安全を創出する看護師チーム のチームワークに関する研究(計画)

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1 安全を創出する看護師チーム のチームワークに関する研究(計画)
2019/4/4 安全を創出する看護師チーム  のチームワークに関する研究(計画) 九州大学大学院人間環境学府 博士後期課程 三沢 良 2019/4/4

2 本研究の目的 医療現場の看護師チームにおいて、 安全パフォーマンスを促進する “組織”、“チーム”、“個人”の3つのレベル
 “組織”、“チーム”、“個人”の3つのレベル  の要因 が及ぼす影響の検討 ・ 従来は,組織レベルと個人レベルのいずれか  に着目した研究がほとんど. ・ チームレベルの要因が検討されることは少ない. ・チーム研究で精力的に検討されてきた  “チームメンタルモデル”の概念を適用 2019/4/4

3 本研究の枠組み 今回の発表の焦点 安全 パフォーマンス 組織要因 チーム要因 管理方針 報酬システム 機器・設備 研修 インシデント
ワークロード 類似性 チームメンタルモデル 遵守 支援 創出 正確さ 命令的 規範 記述的 2019/4/4

4 安全パフォーマンス Griffin & Neal (2000, 2002) 「産業現場における安全を確保するために、作業員
「産業現場における安全を確保するために、作業員   に求められる行動」 ○ 安全遵守 (Safety Compliance) 安全規則に従う,作業手順を正しく守る, 設備を適切に使用する..など ○ 安全参与 (Safety Participation) 同僚に対する援助、職場改善に関する提案、 安全啓発活動への参加..など 2019/4/4

5 タスクワークとチームワーク チームワーク研究では、 チームの従事する活動は二つに大別される ○ タスクワーク
  チームの従事する活動は二つに大別される ○ タスクワーク  課題,ツール,機械,システムとの相互作用 ○ チームワーク  メンバー同士の対人的な相互作用 (情報交換、活動の相互調整、支援) 2019/4/4

6 チームワークの3つのレベル 古川 (2004) : レベル 1 : 円滑な連携、協力、ホウレンソウ、 情報共有、円満な人間関係
     情報共有、円満な人間関係 レベル2 : 役割を超えた行動、役割外行動、      新規行動 レベル 3 : 創発的なコラボレーション、      知的な相互刺激、情報練り上げ 2019/4/4

7 安全パフォーマンス(本研究) Level 1 : 安全遵守行動 (Safety Compliance Behavior)
安全確保のために定められた作業手順,規則,装置・設備の使用方法を正しく守る行動 Level 2 : 安全支援行動 (Safety Backup Behavior) 同僚への援助や助言の提供および要請を通じて、チームと職場の安全確保に貢献する行動 Level 3 : 安全創出行動 (Safety Create Behavior) 職場や職務遂行方法に関する現状の問題点を改善する提案を行い、安全性をさらに向上させることを目的とする行動 2019/4/4

8 安全パフォーマンス(本研究) “決まりごとを守る” “同僚を助ける(助けてもらう)” “改善を提案する”
Level 1 : 安全遵守行動 (Safety Compliance Behavior) 安全の維持・向上に積極的 “決まりごとを守る” (自分にできること) Level 2 : 安全支援行動 (Safety Backup Behavior) “同僚を助ける(助けてもらう)” (他者にできること) Level 3 : 安全創出行動 (Safety Create Behavior) “改善を提案する” (職場・環境にできること) 2019/4/4

9 パフォーマンス分類の比較 安全遵守 本研究 安全支援 安全創出 安全遵守 安全参与 レベル1 レベル2 レベル3 古川 (2004)
Griffin & Neal (2000, 2002) 伝統的 TW研究 タスクワーク チームワーク レベル1 レベル2 レベル3 古川 (2004) 2019/4/4

