報の公開 5. 組織運営機構に関する要求事項 5.1. 組織構造及びトップマネジメント、5.2. 公平性確保のメカニズム 6. 資源に関する要求事項 6.1. 認証機関の要員、6.2. 評価のための資源 7. プロセス要求事項 7.1. 一般、7.2. 申請、7.3. 申請のレビュー 7.4. 評価、7.5. 評価結果のレビュー、7.6. 認証の決定、7.7. 認証文書、7.8. 認証された製品の登録簿、7.9. サーベイランス、 7.10. 認証に影響を与える変更、7.11. 認証の終了,範囲の縮小,一時停止又は取消し、7.12. 記録、7.13. 苦情及び異議申立て 8. マネジメントシステム要求事項 8.1. マネジメントシステムに関する選択肢、8.2. マネジメントシステム文書、8.3. 文書管理、8.4. 記録の管理、8.5. マネジメントレビュー、8.6. 内部監査、8.7. 是正処置、8.8. 予防処置 附属書 A 製品認証機関及び認証活動に関する原則 附属書 B プロセス及びサービスへの適用 国際取引に使う認証を行う機関が満たさなければならない要件であり、ISO本部の承認が必要

17 適合性評価−製品、プロセス及びサービスの認証を行う機関に対する要求事項 JIS Q 17065:2012
6. 資源に関する要求事項 6.1. 認証機関の要員 6.1.1 一般 認証機関は、認証規格体系ならびに該当する規格およびその他の規準文書に関連する運用を行うために、十分な数の要員を雇用するかまたは利用できなければならない。 要員は、必要な専門的判断を行い、方針を定め、これを実行することを含め、自身が遂行する機能に関して力量をもたなければならない。 委員会メンバー、外部機関の人または認証機関を代行して活動する人は、法律または認証規格体系で要求される場合を除き、認証活動を実施する過程で得られたまたは生じた全ての情報について機密を守らなければならない。 6.1.2 認証プロセスに関与する要員の力量のマネジメント 認証機関は、認証プロセスに関与する要員の力量のマネジメントについての手順を確立、実施、維持しなければならない。この手順は、認証機関が次の事項を行うよう規定しなければならない。 a) 規格体系要求事項を考慮して、認証プロセスの各機能についての、要員の力量の基準を定める。 b) 教育・訓練の必要性を特定し、必要に応じて、認証のプロセス、要求事項、方法、活動およびその他の関連する認証規格体系の要求事項についての教育・訓練プログラムを提供する。 c) 自身が果たす責務及び責任に必要な力量を要員がもつことを実証する。 d) 認証プロセスの機能に対して、要員を正式に承認する。 e) 要員のパフォーマンスを監視する。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

18 (PP; Prerequisite programme)
11. HACCPシステムが効果的に機能していることを確認するための検証手順の確立 検証は、モニタリングおよび是正措置の実行責任者以外の者によって行われなければならない。特定の検証が事業所内で実施できない場合、外部の専門家や資格のある第三者による業務として実施すべきである。 自己宣言 第三者 認証 ISO 22000:2005 この国際規格は、組織が以下のことをできるための要件を特定している。 e) 組織が宣言した食品安全方針を遵守していることを保証する f) 関連する関係者に対してそのような適合性を証明する、ならびに g) 食品安全管理システムを外部の組織による認証や登録を求めるか、または、この国際規格への適合性を自己査定して自己宣言する。 取引先が 確認可能 取引先が 確認不可能 一般的衛生管理 前提条件プログラム (PP; Prerequisite programme) HACCP ハセップ

19 第三者認証システム 第三者認証による付加価値 保証 より高度の安全性確保 設備改善、衛生管理改善、人材教育・訓練 安全性に対する対価
この契約関係の理解を普及することが肝要 生産者 消費者 保証 より高度の安全性確保 設備改善、衛生管理改善、人材教育・訓練 安全性に対する対価 安全性向上には経費が掛かることの理解 クレーム 係争が発生した時、利害関係にない第三者が仲裁に入ることは一般社会で普通に行われている。金融・経営問題に関しては、公的団体、金融機関などに対して公認会計士が国民や株主の付託を受けて、会計監査を行うことが法で義務化されている。食品の安全性と品質に関する工程管理に関しても、この手法を導入することになった。 原理的には利害関係がなければ誰でもできるが、国際取引に関係する以上、それなりの資格を持った監査員を擁する国際的に認められた第三者認証機関による認証でなければならない。

