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安全保障のための輸出管理 平成15年8月 経済産業省 貿易管理部
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もくじ ~違反した場合の罰則について~ 1.輸出管理の仕組みについて ①②③ 2.違反事例について
~違反した場合の罰則について~ はじめに 1.輸出管理の仕組みについて ①②③ 2.違反事例について 初歩的な誤り(1)(2)(3)(4) ④⑤⑥⑦ ●故意による違反輸出● ⑧⑨ ●過失による違法輸出の実例● ⑩⑪ 3.安全保障貿易管理の第1歩は.. ⑫ ~リスト規制対象か否かの確認(該非判定)~ ⑬ ~キャッチ・オール規制に基づく用途や需要者の確認~ ⑭ ~キャッチ・オール規制に基づく用途や需要者の確認~ ⑮ 参考 国際的な輸出管理の枠組 ・ 世界の安全保障貿易管理の方向 ⑯⑰
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特定の貨物の輸出・技術提供は規制の対象 違反した場合には、
はじめに ~違反した場合の罰則について~ 「輸出管理を知らなかった」「輸出管理は自分とは関係がないと思っていた」では済みません!! 特定の貨物の輸出・技術提供は規制の対象 はじめに ~違反した場合の罰則について~ 経済産業大臣の許可が必要です。 注意 ・皆さんに比較的身近な民生用品であっても規制対象となります。 ・海外の現地子会社、日系企業向けも対象です。 違反した場合には、 1.法律に基づき、刑事罰(罰金、懲役)や行政制裁(貨物の輸出・技術の提供 の禁止)が科される場合もあります。 2.実際に懸念用途(ミサイルや核製造機器の部品等)に用いられていた場合 には、企業のみならず日本に対するダメージははかり知れません。
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-違反に対する罰則- 刑事罰 公 表 行政制裁 経済産業省からの違反企業に対する警告 ・企業イメージの悪化… ・社会的制裁等...
刑事罰 ・ 対象貨物/役務価格の5倍以下の罰金 -違反に対する罰則- 代表2人に有罪判決 A国へ武器部品不正輸出 (価格が40万円以下でも最高200万円の罰金) 公 表 はじめに ~違反した場合の罰則について~ ・ 5年以下の懲役 行政制裁 ・3年以内の、貨物輸出・技術提供の禁止 経済産業省からの違反企業に対する警告 ・企業イメージの悪化… ・社会的制裁等...
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① 1.輸出管理の仕組みについて 根拠となる法律 対象品(技術) 規制対象地域等 リスト規制 ・「武器」または、 ・全地域向けが対象
・「主要供給国間で合意した軍事用途にも転用可能な高度技術汎用品」 ・全地域向けが対象 ・用途、需要者によらない 1.輸出管理の仕組みについて ④へ 根拠となる法律 「外国為替及び外国貿易法」 ・米、加、EU諸国等の輸出管理を厳格に実施している25ヶ国は除外 ・用途、需要者による ・食料品や木材等の一部を除く全てのもの キャッチオール 規制
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リスト規制の対象品目は、懸念用途毎に主要供給国間で合意
② リスト規制の対象品目は、懸念用途毎に主要供給国間で合意 {懸念用途 } {主要供給国間合意 } →「国際レジーム」と呼ばれます 武 器 ワッセナーアレンジメント(WA) (33カ国) 軍用車両、軍用船舶、 軍用航空機等 1.輸出管理の仕組みについて 核兵器 原子力供給国会合(NSG) (40カ国) 天然ウラン、プルトニウム、原子炉、繊維材料、X線発生装置等 大量破壊兵器 化学兵器 生物兵器 ミサイル 汎用品 オーストラリアグループ(AG) (33カ国) 亜燐酸ジエチル、シアン化ナトリウム、 貯蔵容器、熱交換器等 オーストラリアグループ 日本脳炎ウイルス、炭疽菌、 連続式遠心分離器、密閉式発酵槽等 ミサイル関連機材 ・技術輸出規制(MTCR) (33カ国) ロケット、無人航空機、 酸化剤、炭素繊維複合材料、 発射支援装置等 通常兵器 ワッセナーアレンジメント 先端材料、工作機械、エレクトロニクス、 通信機器、センサー・レーザー等 ※上記以外にもキャッチ・オール規制では、需要者・用途によっては大部分の貨物が規制対象となります。
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許可の種類は、貨物・技術と仕向地で異なります!
