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Published byせぴあ しもかさ Modified 約 5 年前
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記録に基づく支援の評価 【演習】 2日目 12:45 皆さんこんにちは。このコマを担当させていただきます(所属)の(名前)です。
よろしくお願いします。 この演習は「記録に基づく支援の評価」ということで、危機対応と虐待防止との関連も含めながら、学んでいきたいと思います。
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この時間の目的 本人に合った生活環境を模索している過程で、職員や他の利用者を叩くなどのトラブルが発生してしまうことは少なくありません。この時間はそうした事態を想定して、記録を取り、それに基づいて支援の方法を再検討するプロセスを学びます。 【ポイント】 アセスメントや再検討した支援計画が「正しい」かどう かを問題にする時間ではありません。 「どのようなプロセスで記録の方法を考えればいいの か」というプロセスを理解しましょう。 みなさんの中にも、本人に合った支援を模索している中で、さまざまな経験、感情をいだくことがあるかと思います。ましてや人材不足が深刻な福祉業界です。余裕のある現場はどこにあるのか・・といった状況ではないでしょうか。こういった環境下においては、本来はあってはならないことですが、利用者を叩いてしまった・・・というようなトラブルが起こることも十分に想定されます。 この時間は、そうした事態を仮定して、記録を取り、記録に基づいて支援の方法を再検討するプロセスを学んでいきたいと思います。 この時間のポイントです。 アセスメントや再検討した支援計画が「正しい」かどうかを問題にする時間ではありません。 「どのようなプロセスで記録の方法を考えればいいのか」というプロセスを理解しましょう。 危機対応の方法と考え方について、虐待防止の観点から整理しましょう。
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演習の流れ 演習①:何を記録するのかを個人・グループで検討し、決めるまでのプロセスとポイントを学びます。
14:10 記録の原則と方法 20分 〔グループ〕 演習① 30分 演習② 60分 危機介入と 虐待防止 10分 演習①:何を記録するのかを個人・グループで検討し、決めるまでのプロセスとポイントを学びます。 演習②:記録する内容を絞り込み、具体的な記録フォームの 作成・記録方法の検討を行います。 ここで、この時間の流れをお伝えしておきたいと思います。 このコマでは演習を2つ行います。 始めに、記録の原則と方法について20分お話をします。その後、演習①を30分、「何を記録するのかを個人・グループで検討し、決めるまでのプロセスとポイントを学びます。」 演習①のあと、演習②で、「記録する内容を絞り込み、具体的な記録フォームの作成・記録方法の検討を行います。」 演習①②それぞれの終わりに、グループでまとめたことを発表していただきます。 また、このコマの演習の役割分担は、司会は4番の方 記録は6番の方 発表者は1番の方にお願いする予定です。 発表は2つか3つのグループにお願いする予定ですが、積極的な参加を求めたいので・・・・・・急遽、役割を追加してみました。5番の人、手をあげてください。私が「それではどこか発表していただけるグループはありますか?」とうかがったら、ピンと手をあげていただければと思います。大丈夫です。目の前にいる1番の人はあなたのことをジッとにらんだりはしません。きらきらしたまなざしでみているはずです。 ご協力お願いいたします。 最後に10分間、「危機介入と虐待防止」についてお話しし、終了となります。 それとこのコマは2時間の長丁場となっております。どこにも「休憩」という文字がありません。が、演習と演習の間に10分程度の休憩を取りたいと考えていますのでご安心いただければと思います。
