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事例研究(ミクロ経済政策・問題分析 I) - 規制産業と料金・価格制度 -

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1 事例研究(ミクロ経済政策・問題分析 I) - 規制産業と料金・価格制度 -
(#504 - パネルデータ分析の応用(2)) 2017年 12月 戒能一成

2 0. 本講の目的 (手法面) - 応用データ解析の手法のうち、パネルデータ 分析を実際に利用する際の留意点を理解する (内容面) - 計量経済学・統計学を実戦で応用する際の 留意点を理解する

3 1. パネルデータ分析 [復習] 1-1. パネルデータ分析 (Longitudinal/Panel Data) - パネルデータ分析とは、複数の対象・複数の時 点に関するデータを用いた回帰分析をいう (注 ; 対象x時点 だけでなく、稀に 対象x対象、 対象x対象x時点 などの場合あり) - パネルデータ分析の利点は多数あるが、実務上 下記 3点が非常に重要 ・ 試料数が限られる場合の有効な計測 ← 「自由度」の確保 ・ 膨大な試料からの特定の効果・影響の計測 ・ 複数対象に横断的な効果・影響の計測 3

4 1. パネルデータ分析 [復習] 1-2. パネルデータ分析と異質性 - パネルデータ分析において、対象の選択の際に なるべく異質性の少ない対象を選ぶ必要あり ・ 企業 → 業種, 売上高, 従業員数 ・・・ ・ 家計 → 所得, 世帯員数, 居住地域 ・・・ - 異質性を管理せずにパネルデータ分析をしても 単なる対象別の時系列分析と比べて精度・分解 能などが向上せず利点が活かせない場合あり - また一般の公的統計調査からパネルデータを 作成する場合、「対象・内容の入替わり」に よる暗黙裏の異質性に注意が必要 4

5 1. パネルデータ分析 [復習] 1-3. 時系列分析(ARMAX)の前提とパネルデータ - 系列相関の消滅 No Serial/Auto Correlation → 系列相関が発生しないか消滅していること - 変数の(弱)定常性 Weakly Stationary Variables → 変数は弱定常性条件を満たすこと (変数が単調増加・減少を続けていないこと) - 因果一方向性 No Reverse Causality → 被説明変数(y)から説明変数(xi)への因果性 が存在しないこと ← パネルデータ分析は系列相関対策に有効 (但し完全な対策を保証するものではない) 5

6 1. パネルデータ分析 [復習] 1-4. パネルデータ分析の留意点 [重要] (1) 前提条件の成立に関する問題 - 系列相関の消滅 No Auto Correlation - 変数の(弱)定常性 Weakly Stationarity - 因果一方向性 No Reverse Causality (2) モデル選択に関する問題 - 固定効果・変量効果などモデル選択 (3) パネル化した変数の性質に関する問題 - 対象間の「異質性」 Heterogeneity Control - 対象間の「相関性」 “Moulton” Effect Control 6

7 2. パネルデータ分析の留意点(1) 前提条件 2-1. 系列相関の消滅(1) - パネルデータ分析では、一般に計測において 時間方向の系列相関が発生することは少ないが 念のため系列相関の検定を掛けるべき - 現実の分析において、財サービスの需給(価格・ 数量)の時系列データは高頻度で1期の自己相関 (AR(1))を持っており、対策を採らないと危険 → パネル化した対象の大半が同じ自己相関・移 動平均項を持つとパネルにも系列相関残留 → 先ず通常の時系列分析を行い系列相関を 把握・確認すべき (「ダイナミックパネル分析」) 7

8 2. パネルデータ分析の留意点(1) 前提条件 2-2. 系列相関の消滅(2) - 系列相関が残留した場合には、標準誤差が異常 に小さくなるため、本来棄却すべき帰無仮説が 保留となり、有意でない変数の係数が見掛け上 「有意」になり誤検出を生じてしまう ← Bertland他(2004) 州別女性賃金の「偽薬検査」 米国州別女性賃金(系列相関有)を無作為に2 分して「賃金格差あり」との偽薬検査(Placebo- study)を行うと、系列相関を考慮しない分析手 法では 45%の確率で実在しない「格差」を検出 8

