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安佐北区介護支援専門員連絡協議会 介護支援専門員部会

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1 安佐北区介護支援専門員連絡協議会 介護支援専門員部会
もしもの時のための 私のこころづもり アドバンス・ケア・プランニング (Advance Care Planning) 平成29年2月22日(水)   安芸市民病院 松浦将浩

2 事例 53歳・女性 今後の治療方針は? ■ 慢性閉塞性肺疾患で在宅酸素療法を受けていた。
事例 53歳・女性 ■ 慢性閉塞性肺疾患で在宅酸素療法を受けていた。 ■ 1か月前、肺炎で呼吸症状が悪化して呼吸不全となり、    緊急入院して、人工呼吸管理を受けた。    抗生剤投与によって改善し退院。 ■ 本人からは「今度同じことがあったら、       もう人工呼吸はしないで欲しい」と言われた。 ■ 夫は「できる限りのことをして欲しい」と言っている。 今後の治療方針は?

3 事例 50歳・男性 ■ 病名:肺がん 肝転移・骨転移 ■ 抗がん剤治療にもかかわらず病状は進行。 患者は病状を全て知った上で、今後のことを良く 話し合って決めたいと考えていた。 ■ 面談で医師から正確な病状の説明が行われた。 患者はそれを現実的に受け止め、今後の希望を 医療者に伝えた。 ■ 希望が叶えられ、一ヶ月後に家族に見守られながら 穏やかな最期を迎えた。

4 事例 83歳・女性 ■ 病名:認知症 老衰 ■ 認知症のため介護施設に入所 5年間療養していた中で徐々に老衰が進行しベッド上生活に移行し、食事も介助が必要になった。 最近食事がむせるようになり誤嚥性肺炎を合併して入院。肺炎は軽快したが胃瘻を増設するか否か主治医から相談を投げかけられる。 ■ 本人は自己決定困難 家族はどうしたものかと判断に迷っている

5 メッセージ ■将来の意思決定能力の低下に備えて 自身や家族が不本意な思いをしないように 自分の価値観や人生観に基づき 今後の治療・療養について 元気なうちから家族や医療者と話し合っておく 「アドバンス・ケア・プランニング」が重要である。

6 もしもの時に備えて自分の医療やケアについて家族や医療者と話し合って、文書に残す手順をアドバンス・ケア・プランニング(ACP)と呼んでいます。
アドバンス・ケア・プランニングとは? もしもの時に備えて自分の医療やケアについて家族や医療者と話し合って、文書に残す手順をアドバンス・ケア・プランニング(ACP)と呼んでいます。 アドバンス・ケア・プランニング ひとりではできない 家族・医療者などとの話し合い あなたの希望を伝えること

7 病気(終末期)の軌跡 がん 心・肺疾患末期 認知症・老衰等 急性増悪を繰り返しながら徐々に機能が低下 最後は比較的急に低下
高い 機能 時間経過 予後の予測にあたっては、疾患ごとの経過の特徴も意識しておくのがよいと思われます。 例えば、同じ半年の予測であっても、今後何を想定して準備をしたらよいかはがん患者と認知症患者では全く異なってくるからです。 死亡 死亡 死亡 低い がん 心・肺疾患末期 認知症・老衰等 比較的長い間機能は維持、最後の2ヶ月くらいで急速に機能が低下 急性増悪を繰り返しながら徐々に機能が低下 最後は比較的急に低下 機能が低下した状態が長く続き、さらにゆっくりと機能が低下 日本緩和医療学会 The PEACE Project M-11 治療・ケアのゴールを話し合う Copy Right ⓒ Japanese Society for Palliative Medicine Lynn J, et al. JAMA 2001

8 なぜアドバンス・ケア・プランニングが必要か
■治癒が不可能な化学療法中のがん患者さんの70~80%は治癒が不可能であることを理解していない                         Weeks JC, NEJM 2012 ■ 終末期においては約70%患者さんで意思決定が不可能                         Silveira MJ, NEJM 2011

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10 こちらはACPの手引きです。 アドバンス・ケア・プランニングの説明や、どの様に進めていくかをステップ1からステップ5に分けて解説しています。 この手引きを元に、 ,