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突然訪れる危機的な状況 支援会議で話し合った内容をもとに、来所時や班別活動時の手順を見直すことで、のぞむさんの生活は少し落ち着いたかに見えました。 しかし、2週間ほど経ったある日の午後の自立課題の時間に事件は起きまし た。休憩時間から自立課題にうまく切り替えることができず、のぞむさんは 廊下を唸り声を出しながら行ったり来たりしていました。そして、そこにた またま通りかかった他の利用者に、大声を上げて突然掴みかかりに行ったの です。 危険を感じた職員が間に割って入りましたが、のぞむさんに強く突き飛ばさ れてしまい、さらに騒ぎは大きくなってしまいました。別の部屋にいた職員 が駆けつけ、2人がかりで抑えて静養室に移動させたことで何とかその場は 収まりましたが、移動の間に興奮するのぞむさんともみ合ったため、抑えた 職員ものぞむさんも何ヶ所か、打ち身と裂傷を負ってしまいました。 のぞむさんは静養室でもなかなか落ち着かず、部屋にあったものを強く投げ つけたり引っ張ったため、部屋のいすや、設置してあったスケジュール表な どが完全に壊れてしまいました。 さて、今回のこの記録の演習については、この研修で何度も登場している「のぞむ」さんの事例を使い、突然訪れる危機的な状況を繰り返さないために、どういう記録を取ればよいか、ということを考えてみたいと思います。 危機的な状況は、生活介護事業所で日中活動を行っている時におとずれました。 その詳細はこのスライドの水色部分に記されているので、これから読んで、確認しておきたいと思うのですが・・・・・そうですね、せっかくなので、演習の発表の前に練習をしてみましょう。 ①番の方よろしいですか。「それではどこか読んでいただけるグループはありますか?」 はい。ありがとうございます。それでは一番早かった●グループにお願いしたいと思います。 4つの段落に分かれているので、上から順に、1番、2番、3番、4番の順で読み進めていっていただければと思います。 それではよろしくお願いいたします。 (読んでもらう) はい。ありがとうございました。
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記録と評価|なぜ記録が必要なのか 変化を把握する 強度行動障害のある人の状態はさまざまな環境の影響を 受けて変化する。
場面による行動の違い、週・月・年単位での行動の変化 がある。 ⇒客観的な記録があることによって、職場内や他職種 との共通理解が図りやすくなる。 原因を考える 必ずしも支援の計画を立てる段階で、背景にある原因を 考えるのに十分な情報があるとは限らない。 ⇒支援計画を立てて実施した後も、情報を収集して、 それを元に支援を再検討する必要がある。 大声をあげて、つかみかかったり、スケジュールを壊してしまったということでしたが、このような状況が起きないようにするためには、「どういった支援をしたらよいのか」 考える必要があります。 「どういった支援をしたらよいのか」ということを考える上では、情報、すなわち記録が必要になります。 ここで、なぜ、「記録」が必要になるのか、ということを整理しておきたいと思います。 「記録」が必要な理由は2つあります。一つは「変化を把握する」ため。もう一つは「原因を考える」ため。です。 まず1つめ 「変化を把握するため」に記録が必要 ということですが、これは、 ・強度行動障害のある人の状態はそれぞれにさまざまな環境の影響を受けて変化するため、どんな環境の変化が強度行動障害のある人に影響を及ぼしているのか ということを分析するためのデータや情報が必要になるからです。 そして、データや情報を元に、場面による行動の違いを見ていきます。週単位なのか・月単位なのか・それとも年単位での変化なのか。 こうした客観的な記録は、事実に基づいたものなので、職場内や他職種との共通理解が図りやすくなります。 もう一つ、記録を取る大切な理由として原因を考えるため というのがあります。 必ずしも支援の計画を立てる段階で、背景にある原因を考えるのに十分な情報があるとは限らないわけです。 もし不十分な情報で考えられた支援計画だとしたら、当然ミス、謝りというのが発生し、行動障害のある方であれば、あってないよ!ということを、自傷であったり、大声であったり、他害であったり といった方法で私たちに伝えてくる可能性が十分に考えられます。 これは、本人にとってとても辛いことです。 ですから、支援計画を立てて実施した後も継続して情報を収集し、それを元に支援を再検討することが大切となります。 ただ、「記録」といっても、様式や方法はさまざまです。そこで、変化を把握するためには また、 原因を考えるためには どういった記録をとればよいか考えてみたいと思います。
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記録と評価|変化を把握する 変化を把握するための記録 期間を決めて変化をまとめる 1. 問題となっている行動に着目する
