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第3回 福祉現場における 活動の基本.

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1 第3回 福祉現場における 活動の基本

2 福祉現場における心理職の現状 福祉現場における支援の多くは、介護やリ ハビリテーションなどの直接的な生活支援 が多い
知的障害や認知症を有する者が多い →言語的コミュニケーションが成立しにくい 社会福祉士による相談援助業務 →心理査定は行わないものの、心理的支援と 類似している点が多い 心理的支援に対する意識が希薄だった

3 福祉現場における心理職の現状 地域福祉分野 対象範囲はマクロレベルの大きな集団 対象が抱える心理的課題や支援内容、方 法も多岐にわたる
町内会や学校区 市町村・都道府県 対象が抱える心理的課題や支援内容、方 法も多岐にわたる 心理的援助の対象として想定しにくい

4 心理的援助が必要と想定される範囲 福祉分野において明確に心理職が配置されて いる施設は少ない
将来、想定される業務としては、直接的な心 理支援にとどまらず、 周辺の関係者への助言、情報提供、コンサル テーション、福祉教育などの間接的な心理的 支援が考えられる

5 福祉現場での活動の基本 福祉現場に入る際、 福祉に携わる専門職が、共通して身につけて いる対象者に対する知識・技術・価値の基本 について学ぶ
特に、人と人との信頼関係の築き方 仕事をする中で、心理職のオリジナリティを 発揮し、固有性を確立することが求められる

6 福祉現場における活動の基本 心構え バイスティックの7原則 自己覚知 コミュニケーション 傾聴 アサーション 面接技法

7 バイスティックの7原則 (F.P.Biestek,1957)
クライエントと援助者間の信頼関係 (ラポール)を構築するための倫理と 行動の原則 この信頼関係は「私的な個人間の関 係」とは異なる「専門的な援助関係」 である。

8 “The Casework Relationship” p4
援助関係はソーシャルケースワークの魂 (Soul)である ケースワークにおける援助関係は生命が あり鼓動している。そして、それらがば らばらにされた時、生命は傷つけられる ことになる。

9 “The Casework Relationship” p4
援助関係はまた、余すと ころなくケースワーク過 程を流れる水路(Cannel) である。 この水路を通して個人の 潜在的能力と地域の資源 を結集し、また、面接や 調査、診断と処遇におけ る技術もこの水路を通し て進められる

10 バイスティックの7原則 個別化 意図的な感情表出 統制された情緒的関与 受容 非審判的態度 自己決定 秘密保持

11 バイスティックの7原則 1.個別化 クライエントは「不特定多数の中の 一人」としてではなく、独自性をも つ「特定の一人の人間」として対応 されたというニードを持つ

12 バイスティックの7原則 2.意図的な感情表出 クライエントが自分の感情を、とり わけ否定的感情を自由に表現したい というニードをもっていると、きち んと認識する ・表現される行為やその内容の意味 を大切にすること

13 バイスティックの7原則 3.統制された情緒的関与 ケースワーカーが援助という目的を 意識しながら、クライエントの感情 に、適切な形で反応すること ・ワーカー自身がクライエントの感 情に飲み込まれないように

14 バイスティックの7原則 4.受容 クライエントの健康さと弱さ、また 好感をもてる態度ともてない態度、 肯定的感情と否定的感情、あるいは 建設的な態度および行動と破壊的な 態度および行動などを含め、 ・クライエントを現在のありのまま の姿で感知し、クライエントの全体 に係ること

15 バイスティックの7原則 5.非審判的態度 クライエントに罪があるのかないの か、あるいはクライエントがもって いる問題やニーズに対してクライエ ントにどのくらい責任があるかなど を判断すべきではない。 ・ワーカーはクライエントの行動や 思考に対して補佐的立場であるべき

16 バイスティックの7原則 6.自己決定 クライエントは自分の人生に関する ことは、自ら選択し。決定したいと いうニードを持っている ・クライエントは指示ではなく、支 援を求めている

17 バイスティックの7原則 7.秘密保持 クライエントが専門的援助関係の中 で打ち明ける秘密の情報を、ケース ワーカーがきちんと保全する ・ケースワーカーの倫理的な義務で もあり、サービスの効果を高める上 で不可欠な要素でもある。

18 自己覚知 自分が今、どのような行動をとり、どの ように感じているかを客観的に意識でき ること
普通、人間は他人を見るとき、自分の道 徳的標準や感情によって影響されやすく そのことに気づきにくい Self-awareness メタ認知

19 自己への気づき(self-awareness)
自分自身の性格や信念, 価値観,特性,強み, 弱みを意識することで あり,ものの感じ方, 考え方の特徴を含めて 自分自身のことを知る ためのスキル。 頭の中にもう一人の自 分がいて、自分のこと を監視し、コントロー ルできること

20 認知バイアス 人が物事を判断する場合に おいて、個人の常識や周囲 の環境などの種々の要因に よって非合理的な判断を 行ってしまうこと
我々は、世界(客観的事 実)を、自分の色眼鏡をつ けて解釈している。

21 様々な認知バイアス 内集団バイアス 身内びいき・ネポティズム 確証バイアス 都合の良い事実しか見ない・思い込みの強化 アンカリング
基準にひっぱられる・ 特定情報のみを重視 ハロー効果 目立つ部分しか目に入らない フレーミング 表現によって印象も変わる

22 嫌悪態度が極端になると ステレオタイプ 偏見 差別
ある社会的集団やそのメンバーに対して、個人が抱くことの多い定型的(一般的)かつ審判的な信念・期待などの認知。 偏見 ある特定の集団やその成員(メンバー)に対する、ステレオタイプの認知に基づいたネガティブ(否定的)な感情・評価。 差別 ある特定の集団やその成員(メンバー)に対する、ステレオタイプの認知に基づいた公平さを欠く不当な扱いをすること。

23 自己覚知の重要性 色眼鏡をはずして、見えている現実が見る 者によって歪められてないか?と自問する ことが大切

24 類型論と特性論 類型論 人の性格をいくつかのタイプに分類し て、その人の性格がどのタイプにあて はまるかを考える 特性論
人の性格を「思いやりがある」「純 粋」「努力家」「優しい」などのいく つかの要素をどの程度持っているかの 組み合わせで捉える

25 特性論の診断手順 あまり深く考えず、当てはまる番号 に○をつける 太枠ごとの合計得点を算出 レーダーチャートを入力
外向性:1~6 情緒安定性:7~12 勤勉性:13~18 協調性:19~24 開放性:25~30

26 開放性 好奇心 勤勉性 誠実性 情緒安定性 協調性 外向性

27 定義 側面 開放性 新しい美的、文化的、知的経験に開放的な傾向 好奇心、想像力、審美眼 勤勉性 計画性、責任感、勤勉性の傾向 自己規律、粘り強さ、熟慮 外向性 自分の関心や精力を外部に向けられる傾向 積極的、社交的、明るさ 協調性 利己的ではなく協調的に行動できる傾向 思いやり、やさしさ 情緒 安定性 感情的反応の予測性と整合性の傾向 不安、いらいら、衝動が少ない

28 性格診断の留意点 外向性があまり強すぎて、極端になって くると「無謀」という傾向を持つ
内向性が極端になると「臆病・気後れ」 という傾向になる 5因子は、一方が望ましくて他方が望ま しいというわけではなく、 どちらの極もプラス・マイナスの両面を 持ち合わせている


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