9 2. パネルデータ分析の留意点(1) 前提条件 2-3. 定常性の確認(1) - パネルデータ分析においても定常性検定(Unit Root Test)は必須であり、定常化しない場合に は対数化・1階階差化などの変換処理を行う - 定常化していない変数をパネルにしても「疑似相 関 Spurious regression」の問題は解決しない - 通常先進国での経済変数は1階階差で定常化す ることが多く、2階階差でなお定常化しない場合 は変数の採取期間・対象の異常を確認すべき ← Aschenfelter’s Dip の事例 (特異現象・期間) ← 「階段問題」の事例 (後述) 9

10 2. パネルデータ分析の留意点(1) 前提条件 2-4. 定常性の確認(2) - 「階段問題」 ; 個々の試料は全部定常なのにパ ネルデータでは定常性検定が保留になる現象 典型的な「階段問題」の対策については、試料の 期間・対象を並替えると定常化する場合が多い - 問題の特定・検出の手法として「パネル試料の作 図」が有効 (上のような図を書いてみる) 観察値 対象D (定常) 対象C (定常) 対象B (定常) 対象A (定常) 試料の配列順序 10

11 2. パネルデータ分析の留意点(1) 前提条件 2-5. 因果一方向性の問題 - パネルデータ分析においても因果一方向性の確 認は必須であり、逆方向での因果性がある場合 には基本的なモデル構造を見直すべき ← 逆方向の因果性がある場合、そもそも「パネ ルデータ」で解く意味がない場合が多い (∵ Granger因果性検定ができるのならば、 ほぼ確実にVARで解が得られるはず) - パネルデータ分析は財サービスの需給など「同 時均衡」の問題に対する解決方策ではない 11

12 - 固定効果モデル (Fixed Effect Model; “Within”) 個々の対象に対応したダミー変数を説明変数
3. パネルデータ分析の留意点(2) モデル選択 3-1. パネルデータ分析の種類(1) [復習] - 固定効果モデル (Fixed Effect Model; “Within”) 個々の対象に対応したダミー変数を説明変数      として設け、対象毎の異質性を管理した上で      「対象に横断的な変化」に着目した分析      Y(i,t) = α + X(i,t)*βfx + Σi DMi(1/0) + ε(i,t) - 変量効果モデル (Random Effect Model) 対象に対応したダミー変数を設けず、対象毎      の(潜在的)異質性を確率的現象と仮定        Y(i,t) = α + X(i,t)*βre + ε(i,t)   (要GLS) 12

13 - ビトィーンモデル (“Between” Model) 個々の対象・時間を識別するが、説明変数に 対象の「平均値」を用いた回帰分析を行い、
3. パネルデータ分析の留意点(2) モデル選択 3-2. パネルデータ分析の種類(2) [復習] - ビトィーンモデル (“Between” Model) 個々の対象・時間を識別するが、説明変数に      対象の「平均値」を用いた回帰分析を行い、      対象間の異質性に着目する分析        (← 着目点が固定効果モデル(“Within”)の反対, 使用頻度低)   Y(i,t) = α + Xaverage(i)*βbe + ε(i,t) - プールモデル (Pooled Model) (通常の回帰分析) 個々の対象・時間を識別せず、全てのデータ      が均整に相関し誤差が均一と仮定した分析      Y(i,t) = α + X(i,t) *βpo + ε 13

