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ビデオ録画による心理療法 マスターセラピストから学ぶ 自我心理学的立場から
千駄ヶ谷心理センター 大妻女子大学 深津千賀子
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診断 と アセスメント 医学的診断 除外診断 症状・検査→病因の特定 治療方法・方針 心理アセスメント 心の働きの健康な側面と 病態化した側面について
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アセスメント面接の目的 危機介入の必要性 ex. 自殺、激しい行動化等の可能性 心理療法の適合性 探索的か支持的か クライエントの年令や病態に応じて 家族との関わりの必要性 他機関との連携の必要性 投薬、その他治療チームを組む必要性 心理療法が不向きな場合 ex. 話しを聞くこと → 悪性の退行を起こす可能性
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自我心理学 精神力動的考え方の特徴 連続性の原理: 常態心理にも病態心理にも一貫した連続性を もって働く心理過程を仮定して、人間の精神 現象を理解する観点
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・ 人間の言動の背景には無意識的動機づけ ・ 無意識的な動機や意図は互いに葛藤し、 力学的抗争(精神内界、内界と外界、対人 関係など)を引き起こしている ・ 人間の言動は、この葛藤の妥協形成の結果
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パーソナリティの主体としての自我 心理過程の中心として機能する自我 内的には心と身体のバランスを取りな がら、外界に対しても心理・社会的に 適応を図っている自我の諸機能が働 ている
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精神力動的アセスメント 自我の諸機能 : 退行の水準と回復力 現実検討力 → 病態水準 適応のパターン: 主たる防衛・適応機制 → パーソナリティ 反復強迫 現在の問題・症状: 防衛や適応のバランスが崩れたり 破綻したきっかけは? (精神内界・ 外界との関係・両方?) どのような葛藤の妥協形成か?
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力動的アセスメント 症状や問題行動を 自我の妥協形成の表れとするなら どのような無意識的な動機づけや意図 があり、その葛藤、力学的な抗争の内容 はどのようなことか? どのような援助が適切かつ現実的に必要か?
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アセスメント面接 面接者の立場、時間、部屋、情報の扱い等 ・ 自身について語ってもらう 訴え、経過、過去の受診歴など
アセスメント面接 ・ アセスメント面接の構造の説明 面接者の立場、時間、部屋、情報の扱い等 ・ 自身について語ってもらう 訴え、経過、過去の受診歴など 今の問題の発症時期について 生育歴や家族について 質問はopen から closed へ
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面接者 クライエント 場所・時間など構造の管理 自分について語る 役に立ちたい 面接への不安・恐怖 病態水準は? セラピストはどんな人? なぜ、今?? この機会への依存・期待 自信/ 不安 理想化/幻滅
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面接者の姿勢・態度 話の文脈を追いながら、時に明確化などの介入 語られている通りにか、語られていることの背景も
共感的、受け身的、中立的 話の文脈を追いながら、時に明確化などの介入 語られている通りにか、語られていることの背景も 語られないこと(回避していること)への注意 言葉の後ろに隠されている“何か”を理解し、介入する (クライエントが受け入れられる水準、病態などを考慮) → 理解したことを伝え返す
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クライエントの葛藤と自我の状態 カウンセリングのイメージは? 支持はされるが、指示はされない 面接者からの介入で妥協形成が揺らぐ( ⇒ 退行) 自己の内面(葛藤)に 向き合う力 ⇔ 抵抗する力 より生の情動・感情の顕在化⇔それを意識化する ことへの不快感、不安感、罪悪感、羞恥心など 介入により <今・ここで>の葛藤 症状は辛い ⇔ 解放されて楽になりたい(⇒ 進展) 面接者は鋭い(怖い?) ⇔ 私をわかってくれる(安心) (会う前に構造転移もあり、より対象転移関係が・・・・)
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面接者とクライエントの相互関係 面接者が 専門家としての見方を伝え返すと、 クライエントは 理解された、あるいは一般社会場面と違う見方をするところで理解されそうだ という手応えを体験し、心理療法に期待 (クライエントの健康な自我機能)
