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行動分析実習 第7回: 行動的QOL:行動の選択肢の拡大を軸とする作業目標
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QOL(Quality of Life)とは何か?
ADL vs. QOL 対人援助場面での、一般的目標として何を優先的に扱うか?
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ノーマリゼーション、QOL、 行動的観点からの見直し
行動分析学からのアプローチもあり 2.環境的QOL:“規範的”な意味でのノーマル な設定を含んだ物理的・社会的環境設定による 3.行動的QOL:正の強化で維持される行動の 選択肢の数による →本人の選択(評価) 望月(2001)「行動的QOL」、行動医学研究、6, 1, 8-17.
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重度の障害のある個人のHappinessの指標
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最も高い(あるいは低い)Preferenceを示した刺激を呈示した場合:
Happiness and Unhappiness の行動的反応がどう現れるか? 2つのパターンあり
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客観的指標として通用する?
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Happinessはコントロールできるのか?
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好きなものが示された場合にはHappyな反応
嫌いなものが示された場合にはUnhappyな反応 ・表情などを見ていればhappyであると 言える(?) ・表情なども独立にshapingできる →主観的な指標にのみ頼っていてはダメ
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2.環境的QOL 生活環境が、一定の社会水準に匹敵するものがある? ・個室がありますか? ・壁紙は新しいですか? ・個人で使える電話はありますか? 一定水準は確保されるが、個人の問題が 消えてしまう →主観的QOLに逆戻り?
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3.行動的QOL ・各個人が、正の強化で維持される行動の選択肢がどれほどあるか。 これは、 「個人の行動」(環境との相互作用)を 生活(人生=Life)の基本ユニットとして 捉える。( get vs given)
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行動的QOLの考え方の特徴とメリット 1)本人の評価(選択)であり環境的要素も同時に併せ持つ 2)障害の軽重にかかわらず達成が可能である 3)どのような環境設定の中からでもその改善を計ることができる 4)定量化できる(選択肢の数の変化) 問題点:「選択」のみが目的化される恐れもある ★「選択肢拡大」について外部的チェック必要
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ある居住施設で提供された選択肢 望月・渡部・野崎・小野・織田(1998)から
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行動的QOLの3つの段階(ステップ) (施設の食制度を例に)
1st Stage:正の強化で維持されるが選択できない 「うちの施設では食材に『秀』ランクを使用」 2nd Stage: 提供された選択肢の中から選択 「選択メニューから選択できる」 3rd Stage: 既存の選択肢から外れた要求ができる 「何か別の(甘い)ものが食べたい」 (Something new /sweet) 既存選択肢の否定:新しい強化子の探索 POP!
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Journal of Applied Behavior Analysis, 23, 183-195.
オリジナルの実験 Parsons,M. B., & Reid, D. H., (1990) Assessing food preferences among persons with profound mental retardation. Journal of Applied Behavior Analysis, 23, 米国の施設における選択実験(先に紹介したもの)
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選択反応に分化あり: 「好み」を表明した。
(第6回で紹介)
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の実験を、日本の施設で追試してみると・・
Parsons & Reid (1990) の実験を、日本の施設で追試してみると・・ 望月・野崎(2001) 重複障害のある施設利用者(成人)の選択結果
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同年齢の職員 の場合 軽い知的障害のある施設利用者の結果
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なぜ交替反応が出てしまうか? 「本当に好きな方をとってもいいの?」 ●指示的な社会的関係から? 選択行動を「復活」させる設定は?
その援助設定:「自己決定」の援助設定 1)「否定選択肢つきメニュー」 2)お金
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実験設定1:否定選択肢つきメニュー Choice option 1 Choice option 2 Rejection
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否定選択肢つきメニュー 否定選択肢つきメニューを長期間使用したら、 人間関係が変化する?(自由に選択できる?)