14 3. パネルデータ分析の留意点(2) モデル選択 3-3. パネルデータ分析の種類(3) [復習] プールデータモデル -全体的変化に着目
(誤差は均一) y ; 被説明変数 対象 i2 (時間変化) ビトウィーンモデル (“Between”) - 対象間の差異に着目 変量効果モデル (“Overall”) -全体的変化に着目 (誤差は対象別) 固定効果モデル (“within”) - 対象毎の変化に着目 固定効果モデル (“within”) - 対象毎の変化に着目 対象 i1 (時間変化) x ; 説明変数 14

15 3. パネルデータ分析の留意点(2) モデル選択 3-4
3. パネルデータ分析の留意点(2) モデル選択 3-4. モデル選択問題(1) - パネルデータ分析のHausman検定などモデル選 択に関する検定において、検定がいずれも保留 であっても固定効果モデルを用いて差支えない (検定が棄却の場合に逆は絶対不可) ← 各対象のダミー変数が入っていても過剰な 変数の係数は0(有意でない)となって自由度を 対象数-1だけ損するのみであるが、必要な ダミー変数が入っていないと「欠落変数偏差: Omitted Variable Bias」を生じ分析としての 安定性・信頼性が下がってしまう 15

16 3. パネルデータ分析の留意点(2) モデル選択 3-5
3. パネルデータ分析の留意点(2) モデル選択 3-5. モデル選択問題(2) - 自由度が厳しい場合など、止むを得ず固定効果 モデルのダミー変数を全対象について使用でき ない場合には、無理に対象の多いパネルデータ に固執せず、適切に対象を集約してダミー変数を 減らしたパネルデータを作ることが有効 (例) 47都道府県 → 10地域 10所得区分 → 5区分 - パネルデータ分析で得られる結果の本質は、各 個別対象についての「加重平均」 16

17 4. パネルデータ分析の留意点(2) 変数の性質 4-1
4. パネルデータ分析の留意点(2) 変数の性質 4-1. 対象間の異質性の問題(1) 内容変化 - パネルデータ分析を公的調査統計などから年・ 年度で組む場合、同一の調査項目であっても調 査「内容」が入替わっており「見えざる異質性」が 生じている場合あり (不安定化要因(1)) (例) 家計調査報告から「交通通信費」の 20年・ 47都道府県のパネルデータを組んだ場合、携 帯電話やハイブリッド車が殆ど普及していな かった時代のデータが入ってしまう - 但しパネルデータの対象期間をあまり短くすると 時系列での安定性が下がってしまう 17

18 4. パネルデータ分析の留意点(2) 変数の性質 4-2
4. パネルデータ分析の留意点(2) 変数の性質 4-2. 対象間の異質性の問題(2) 対象変化 - パネルデータ分析を公的調査統計などから年・ 年度で組む場合、同一の調査項目であっても調 査「対象」が入替わっており「見えざる異質性」が 生じている場合あり (不安定化要因(2)) (例) 通常、公的統計調査では3~5年に1度の割 合で調査対象が見直され入替わっているため、 10年も経過すると調査対象が全部入替わり 反応が完全に異なる世代層の世帯・企業の 挙動を示している場合あり 18

19 4. パネルデータ分析の留意点(2) 変数の性質 4-3
4. パネルデータ分析の留意点(2) 変数の性質 4-3. 対象間の異質性の問題(3) 無理なパネル化 - パネルデータ分析を公的調査統計などの異なる 地域・所得層などから組む場合、全く性質の異な る対象を無理に貼合わせた結果になるだけで 意味がある結果が得られない場合あり (不安定化要因(3)) (実例で別途説明) ← パネルデータ分析は個別対象の時系列分析 と組合わせて比較・対照して用いるべきであり、 決して個別対象の時系列分析の「上位互換 手法」ではない 19

