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兵庫県における 農用地土壌汚染対策について
2016年10月14日 兵庫県農政環境部農林水産局 農業改良課環境創造型農業推進班
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「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」の概要
目的 この法律は農用地の土壌の特定有害物質による汚染の防止及び除去並びにその汚染に係る農用地の利用の合理化を図るために必要な措置を講ずることにより、人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、又は農作物等の生育が阻害されることを防止し、もつて国民の健康の保護及び生活環境の保全に資することを目的とする。 仕組 都道府県が常時監視等により汚染が発見された地域を農用地土壌汚染対策地域として指定し、対策計画に基づき、客土等の対策を実施。 対策地域の指定要件は、「人の健康保護」(カドミウム)と「作物の生育阻害の防止」(銅・砒素)の2つの観点で設定。 カドミウムに係る指定要件については、食品衛生法の規格基準(米について0.4ppm)と整合性をとって設定。 対策が完了した地域については、対策地域調査により対策の効果を確認し、地域指定を解除。
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「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」体系図
地方 汚染 原因者 国 公害防止事業費 事業者負担法 対策 費用 公害の防止に関する 国の財政上の特別措置 に関する法律 常時 監視 汚染のおそれのある 地域の実態調査(県) 対策事業 県事業のほか、市町事業で実施することもある 地域指定 (県) 計画策定 (県) 指定解除 (県) 汚染の確認 特定有害物質 農用地土壌汚染 対策地域の指定基準 備 考 カドミウム及びその化合物 玄米中濃度 0.4mg/kg(0.4ppm)超 人の健康保護 銅及びその化合物 土壌中濃度 125mg/kg(125ppm)以上 作物の生育阻害の防止 砒素及びその化合物 15mg/kg(15ppm)以上 知事は自然条件により、10~20ppmで決めることができる。
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兵庫県における農用地土壌汚染対策の経過 農用地土壌汚染の汚染源は休廃止鉱山等からの排水等によるものと、工業廃水によるもの、降下ばいじんによる汚染とがある(兵庫県では鉱山排水と工場排水によるもの)。 兵庫県には中国山地を中心に数多くの休廃止鉱山があり、その数は200とも300とも言われている。 昭和45年に、農林水産省により全国規模の休廃止鉱山等の周辺の一斉点検調査が実施された。また、この調査の一環として水質汚濁特殊調査、障害性物質特別調査等が実施され、カドミウム等有害物質による汚染の状況が判明し始めた。 さらに、農林水産省は昭和46年から51年の5年間農用地土壌汚染防止概況調査(重金属類概況調査)を実施し、兵庫県下では104地点で調査が実施された。 本県はカドミウム汚染等の農用地土壌汚染に関しては全国でも早くから積極的に対策に取り組んでいる。
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兵庫県における現在の状況 昭和47年(1972年)から対策を実施し、平成13年(2001年)5月2日付けでK町の(カドミウム)の地域指定解除により、兵庫県下の農用地土壌汚染対策地域は全て解消した。 過去に地域指定を行い、客土等の対策を実施した地域は5地域である。その他地域指定を行わず対策を実施した地域もある。 なお、生野鉱山周辺地域については、カドミウム等濃度調査(観測調査)として、玄米及び土壌の調査を実施し、湛水管理等のカドミウム吸収抑制営農対策の徹底を指導している。
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リスク管理の考え方 Cd吸収は品目間差、品種間差がある 目標pH6.5~7.0 吸収リスクの少ない品目・品種 × 土壌環境の適正化
品目間差異 高まりやすい品目 高まりにくい品目 品目転換 品目転換が困難な場合 可食部 Cd 濃度の品種間差異 高まりにくい品種 高まりやすい品種 品種転換 品種転換が困難な場合 吸収リスクの少ない品目・品種 × 土壌環境の適正化 (アルカリ資材・堆肥施用) 土壌 pH上昇による Cd 濃度低減率 低減しやすい場合 低減しにくい場合 アルカリ資材 堆肥による 吸収抑制 目標pH6.5~7.0 植物浄化、客土等
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兵庫県における現在の対策 1 カドミウム濃度等調査による経過観察 2 カドミウム吸収抑制営農対策指導
1 カドミウム濃度等調査による経過観察 2 カドミウム吸収抑制営農対策指導 3 食品衛生法に基づく「カドミウム試験」 4 農用地土壌植物浄化推進事業