否定選択肢つきメニューを長期間使用したら、 人間関係が変化する?(自由に選択できる?) → NO (同じ選択状況であればやはり交替反応が出てしまった) ●否定選択肢のメニューがある場合には、様々な選択反応が保障される。 → 「それがある時には」自己決定が可能になる
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実験設定2:消費(交換)設定 自分で得た金銭を選択場面で物品との 交換に使用する
自分で得た金銭を選択場面で物品との 交換に使用する 消費経験(6ヶ月)の経験: 「学習訓練」の場で、お金を稼ぐ。 そのお金で売店や自販で買い物をする。
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お金を稼ぐ お金の使用を6ヶ月経験した後で、選択場面に戻る
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濃いメッシュ: お金を使う 選択あり
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1)「自己決定」(自由に選択する)の困難さは、障害の軽重とは関係なく、社会的関係や選択設定の方法で生じる可能性がある
2)「否定選択肢メニュー」あるいは 「お金」という設定: ある「社会的関係」が既にあっても、 “それがある場合には「自由に」選べる” (他者とは関係なく「自由」に要求できる)という設定を見つけられる場合がある
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“それがある場合には「自由に」選べる” (他者との関係ではなく「自由」に要求/交換できる) という設定 →「公正交換指標」(Fair Exchanger Marker) (注意:ここだけの造語です。社会的にauthorizeされたものではない) →その設定と効果を確認することで、当該個人の「権利」を具体的に把握できる。 行動的QOLの測定に対応:選択肢の否定を伴う 選択行動が「それがある場合」には可能となる
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フランス人権宣言 世界人権宣言 「人は、自由かつ権利において平等なものとして出生し、かつ生存する」
「すべての人間は、生まれながら自由で、尊厳と権利について平等である」 ルール(契約)による人権の保障 (トップダウンの権利要求)
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●理念や思想として,自己決定(自由)を 問題にするのではなく,
●人間関係の問題として,これを操作するのでもなく(トータルな人間関係を作る という意味ではなく) ●その時々で、「自己決定」(=他者の存在や指示ではなく,選択肢の内容そのものから選択する)という「行動」を生み出す具体的な設定を環境に布置していく
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「社会形成フィクション」 「人間」であること:
・・・譲渡や交換が、ようするに交易が可能であれば、われわれは火星人でも「人間」であると定義して、少しも不都合だと思わないだろう(笠井潔、1995, p.101) 交易(交換)という具体的な関係が、相互に「人間であること(人権)」を保証する 具体的社会的行動から人権が発生(権利のボトムアップ)
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消費者モデル(consumer model)
昔から言われていることですが・・・ 消費者モデル(consumer model) 人権があるから消費者としての権利がある ではなくて・・・・ 消費あるいは交換(否定も可能な選択)という具体的な行動を通じた対等な人間関係の創出
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「社会的援助関係」 のひとつとして 福祉や教育の文脈ではない個別の行動成立について別個の援助者が存在する
「社会的援助関係」 のひとつとして 福祉や教育の文脈ではない個別の行動成立について別個の援助者が存在する 具体的行動随伴性からの「権利」の発生 ●施設において選択メニューをスタートさせたのは? 心理職、福祉職? (野崎・望月,1993) ●スーパーマーケットで、補助具を使った(時間のかかる) 支払いを援助してくれたのは?(赤根,1995) ●バス通学を支援してくれた人は?
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自己決定を基本とした「人権」を保証していくことをノーマリゼーションの実現と考え、それを「今」、実現するためには・・・・
教育・福祉・心理という文脈から つまり、Human Serviceというより より単純な、Service という文脈や 方法を追求すべき?
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援助の基本的スタンス 被援助者を、「神様」でも「子ども」でもなく、特定のサービスの消費と提供という限定された関係の中で過不足なく援助していくにはどのような設定が必要か? →ビッグ・イシュー ? →FSJG ? →ベテルの家 ?
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参考文献 今回の授業の望月らによる研究は、
●望月昭・野崎和子(2001) 障害と言語行動:徹底的行動主義と福祉.浅野・山本(編)「ことばと行動」、第10章, 簡便版は ●望月昭・野崎和子( ) 「講座コミュニケーション指導・再考」(10回連載 月刊実践障害児教育, 以上の後半
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