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第3章 交換とルーチング 3.1 交換方式 3.2 専用線と交換網 3.3 信号方式 3.4 IPネットワーク交換技術

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1 第3章 交換とルーチング 3.1 交換方式 3.2 専用線と交換網 3.3 信号方式 3.4 IPネットワーク交換技術
第3章 交換とルーチング 3.1 交換方式 3.2 専用線と交換網 3.3 信号方式 3.4 IPネットワーク交換技術 3.5 高速スイッチング 3.6 トラヒック

2 3.6 トラヒック 3.6.1 トラヒックとは 3.6.2 故障対策 3.6.3 トラヒック制御 3.6.4 ふくそう制御
3.6 トラヒック 3.6.1 トラヒックとは 3.6.2 故障対策 3.6.3 トラヒック制御 3.6.4 ふくそう制御 3.6.5 トラヒック量と回線使用率 3.6.6 トラヒック理論

3 3.6.1 トラヒックとは (1) トラヒックの定義 トラヒック(traffic) サービスを受けたいという需要の大小を表す量。
3.6.1 トラヒックとは (1) トラヒックの定義 トラヒック(traffic) サービスを受けたいという需要の大小を表す量。 以下のように扱う問題によって基本的な単位が異なる。 ① 通信回線/交換網 : 呼量(呼数×呼が設備を占有している時間) ② ネットワーク : ネットワーク上の単位時間当たりのデータ量(bps) [留意点] ① 量的な側面だけでなく,頻度・パターンの側面から捉える必要がある。 ② 頻度・パターンの側面からは,時系列のトラヒック変化や, 業務システムの稼動状況によるトラヒック量の増減を計測する。 ③ DDoS 攻撃などによる異常なトラヒック量の増加等を 把握するために行うことがある。

4 (2) トラヒック制御の基本要素 トラヒック制御の基本的な要素は, 計測・監視,分析,異常通知・ふくそう制御 の3要素に分けることができる。
ネットワーク 計測・監視 異常通知・ ふくそう制御 情報分析 トラヒック モデル

5 (3) トラヒック分析モデル トラヒック分析は,その基本となるトラヒックのモデルにしたがって,
計測されたトラヒック情報により,今後あるいは直近のトラヒック量を 予測することが目的である。 トラヒック 情報 トラヒック 予測 トラヒック モデル パラメータ

6 (4) トラヒックパターン トラヒックパターンを次のように分類することもある。 ① バースト型
① バースト型 バースト型とは,一度に多量のトラヒックが発生するパターン ② インタラクティブ型 比較的少量のトラヒックが周期的に発生するパターン [注意] バースト性が高いトラヒックとそうでないトラヒックの場合は,トラヒックモデルも異なることに留意する必要がある。 [例] 電話網設計では,これまでポアソン到着モデルが適用されることが 多かったが,ネットワーク利用の多様化に伴い, バースト性が高く かつ大規模なトラヒックの場合,従来のポアソン到着モデルの適用が 難しいことも指摘されている。

7 (5) 帯域使用率と回線使用率 ① 帯域使用率 帯域使用率=伝送データ量 [bps]/伝送可能データ量 [bps]
(単位時間当たりに伝送可能なデータ量を帯域という) ② 回線使用率 回線使用率 [%]=回線群で運んだ呼量/回線群の回線数

8 3.6.2 故障対策 (1) 正常な呼処理ができなくなる原因
3.6.2 故障対策 (1) 正常な呼処理ができなくなる原因 ① ハードウェア故障 交換機を構成する制御装置や通話路系装置などの部品故障 ② ソフトウェア故障 交換機の動作を定めているプログラムやデータに論理的矛盾がある場合 ③ 異常ふくそう(後述) 交換機の処理能力をはるかに超える呼が連続的に発生した場合

9 (2) 故障処理 ① 一時的な故障か固定的な故障かを判断 ② 固定的な故障の場合 ・故障装置を予備装置と切り替える。
・プログラムやデータ等を初期設定する。 ③ 異常ふくそう(後述) ・呼の規制や交換処理の一部省略

10 (3) 予備装置への切替 迅速性が要求される故障の場合は 自動的に処理される。 標準状態(正常) 保守担当の故障処理 故障装置診断 故障検出
故障装置の識別 故障装置 切り離し 故障修理 交換機システム 再構成 修理後の確認試験 交換システムへの 装置組入れ 交換処理再開 正常状態 (故障装置切り離し状態)