③ 許可の種類は、貨物・技術と仕向地で異なります! 貨物・技術 懸念が小 懸念が大 ホワイト国 ~全ての主要供給国間合意に参加。25ヶ国。 (米、加、EU諸国等) 1.輸出管理の仕組みについて 包括許可(条件付きで一定期間有効) OR 個別許可が必要 仕 向 地 その他の国 個別許可が必要 懸念4ヶ国~ 北朝鮮、イラン、イラク、リビア
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④ 2.違反事例について 初歩的な誤り(1) ~自社海外工場又は海外移転した取引工場へのリスト規制品の輸出 注意
初歩的な誤り(1) ~自社海外工場又は海外移転した取引工場へのリスト規制品の輸出 注意 ① 輸出は国内取引と異なり、輸出の許可が必要な場合があります。 ② 輸入者や需要者が日本企業ということをもって、許可が不要ということにはなりません。 具体例 (A) 取引会社の中国工場操業に伴い、製造に必要な化学品を無許可で輸出 2.違反事例について 半導体製造に用いる洗浄液としてトリエタノールアミンを輸出 トリエタノールアミンは、化学兵器の材料となる物質として、用途によらず許可が必要 (B) 自社工場の東南アジアでの操業に伴い、製造に必要な貨物を無許可で輸出 電子部品の洗浄液精製のため、ろ過装置(クロスフローろ過器)を輸出 有効ろ過面積の合計が5m2以上で、内部滅菌可能なクロスフローろ過器は用途によらず、許可が必要 半導体製造用に用いる腐食性化学物質を保管するためダイヤフラムポンプやベローズポンプを輸出 耐腐食性の強い物質(ふっ素等)で裏打ちされ、一定の吐き出し能力を有するポンプは用途によらず、許可が必要
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⑤ このような汎用品が。。。 こう使われるかも!! 「民生用途に使われるので問題なし」と勝手に判断していませんか? 初歩的な誤り(2)
・工作機械 (産業用機械) ・炭素繊維 (ゴルフシャフト) ・トリエタノールアミン (化粧品、シャンプー) ・凍結乾燥装置 (食品加工用装置) ・ウラン濃縮に必要な遠心分離器の成形、加工 ・ミサイルの構造部材 ・化学兵器原材料 ・生物兵器製造装置 2.違反事例について 「高度な技術を用いた貨物でないので問題なし」と勝手に判断していませんか? ・日本国内では入手容易で、「高度な技術でなくなった」貨物も規制対象になります。 ・特に、化学・生物兵器関連機器には要注意 化学兵器関連 耐腐食性の反応器、貯蔵容器、熱交換器、蒸留等又は吸収塔、充てん用機械、かくはん機、弁(ダイヤフラム弁、逆止め弁、ベローズ弁等)、多重管、ポンプで特定の仕様をもつもの 生物兵器関連 クロスフローろ過用装置、凍結乾燥機、発酵槽etc.
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⑥ 「仕向地」とは、最終的に消費、加工が行われる国です。 仕向地の解釈を間違えていませんか?