20 ➜需要に応える ➜需要に応える 民間取引規格 F社 M社 民間取引規格 R社 S社
危害因子についての国の衛生基準 B国 A国 ➜需要に応える E国 民間取引規格 R社 S社 ➜需要に応える C国 D国 民間取引においては、各国の法令に基づいて、それぞれの衛生水準に応じた安全性規格を基に貿易を行うことは自由である。輸出入許認可権を持つ行政がこれに関与するとWTO問題となるが・・・

21 認証ブームの禍 第三者認証は新手の商売? 過保護な行政の介入 = 天下り先の確保? 流通業者はどの認証を信じたら良いのか?
農場から食卓までの生産者、加工業者、流通業者、消費者の全てが安全性や品質に自信・信頼を失っている状況で、それらを回復する事業として半ば善意、半ば金儲けで参入する者が現れた。 過保護な行政の介入 = 天下り先の確保? 民間組織よりも公務員が行えば安価で認証を提供できると行政が第三者認証に手を出した。日本でも、厚労省が「総合衛生管理製造過程」制度を設けてHACCP認証を始めたが、認証した乳製品工場が2000年に1万5千人に及ぶ食中毒事故を引起した。書類審査だけによる杜撰な監査の結果であった。 「停電事故➔ブドウ球菌の増殖・耐熱性毒素産生➔粉ミルクに加工」という初歩的間違いが大企業で起きた。製造ラインの部分的不具合による温度上昇検知システムを乳等省令に組込む: 原料乳受入れ時の検査(酸度、細菌数)、殺菌工程前後の乳温( 10℃を超えていない=ブドウ球菌の増殖可能温度に達していない、温度は継続的に自動測定して警報を出せるので乳工場に導入が容易) 流通業者はどの認証を信じたら良いのか? 乱立した認証システムの認証を受けた生産・加工業者が流通の仕入れ担当と交渉することで、現場での混乱が生じた。認証組織を整理しない限り、第三者認証システムは機能しない!

22 認証取得生産者:GAP認証を取得した当農場の穀物を買ってください。 仕入担当者:品質のもっとしっかりした穀物を買い付ける予定だから、断る。
仕入担当者:GLOBALGAP以外の認証は受け付けません。 認証取得生産者:GLOBALGAPは民間でしょう。国の認証の方が優れてますよ。 仕入担当者:いいえ。国が特定の一業者を優遇する措置はできないでしょう。 認証取得生産者:もちろん国が直接でなく、別組織が認証していますよ。 仕入担当者:その組織は第三者認証機関として登録されていますか? 認証取得生産者:そんな難しいことは分らん。 仕入担当者:認証を担当している方は、どういう方ですか? 認証取得生産者:農業省に長年勤務された方です。 仕入担当者:第三者認証監査員の資格を持っていますか? 認証取得生産者:そんな難しいことは分らん。・・・・・・ ISOの適合性認定機関によって「国の認証組織」が認定されることはあり得ない。そのため、天下り先として認証組織を設立することに力を入れている。国際取引において、上記のような問答が繰り返されることは・・・

23 世界食品安全イニシアチブ(GFSI: Global Food Safety Initiative)
適合性認定機関の普及課題 食料生産から加工、販売に携わる業界は、工業よりも小規模で数が多い。そこに工業製品の品質管理を目的とするISO 9000で食品安全管理を行うことに無理があり、認証を行う現場が都会より農村部が多いことから認証組織の手が回らなかった。そのため第三者認証の混乱が生じたのであり、適合性認定機関の整備が急務であった。 ISO 22000が発行されたのは:2005年のことであった。それと並行して、ISOの活動を補完・拡充する「純民間の適合性認定機関」を設けようとする流通業界の動きが始まった。 世界食品安全イニシアチブ(GFSI: Global Food Safety Initiative) 世界食品安全イニシアチブ(GFSI)は、欧州統合運動の背景の中で食料提供網国際委員会から発展した消費財フォーラム(CGF)によって2000年4月に発足した。当時、世界的に認定された既存の認証規格体系(scheme)は存在せず、食品業界のそれぞれが独自に策定した無数の社内基準に対して小売業および製造業が工場を監査していたので監査疲れが大きく、消費者および食品業界の信頼性は低かった。