1. 問題となっている行動に着目する 例)頻度、強度、持続時間 2. 記録する時間帯や場面等を決める 例)1日を通して、時間の区切りごとに、場面ごとに 3. 継続できるように工夫する 例)既にあるものを活用する、置く場所、期限を設ける 期間を決めて変化をまとめる ひとめでわかるように整理する 例)折れ線グラフ、一覧表 まず、「変化を把握する」ために必要な記録です。 1つめは、 問題となっている行動に着目し、記録をとるということです。 先ほど読み上げていただいたのぞむさんの「突然訪れる危機的な状況」では、のぞむさんが突然他の利用者に、大声を上げて突然掴みかかったという行動が確認されました。 こうした行動の改善を図るにはどういった情報が必要になるのか、その行動の「頻度」なのか「強度」なのか、あるいは「持続時間」なのかといったものを検討し、記録する必要があります。 2つめは、 記録する時間帯や場面等を決め記録するということです 1日を通してなのか、時間の区切りごとになのか、場面ごとなのか といったことを検討し、記録する必要があります。 3つめは、 継続できるように工夫しながら記録をとるということです 既にあるものを活用するのか、置く場所はどこにあると記録しやすいか、記入漏れがないか、そして期限を設ける記録なのか、ずっと取り続ける記録なのかということを検討し、記録する必要があります。 そして、取った記録を有効的に活用するためには、期間を決めて変化をまとめることが大切となります。記録を取っておしまいにしまっては宝の持ち腐れです。まとめて振り返ることで初めて生かされてくるものです。 まとめる際のポイントは、 誰が見ても一目でわかるように整理するということです。もちろん、改めてまとめなおす必要が無い形での記録様式をつくることも、多忙な業務の効率化を図る上では大切になります。 記録様式やまとめ方の具体例については後ほど紹介したいと思います。
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記録と評価|原因を考える 関連しそうな情報を集める できているとき・できていないときの環境を詳しく見る 障害特性やスキルをもう一度調べる
障害特性やスキルをもう一度調べる 例)苦手なこと、得意なこと、できること、できないこと 生活全体の状況を確認する 例)家庭・家庭の状況、生活のパターン 生理・医学的な情報を収集する 例)睡眠、病気、服薬、周期的な変化 できているとき・できていないときの環境を詳しく見る 問題が生じた前後の状況を整理する 例)機能的アセスメント(機能分析、ABC分析) 次に、「原因を考える」ための記録です。 原因を考えるためには、その起きている事柄に関連しそうな情報を集める、また確認することが大切となります。 障害特性やスキル、例えば苦手なことはなんだったかな? 得意なことはなんだったかな? といったことや生活全体の状況、例えば、家族関係や生活のパターン、そして生理・医学的な情報、例えば、睡眠や服薬状況などを確認した上で、できているときと、できていないときの環境を詳しくみる、そのためには、問題となる行動が生じた前後の状況も含め、整理することが大切となります。また、問題が起きなかったときと、何が、どのように違うのか ということを考える機能的アセスメントを取る方法もあります。 以前、自閉症の息子さんをもつ、野沢和弘さんの講演を聞きに行った時に、こんなエピソードを話されていました。 週末に家族サービスを!と思い、みんなが大好きなバイキングに連れて行くよ と張り切って出発したところ、その休日は出勤しなければいけない日だったことを忘れていて、途中で奥さんに運転を変わり、自分は会社へ・・・もちろん、奥さんと次男はご立腹で目も合わせてくれなかったそうですが、長男の自閉症の息子さんだけにこにこしながら手を振って見送ってくれたそうです。 でもこれは長男がその状況に気づいてないだけで、30分後、1時間後に気づいたり、場合によっては数日後に突然、思い出して怒り出すんだそうです。 でも息子さんが怒っているときには、こちらはなんで急に怒り出したのかな?と本人の行動を理解してあげられず、「なんだよ急に怒り出して」と愚痴をこぼしている自分がいて・・・と。 本人にとっては、父親に傷つけられたから抗議しているのに、わがままだと思われたり自閉症のせいにされたりするんだから、かなり理不尽だと思います。 この話を聞きながら、本人の怒りの原因を考える上では、問題となる行動が起きた前後だけでなく、自分の勤務していない日の様子、通所事業所であれば家庭での様子なども含め、情報を集めることが大事なんだなぁと思いました。
