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高断熱・高気密住宅における計画換気に関する研究
-実大実験住宅を用いた実験- 渡部 裕介 坂本 佳大 櫻田 智和子
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高断熱・高気密住宅 従来の日本の住宅 断熱性・気密性 の向上 ホルムアルデヒド VOC 漏気 ・夏の防暑を目的とした 開放的な建築 ・換気は隙間からの漏気 ・熱損失の減少 ・温熱快適性の向上 ・換気量が不安定 しかし ・室間・上下温度差の増大 ・空気汚染による 人体への影響 しかし
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目的 計画的な換気の必要性 実大実験住宅を用いて総合的な検討 24時間常時換気 明確な換気経路 必要な換気量
・常時換気システムの換気量の確保 ・外部条件が及ぼす換気性能への影響 ・換気が室内の温熱環境へ与える影響 目的 実大実験住宅を用いて総合的な検討
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実大実験住宅の基本性能 1F 平面図 2F 平面図 ホール 赤:暖房室 青:非暖房室 常時換気設備として5種類の機械換気システム
納戸 ホール トイレ 玄関 洗面 浴室 リビング 和室 キッチン 洋室A 洋室C 洋室B 赤:暖房室 青:非暖房室 常時換気設備として5種類の機械換気システム および自然換気方式が設置 (財)ベターリビング筑波試験センター内に建設 断熱性:次世代省エネルギー基準のⅢ地域相当 気密性:相当隙間面積1.5[cm2/m2] 延床面積130.84m2の在来軸組木造住宅
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換気システムの特徴(1) 自然換気方式 外部風による圧力の強弱で 換気口が自動的に流量を調節 各室の壁面(窓上部)に設置
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換気システムの特徴(2) 熱交換器 第一種ダクト式 ダクトを用いて集中給排気 全熱交換により、排気の熱を回収
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換気システムの特徴(3) 第三種ダクト式 ダクトを用いて集中排気 排気による内外の圧力差で 給気口から外気導入
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換気システムの特徴(4) 第一種ダクトレス 外壁面に給気ファン、排気ファンを設置 それぞれ、第一種:給排気、第二種:給気のみ、第三種:排気のみを運転 第ニ種ダクトレス 第三種ダクトレス
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測定概要 両結果の比較 ・機械換気システム 給排気口の風量測定 ・トレーサーガス法に よる換気量測定 ・設計風量値の検証
・機械換気システム 給排気口の風量測定 ・トレーサーガス法に よる換気量測定 ・設計風量値の検証 ・実際の換気量の算出 両結果の比較 換気性能への影響 外部風の影響 風向・風速の測定 超音波風速計 壁面圧力差の測定 圧力計 内外温度差 の影響 熱電対 通風筒 室内温度の測定 外気温の測定
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測定期間 3月:測定装置の設置 4月:測定開始 年間を通してデータを集積 (夏期:一時中断) 冬期(12月、1月)の期間について検討
・換気量測定 ・温度測定 ・外部風測定 9月:風量測定 10月:気密性能測定 年間を通してデータを集積 (夏期:一時中断) 冬期(12月、1月)の期間について検討 今回特に換気が不足すると予想される
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トレーサーガス法(一定濃度法)による換気量測定
建物内にトレーサーガスを散布 ⇒同時に断続的にガスを採集し濃度測定 ⇒各ブロックの濃度が一定となるよう発生量を制御 隣室からの流入空気によっては濃度が変わらない ⇒(外部からの)直接新鮮空気量が把握できる トレーサーガス=六フッ化硫黄(以下SF6)を使用 ・SF6は人工ガスで自然界にはほとんどない ・ごく微量の放出量で濃度検出が可能
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一定濃度法による換気量算定式 直接新鮮空気量を算出 :外気からi室に流入する総外気量 :トレーサーガスのi室における発生量
:外気中のトレーサーガスの濃度 :i室のトレーサーガス濃度 直接新鮮空気量を算出
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トレーサーガス法の条件 瞬時一様拡散を仮定 空間内にある汚染質が 発生した瞬間 拡散 発生
汚染質が空間全体に広がり、空間の至るところで同じ濃度になるような拡散状況 散布 採集 トレーサーガスの流出口にファンを設置し室内に拡散
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一定濃度法時のSF6の濃度と発生量の推移の例
解析期間 SF6濃度と発生量の時間変化 SF6濃度の変化に応じて、発生量の調節をしながら一定に濃度を保とうとしている
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測定条件 ・住宅内を11ブロックに分割 ・ブロック間の扉は閉める(アンダーカットはあり) ・測定対象外の換気システムの給排気口は気密処理
ブロック分割条件 No.6 No.3 No.1 No.9 No.7 No.11 No.5 No.2 No.4 No.8 No.10 気密処理
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風量測定と一定濃度法の比較 風量測定:各機械換気システムにおける給・排気口の 風量を熱線抵抗式風量計を用いて測定
風量測定:各機械換気システムにおける給・排気口の 風量を熱線抵抗式風量計を用いて測定 第一種ダクト式 第三種ダクト式 第三種ダクトレス 第二種ダクトレス 第一種ダクトレス ※換気回数(回/h)= 住宅全体の換気回数は概ね一致している。 換気量(m3/h) 室容積(m3)