初歩的な誤り(3) 仕向地の解釈を間違えていませんか? 海外販売店 A国 ここが仕向地ですね 日本国 2.違反事例について 顧 客 本社 B国 A国の販売店を通じたB国への輸出は、B国向け の輸出許可が必要です。 いくら、A国向けの輸出許可を取得していたとしても、 B国向けの輸出許可が必要です。 「仕向地」とは、最終的に消費、加工が行われる国です。
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⑦ 技術提供の許可取得を忘れていませんか? 初歩的な誤り(4)~ 違法輸出・技術提供 ・工場の海外移転。
違法輸出・技術提供 技術提供の許可取得を忘れていませんか? 2.違反事例について ・工場の海外移転。 設備に内蔵されているプログラム等、 技術者派遣による提供技術、 マニュアル、図面、工程表等の提供 ・研修生の受入れ時・製品開発段階での技術的意見交換等。 情報提供・実施訓練、電子媒体・郵送物・FAX等による技術的know howの提供
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●故意による違法輸出の例● ⑧ 類型1:ハンドキャリー 必要な許可を取得せずに、外為法の規制対象貨物を 手荷物として持ち出し
必要な許可を取得せずに、外為法の規制対象貨物を 手荷物として持ち出し 類型2:マスキング 該当品にも関わらず、それを非該当品と偽って税関に 輸出申告し、輸出する行為 類型3:迂回輸出 仕向国を偽って輸出する行為 違法輸出を行った場合に負うことになる、多大なリスク(行政制裁、刑事罰、 社会的制裁による企業のイメージダウン等)を十分認識することが重要です! 2.違反事例について
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我が国における行政制裁 ⑨ 行政制裁 (1985年以降 15件) ・1999年8月 R社/H社 微小寸法測定装置を中国へ迂回輸出
行政制裁 (1985年以降 15件) ・1999年8月 R社/H社 微小寸法測定装置を中国へ迂回輸出 ・2000年5月 S社 対戦車ロケット砲「RPG-7部分品」をイラン向けに無許可輸出 2.違反事例について <2002年12月末現在>
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●過失による違法輸出の実例● ⑩ 類型Ⅰ.輸出管理体制の未整備 類型Ⅱ.許可取得前の貨物に対する判断(該非判定)の誤り ● 外為法の認識不足
● 外為法の認識不足 ① 規制対象貨物に非該当と独断で判定 ② 「輸出」 「技術提供」等の認識不足 ③ ソフトウェア ● 規制対象貨物に関する判定の不適切な実施 ① 最新規制対象リストの見落とし ② 調達先であるメーカーや通関業者任せ 2.違反事例について 類型Ⅱ.許可取得前の貨物に対する判断(該非判定)の誤り ● 役務(技術やソフトウェア)に対する認識不足 ① プログラム(ソフトウェア)の提供 ② 技術提供 ● 参照すべき規制品目(規制リストの項目)の誤り ① 複数項番の一部見落とし ② 暗号に関する規制品目リストの見落とし ● 解釈の誤り ① 一時的貸出し ② 付属品の見落とし ③ 貨物仕様の認定の誤り ④ 「使用目的」で判断 ⑤ 役務に関する誤解釈(「公知の技術」 「使用に係る技術」)
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⑪ 類型Ⅲ.最終需要者や用途に関する不適切な判定 類型Ⅳ.出荷確認の誤り 類型Ⅴ.許可条件の未遵守 たとえ過失であっても...
① 一般包括許可要件の未遵守 ② 個別許可取得要件の未遵守 ③ 許可有効期限の失効の見落とし 2.違反事例について 注意 たとえ過失であっても... ・外為法の目的に照らせば非常に重大な問題です。 ・懸念用途に用いられれば、人命的にも深刻な問題 を招きかねません。
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⑫ 3.安全保障貿易管理の第一歩は.. 輸出貨物、提供技術が 『リスト規制品目・技術』 であるか否かの判定(該非判定)を確実に行うことが重要です。 3.安全保障貿易管理の第一歩は.. メーカー:製品番号はなくなりません。 → 懸念用途への転用が判明した場合、製造者は一目瞭然です。 商社 :独自の判断のみでなくメーカーの見解も尊重。 → 輸出者は提供者としての一義的な責任を負います。 研究所等:技術提供の相手が研究者・研究機関である ことを以て規制の適用除外にはなりません。 → 責任ある管理が求められます。
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これらを考慮した輸出等管理体制を構築することが望まれます。