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さんの行動記録 記録様式の例 チェックする行動・・・他の利用者に掴みかかる ・起きた時刻: ・落ち着くまでにかかった時間: ・前兆(低い唸り声、体を前後に揺する等): ◯:◯◯ 日 曜日 1 月 2 火 3 水 9 10 11 12 13 14 15 16 9:40 12:10 14:30 10:30 14:40 ここからは、具体的な記録様式と記録をまとめる時の一例を、5つほど紹介したいと思います。お手元の資料の並び順とは異なる順番で紹介するので、スライドの方をみていただければと思います。 まずは、記録様式の例として、「他の利用者につかみかかる行為がある方」の行動記録の例です。 この様式は一つの行動に注目し、その前後の様子を含め記録するものとなっています。 前兆行動、例えば低いうなり声を出していたとか、体を前後にゆすっていたなんていう行動があった時には波線、つかみかかってしまった時はその時刻を記入し、その後、落ち着くまでにかかった時間を実線で記入します。 1日(ついたち)を見てみると、9時に少々低いうなり声のような声を出していて、その後9:40分に掴みかかる。掴み掛かった後、落ち着ついたのは10:15頃。ということがわかります。 全体を見てみると、 ■一日と三日は2回掴み掛かっている。 ■掴み掛かった後、落ち着くまでには1時間から2時間かかっている。 ■掴み掛かる前には高い割合で前兆行動が見られる ということが分かります。つまり、この記録様式は、一つの行動の「頻度」と「強さ」を見ることのできる記録となっています。
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さんの行動記録 記録様式の例 ●◯ 他の利用者に掴みかかる・・・● 危険を感じた・未然に防いだ・・・◯ その他の攻撃等・・・× 活動
さんの行動記録 記録様式の例 他の利用者に掴みかかる・・・● 危険を感じた・未然に防いだ・・・◯ その他の攻撃等・・・× 活動 10/13(月) 10/14(火) 10/15(水) 10/16(木) 来所・準備 ● ◯ × 班別活動① お茶休憩 ●●× ◯◯ 班別活動② ×× 昼食・昼休み ●◯ ●◯ 散歩 自立課題 帰り ◯× 先ほどの記録は、掴み掛かったのは何時ですよ~というのが分かるように記されていましたが、こちらは、つかみかかった時、危険を感じた時、きどこにいたのか、何をしていた場面だったのかということがわかるよう、記録したものになります。 ・他の利用者に掴みかかりがあったら● ・危険を感じた・未然に防いだが◯、その他の攻撃、例えば物を投げたとか、壊した場合を×とし、まとめています。 この表からは、場面別に、どれくらいの頻度で気になる行動があったのか ということを知ることが出来ます。
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さんの行動記録 記録のまとめ方の例 例 他の利用者を掴みかかった回数 10月 11月 これもまた、記録のまとめ方の例になります。
さんの行動記録 他の利用者を掴みかかった回数 10月 11月 これもまた、記録のまとめ方の例になります。 こちらは掴みかかった回数をグラフにしたものです。 このグラフからは、月末は少ない傾向にあるね・・・など、回数の移り変わりを知ることができます。
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さんの生活記録 記録様式の例 例 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 ぐっすり寝た うとうとしていた
さんの生活記録 ぐっすり寝た うとうとしていた 寝てはいないが横になっていた 日 曜日 1 土 2 3 月 4 火 5 水 6 木 7 金 8 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 通所 通所 通所 こちらは、睡眠記録の一例です。 日中、眠たそうにしているんだけど、夜間眠れているのかな?といったことを知るときに活用できます。 私が配属になった寮では、夜間の眠りが安定せず睡眠薬が処方されている利用者さんを対象につけることがありました。 ぐっすり寝た時間帯 を 黒塗り うとうとしていた時間帯 を 斜線 寝てはいないが横になっていた時間帯 を 両矢印線 で示しています。 この記録を見ると、夜中に目が覚めてしまった日や 陽が昇る前に目が覚めてしまった日は日中うとうとしているな・・・といったように、睡眠と日中の様子の関係を検討することができます。 通所
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月 日の 高崎のぞむ さんの行動記録 記録様式の例 例 起きた場面・状況 起きた行動 行動の後に起きたこと ※関連しそうなその他の情報