11 3.6.3 トラヒック制御 (1) トラヒック計測監視 (a) トラヒック計測の種類
3.6.3 トラヒック制御 (1) トラヒック計測監視 (a) トラヒック計測の種類 ① アクティブ(能動)計測 計測用の通信を行って実測するアクティブ(能動)計測。 ・ 本来必要ない計測用トラヒックを発生させる難点がある。 ・ 到達可能性チェック,応答時間計測,実効的な帯域計測等に 多く用いられている。 ② パッシブ(受動)計測 計測用の通信を行わない。 ・ ネットワークに影響を与えないので定常的なトラヒック統計計測や パケット内容の計測等に多く用いられている。 通常はネットワークに負荷をかけないパッシブ計測でトラヒックを 計測しておき,問題が生じた時点で必要に応じて アクティブ計測を行う等,効率的な使い分けが必要である。

12 (b)基準値(ベースライン) 平常な状態あるいは初期状態におけるトラヒック量。 これを基準値あるいはベースラインという。
ベースラインを基に, 時間・日・曜日・週・月・年単位のトラヒック量変化を 把握することが望ましい。

13 (c)ネットワーク監視の原則 ① トラヒックを生じさせる対象が分散型の場合, 分散型の対策を前提とした監視を行う。
② トラヒック監視やその対策が,通常のサービスを低下させないこと。 ③ トラヒック監視は,DDoS 攻撃などの攻撃に対して強固で なければならない。 ④ ネットワーク監視の結果取られる処置は, 実現可能な部分から段階的に実施できなければならない。

14 (d)監視位置 同じ監視対象に対して同一の監視を行っても, 監視対象とするネットワーク特性によって異なる結果となることが多い。 [例]
① ユーザ側LANの場合 DDoS攻撃等を監視することはたやすいが,その対策は狭い範囲に限られ, 大規模攻撃を避けるのは困難である。 ② アクセスネットワークの加入者収容局の場合 何らかの処置を行った場合,正常なサービスの低下を招くこともあるので 慎重に対策の実施を行う必要がある。 ③ バックボーンのコアルータの場合 バックボーンのコアルータでは,大量トラヒックが生じているのが通常であり, 正常トラヒックと異常トラヒックを分離することが難しい。 アクセスネットワークと同様,正常なサービスの低下を招くこともあるので,

15 (2) トラヒック分析 (a) 分析データ項目 ネットワーク計測で得られた情報を分析して, 管理者に対して加工された意思決定情報を
提示するものであり,重要な分析である。 ① ヘッダによる分析 ヘッダ情報をもとにパケット種類やアドレス等ごとに分別する。 トラヒックフローの性質に着目する方法,パケットシーケンスに着目する方法, アドレスの単一性に着目する方法などがある。 ② 到着レートによる分析 個別収集データの統計処理によるしきい値と到着レートに基づいて分析する。 ③ トラヒック変化 トラヒックの時系列変化に基づく分析。 特に,トラヒックの急激な立ち上がり等に着目する。 ④ スペクトルによる分析 ヘッダ分析により分類されたトラヒックのスペクトルパターンに着目して分析する。

16 (b) 分析アプローチ ① 折れ線グラフ 時系列の変化パターンを視覚的な折れ線グラフで示す。 ② ツリー構成図
① 折れ線グラフ 時系列の変化パターンを視覚的な折れ線グラフで示す。 ② ツリー構成図 アドレス空間のツリー構成上にトラヒックを表示する。 ③ 多変量解析によるアプローチ 単位時間あたりのパケット数,セッション数等の多変量解析により 異常状態を検出する。 ④ 確率ベースのアプローチ パケットのフィールドがとりうる値それぞれに対して過去の出現確率を求めておき, 計測されたパケットの出現比率と比較することによって異常状態を検知する。 ネットワークレベルで行う方法,アプリケーションレベルで行う方法,両レベルで行う方法等がある。 ⑤ 状態ベースによるアプローチ プロトコル,IP,セッションの状態遷移を確率として求めて異常検出を行う。