24 世界食品安全イニシアチブ(GFSI)の目的
消費財フォーラム(CGF)の使命 ►  緑化を進め、より持続性のある明日を築く 我々の持続可能性の柱は、地球温暖化を軽減し、作業・環境条件を改善するのを大幅に手助けする業界の活動を導く・・・。国連気候変動会議などに出席して指導的提言を行っている。 ►  全世界の消費者に安全な生産物を届ける ►  消費者の生活と健康な生き方を手伝う ►  価値網(Value Chain)全体の役に立つ ►  強固な基盤で我々の活動を支える 世界食品安全イニシアチブ(GFSI)の目的 ► ガイダンス文書に記載されているように、効果的な食品安全管理システムの間の同等性と収束性を推進することによって、食品安全リスクを低減する。 ► 冗長性を排除し、運用効率を改善することにより世界の食料システムにおける費用を管理する。 ► 一貫性のある効果的な世界の食料システムを作るため、食品の安全性における資格を開発し、能力を構築する。 ► 協力、知識の交換および連携網構築のため、国際的利害関係者の固有の交流の場(platform)を提供する。

25 GFSI 理事会 利害関係者 消費財フォーラム委員会 勧告 助言 報告 GFSI事務局・消費財フォーラム ベンチマーク 委員会 地方グループ
中国、日本、メキシコ、北アメリカ 技術作業 グループ 認証システムの 吟味 認証システム保有者との連絡 認定のための勧告 世界的優先事項の地方での実施 企業間の約束と注意の確立 政府機関と地方団体との関係構 指針文書 ベンチマーク文書の保管 監査役の適格性 知識、技能、資格の枠組み 世界市場計画 小規模未発達事業 戦略プロジェクト 部門固有作業班、規制問題

26 GFSIガイダンス文書を作成する際に使用された規範文書
► ISO/IEC Guide 65:1996 (製品認証システムを運用する機関の一般的要件) ► ISO/IEC 17021:2006 (適合性査定:管理システムの監査と認証を提供する機関の要件) ► ISO/IEC 17000:2004 (適合性査定:用語と一般原則) ► ISO 9001:2008 (品質管理システム:要件) ► ISO/IEC 17011:2004 (適合性査定:適合性査定機関を認定している認定機関の一般的要件) ► ISO 22000:2005 (食品安全管理システム:食料供給網におけるあらゆる組織の要件) ► ISO /TS 22003:2007 (食品安全管理システム:食品安全管理システムの監査と認証を提供している機関の要件) ► ISO 9000:2005 (品質管理システム:基本的事項と用語) ► Codex Alimentarius CAC/RCP1-1969, Rev (Codex委員会:勧告した国際的な慣行規範:食品衛生の一般原則) ► USA Guidelines, August (食品のための微生物学的基準に関する米国諮問委員会:食品の危害解析と必須管理点の原則と適用の指針) GFSIのベンチマークを受けることは、ガイダンス文書の基となった国際機関が出したこれらの規範文書をクリアすることと同義である。

27 GFSIが認定した認証規格体系(SCHEME)
パートII:規格体系の管理のための要件 パートIII:規格体系の範囲と重要な要素 ベンチマーク: 同等性を判定するためにがGFSIガイダンス文書と比較する手順 GFSIが認定した認証規格体系(SCHEME) Global Aquaculture Alliance Seafood Processing Standard Global Red Meat Standard GLOBALG.A.P CanadaGAP SQF BRC IFS Food Standard IFS PACsecure PrimusGFS Standard FSSC 22000 これでも多すぎる! 食料生産・製造・流通業者が求めているのは、適合性認定機関ではなくその傘下にある認証機関である。ISOだけだったのが10社に増えたのだから認定機関数は十分であり、認定機関として日本版GAPの設置を主張するのは意味がない(天下り先としては・・・)。農村部をカバーする認証機関を増やすことが望まれる。

28 生産者、製造業者、流通業者、サービス業者、利害関係者
ISO 国際的相互認証協定 ISO/IEC 17065:2012(旧Guide 65) GFSIに承認されたⅠ認定機関 Ⅰ認定機関地区本部 Ⅰ認定機関日本支部 GFSIに承認されたⅩ認定機関 Ⅹ認定機関地区本部 Ⅹ認定機関日本支部 認定 認定 認定 認定 認定 認定 認証機関A 認証機関B 認証機関C 認証機関D 生産者、製造業者、流通業者、サービス業者、利害関係者

