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司法における男女共同参画 の現状と意義・課題
明治大学法科大学院 ジェンダーと法Ⅰ 2019・7・9 司法における男女共同参画 の現状と意義・課題 弁護士 金澄道子
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弁護士白書2018年版
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弁護士白書2018年版
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弁護士白書2018年版
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司法分野における女性割合の推移 男女共同参画白書(平成28年版)
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一週間の平均就労時間 2008年弁護士白書
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男女別 顧問契約先の件数 2008年弁護士白書より 3060人 267人 931人 300人
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弁護士経験年数別 経営者・非経営者の割合 2008年弁護士白書より
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2008年弁護士白書より
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最初に顕在化した女性差別
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なぜ男女共同参画が必要なのか ・ 法曹は、人権擁護と社会正義の実現の担い手 →個別の事件について、人権と正義を実現 弁護士が人権侵害の存在に気がつくためには、 多様な価値観・意識が必要 ・ 弁護士会は、具体的な事件を超えた社会的活動で、人権と正義の実現に貢献する →法制度についての意見書の公表・人権救済申立を受けて勧告する・立法行政に働きかける運動をする 弁護士会の構成も、社会の構成員と同様、 多様な価値観・生き方を反映することが必要
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男女共同参画推進基本計画の骨子 ・性差別防止に関する研修の実施 ・女性弁護士偏在解消のための情報提供
・女性弁護士の理事としての活動等の阻害要因の調査 →第二東京弁護士会の副会長女性枠制度が発足 ・女性会員の業務分野拡大のための施策の検討と実施 ・女性会員採用促進のための事業主弁護士向けのリーフレッ トとQ&Aの作成 ・性差別的取り扱い防止規則の制定と苦情処理体制の充実 ・産前・産後期間の会費免除、育児期間中の日弁連会費免 除 ・日弁連副会長の女性枠制度の創設
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第3次男女共同参画推進委基本計画(2018年) 改善点 ・副会長のクオーター制の導入 ・育児休業期間の延長 女性弁護士ゼロの支部は 203支部のうち57(2016年)
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弁護士白書2018年版
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マジョリティでない者の視点の重要性 1 労働法の分野-貧困問題- ○女性は昔から貧困
(女性とは限らないが、社会的弱者・少数者の視点) 1 労働法の分野-貧困問題- ○女性は昔から貧困 →男性に貧困が拡大してはじめて、貧困の原因となる雇用形態の問題が注目されるようになる ・パート問題 同一価値労働同一賃金(ILO憲章、女子差別撤廃条約11条1項d号) であるべきなのに、家計補助的労働とみなされ、低賃金・景気の調整弁でも仕方ないと、不合理な差別を受けてきた ・労働者派遣法(1985年制定) 直接雇用の原則を崩した法律。制定当時はポジティブリスト方式(13業務)で、通訳・翻訳・事務機器操作・速記などに限定されていたので、女性職種が対象と思われていた これらの雇用の問題は、当初は女性に集中して現れ、問題を放置することで、社会全体に拡大する ↓ 女性は、差別・人権侵害のカナリアである
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2 家族法分野の問題 (1)DV法 ↓ 自己決定ができる基盤を作り、援助するなど、積極的に介 入する必要