17 分析アプローチ(その他の方法) ① トラヒックイベントによる方法 トラヒック量が前後の時間帯に比べてどの程度変化すれば,
トラヒックイベントとして認識するかを予め定めておき, イベントが起きたかどうかで異常検出をおこなう。 経験豊富な管理者によるチューニングが必要である。 ② データマイニングによるアプローチ 時系列データを複数段階にデータマイニングし, 構造をもった解析を可能にする形に変形しておいて分析する。 ③ ニューラルネットワークによるアプローチ ニューラルネットワークによる学習過程を適用して異常なトラヒックを監視する方法。 学習方法には,教師あり学習と教師なし学習を使う2通りの方法がある。

18 (c) トラヒックの安定性 トラヒックの安定性とは
[前提] 特定の範囲の通信は,ある程度長期間であれば,ほぼ同じ傾向をもち, 特定のプロトコルに関連するトラヒックは,通常特定の範囲の値しか とりえない。 [考え方] ネットワーク内のトラヒックは, 一定種類のトラヒックが常に支配的になっている。 すなわち,十分長い時間であれば, 通常状態のときその出現頻度は一定の範囲内に収まると仮定。 一定の範囲内に収まっているときに安定であるとする。

19 (c) トラヒックの安定性 トラヒックの安定性とは
 安定性を示す指標,Top N 支配率 は次の式で与えられる。 :対象情報項目のスロット当たりのパケット数 :スロット内の全パケット数 たとえば,指標としてアドレスを採用し, のとき,全パケットのうち3アドレスが全通信の90%を占めることを示す。

20 (c) トラヒックの安定性 トラヒックの安定性とは
いま, とすると, 位のトラフィックを加えることによる支配率は  を超えない こととなり,すなわち 位より下の順位のトラフィックは,支配的な グループに属さないとみなすことができる。 安定性を検討するにはスロットサイズを比較的大きくとる必要があるが, 大きくすると安定性判定を頻繁に行うことができなくなる。 安定性判定を頻繁に行うためには,スロットサイズを小さくする必要があるが, 過度に小さくとると,ネットワーク特性が動的に変化するので, 安定性自体が意味をなくしてしまう恐れがある。

21 安定性の評価 安定性の議論のためには,統計量が意味を持つ程度の母集団が必要である。
したがって,利用者が少ないネットワークでは,ある程度長期間の観測が 必要である。 一般的には, ① 過去の m スロットにおける支配的な N の平均値,最大値,最小値を 統計量として保存しておく。 ② 最小値と最大値の差が十分小さいときに支配的Nが安定していると 捉える。 m の値は,過去の履歴のうち安定性を考慮する時間範囲と捉えることができる。

22 スロット化 [スロットをリアルタイムに観測する方法] ① 時間駆動方式 ・ 一定時間ごとに集計する方式。
・ 一定時間ごとに集計する方式。 ・ 利用率が低いネットワークでは,十分な統計データをとることが できない恐れがある。 ② パケット駆動方式 ・ 一定の観測パケット数ごとに集計する方式。 ・ 利用者の振る舞いを反映することができなくなる恐れがある。 ・高速大容量のネットワークでは,挙動単位を取りそこなう可能性がある。 いずれの方式をとるか,さらにどの程度の観測パケット数にすればよいかを 決定するには,ネットワークの性格に留意しなければならない。

23 (2) トラヒック分析 (a) 分析データ項目 ネットワーク計測で得られた情報を分析して, 管理者に対して加工された意思決定情報を
提示するものであり,重要な分析である。 ① ヘッダによる分析 ヘッダ情報をもとにパケット種類やアドレス等ごとに分別する。 トラヒックフローの性質に着目する方法,パケットシーケンスに着目する方法, アドレスの単一性に着目する方法などがある。 ② 到着レートによる分析 個別収集データの統計処理によるしきい値と到着レートに基づいて分析する。 ③ トラヒック変化 トラヒックの時系列変化に基づく分析。 特に,トラヒックの急激な立ち上がり等に着目する。 ④ スペクトルによる分析 ヘッダ分析により分類されたトラヒックのスペクトルパターンに着目して分析する。

24 (3) トラヒック制御 (a) トラフィック監視結果と対処
① ハードウェアのアップグレード ② ネットワークの分割 ③ ネットワーク利用方法の変更 ④ セキュリティ上の対策 トラヒックの増大がDDoS攻撃などの不正行為によるとき。 ⑤ 迂回制御機能 大規模なネットワークや一般の公衆回線ネットワークでは, 複数のルートを設定する。 一方のトラヒックが多い場合, 別ルートを選択する迂回制御機能を持たせる。 ネットワーク全体が麻痺するような膨大なトラヒックが生じた場合, 次節に述べるふくそう制御が行われることもある。