29 認定(accreditation)機関 SQF(Safe Quality Food )の認証システムは1994年にオーストラリアで開発され、その後米国に本拠を移した。国際食品安全イニシアチブ(GFSI)によって認証規格体系として認められ、2017年には第8班が出揃い、基本文書、第一次生産、小売業、製造業、包装業、流通業、品質に分冊化された。 HACCP に基づく食品安全 GFSI によるベンチマークの対象 食品安全の基礎 GFSI によるベンチマークの 対象外 食品品質 GFSI によるベンチマークの対象外 SQF 食品安全の基礎 一次生産の SQF コード 製造の SQF コード 保管および流通の SQF コード 小売向けのSQF コード 食品包装の SQF コード SQF 品質コード 旧バージョンのレベル1、レベル2、レベル3に相当 リンク

30 SQF基本文書 1. SQF品質認証の準備 パート A: SQF食品安全の基礎の実施と維持 2. 初回品質認証
1.9 認証組織の選択 パート A: SQF食品安全の基礎の実施と維持 1. 認証の準備 2. 初回認証の手順 3. 初回認証決定 4 調査と再認証 5 事業者と認証機関の義務 2. 初回品質認証 2.1 SQF審査員の選定 2.2 認証範囲の特定 2.3 初回認証審査 2.4 審査範囲の特定 2.5 助言のための審査期間 2.6 書類審査 2.7 訪問審査 2.8 集団審査 2.9 季節的生産 2.10 システム要素 2.11 不適合 2.12 審査証拠記録と審査報告書 1.2 食品安全の基礎 ➔ HACCP に基づく食品安全➔食品品質 のレベルに応じた認証取得を求めている。 2.1  SQFIに認定された認定機関に雇用または契約された審査員でなければならない 2.3 SQF認証審査は次の2段階からなる。 i. 事業者のSQFシステム文書がSQF食品安全の基礎要件を満たしていることを検証するための書類審査 ii. 事業所の訪問審査が行われ、文書化されたSQF食品安全システムの効果的実施を判定する。 2.4 事業者と認証組織は認証審査開始前に審査の範囲について合意しなければならず、それには以下を含む。 ► 承認されたあらゆる適用除外を含む ► SQF食品安全の基礎ならびにGAP/GMP/GDPモジュールを含む ► 審査期間 ► 指名された登録済みSQF食品安全審査員 ► 出張、報告書作成、補助経費を含む認証組織の経費 2.11 SQF食品安全からの逸脱 ► 軽微な逸脱 ► 重要な逸脱 ► 決定的な逸脱

31 パート B:SQF食品安全の基礎 食品安全の基礎のSQF システム要素
パートBは SQF食品安全の基礎の審査基準であり、 SQF システムの要素を構成し、食品部門の関連する適正製造慣行(GMP)・適正流通慣行(GDP)・適正農業慣行(GAP)の要素である。 食品安全の基礎に関する SQF システム要素: システム要素は、 SQF 事業者の食品安全システム要素が、主要機能に一次生産、食品製造、保管と流通、ならびに食品包装材の製造を含んでいることを識別する。 モジュール 7、11、12、および 13: 各モジュールは、様々な食品部門に適用されるGMP・GDP・GAPの要求事項について説明する。事業者は、この食品業種に適用されるモジュールの要求事項を満たさなければならない。 付属資料: 製造業のSQF食品安全規則は、「危害解析適用のためのコーデックス委員会ガイドライン」の最新版を参考にしている。 食品安全の基礎のSQF システム要素 2.1 管理への関与 2.1.2 管理の責任(必須) 食品安全に責任を持つ者を説明する報告体制を特定し、事業所内に周知する。 事業所長は、食品安全慣行を確保する規定を作成し、 SQF システムの適用可能なすべての要件を採用して維持する。 事業所長は、食品安全の目的を達成するために適切な資源を確保し、 SQF システムの構築、実施、維持、不断の改善に努める。 2.1.1 食品安全の方針(必須) 経営者は、最小限以下を含む方針声明7を作成し、実行しなければならない。 i. 安全な食品を供給する組織としての誓約 ii. 顧客および規則の要件を満たすための方法 iii. 食品の安全性の目標を定め、吟味するための組織としての誓約