10 安全遵守は、なぜ大事? 規則、設備を設けても 作業手順や使用法が守られなければ、 事故防止機能は発揮されないから
 規則、設備を設けても   作業手順や使用法が守られなければ、   事故防止機能は発揮されないから 規則に従わない => 違反、不安全行動 安全規則,安全設備 ・・・ 事故防止の機能 2019/4/4

11 安全支援は、なぜ大事? チーム作業では 一個人の失敗が引き継がれ、事故に つながる可能性があるから
 チーム作業では   一個人の失敗が引き継がれ、事故に   つながる可能性があるから スノーボール・モデル (山内・山内,2000) チーム・エラー (Sasou & Reason,1999) 発見・指摘・訂正の回復過程 メンバーが互いに助け合うことが肝要 2019/4/4

12 安全創出は、なぜ大事? 現在の職場デザインや職務遂行手続きが 必ずしも最善とはかぎらないから 安全=有害事象が起きていない状態
 現在の職場デザインや職務遂行手続きが   必ずしも最善とはかぎらないから 安全=有害事象が起きていない状態        =>最善かどうか判断がつかない インシデントの発生 => 対策が不十分 問題点の発見と改善は継続して実施する必要 2019/4/4

13 チームメンタルモデル =>スムーズなチーム活動 優れたチームワークの発揮
チームのメンバーによって共有された知識の心的表象(e.g., Cannon-Bowers et al., 1993; Klimoski & Mohammed, 1994) 相互調整、チームメイトの行動・要求に関する予測を可能にする いつ、どのような行動が求められるのか、がわかる! =>スムーズなチーム活動   優れたチームワークの発揮 2019/4/4

14 チームメンタルモデル研究の知見 研究者 課題 メンタルモデル 主な結果 Mathieu et al. (2005) F-16
シミュレーション タスク、チーム タスクモデルの類似性が プロセスを促進 Marks et al. (2002) 戦闘ヘリ、戦車 チームの 相互作用 類似性が支援行動、相互 調整を促進 (2000) 戦車 類似性がコミュニケーション を促進 チームモデル、タスクモデル の類似性がプロセスを促進 2019/4/4

15 二つの指標:類似性と正確さ ○メンタルモデルの類似性 メンバー間でメンタルモデルが共有されている程度 操作的には、
 個々人のメンタルモデルが一致している程度 一致していれば、必要な行動の正確な予測が可能 2019/4/4

16 メンタルモデルの類似性 一致している程度 (類似性) チーム メンタルモデル 個人の メンタルモデル チームメンバー 2019/4/4

17 二つの指標:類似性と正確さ ○メンタルモデルの正確さ メンバーの共有する知識の正しさ 操作的には
 専門家のメンタルモデル(エキスパートモデル)と  一致している程度 適切な行動をとるには、知識が正しくなければならない (単に共有されるだけでは“適切”な行動はとれない) 2019/4/4

18 メンタルモデルの正確さ 一致している程度 (正確さ) 専門家 エキスパート モデル チーム メンタルモデル 個人の メンタルモデル
チームメンバー 2019/4/4

19 チームメンタルモデルの測定法 ・Cognitive mapping ・Pathfinder ・ネットワーク分析(UCINET)
・多次元尺度構成法(MDS) タスクワークやチームワークに関する概念・ 構成要素の関連度を測定 概念図やネットワークとして把握 2019/4/4

20 Pathfinderによる測定例(Cooke et al., 2000)
Pilot’s relatedness ratings (1 = related, 5 = unrelated) Route Weather Inst.check Take off Reach alt. Instrument check Reach altitude Navigater’s relatedness ratings (1 = related, 5 = unrelated) Route Weather Inst.check Take off Reach alt. Instrument check Reach altitude 2019/4/4

21 Pathfinderによる測定例(Cooke et al., 2000)
Pilot’s Pathfinder Network Navigater’s Pathfinder Network Route Reach alt. weather Route Instr.check Instr.check weather Take off Take off Reach alt. 2019/4/4 全9本のリンク中,2本が共通 類似性=.22