25 (b) パケット交換網におけるトラヒック制御
① 電話網で,ネットワークに加えるトラフィック量 (呼接続要求) を 増加していくと,接続完了し,運べるトラフィック量は順次増加するが, ある点から接続不可の呼が急に増し,運べるトラフィック量が 減少し始める。 ② さらに,呼接続要求を増すと,全く接続できなくなり, 運べる呼が皆無となるネットワークが出てくる。 網内共通の処理設備(伝送路や交換機)を,呼接続のため競合して奪い合い, 呼が拒絶されて,放棄されるためである。 したがって,円滑にトラフィックが運べるように 共通設備を制御する必要がある.これがフロー制御である。 フロー制御の方法には,主として,ウインドウ制御とバッファ制御の2種類がある。

26 フロー制御 ① ウィンドウ制御 ・ 確認無に連続送信できるデータパケット数を制御する。 ・ 受信相手からの受信可能パケット数が0になったら
・ 確認無に連続送信できるデータパケット数を制御する。 ・ 受信相手からの受信可能パケット数が0になったら 一時,送信を取りやめる等の処理を行う。 ・ 主としてネットワーク側で行われる。 ② バッファ制御 ・端末側のバッファが不足したとき,一時的に入力規制を行う。 ・パケット網では,フロー制御の観点からもバッファ管理を行っている。

27 (c) B-ISDNにおけるトラヒック制御
B-ISDNでは,要求された品質を保証できるように, ATMコネクションに対して必要な帯域を事前に割り当て, これに基づいたトラヒック制御を行う (「6.4..2(2)B-ISDN」の項参照) あるコネクションが申告パラメータ以上のセルレートで通信を行うと, 他のコネクションに割り当てた資源も使用することになるので, ネットワーク側では,各コネクションが申告パラメータの範囲内で 通信を行っているかどうかを常時監視し,守っていないときは, なんらかの規制を行う。 このような制御を,使用量パラメータ制御(UPC:Usage Parameter Control), またはポリシング(policing)と呼ぶ。

28 (c) B-ISDNにおけるポリシング 申告に違反した入力に対する措置には,以下の3通りがある。 ① 無条件で廃棄。
② ネットワーク資源にゆとりのある場合も起きているとみなし, 規定値を超えたセルにマークを付けて,そのまま通す。 その後,転送途中で,ふくそうに会うと真先に廃棄する。 ③ セルレート等を調整して,遅延させる。

29 3.6.4 ふくそう制御 (1) ふくそう制御の目的 [ふくそうの原因] ① 大きな災害の発生による問合せなどの多くの呼の発生
3.6.4 ふくそう制御 (1) ふくそう制御の目的 [ふくそうの原因] ① 大きな災害の発生による問合せなどの多くの呼の発生 ② チケット予約などによる非常に多くの呼が集中発生した場合 ③ 火災・事故等による中継用伝送路の切断により膨大なトラヒックの発生 [他の交換機や伝送路への影響] ① ある伝送路や交換機がふくそう状態に入ると,迂回処理等により 周辺の伝送路や交換機にも影響を与え,次々とふくそう状態が広がり, ネットワーク全体を麻痺させてしまう。 予想を上回るトラヒックが生じると,ふくそう状態を制御して ネットワーク全体への影響を抑制または回避するための制御が行われる。 これがふくそう制御である。

30 (2) ふくそう制御の機能 ① 発信規制 災害の緊急対策本部など通話確保が必要な一部回線を除いて 発信呼を受け付けないよう規制する。
② 入呼規制 迂回処理等により別の交換機やネットワークから 入ってくる呼を受け付けないよう規制する。 ③ 出接続規制 ふくそう通知を受けた交換機が当該ノードへの呼を出力しないよう規制する。

31 IPネットワークの場合 ① 発信機能が高速化されたIPネットワークでは, 従来の電話網に比べて無効呼の発生量が非常に多い。
② さらにDos攻撃やウィルス等によるトラヒック増加に備える必要がある。 したがって,VoIPでは以下のような機能が提供されている場合もある。 ① 無効呼や有害なトラヒックのみを除去する機能 ② ふくそうの原因となっている呼だけを制御する機能 ③ IP電話レベルの攻撃対策機能