32 2.1.2.4 事業所長は、以下の責任と権限を持つ各部署のSQF 責任者を指名しなければならない。
i で説明するGAP/GMP/GDPの策定と実施を指導する ii. SQF システムの策定、実施、吟味および維持の監督 iii. SQF システムの完全性を確保するための適切な活動  SQF 食品安全基礎を実施し維持するための責任者は以下の通りとする。 i. 常勤雇用者である ii. SQF システムの管理と関連する責任のある地位 iii. 食品安全基礎を実施し維持するのに適している iv 事業所の認証範囲と関連する食品安全基礎およびSQF システムを実施・維持する要件を理解している  組織の訓練の必要性を確立・実施する責任は、2.9に従って定めて文書化する  食品安全上の問題を行動を起こせる権限を持つ者に報告する責任を全ての従業員に周知する。 2.1.3 管理の見直し(必須)  事業所長は、 SQF システムを吟味し、方針声明を作成する責任がある。 SQF システムは少なくとも年1回見直さなければなr内 GAP/GMP/GDPおよびその他のSQF システムは、安全な食品を配送する事業所の能力に影響する何らかの変更があった際に再検討しなければならない。 GAP/GMP/GDPおよびその他のSQF システムのあらゆる変更は、検証し、正当化しなければならない。 SQF システムの全ての見直し、検証および変更の記録は、保存しなければならない。 2.2 文書管理および記録 2.2.1 食品安全管理システム(必須) 食品安全管理システムは、文書化して、保存しなければならない。それは SQF 食品安全基礎の要件を満たすために組織が利用する方法を概説し、以下を含む。 i. 食品安全の声明と組織図 ii. 認証の範囲 iii. SQF システムの策定、実施、維持、管理に必要な手順、前提要件等の文書

33 2.3 仕様書および製品開発 2.4 食品安全システム 2.2.2 文書管理(必須)
2.2.2 文書管理(必須)  文書は、安全に保管され、利用が容易でなければならない。  最新のSQF システム文書および文書の修正の登録を保管しなければならない。 2.2.3 記録(必須)  全ての記録は判読可能で、検査、解析およびその他の不可欠な活動を証明する監視活動の実施が完了するまで適切に認定されなければならない。  記録は容易に利用でき、顧客または規制当局によって指定された機関まで、損傷と破損と防ぐように安全に補完しなければならない。 添加物の表示および食品安全法規に記載されたその他の基準、ならびに関連業界の適正慣行に適用される法的要件が含まれる。 2.4.2 食品安全の基礎(必須) 事業所は、本規則の関連モジュールに記載された慣行が適用されているか、または、食品の安全性が損なわれていないことを保証する代替管理措置の有効性の証拠によって正当化されるリスク解析に従って免除されるものとする。 2.4.4 承認済み供給者プログラム(必須) 最終製品の安全性に影響を及ぼす原材料、原料成分、包装材、サービスは、合意した仕様(2.3.2を参照)を満たし、承認 済み供給者から供給されなければならない。 検査と解析は、標準的方法に従うものとする。 検査と解析の記録は保管されなければならない。 2.4.5 製品と設備の不適合 2.4.6 精神の再利用 2.4.7 製品の出荷 2.4.8 環境の監視 2.3 仕様書および製品開発 2.4 食品安全システム 2.4.1 食品法規(必須)  事業所は、供給する食品が顧客に引き渡す時点で、 原産国および仕向け国の食品および製造 に適用される法規を満たしているようにしなければならない。それには、最大残留基準値、食品安全、包装材、製品表示、正味重量、栄養成分、アレルゲンと