22 従来のTMM測定法の問題点 ・測定方法に関する合意がない ・測定を実施するコストが高い ・方略的知識が把握できない
(e.g., Kraiger & Wenzel, 1997; Webber et al., 2000) ・測定方法に関する合意がない ・測定を実施するコストが高い (回答に時間がかかる、配布・回収が面倒) ・方略的知識が把握できない 宣言的(declarative): 概念や要素,およびそれらの関係に関する情報 手続き的(procedural): 活動を行うためのステップとその順序に関する情報 方略的(strategic): 目標を達するための行動計画,問題解決の基盤となる              情報 “どのような行動をとることが有効か?” 2019/4/4

23 Webber et al.(2000)の測定手法 シナリオを提示し、そこに描かれた場面でとる行動の
有効性を、リッカート形式尺度上に評定してもらう ・専門家の援助を借り、シナリオを作成 ・各シナリオ場面で,効果的な行動と効果的でない行動の  リストを専門家に作成してもらう ・専門家の援助のもと、行動の数を適切な量に減らす ・“正確さ”の基準を設定するために,専門家に質問紙へ回答  してもらう 2019/4/4

24 Webber et al.(2000)の測定手法 今はバスケットボールリーグの優勝決定戦のハーフタイムです。
あなたのチームは25点負けています。 もしこの試合に勝てば、あなたのチームが優勝です。 もし負ければ、相手チームが優勝します。 この状況でとることが可能な行動として、以下のものがあります。 各行動について、チームが成功する上での有効性を答えてください。 全ての行動について回答をお願いします。 -3=非常に成功の妨げになる、0=成功の助けにも妨げにもならない、 +3=成功にとって非常に重要である 1.あきらめる 2.基本に忠実になる 3.挑発する 4.審判へクレーム 5.相手チームのミスを祈る 6.時計を止めるためにファウル 7.プレスを強くする 8.より攻撃的なプレイ 9.集中力を高める 10.何も変えない 11.3ポイントシュートを狙う 12.控え選手を入れる 2019/4/4

25 Webber et al.(2000)の測定手法 ○ メンタルモデルの類似性 ・チームごとに回答の一致度を算出
r wg (within-group agreement) (James et al., 1984,1993) 1項目 複数項目 一様分布のもとで期待される分散 Aは尺度の選択肢数 2019/4/4

26 Webber et al.(2000)の測定手法 ○ メンタルモデルの正確さ ・メンバーの回答と専門家の回答平均値の差(絶対値)を算出
・行動別に算出した上記の得点の平均値を算出 =>個々人の“正確さ”得点 ・チームごとに個々人の“正確さ”得点を平均 =>チームとしての“正確さ”得点 2019/4/4

27 医療現場で検討を進めるにあたって ○ 安全パフォーマンスとそれが行われる場面の特定 ・安全遵守行動
与薬や処置手順の遵守、ダブルチェックの規則遵守、 感染予防のための手洗い...など ・安全支援行動 仕事を多く抱えた同僚への支援、間違いを起こしている 同僚へのフィードバック...など =>観察、インタビュー、インシデント事例などから特定 ※安全遵守に関しては、場面想定法は難しいか?? 2019/4/4

28 医療現場で検討を進めるにあたって ○ 安全パフォーマンスとそれが行われる場面の特定 ・安全創出行動
カンファレンス? =>業務改善,見直しの機会になりうるのか インシデント発生後の病棟内での意見交換、対応 日常場面での改善提案 =>リスクマネジメントを徹底している病院での    インタビュー? 2019/4/4

29 医療現場で検討を進めるにあたって ○ エキスパートモデルの設定 “正確な”メンタルモデルを持つ対象の選定 <モデル病院の看護師>
・リスクマネジメントを徹底している ・収集したインシデントを活用している ・事故防止研修を積極的に実施している =>場面設定、行動リスト選定への援助を依頼 2019/4/4


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