月 日の 高崎のぞむ さんの行動記録 起きた場面・状況 起きた行動 行動の後に起きたこと 9:50頃、活動に向かう途中 ◯◯さんが大声を出しながら廊下を行ったり来たりしていた 気にする高崎さんに職員(××)が制止して作業室に促した ◯◯さんを気にして近づこうとした 職員にされると興奮が高まり壁を蹴った 職員(××)の誘導で作業室に移動し、作業に取り組むことができた 作業をしているうちに興奮は治まった 13:00過ぎ、散歩前のトイレ 入れ違いに◯◯さんがトイレから出てきた 突然、◯◯さんに頭突きをした 職員(△△と××)が制止 静養室に誘導され、落ち着くまで一人で過ごした(約30分) ※関連しそうなその他の情報 ・前日の夜は寝付きが悪く、睡眠時間が4時間程度。 ・最近、睡眠が乱れているとの母からの情報あり。 最後の様式例です。 これは、行動の原因を考えるための記録です。気になる行動が生じた場合に記入します。 左から、起きた場面や状況、起きた行動、行動の後に起きたことを詳細に記録します。 また、下の方には、関連しそうなその他の情報を書く欄を設け、職員が気になっている事柄を記録できるようになっています。 以上5つの記録の様式例やまとめ方の例を紹介してきましたが、ここで紹介した記録はほんの一例です。目的、用途によって事業所ごとによりよいものを作成し、活用していただければと思います。
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演習①|必要な情報を考える 「司会」は④、「記録」は⑥、「発表者」は①、の人が役 割を担当します。
エピソード「突然訪れる危機的な状況」を読み、今後の支 援を考えるために、どのような情報を集めればよいか考え ましょう。 【演習の流れ】 個人で 考える 5分 グループで考える 10分 発表 演習の説明 まとめ それではここから演習になります。 まずは演習1です。 ここでは、どんな情報を記録したらいいのか といった 「必要な情報を考える」演習を行いたいと思います。 まずは役割分担の確認です。 司会は4番の方 記録は6番の方 発表者は1番の方、そして発表の意思表明を5番の方にお願いしたいと思います。 この役割は、演習②も同様でお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。 もう一度、「突然訪れる危機的な状況」をみんなで確認し、今後、同じようなことを繰り返さないためには、どのような情報を集め検討すればよいか ということを考えていただきます。 演習①の流れを確認します。 今、行っている演習の説明が終わった後、まずは5分間、個人で「どんな情報を集めたらいいかなぁ」ということを考えもらいます。「集めたい情報」を考えるにあたっては、のぞむさんがこういう行動に至った理由・背景には「こういうことが関係していたんじゃないかなぁ」という仮説をイメージしながら行ってみてください。 その後、10分間で、今度はグループで意見を出し合い、グループとしての意見をまとめていただきます。 その後、発表となります。
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演習①|突然訪れる危機的な状況 支援会議で話し合った内容をもとに、来所時や班別活動時の手順を見直すことで、のぞむさんの生活は少し落ち着いたかに見えました。 しかし、2週間ほど経ったある日の午後の自立課題の時間に事件は起きまし た。休憩時間から自立課題にうまく切り替えることができず、のぞむさんは 廊下を唸り声を出しながら行ったり来たりしていました。そして、そこにた またま通りかかった他の利用者に、大声を上げて突然掴みかかりに行ったの です。 危険を感じた職員が間に割って入りましたが、のぞむさんに強く突き飛ばさ れてしまい、さらに騒ぎは大きくなってしまいました。別の部屋にいた職員 が駆けつけ、2人がかりで抑えて静養室に移動させたことで何とかその場は 収まりましたが、移動の間に興奮するのぞむさんともみ合ったため、抑えた 職員ものぞむさんも何ヶ所か、打ち身と裂傷を負ってしまいました。 のぞむさんは静養室でもなかなか落ち着かず、部屋にあったものを強く投げ つけたり引っ張ったため、部屋のいすや、設置してあったスケジュール表な どが完全に壊れてしまいました。 それでは「突然訪れる危機的な状況」をもう一度確認したいと思います。 もう一回、演習の発表の前に練習をしてみましょう。5番の方よろしいですか。「それではどこか読んでいただけるグループはありますか?」 それでは●グループよろしくお願いします。 4つの段落に分かれているので、上から順に、1番、2番、3番、4番の順で読み進めていっていただければと思います。 それではよろしくお願いいたします。 (読んでもらう) はい。ありがとうございました。