11 ACPにはどんな利点があるのでしょうか?
 あなたが自分の考えを伝えられなくなった場合に備えて、前もって受ける医療に対する希望を、家族や医療者に伝えておくことは重要なことです。  明日がどうなるか誰にもわかりませんし、将来の健康がどうなるかを予測することもできません。しかし、将来自分自身で判断できなくなったとしても、準備をしておけば、受ける医療に対するあなたの希望をみんなに知ってもらうことができます。  ACPは、あなただけでなく、家族やあなたに代わって医療の選択をしなければならない人にも、安心をもたらす手段となる可能性があります。

12 家族や医療者はあなたの希望を知っていますか?
 たとえば次のような将来の場面を想像してみましょう。  あなたはある日突然、自動車事故で重傷を負いました。病院の集中治療室に収容され、意識はありません。 家族や医師はこうした場合の治療方針や今後の対応についてあなたの希望を知っていますか?  また、別の例として、認知症のために自分で意思決定する能力がなくなってきた場合を想像してください。あなたは介護施設で暮らしています。自分で食事を摂ることもできず、自分や家族のことも分からなくなっていて、これから何が起こってもおかしくありません。 家族や医師は、今後の生活や受けるかもしれない医療についてあなたの希望を知っていますか?

13 いつ始めるのが良いのでしょうか? 今から始めましょう。
 今から始めましょう。  あなたの判断能力に影響するような災害に直面したり、重い病気にかかる前に、話し合うことが重要です。あなたが受けるかもしれない医療について、自分がどう考えているかを知ってもらっておくことは、将来あなたの代わりに意思決定しなければならない人にとって、混乱や迷いを起こさなくてすむ可能性があります。

14 私の心づもりを完成させていきます。 この心づもりですが、自分の大切にしたいことや、治療やケアについての希望、もしもの時に、決断をしてくれる人について考える様になっています。 この内容は、希望や思いが変われば、ステップ5にも記載があるように何度でも書き換えれることができます。 また歩みを始めたばかりの取組ですので、まだまだご理解いただけないこともあると思います。 こういった取組をゆっくりと進めていき、今以上にいつまでも住みよい地域づくりに貢献できればという視点からも作られました。 皆さんも是非、ご自身やご家族のために、希望や思いを医療者に伝えて語っていただきたいと思います。 ただ、このアドバンス・ケア・プランニングという言葉がまだ医療者にも十分に浸透していないので、皆さんが主治医の先生とお話しされる際には、「ちょっと先生こういう話をしたいんじゃけど」と声をかけていただくと医療者も心づもりができますので、ご協力をお願いいたします。

15 以下のStep1~5を読んで 「私の心づもり」に記入してみましょう。
    選びましょう Step4.医療に関するあなたの希望や思いについて     伝えましょう Step5.あなたの考えを文書にしましょう

16 Step1.あなたの希望や思いについて考えてみましょう
あなたの生活で大切にしたいことや、あなたの人生の目標・希望や思いについて考えてみましょう。今のあなたの考え方を示しておくことは、将来ご家族などがあなたの気持ちを考えて判断するのに役立つでしょう。 ■あなたの人生の目標・希望や思いは何でしょうか? ■あなたにとって、何が大切か考えてみましょう。

17 Step2.あなたの健康について学び、 考えましょう
かかりつけ医や他の医療者にあなたの健康について相談することも大切です。もし何らかの病気がある場合には、あなたのその病状が将来どうなるか、今後どういう治療ができるのか、それらの治療でどういったことが期待できるのかを知ることができます。 あなたの希望や思いに沿って考えましょう。例えば・・・・ ■私の希望は、治療の結果、どのような状態で療養を続けることになっても 病気と闘って1日でも長く生きることです。 ■私の希望は、自分の望む生活ができる(生活の質を保つ)ことを目指して、 苦痛をとることに焦点を当てた治療をしてもらうことです。 ■私は病気を治す治療は受け入れますが、それによって良くならなかったり、 生活の質が保たれなかったりする場合には、自然な死を迎える方向に切り 替えたいと思います。 ■どのような状況であっても、延命につながるだけの蘇生術や集中治療など の処置は避けたいと思っています。