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アセスメント面接の結果を伝える 力動的定式化: 症状や問題の背景について 果たして、前・無意識的な葛藤は? どのような妥協形成をしているか? 反復強迫は? 病態水準やパーソナリティの発達やライフサイクル も視野にいれ、心と身体、心理社会的側面から、 問題全体を精神力動的に理解し、仮説を立てる クライエントの健康な自我に働きかけ面接契約へ
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作業同盟と心理療法の契約 解釈面接から契約そして心理療法へ 面接者の理解をクライエントに伝え、クライエントが同 意したら、心理療法の契約 ↓ 作業同盟 :双方の健康な自我が同盟を結び、セラピ ストの退行した部分を使ってクライエントの病理的 な部分に共感、理解し、交流する。 この過程から体験の内在化、観察自我の発達
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本事例について Cl.の訴え <視線恐怖> 双方の自己紹介⇒ Th.面接の目的⇒Cl.経過を語る (自分の問題への姿勢/病識)視線恐怖「見たら悪い」 心療内科を受診“カウンセリングの提案” (Cl.15-17) Th.18<心の中の問題が・・> Cl.18 ⇒両親との関係がこじれておりまして・・無縁ではないのかと Th.19 <きっかけはない?>(Cl.18の両親との関係ー無縁ではないのか、はとりあげない) Cl.19⇒仕事は忙しい( Cl.も両親の話を回避)
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Cl.20 「感覚が普通じゃない」「敏感」「相手が気を悪くする」「多分いけないこと」「見たくないものを見ちゃう」「相手が嫌な気分になる」(Cl.の内的体験) Cl.34 ⇒「見たことを言葉にしてしまう」(「見たこと・視線」という内的体験から、「言葉にする」他者との現実的関係へ) Cl.35.36.友達と険悪な関係、攻撃しようと思ってない Th.38「つい思った通りに言ってしまうという」 Cl.41-Cl.46 「ほかの人も同じ」(「つい」意識しないで出てしまい関係を悪くする言葉)⇒ 「自分は正しい、誰でもそうでしょう」(超自我の強さと攻撃衝動の葛藤、合理づけ防衛をしながら)
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Th.49 「厳しくて人に怖がられたり、嫌われたりと?」 Cl.49 「そうですね。親との関係がこじれたのも・・・」 (と向き合う) Cl.50ー52 「私がきついので」と親との葛藤のを語りだす (両親に受け入れられないことへの怒りを語りながら退行 Cl.55-59 自分の攻撃性⇔受け入れられない疎外感 葛藤 ➡ かかわりを回避 Th.60 「あきらめたら寂しいんじゃないかしら」(情緒をとりあげる) Cl.60 「寂しいですね。・・・考えても良いことがない、つらいばかり。振り返るのは嫌なんです」(と、問題を回避、Th.に対しては自己主張)
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Th.62 人に厳しいという思い方 → 目つきが鋭くなる恐れ と症状とつなげて解釈 Cl.62 、63 「そうですね、そうなのかな どうしたらいいでしょうか 」「昔のこと考えない道はないんでしょうか?」 (と、再度、回避願望) この後、Th.との攻防戦が続き Cl.74 「涙が出たので驚きました」(普段の自分とここでの自分の違いに目を向ける。) Cl.79 「何回か通ってきめてもよいですか?」(向き合いたくないー向き合うしかないのか という葛藤の妥協形成) Th.81 受け入れる
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力動的理解 「 家族との関係が職場の対人関係でも再現 怒りを感じる他者との関係を回避するという妥協形成 をしながらも、孤立する不安感が増大 両親との葛藤も刺激されて ➡ 症状形成 症状の意味:視線恐怖は他者の視線恐怖でなく、自分の視線が他者を傷つける不安 他者への攻撃衝動が顕在化することへの恐怖 相手への不満・怒りの視線(言葉)がコントロールしきれず 出てしまう恐怖
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それは相手に悪い ⇔ でも私は正しい ⇔ 嫌われるかも
⇔ 嫌われたくない ⇔ 主張すると孤立するかもしれない 親とのことは考えないで済ませたいが、症状は苦しい、 身動きが取れない状態で受診 Th.62-81の介入にCl.は「昔のことを考えないといけ いんでしょうか」と抵抗感をもちながら、「涙が出た」ここで の体験を振り返り、数回の面接を受けることで妥協!!
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