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1 カドミウム濃度等調査 生野鉱山周辺地域については、明延鉱山も含めて、汚染が広範囲であったことから、対策終了後も汚染状況を監視するため、土壌及び玄米(立毛)のカドミウム濃度の観測調査を行っている。毎年12地点からサンプリング。 カドミウム濃度等調査実施要領に基づき、関係市町の事前了解を得た後、当該市町に意見を求めた上で、県の調査計画を作成する。 調査計画は、県立農林水産技術総合センター所長へ通知し、調査への協力を依頼する。 カドミウム濃度等調査実施要領に基づき、調査結果を公表する(県広報に登載 )
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2 カドミウム吸収抑制営農対策指導 客土工事等の恒久対策が実施されていない地域等を対象に、土壌改良資材(炭酸カルシウムや粘度鉱物のベントナイト)の投入や、水稲における湛水栽培管理の徹底等カドミウム吸収抑制栽培技術の指導を行っている。 農協が作成する栽培暦への指導助言。 県、市町、農協と一体的に地域での栽培指導、ほ場巡回、無線放送での注意喚起。 平成23年2月28日から食品衛生法のカドミウム規格基準が強化されており、関係機関・団体を通じて、農業者へカドミウム吸収抑制対策の徹底を図るとともに、農協を中心とする産地の出荷前自主検査を推進している。
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アルカリ資材(石灰資材) 【水稲】 土壌pHを高めると玄米Cd濃度が低下する →アルカリ資材の効果
土壌Cd濃度(ppm) A:1.0 B:2.6 土壌pHを高めると玄米Cd濃度が低下する →アルカリ資材の効果 土壌濃度1ppm程度であればpH7で湛水管理無しでも玄米カドミウム濃度を抑制できる
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湛水管理 水稲では湛水管理の効果大 中干し Cd対策用湛水管理(出穂前後各3週間) ■間断潅水 基準値を超えることがある ◆湛水管理
土壌Cdが高くても基準値未満 水稲では湛水管理の効果大 *土壌Cd:2.6ppmでの結果
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3 食品衛生法に基づく「カドミウム試験」 食品衛生法に基づき策定された「兵庫県食品衛生監視指導計画」により、流通する米の安全性確保のために、過去にカドミウム汚染があった地域を中心に健康福祉事務所が収去検査を実施する。 検査の結果0.4ppm以上を検出した場合、原因究明等対応が必要となる。 → 関係機関を招集し、対策会議の設置。
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4 農用地土壌植物浄化推進事業 玄米中カドミ0.4ppm以上が検出された地域で実施。
客土工事に比較して低コストで土壌中カドミウム濃度を低減し、一時的ではなく将来に亘って、基準を超過する作物が生産されるリスクの低減を図る。 ① 植物浄化技術の実証 農用地のカドミウム対策の1つとして、カドミウム高吸収植物を用いて土壌カドミウム濃度を低下させる植物浄化(ファイトレメディエーション)が実用化されつつある。そこで、植物浄化の効果を現地ほ場で実証している。 植物浄化1年目、作土のカドミウム濃度(可溶態)が10~26%低減し、一般的に期待される10%を上まわる効果が得られた。 ② カドミウム低吸収性イネ実証ほ 一般的に作付けされているコシヒカリと比較して、カドミウムを吸収しにくい品種を作付けすることにより、リスク低減を図る。 初年度、同じ管理をして比較したがmコシヒカリよりもカドミウム濃度が低いことが実証され、将来的に地域の作付け品種となることが期待される。
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植物浄化法(ファイトレメディエーション)
吸収しやすい土壌条件 低水分 低 pH 植物に吸収させて持ち出す 土壌Cd濃度が低減 長香穀 (高吸収イネ) Cd Cd 課題:年数を要する、収穫物処理
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Cd低吸収品種(水稲) イオンビーム育種(農環研) 土壌Cd:0.35~1.4ppm
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最後に 農業改良課 農産園芸課 連絡会議 普及センター 農技センター 営農現場 生産者 JA・全農 市町
農用地の土壌汚染対策については、客土等のハード対策と合わせて、市町、農協、生産者等の関係機関が協力して、栽培暦の作成やほ場巡回、現地指導等ソフト対策も行うことが重要です。 客土工事は事業費もかかることから植物浄化技術やカドミウムを吸収しない作物等の作付け等の対策も含め、総合的に考えていく必要があります。 農業改良課 農産園芸課 講習会・広報活動 奨励品種施策 連絡会議 普及センター 農技センター 営農現場 生産者 栽培管理指導 対策技術確立 JA・全農 市町 指導・調整 作付計画
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