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演習①|必要な情報を考える 【各自】 「それではどこか発表していただけるグループはありますか?」 ありがとうございました。
こうした状況がこれからも生じると想定したときに、今後 の支援を考えるうえで、どのような情報を「欲しい」と思 いますか。できるだけたくさんワークシート(WS-5)に書 いてみましょう。 【グループ】 1)個人で考えた「欲しい」情報をグループ内で発表。 2)グループ内で「欲しい」情報をまとめる。 青ファイルの後方の資料の●ページにワークシートがあります。こちらを使いますのでファイルから抜いてください。 今からは個人で考える時間です。 対応を見直さないと、こうした状況がこれからも生じると想定したときに、今後の支援を考えるうえで、どのような情報を「欲しいなぁ」「集めたいなぁ」と思うか。 ワークシート5 にできるだけたくさん書き出してみてください。 タイムキープは私の方で行います。では始めてください。 (5分) つぎにグループ作業です。 まず、個人で考えた 欲しい情報 をグループ内で各自発表してください。 その後、グループ内で 欲しい情報 をまとめてください。ここまでを10分間で行います。 まとめた意見は、グループ用のワークシート5がテーブルにあるかと思いますので、そちらの方に記録してください。 それでは始めてください。 (10分) 終わりにしてください。 それでは早速ですが、2つのグループに発表していただきたいと思います。 1番の方、準備はよろしいですか? 「それではどこか発表していただけるグループはありますか?」 ありがとうございました。
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演習①|必要な情報を考える(例) こうした状況が今後も生じると想定したときに、今後の 支援を考えるうえで、どのような情報が「欲しい」と思 いますか。 (例) ・こうした行動が1週間にどれくらいあるのか ・どのような状況で起きたのか ・職員がどのように対応したのか ・何か前兆のような行動はあるのか ・落ち着くまでにどれくらい時間がかかるのか ・生活の状況に変化はあるのか ・・・etc. それでは、演習①の解答例をご紹介したいと思います。 みなさんにも発表していただいたものもありますが・・・ 例えば、 ・こうした行動が1週間にどれくらいあるのか ・どのような状況で起きたのか ・職員がどのように対応したのか ・何か前兆のような行動はあるのか ・落ち着くまでにどれくらい時間がかかるのか ・生活の状況に変化はあるのかなどが、 あるかと思います。
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演習①|まとめ 予防的な対応|起きないで済むような環境づくり チームによる支援の再検討|チームの目で再検討・共有する
危機介入|本人・周囲の利用者・職員の安全を確保する 記録と再アセスメント|記録の対象と方法を決めて情報を収集する 仮説をイメージする 何を記録するかを考える 記録の方法を考える 実際に記録をとる ここで、演習①のまとめをしたいと思います。 今回は、「突然訪れる危機的な状況」をもとに、どんなことを記録したらよいのか、という点について考えていただきました。 ただ、本来は、そういった危機的な状況が起きないよう計画を立てる、すなわち、予防的な対応を取ることが最も大切となります。それでもさまざまな要因が関係して危機的な状況が生じることは十分あります。 もし、危機的な状況が発生した場合には、本人や周囲の人の安全を確保することが最優先となります。 そして、繰り返さない為に、再アセスメントを行います。この、再アセスメントを行う際に欠かせないのが「記録」です。 なぜなら「変化を把握するため」「原因を考えるため」に必要だからです。 言い換えると「変化が把握できるような、原因を考えられるような記録を取る」ことが支援員には求められるということです。そこでみなさんには、演習を通し、まずは仮説をイメージしながら、何を記録すればよいのか という点について考えていただきました。 具体的に何を記録するかが決まれば、今度は、どんな様式のものがよいのか といった記録の方法を考える必要があります。 ここで2つ目の演習です。といきたいところですが、最初にお伝えした通り、ここで10分程度●●:●●まで休憩をとりたいと思います。 それでは休憩に入ってください。
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演習②|記録の方法を考える この時間は、具体的にどのような情報について、どのよう な方法で記録するのかをグループで考える時間です。