34 2.5 食品品質システムの検証 2.6 製品の特定、追跡、撤去、回収 i. 内部監査中に特定された不備の是正処置を実施する
ii. 内部監査およびその結果実施された是正処置の記録を維持する。 2.5.1 妥当性と有効性(必須) SQFプログラムの適用可能な全ての要素の有効性の確保のための方法、責任、および基準は、文書化して実施しなければならない。 2.5.2 検証活動 検証活動、各活動の完了頻度および担当者を概説する検証スケジュールを作成し、実施しなければならない。 GMP・GDP・GAPおよびその他の食品安全管理、ならびに認証済み製品の適法性に関連する監視活動を文書化して実施しなければならない。 2.5.3 是正処置と予防措置(必須) 不適合を解決する是正処置を講じなければならない。 是正処置の記録を保管する。 2.5.5 内部監査(必須) SQF システムの有効性を検証する内部監査のスケジュール作成と実施の方法および責任は、文書化して実施しなければならない。内部監査は少なくとも年 1 回実施し、適用方法は以下を確保する。   2.6 製品の特定、追跡、撤去、回収 2.6.1 製品の特定(必須) 以下を確実に実行する。 i. 製品は受入、生産、保管、出荷の全段階で明確に識別される ii. 最終製品は顧客の仕様や規則の要求事項に従って表示されている 製品の識別記録を維持しなければならない 包装中の製品の変更過程は、正しい製品が正しく包装され、変更が権限のある担当者によって承認されていることが文書化され、確認されなければならない。 2.6.2 製品の追跡(必須) 以下を確実に実行する。 i. 最終製品は顧客(1つ先)まで追跡可能で、製造供給元(1つ前)までを通して、原材料、食品に接する包装材およびその他の材料の受入日までの追跡可能性を確保する。

35 2.9 訓練 2.7 食品の防犯および偽装 2.6.3 製品の撤去と回収(必須)
2.6.3 製品の撤去と回収(必須) 流通から製品の撤去または回収を求める状況が生じた場合に、顧客および重要関係者に通知する方法および責任につい て事業者は説明しなければならない。 SQFI および認証機関は、公表を必要とする食品安全上の出来事が特定されてから24時間以内に書面で通知されなければならない。 全ての製品の撤去、回収、および模造品回収の記録は保管しなければならない。 iii. 防護が難しい処理工程への意図的な不純物混入を防ぐ方法 iv. 原料、包装資材、備品および有害化学物質の安全な受入と保管を確実にするために実施される対策 v. 原材、成分、包装材、試作品、工程途中で使用される材料および最終製品が安全に保管・輸送されるために実施される措置 vi. 従業員、契約業者および訪問者による施設への出入りを記録し管理するためにされる措置 2.9 訓練 2.7 食品の防犯および偽装 2.9.1 訓練の要件(必須) SQF システムの効果的な実施ならびに食品安全と法規の要求事項の維持管理に必須の業務を遂行する人員に対し適切な訓練を実施しなければならない。 2.9.2 訓練プログラム(必須) 従業員の訓練プログラムを文書化し、実施する。それは、特定業務の遂行に必要な資格および以下の業務を行う職員に適用すべき訓練方法を概説する。 i. GMP・GDP・GAPの策定と適用 ii. 食品法規の要求事項の適用 2.7.1 食品の防犯計画(必須) 妨害工作やテロなどの意図的攻撃による食品への不純物混入を防ぐための方法、責任および基準を文書化し、実施し、維持しなければならない。 食品の防犯計画は以下を含む。 i. 食品の防犯に責任を負う上級管理職者の名前 ii. 権限を与えられた要員のみが、指定の出入り口を通して製造・保管区域に出入りすることを確実にする方法

36 モジュール 5: 動物製品の生産における適正農業規範(GFSI Al)
一次生産の SQF コード モジュール 5: 動物製品の生産における適正農業規範(GFSI Al) 5.1 事業所に対する要求事項 5.1.1 敷地の場所 ない。事業所や建物の入口は、施錠またはそ の他の装置により無許可の来訪者の入場を防止する。 事業所や施設への有害生物侵入防止の方法と責任は、文書化して実施しなればならない。敷地、動物収容施設、 保管施設、機械および設備は、害獣や害虫を寄せ付けることがないよう、廃棄物やゴミが溜まらないようにする。 有害生物侵入防止プログラムは以下の条件を満さなればならない。 i. 有害生物の侵入防止プログラムの策定、実施、維持の方法および責任を説明する ii. 適用する殺虫剤ごとに標的害虫を特定する iv. 有害生物を見つけた時の駆除に用いる方法を概説する vi. 接地するトラップと毒餌の種類、場所、数の配置図を作成する vii. 使用した化学物質の一覧(規制当局による承認を必要とする) viii. 毒餌管理プログラムおよび接触した際に取るべき措置を従業員に周知する。 5.2 家畜の安全な収容および飼料 5.2.1 事業所への出入りと防犯 5.2.2 囲いと追い込み場 5.2.3 集中的収容システム 5.2.4 通路、牽引路、入口、出口、積み込み/荷降ろし用スロープ 5.2.5 飼料、農業用化学物質、備品保管用の建物 5.2.6 農場/収穫用機械およびコンベアの建設と保管 5.2.7 車両、機器および器具 5.2.8 メンテナンス 5.2.9 設備の較正 有害生物の予防 動物管理 清掃および衛生 放牧地、飼育場、家畜が収容されるその他の作業区域は柵で囲わなければなら