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測定結果 1F 2F 換気システム別 換気量比較 第一種、第二種の各システム ・各居住室は安定した換気量が確保
第三種ダクト式 第三種ダクトレス 第二種ダクトレス 第一種ダクト式 自然換気方式 第一種ダクトレス 自然換気方式と第三種換気システム 第一種、第二種の各システム ・1Fに比べ2Fが換気量不足 1F 2F 1Fトイレ 和室 1Fホール 納戸 洗面・浴室 キッチン ・リビング 2Fホール 2Fトイレ 洋室A 洋室C 洋室B ・各居住室は安定した換気量が確保 換気システム別 換気量比較
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西、西北西からの風が風向頻度・風速とも高い
外部風が与える影響 実験住宅周辺配置 冬期における 外部風向・風速頻度 実大実験住宅 超音波風速計 超音波風速計測定位置 第2試験棟(7.3m)+屋上高(6m) =地上13.3mに設置 建物に影響されない外部風の測定 西、西北西からの風が風向頻度・風速とも高い
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西北西風時の壁面圧力差 + ー 1F 2F 壁面圧力差測定位置 1F、2Fの 東西壁面間 南北壁面間 および 東西壁面間圧力差(E-W)
南北壁面間圧力差(S-N)
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風速と一定濃度法結果との比較(自然換気方式)
南 西 東 西北西 洗面・浴室 洋室A リビング・キッチン 洋室B
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風速と一定濃度法結果との比較(第一種ダクト式)
南 西 西北西 洋室A 洗面・浴室 洋室B リビング・キッチン
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風上側 風下側 風速と換気量の関係 自然換気方式 第一種ダクト式 外部が正圧となる ため流入量が増える 西北西風の影響により
洋室A 洋室A 外部が正圧となる ため流入量が増える 風上側 換気量増大 風速増大 換気量多少増大 西北西風の影響により リビング 風下側 リビング 換気量減少 風速増大 換気量一定 外部が負圧となるため流入量が減る
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風速と換気量の関係 換気量に及ぼす風の影響は・・・ 一般に 自然換気方式 機械換気方式 大きい 小さい
ただし、機械換気方式においても...…. 第三種ダクトレス 外部風の影響を強く受ける 西 西北西 洗面・浴室 洋室B 風上側:増加 風下側:減少
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室内温度測定 リビング 洋室A それ以外の部屋 キッチン 洋室C 部屋の中央1点 前後左右に等間隔 水平方向 1F 床下から 天井まで5点
床下から 天井まで5点 鉛直方向 部屋の 中心高さ 2F 内外温度差=外気温ー室内中央温度
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内外温度差と換気量の関係(自然換気方式)
1Fリビング 1Fリビング 西北西 南 西 東 夜間 自然換気方式 ※ 内外温度差:大 ※ 風速:弱 2F洋室A 2F洋室A 同じ内外温度差・ 風速でも、1Fリビングと2F洋室Aでは換気量がちがう 西北西 南 西 東 内外温度差による影響 外部風速による影響
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寒 内外温度差換気の原理 1F⇒新鮮外気量が増加! 2F⇒隣室から流入⇒新鮮外気は入りにくい! 上部から室内空気流出 密度:小 密度:大 暖
中性帯 室内と外の差圧が0になる位置 下部から外気流入 1F⇒新鮮外気量が増加! 2F⇒隣室から流入⇒新鮮外気は入りにくい!
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内外温度差と換気量の関係(機械換気システム)
第三種ダクト式 第一種ダクト式 第一種ダクトレス 第三種ダクトレス 第二種ダクトレス 自然換気方式 リビング 洋室A 内外温度差増大 換気量ほぼ一定 機械換気システムにおいては 内外温度差の影響は全体に小さい!
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内外温度差と上下温度差の関係 内外温度差が増大するにつれ 上下温度差も増大するが、 いづれの換気システムにおいても
リビング 洋室A 第三種ダクト式 第一種ダクト式 第一種ダクトレス 第三種ダクトレス 第二種ダクトレス 自然換気方式 内外温度差が増大するにつれ 上下温度差も増大するが、 いづれの換気システムにおいても 不快を感じるレベルにはなっていない!
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but、ブロック間の空気の動きは分からない
まとめ(1) 各常時換気システムの換気量 住宅全体:充分な換気量を確保 ブロック別:大きなばらつきがある! 必要換気量を満たしていない空間が存在! 室間の流動を考慮した換気量評価が必要! 今回の測定:新鮮空気量の判別が可能 but、ブロック間の空気の動きは分からない 今後の課題:住宅内の空気の流れを把握
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機械換気システムにおいても外部風の影響を受ける ⇒換気量が一定とは限らない! 自然換気方式は外部風の影響をより受けやすく
まとめ(2) 外部条件が及ぼす換気システムへの影響 機械換気システムにおいても外部風の影響を受ける ⇒換気量が一定とは限らない! 自然換気方式は外部風の影響をより受けやすく 内外温度差による温度差換気の影響も大きい! 換気が室内の温熱環境へ与える影響 自然換気方式においても上下温度差は2℃以内に 収まっており、不快を感じるレベルではない! 機械換気システムはどれも外気温の影響による 室内の上下温度差がつきにくい!
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