再度、「突然訪れる危機的な状況」を確認しましょう。 【演習の流れ】 〔グループ〕 仮説を選ぶ 5分 記録方法を考える 30分 発表 10分 演習の説明 まとめ それでは2つ目の演習です。記録の方法を考えていきたいと思います。 この時間は、具体的にどのような情報について、どのような方法で記 録するのかをグループで考える時間です。 (●ページの)「突然訪れる危機的な状況」を確認しながら取り組ん でください。 グループワーク後には発表の時間があります。 演習の流れの確認です。2つ目の演習はすべてグループで作業を行ってくだ さい。 この後、危機的な状況が生じた原因について仮説を立てていただきます。 今回は、こちらであらかじめ3つほど仮説を用意したので、その中からひと つ選んでいただきます。これが10分。 その後25分間で記録方法を考えていただき、発表となります。 最後にまとめを10分程度行いたいと思います。
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演習②|記録の方法を考える 危機的な状況が生じた原因として、次の2つの仮説が浮 かび上がってきました。グループで話し合って、どの角 度から記録方法を考えるのか、1つを選んでください。 仮説1:前兆となる行動やきっかけ、起きた後の対応 など、そのときの状況から探れないか。 仮説2:時間帯や気温など、何かパターンや周期が あるのではないか。 まず、仮説の確認です。危機的な状況が生じた原因として、 という2つが浮かび上がってきました。グループで話し合って、この2つの うち、どの角度から記録方法を考えるか、10分間かけて1つ選んでくださ い。 では、はじめてください。 (10分となっているが、5分くらいで十分な感じ。みんな次の作業に取り掛かっている)
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演習②|記録の方法を考える 選んだ仮説に基づいて、「どのような行動(あるいは情 報)について」、「どのような記録を取るのか」を具体 的に考え、記録フォームのイメージをワークシート (WS-6)に作ってみましょう。WS-6に書いたものを、 発表用に模造紙に清書してください。 ※ 必要があれば「情報シート」を参照してください。 ※「◯◯という行動がある」と想定して、記録方法を 考えていただいても結構です。 その記録は実際に取ることができそうですか?どれくら いの期間つけるのか、誰が記録するのか、継続して記録 できる工夫を考えてみましょう。 時間となりました。みなさんどの仮説にするか決まりましたか?それでは次の作業です。 選んだ仮説に基づいて、「どのような行動(あるいは情報)について」、「どのような記録を取るのか」を具体的に考え、記録フォームのイメージをワークシート(WS-6)、先ほど私用した紙の裏に書いてみてください。 ※ 必要があれば「情報シート」を参照してください。 ※「◯◯という行動がある」と想定して、記録方法を考えていただいても大 丈夫です。 記録フォームができたグループは、模造紙に清書し、その記録が実際に取る ことができそうですかどうか? どれくらいの期間つけるのか、 誰が記録 するのか、 そして継続して記録するためにはどのように工夫すればよいか といった点を25分間かけて検討してみてください。 それでは始めてください。 (25分)
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演習②|記録の方法を考える 話し合った内容を発表しましょう。 ※2~3グループに発表していただきます。 時間となりました。
それでは発表に移りたいと思います。
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演習②|記録の方法を考える〔例〕 仮説1 前兆となる行動やきっかけ、起きた後の 対応など、そのときの状況から探れないか。 必要な記録(例)
唸り声を上げたり掴みかかったりした場面と 状況、その後の様子がわかる記録 つぎは、仮説1の記録例です。
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6 月 1 日の 高崎のぞむ さんの行動記録 例 起きた場面・状況 起きた行動 行動の後に起きたこと ※関連しそうなその他の情報