~リスト規制対象か否かの確認(該非判定)~ ⑬ 該非判定書 【 該非判定を行うにあたってのポイントは 】 ① 社内でのダブルチェック体制が望ましい。 ② 規制対象貨物/技術について、 ③ 社内での迅速な情報の共有。 ④ 輸出等管理に対する社内教育等。 十分な最新情報を入手する。 3.安全保障貿易管理の第一歩は.. これらを考慮した輸出等管理体制を構築することが望まれます。
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⑭ リスト規制 キャッチオール規制 ●規制リストにない品目もキャッチオール規制の対象になります! 対象品目 許可が必要となる条件
~キャッチ・オール規制に基づく用途や需要者の確認~ ⑭ ●規制リストにない品目もキャッチオール規制の対象になります! 対象品目 許可が必要となる条件 高度技術を用いたもの (規制対象を明確に規程) リスト規制 全て規制対象 3.安全保障貿易管理の第一歩は.. リスト規制の対象でなくても、 キャッチオール規制のチェックが必要 大量破壊兵器の開発等に使用される恐れがあることについて.. 1.経済産業省から輸出者に通 知があった場合(インフォーム要件) キャッチオール規制 一般技術を用いたもの (食料品等を除く全ての貨物・技術) 詳細は 次ページ 2.輸出する商品の用途や最終需要者から知っていると考えられる場合(客観要件) 許可が必要になります。
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⑮ キャッチオール規制におけるチェック 輸出許可の申請不要 リスト規制に関する該非判定 輸出許可の申請必要 非該当 該当 NO
・HSコードが16項に該当? 〈※1〉 <客観要件> ・仕向国はホワイト国以外か? ・用途確認 懸念無し 〈※2〉 YES 3.安全保障貿易管理の第一歩は.. ・需要者確認 懸念有り 輸出許可の申請必要 経済産業省から当該取引について申請するよう通知があ った場合(インフォーム) 該当 〈※1〉申請必要:関税定率法別表25~40、54~59、63、68~93、95類 〈※2〉ホワイト国:米、加、EU15ヶ国、スイス、ノルウェー、ポーランド、ハンガリー、チェコ、豪、 ニュージーランド、アルゼンチン
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⑯ 国際的な輸出管理の枠組 参考 1
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テロリストの関連資機材調達の懸念の具体化
世界の安全保障貿易管理の方向 ⑰ 参考 2 91年 湾岸戦争終了後の国連等による査察の結果、イラクによる核 兵器等の開発の事実判明 93年 北朝鮮によるノドン発射実験(日本海に着水) 94年 北朝鮮の核開発疑惑(その後、米朝枠組合意に至る) 98年 インド及びパキスタンによる核実験の実施 北朝鮮によるテポドン発射実験(その後2003年までミサイル テストのモラトリアムを海外にコミット) 98年~ インド、パキスタン、イラン等による弾道ミサイル発射実験 ※2002年、1月、5月にも相次いで実施。 2001年9月11日の米国同時多発テロ事件 及び 米国における炭疽菌テロ事件 生物・化学兵器テロの可能性の現実化 及び テロリストの関連資機材調達の懸念の具体化 懸念国への大量破壊兵器不拡散のための輸出管理強化 テロリスト対策としての輸出管理強化 ◆国際輸出管理レジーム会合における、汎用品に関する相次ぐ輸出規制強化提案。(生物剤、発酵槽等) ◆2001年9月11日の米国テロ事件以降、輸出管理、特に大量破壊兵器の関係の輸出管理の様相が一変。 AG(生物・化学兵器に関する輸出管理レジーム)におけるガイドラインの策定等、国際的に協調して規制強化の方向へ。 ○安全保障貿易管理に係る国際的な3つの大きなトレンド (1) キャッチ・オール規制の導入 国際合意されたリストに載っている特定の機微な貨物/技術の規制だけではなく、非規制のいかなる汎用品であっても懸念用途に用い られるおそれがある場合には輸出管理当局の許可にかからしめることにより、懸念国やテロリストの調達活動に柔軟かつ機動的に対応。 (2) 取締りの強化 輸出前の輸出許可だけでなく、税関での水際チェック、これに必要な懸念情報の収集、出荷後の事後的な用途確認、違法輸出の取締りなど輸出管理の法執行の部分、いわゆるエンフォースメントが重要であるとの認識の高まり。 (3) 非加盟国への働きかけの強化 レジーム加盟国が、非加盟国に対し、特に大量破壊兵器の分野で、国際水準の輸出管理制度の導入をより強く働きかける方向へ。 Thank you!
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