18 Step3.あなたの代わりに意思決定をして くれる人を選びましょう
予期しない出来事や突然の病気で、自分の希望を伝えることができなくなるかもしれません。認知症などでは、医療やケアについての希望を伝えたり、選択する能力が少しづつなくなることもあるでしょう。あなた自身で意思決定できなくなったときに、あなたに代わって意思を伝えてくれる人(代理人)を選んでおくことが大切です。その代理人は家族でも親しい友人でも構いませんが、信頼して任せることができる人にお願いし、あなたの希望や思いをしっかり伝えておきましょう。 ■複雑で困難な状況でもよく考えて判断できる人を選びま    しょう。 ■必要だと思うあなたの周囲の人に、代理人を紹介しましょ  う。

19 事前指示とは ■患者が自己決定能力を失った際に、自身に行われる医療行為への意向を意識清明な時期に表明しておくこと。 ■ 通常は文書で残されるが、現実には口頭でのやり取り、遺言書など、さまざまな形式で表明される。 ■ 意思表示の手段は、 ◆内容表示(リビングウイル:Living Will) ・自身に行われる医療に対する希望を表明 ◆代理人指名 ・患者が意思決定能力を喪失した際に、自身に代わって 医療に関する意思決定を行う人物を指定しておく

20 事前指示の課題 ■判断能力があっても、将来のあらゆる状況を想定して指示することには限界がある ■ 本人の代わりに医療の決定を行う代理人の負担が大きい ■ 治療の希望について家族と話し合っていない ■ 医療環境が変わる時、書面がどこにあるかわからない ■ いったん作成されると状態の変化が反映されにくくなる ■ 事前指示に従わない医師がいる

21 アドバンス・ケア・プランニング ■将来の意思決定能力の低下に備えて 自身や家族が不本意な思いをしないように 自分の価値観や人生観に基づき 今後の治療・療養について 元気なうちから家族や医療者と話し合っておく 「アドバンス・ケア・プランニング」が重要である。

22 Step4.医療に関するあなたの希望や思いについて伝えましょう

23 Step5.あなたの考えを文書にしましょう  話し合ったことを記録として残しておきます。「私の心づもり」には話し合った人や日時を記入する所があります。自由記載欄に希望や思いを書くのもよいでしょう。  今のあなたの希望や思いは時間とともに変化したり、健康状態により変わってくる可能性があります。その都度「私の心づもり」を見直してみて、変えてもらって構いません。どう気持ちが変わったかも話し合うことが大切です。

24 尊厳死の宣言書(日本尊厳死協会) ■私の傷病が現代の医学では不治の状態であり、すでに死が迫っていると診断された場合には、ただ単に死期を引き延ばすためだけの延命処置はお断りいたします。 ■ ただしこの場合、私の苦痛を和らげるためには、麻薬などの適切な使用により十分な緩和医療を行ってください。 ■ 私が回復不能な遷延性意識障害(持続的植物状態)に陥った時は生命維持装置を取りやめてください。

25 意思決定の枠組み アドバンス・ケア・プランニング 事前指示 代理意思 決定者 の選定 リビング・ウィル
阿部泰之:「コミュニケーションと意思決定支援」あさひかわ緩和ケア講座

26 もしもの時のための意思決定 事前指示 〔リビングウイル・遺書・ エンディングノートなど〕 アドバンス・ケア・プランニング
ひとりで(自由に)できる アドバンス・ケア・プランニング ひとりではできない 家族・医療者などとの話し合い あなたの希望を伝えること

27 勧めるタイミング ―介護支援専門員の場合-
■ 介護保険導入時(生活に困難を伴い始めた時) ケアプランニングの延長線上で投げかけてみる ■ 将来の不安を口にされた時 ■ 身近な人の生活の変化が話題に出た時 ■ 自身の生活に変化が生じた時 ■ 急性増悪を乗り切って帰ってきた時 🔴大切なのは本人の切実感に応じること

28 ACPの目標 ■ 自分の命を見つめる機会をつくる (今の自分の思いを確認する) ■ その思いを家族や関係者と共有する ■ 可能ならば主治医とも共有する ■ 将来的に決定を必要とする場面で活用する ・自己決定 ・代理判断

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