2 家族法分野の問題 (1)DV法 ○伝統的な公私二分論を超えて 公=国家V.S私=市民 国家からの不干渉・・・伝統的自由権・私的自治 法は家庭に入らず・・・家族は、国家と市民という二元論から見えないも のとされ、人権とは国家権力からの不干渉・自由の確保と思われてた しかし、公私の間に「家族」があり、その中の人権保障こそ大切 ↓ 法領域の拡大 人権の拡大 ○現実の人間像に沿った法へ 伝統的人間像=合理的判断ができ、他者から支配干渉を受けない人間 現実は、支配干渉を受け、他者に依存し、自由な意思決定が難しい人間 ↓ 自己決定ができる基盤を作り、援助するなど、積極的に介 入する必要
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家族における暴力の国の介入手法 人権アプローチ ・ 私的領域に属するひと ●DV・児童虐待の犯罪 化、DV被害者からの離
・ 私的領域に属するひと りひとりの構成員を人権 の主体とする ・ 家族間にも、市民社会 のルールを適用する ●DV・児童虐待の犯罪 化、DV被害者からの離 婚請求、保護命令制度 等 福祉アプローチ ・ 個々のニーズに応える 社会保障の様々な施策 を提供する ●被害者の一時保護、住居 の確保、児童扶養手当・生 活保護の支給、成年後見制 度など
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(2)民法改正(選択的夫婦別氏制の2015年最高裁判決を
めぐって) 女性判事は全員違憲・・・ 経験知がない 通称で不都合が緩和されることもない・・ と差別が理解で きない? ↓ マイノリティーである経験が、法曹としての判断に生かされる (3)認知制度・寡婦控除など ・母の同意なく、一方的に男性が認知することができる ・子どもを産んだ女性は、パートナーとの関係(死別・離別・未婚)で、所 得税の負担が変わる ↓ 制度の中に潜む差別の発見
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家 族 法 の 視 点 伝統的家族観 個人尊重家族観 ・日本の伝統的家族への回帰 大家族(三世代同居) 性別役割分担 家族内扶養 DVの多くは普通の夫婦喧嘩 専業主婦優遇 女性の権利拡大への危機感 法律婚のみ尊重 家族の一体感 家族内扶養 ・個人尊重とジェンダー平等 に基づく家族 DVは人権侵害 仕事と家庭の両立 女性の働き方に中立 男女平等 事実婚・同性婚等多様な家族 個人を基礎にした家族 育児・介護等の社会化
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3 障がい者差別解消法への発展 障害が生み出されるのは、多数者が作り上げた環境としての「社会モデル」が理由であるから、障害者にとって障壁となる事物・制度・慣行・観念という「社会的障壁」をとりのぞくために「合理的配慮」を求める ・差別を、個人の属性(女性・外国人・住所地など)の問題としてではなく、社会のしくみとの関係から捉える =医学的モデルではなく、社会モデルから障害を考える ・多数者の作り上げた障壁を取り除く合理的配慮を求める ・配慮するプロセスの模索を義務付けた
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4 刑法改正(性犯罪の議論から) (1)被告人の側からの手続保障、刑法の謙抑性から重罰化反対、国家刑罰権の濫用の危険の視点が中心だった
4 刑法改正(性犯罪の議論から) (1)被告人の側からの手続保障、刑法の謙抑性から重罰化反対、国家刑罰権の濫用の危険の視点が中心だった (2)被害者の視点からの刑法改正 ・性交類似行為の処罰の必要性・・・・被害者の立場から重大な性虐待をとらえる 身体的境界線への侵入・性的自由への侵害である点では、強姦と変わりない ・強制性交罪の量刑の引き上げ・・・魂の殺人である(財産犯である強盗罪と同じ5 年に引き上げる) ・監護者であることによる影響力を利用したわいせつな行為または性交等にかか る罪・・・性虐待の実態に即した犯罪類型の創設 ○しかし、暴行・脅迫要件は残っており、改正の必要性が高まっている (3)犯罪被害者の刑事手続への参加 ・被害者参加制度の創設(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律 5条以下 被害者参加弁護士 17条以下 損害賠償命令の申立 ・刑事訴訟法 292条の2 被害者の意見陳述 157条の4 ビデオリンク方式による証人尋問 290条の2 被害者等特定事項の非公開 など
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ご静聴、ありがとうございました。 法律家は、世の中の問題点を発見し、それを正していくことができる仕事です。おかしい!と思う感性も、リーガルリテラシーがあってのことです。時流に流されないで、法の理念を大切にしてください。
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