37 5.3 人員の衛生と福利厚生 5.4 作業場および動物飼育の慣行 5.5 水の管理
5.3.1 人員の作業慣行 5.3.2 衛生設備および手洗い 5.3.3 防護衣 5.3.4 アクセサリーと所持品 5.3.5 来訪者 5.3.6 嗜好品 家畜と飼料の取り扱いに従事する者は、適切な作業慣行を遵守しなければならない。食品安全慣行に違反する者には是正処置 を行う。 人畜共通感染症に罹患または保菌者は、家畜または飼料の取り扱いに従事してはならない。 全ての全従業員に対して予防検診を実施し、訪問者や契約業者にも適用可能とする。 5.4 作業場および動物飼育の慣行 5.4.1 作業場での取り扱い慣行 5.4.2 動物飼育の慣行 5.5 水の管理 5.5.1 家畜生産用の水 5.5.2 家畜生産用の水の処理 5.5.3 水のマネジメント計画 5.5.4 是正処置 家畜または飼料を化学物質、油類や潤滑材およびヒトとの交差汚染から防ぐための対策を実施しなければならない。 生産者は飼育する動物の種類に追うじた動物飼育慣行を適用し、広域放牧、閉鎖飼育または集中的収容状態のいずれかを 問わず、動物の基本的欲求が充足されることを確保しなければならない。 動物の飼育と管理の責任を負う従業員は、動物の取り扱いと福祉について訓練を受けなければならない。従業員は動物 の苦痛と病気の初期兆候に気づき、動物のストレスを最低限にできなければならない。 生産者は水源から使用までの水供給における危害分析を実施し、水の監視の許容基準を設定し、使用水が目的に適することを確保するため完全性の確認と検証を行わなければならない。 家畜生産用の水がタンクまたは桶に溜め置かれる場合、タンクや桶が汚染源にならないようにしなければならない。 ヒトや動物の排泄物を搬送する廃棄物システムは、家畜生産用水の水路と分離ていなければならない。

38 5.7 医薬品、飼料、農業用化学物質の購入と使用
5.6 保管と輸送 5.6.1 家畜、飼料および動物用医薬品の保存 5.6.2 有害化学物質、有害物質、および石油製品の保管 5.6.3 輸送 様々な種、栽培者、製造業者から調達する動物飼料は、適切に分離、識別しなければならない。 飼料は定期的に清潔度、温度、適合性、およびカビの着生類がないことを確認しなければならない。 確認記録は保存する。 5.7 医薬品、飼料、農業用化学物質の購入と使用 5.7.1 ワクチン、医薬品、ビタミンの購入 5.7.2 動物用医薬品の適用 5.7.3 飼料マネジメント計画 5.7.4 農業用化学物質 標的疾病に対するワクチンや医薬品の使用を指示する方法と責任は、文書化して実施する(動 物福祉計画)。全てのワクチンと医薬品は、投薬禁止期間を含め、使用説明書に従って使用しなければならない。 医薬品の適応承認外使用は、登録された獣医師の承認を受け、文書化する。 ワクチン投与の決定者の必須事項。 i. 出荷先において承認された医薬品および最大残留物濃度に関する知識、情報入手方法 ii. 医薬品投与の多様な手法および投与禁止期間に関する適格性と知識 iii. 最新の医薬品一覧を保持し、購入/使用した全医薬品の記録を保存する 。 5.8 家畜の識別とトレーサビリティ 5.8.1 飼育の記録 5.8.2 飼料の識別とトレーサビリティ 全ての家畜は、一次生産システム要素2.6.1項と2.6.2項に従い、個別または群れ毎の識別システムにより識別され、 生まれた農場まで追跡できなければならない。 処理予定の動物の死骸は、生産区域の外に保管しなければならない。化成業業者は、死骸除去の際に生産施設を通り抜けて はならない。 5.9 廃棄物処理 5.9.1 乾燥、液体廃棄物の処理 5.9.2 液体廃棄物