6 月 1 日の 高崎のぞむ さんの行動記録 起きた場面・状況 起きた行動 行動の後に起きたこと 10:30頃、休憩後活動に戻る時 ◯◯さんが大声を出しながら廊下を行ったり来たりしていた 気にする高崎さんに職員(××)が制止して作業室に促した ◯◯さんを気にして近づこうとした 職員に静止されると興奮が高まり壁を蹴った 職員(××)の誘導で作業室に移動し、作業に取り組むことができた 作業をしているうちに興奮は治まった 14:40頃、休憩後活動に戻る時 入れ違いに◯◯さんがトイレから出てきた 突然、◯◯さんに掴み掛かった 職員(△△と××)が制止 静養室に誘導され、落ち着くまで一人で過ごした(約30分) ※関連しそうなその他の情報 ・前日の夜は寝付きが悪く、睡眠時間が4時間程度。 ・最近、睡眠が乱れているとの母からの情報あり。 記録の例としては、このように、起きたと場面・行動、起きたことを、日ごとに残し、1・2週間溜めた上で分析するといくつかの傾向が見えてくる場合もあります。 こちらの例では、掴みかかるのは、活動時間の休憩から活動へ切り替わる際の移動時に多く、他者との関係の中で起きていることがわかり、休憩から活動場面に切り替わる際の導線や、他者とのスケジュール調整が必要なことがうかがえます。
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演習②|記録の方法を考える〔例〕 仮説2 時間帯や気温など、何かパターンや周期が あるのではないか。 必要な記録例
唸り声を上げたり掴みかかったりする時間帯・ その日の気温を把握するための記録 つぎは、仮説2の記録例です。 ここでは、2つの様式と記録のまとめ方を少しだけ紹介したいと思います。
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高崎のぞむ さんの行動記録 例 9 10 11 12 13 14 15 16 チェックする行動・・・他の利用者に掴みかかる
高崎のぞむ さんの行動記録 例 チェックする行動・・・他の利用者に掴みかかる ・掴みかかった時刻: ・落ち着くまでにかかった時間: ・前兆(低い唸り声、体を前後に揺する等): ◯:◯◯ 日 曜日 気温 1 月 30.2℃ 2 火 32.7℃ 3 水 33.0℃ 4 木 31.5℃ 5 金 27.6℃ 6 土 25.0℃ 9 10 11 12 13 14 15 16 13:30 12:40 12:50 13:40
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掴みかかりがあった日と時間帯、その日の気温を見てみると、気温が30℃を超えた日の日中に掴みかかりがあることがわかりました。
高崎のぞむ さんの行動記録 例 掴みかかりがあった日と時間帯、その日の気温を見てみると、気温が30℃を超えた日の日中に掴みかかりがあることがわかりました。
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まとめ 予防的な対応|起きないで済むような環境づくり チームによる支援の再検討|チームの目で再検討・共有する
危機介入|本人・周囲の利用者・職員の安全を確保する 記録と再アセスメント|記録の対象と方法を決めて情報を収集する 仮説をイメージする 何を記録するかを考える 記録の方法を考える 実際に記録をとる まとめです。 演習①では 仮説をイメージしながら、何を記録すればよいのか という点について考えていただきました。 具体的に何を記録するかが決まれば、今度は、どんな様式のものがよいのか といった記録の方法を考える必要があるということで 演習②では、記録のフォームを作成し、作成後はその記録は実際に取ることができそうか? どれくらいの期間つけるのか? 誰が記録するのか?といった点を考えていただきました。 実現可能だな・・・というところまでイメージできたら、ようやく「実際に記録をとる」ところまでたどり着くことが出来ます。 そして取った記録は、必ず、チーム全体で共有し振り返り、仮説が正しかったか、見直しする点はないか確認し、必要に応じて再度支援の内容を検討していきます。 これが「記録に基づく支援の評価」ということになります。 記録は、実は支援を評価するためだけでなく、職員のモチベーションにもつながります。私たちの業種というのは、他の業種と違って数字で私たちの業績が評価されるわけではありません。まあ、部分的には数値化されているかもしれませんが、あまりはっきり評価されることは少ないと思います。 でも、グラフやデータを見返して、自分のモチベーション、あーこんなに頑張ったんだなとかこんなに回数が減ったんだなあとかちょっと、やったと思えるのではないでしょうか。 記録とそのプロセスは利用者だけでなく、職員にとっても大切なものとして、丁寧に残していっていただければと思います。そのときだけでは無く、10年後、20年後、30年後、読み返されるものでもありますので・・・。 以上で、記録に基づく支援の評価を終わりたいと思います。 ご清聴ありがとうございました。
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