20 4. パネルデータ分析の留意点(2) 変数の性質 4-4
4. パネルデータ分析の留意点(2) 変数の性質 4-4. 対象間の相関性の問題(1) Moulton効果 - パネルデータ分析において、データを構成する対 象の一部に組織関係による系列相関(血縁・友 人関係、取引関係・資本関係などに起因した個 人・企業間の相関)があると誤差が異常に小さく なり「偽の有意性」が出る場合有(Moulton効果) - 同様に対象を何かのパラメータ順・組織順等で 周回的なデータを構築すると(擬似的な)系列相 関が現れ同様の問題を生じる場合あり ← 「階段問題」同様に並替えてみることが有効 - 本質的対策はGLSの利用(= 計量ソフトの利用) 20

21 5-1. パネルデータ分析の「安全な」手順 [重要] 1) 通常の項目別時系列分析の試行
5. パネルデータ分析の「安全な」手順 5-1. パネルデータ分析の「安全な」手順 [重要] 1) 通常の項目別時系列分析の試行 a- 逆方向因果性判定 (ARMAX or VAR)      b- 定常性判定 (定常化処理)      c- ラグ構造把握 (AR(n), MA(m) or VAR)    2) ( 1)を与件とした) パネルデータ分析の試行      (a- 逆方向因果性 – 通常の分析と共通 ) b- パネル定常性判定 ( 1)-b の結果を反映) c- ラグ項の選択・検討 ( 1)-c の結果を反映)      d- 固定効果・変量効果などモデル選択 e- 系列相関消滅の確認 (念のため) 21

22 - 全国での消費量についてARMAXモデル構築 (逆因果性なし, 対数・1階階差, AR(2)-MA(1))
6. パネルデータ分析の実践的応用 6-1. 家計灯油消費量 (家計調, 月次)(1)   - 全国での消費量についてARMAXモデル構築    (逆因果性なし, 対数・1階階差, AR(2)-MA(1)) 価格弾力性 (p= 0.044) * 所得弾力性 (p= 0.535) – - 国内10地域でのパネルデータ分析    (上記データと同じデータ、ダイナミックパネル化) (対数・1階階差, AR(1,2)) 価格弾力性 (p= 0.570) - 所得弾力性 (p= 0.026) ** 22

23 データで分析した場合、全く同じデータを用いて も弾力性の計測結果は全く異なる結果となる - 国内での家計の灯油消費量は、圧倒的に北海
6. パネルデータ分析の実践的応用 6-2. 家計灯油消費量 (家計調, 月次)(2)   - 家計灯油消費量を全国合計と10地域パネル    データで分析した場合、全く同じデータを用いて    も弾力性の計測結果は全く異なる結果となる   - 国内での家計の灯油消費量は、圧倒的に北海    道・東北・北陸地方の 3地方に偏っており、全国    合計値で分析した場合、全国の弾力性では自然    にこれら 3地方を含めた全地方の弾力性が消費    量に応じて加重平均された結果として観察される 23

24 - 家計世帯当エネルギー消費量(2010年度実績) 北海道・東北・北陸とそれ以外の地域では灯油 の世帯当消費量と構成比が全く異なっている
6. パネルデータ分析の実践的応用 6-3. 家計灯油消費量 (家計調, 2010年度合計)(3)   - 家計世帯当エネルギー消費量(2010年度実績)     北海道・東北・北陸とそれ以外の地域では灯油     の世帯当消費量と構成比が全く異なっている 24

25 - 他方10地域のパネルデータ分析においては、 地域別の消費量と無関係に各地域に均一のウェ イトを置いて加重平均が行われた結果が得られ
6. パネルデータ分析の実践的応用 6-4. 家計灯油消費量 (家計調, 月次)(4)   - 他方10地域のパネルデータ分析においては、    地域別の消費量と無関係に各地域に均一のウェ    イトを置いて加重平均が行われた結果が得られ    るため、消費量の少ない地域のデータは実質的    に「拡大」されて弾力性の計測結果に影響する   - 従ってパネルデータ分析において異質性の大き    な試料で「無理なパネル化」のみを行うのは危険       ← 北海道等3地域と他地域を別パネル化すべき    ← 個別地域毎の時系列分析との併用が無難 25


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