39 認証(certification)機関 日本適合性認定協会( JAB )は、ISO 22000に係る食品安全システム認証(FSM)、FSSC 22000に係る食品安全システム認証((FSSC)、食品安全マネジメント協会による認証(JFS-C)の3種類のマネジメントシステム認証機関、ならびに製品認証機関を認定している。 マネジメントシステム認証機関 食品安全(FSMS)  11社 食品安全システム認証 (FSSC)  9社 食品安全(JFS-C) 6社 製品認証機関 6社 日本規格協会 日本検査キューエイ 日本ガス機器検査協会 日本海事検定キューエイ 高圧ガス保安協会 日本科学技術連盟 日本品質保証機構 日本能率協会 日本環境認証機構 ペリー ジョンソン ビューローベリタス 日本規格協会 キューエイ株 日本ガス機器検査協会 日本海事検定キューエイ 高圧ガス保安協会 日本科学技術連盟 日本品質保証機構 日本能率協会 ビューローベリタス 日本規格協会 日本検査キューエイ 日本ガス機器検査協会 日本海事検定キューエイ 日本品質保証機構 日本環境認証機構 日本能率協会 日本森林技術協会 日本ガス機器検査協会 SGSジャパン インターテック株 北海道有機認証センター この他に、世界食品安全イニシアチブ(GFSI)が承認した認証システムによる10社がそれぞれ認定した認証機関が存在する。 JAB による認証機関は各国が加盟するISOを根拠とし公的性格を有しているが、 GFSIによる認証機関は民間組織がISOを根拠としつつ認定したものであり欧米諸国に限定している(日本は規格を満たせない)。

40 SGSジャパンからSQF認証を取得した食品事業者
GFSIが承認した認証システムの一つであるSQFは、基礎、食品安全、品質の3つのレベルに分けられているが、第2レベルがGFSIによってISOと同等と認められている。 SQFは、SGS、Perry Johnsonなど米国および世界各地を本社とする35社の認証組織を抱えている。 日本でも展開しているSGS は世界中に2,000箇所の拠点とラボ、さらに90,000人の従業員を擁し、GLOBALG.A.P.、FSSC22000など、別の認証体系の認証も行っている。さらに、食品分野だけでなく、品質・環境・労働安全衛生など様々な産業分野の第三者認証を行っている。すなわち、第三者認証システムはISOが構築したシステムで、様々な産業分野に広がっている。すなわち、 ISOが構築した第三者認証システムは様々な産業分野に共通の方法論を有しており、その認証範囲は品質・環境・労働安全衛生など広域に及んでいる。 SGSジャパンからSQF認証を取得した食品事業者 アクアブルー株  コワダヤ株 日本 フードパッカー スターゼン食肉販売 スターゼン 垂水市 南さつま市 伊佐市 阿久根市、鹿児島市 宮崎市 熊本市 大分市 福岡県粕屋郡 魚介類加工 食肉センター Good Excellent SQFは、第一次産業のGAPから製造部門のHACCP、さらに流通部門までまとめて認証するので、畜産業からの認証申し込みが多い。

41 認証取得事例: JA全農ミートフーズ株式会社
経営理念 ●  JAグループの一員として食肉販売を通じて消費者と国内畜産農家の懸け橋になり、畜産農家の経営の維持・発展に貢献します。 ● 消費者に、「安全・安心」で「価値ある豊かな食」を提供します。 経営指針 ● 公正で透明性の高い事業活動を行い、情報開示に努めます。 ● 環境問題に積極的に取り組み、社会的信頼を得て地域・社会に貢献します。 ● 簡明で迅速な意思決定と実践により、スピード感のある経営に努めます。 ● 正直・信頼を第一に、コンプライアンス体制を確立します。 ●  社員一人ひとりの能力と情熱を引き出し、生き生きと働くことができる活力ある企業を目指します。 品質方針 ● 国内畜産農家・産地食肉センターと連携し、安全・安心でおいしい国産食肉をお届けします。 ● 国際規格であるSQF(Safe Quality Food)システムにより、安全で高品質な商品づくりに絶えず取り組んでいきます。 ● 品質に関連する法令および品質基準を遵守します。 ● お客様の声を商品の安全性および品質の向上に反映させます。


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