32 TCP/IPネットワークの場合 TCP/IPネットワークにおけるふくそう制御は, 通信そのものを破棄するのではなく,
ネットワークの混雑を解消するという観点からなされる。 すなわちデータの送信量を制御して ネットワーク上に流れるパケット量を減らすことをふくそう制御と呼ぶ。 TCP/IPネットワークではふくそう制御はTCP層の役割であり, 古典的なスライディングウィンドウ制御に対して, ふくそう制御のための拡張がなされている。 [例](詳しくは,他の文献参照) ① TCP Tahoe(タホ) ② TCP Reno ③ TCP Vegas

33 (3) ふくそう制御のモデル ① 交換機または呼制御サーバ(SIPサーバなど)でトラフィックを監視
② ふくそうが発生したらトラヒック制御装置に通知し, 通知にしたがってふくそう制御を実行する。 ③ ふくそう制御は,必ずしもすべて自動的にできるわけではない。 状況に応じて処置する必要があるので,オペレータが関与できる 人的操作環境が必要となる。 トラヒック制御装置 トラヒック制御 クライアント トラヒック制御 サーバ トラヒック制御 エージェント オペレータ ふくそう 発生通知 ふくそう 制御実行 呼制御サーバ または交換機 IPネットワーク または 電話回線網

34 3.6.5 トラヒック量と回線使用率 (1) 呼の量と呼損失
3.6.5 トラヒック量と回線使用率 (1) 呼の量と呼損失 呼(Call) : 利用者が通話または通信を目的として交換設備等に接続し, その回線を占有していること。占有時間を保留時間という。 呼量=1時間で運ばれた呼数×保留時間(これをトラヒック量としてみなす) 呼数 ,呼の保留時間 とすると,出中継線に運んだ呼量     は     ある交換機の群に加えられた呼数を そのうち運ばれた呼数を 即座に運べなかった呼数を すると この を呼損失という。

35 (2) 呼損率 運ばれた呼の平均保留時間を , ,加えられた呼量を ,運ばれた呼量を 損失呼量を とすると, の関係がある。
損失呼量と加えられた呼量の比をとって, この を呼損率と呼ぶ。

36 (3) 単位アーラン(erl) トラヒック量を表す単位:アーラン(erl) 1アーランとは,1時間当たり延べ保留時間60分の呼量である。
たとえば,1時間当たり20回の呼が発生し, 1回の呼当たりの平均保留時間を36秒とすると,     20回×36秒/3,600秒=0.2 [アーラン] とすることができる。 [別の言い方]    1アーラン=1中継線が1時間に運ぶことができる呼量 したがって,ある回線群で運んだ呼量をその回線数で除した値を 回線使用率という。 アーランという単位は,デンマークのトラヒック理論の創始者 A. K. Erlang の名前に由来する。

37 アーランの計算例(1) ① ある回線群を1時間にわたり観測したら,その回線群は3回使用され, それぞれの保留時間は,3分,5分,4分だった。
① ある回線群を1時間にわたり観測したら,その回線群は3回使用され, それぞれの保留時間は,3分,5分,4分だった。 この場合の呼量は,   3/60+5/60+4/60=12/60=0.2[アーラン] である。 ② 1時間に150の呼が加わり,平均120秒回線を保留した場合の呼量 この場合の呼量は,   150×120[秒]/3600=5[アーラン] である。

38 アーランの計算例(2) ③ ある回線で 40 分間調査したら,生起呼数 240 呼で,呼の平均保留時間が120秒だった。
③ ある回線で 40 分間調査したら,生起呼数 240 呼で,呼の平均保留時間が120秒だった。 この場合の平均呼量は, [アーラン] ④ 回線数が18回線,呼損失が0.04の回線群に15アーランの呼量が加わったとき の回線使用率 (加えられた呼量: ,運ばれた呼量: 呼損率

39 アーランの計算例(3) ⑤ 呼損失 0.1 の回線群で,1時間の呼数が810呼,平均保留時間が120秒だったときの回線群に加わった呼量
⑤ 呼損失 0.1 の回線群で,1時間の呼数が810呼,平均保留時間が120秒だったときの回線群に加わった呼量 呼損率 (加えられた呼量: ,運ばれた呼量: この回線で1時間に運んだ呼量は, [アーラン] 加えられた呼量は, [アーラン]

40 3.6.6 トラヒック理論 (1) 呼と交換線群 [用語] ① 完了呼 : 発信者が通話の目的を完了した呼
3.6.6 トラヒック理論 (1) 呼と交換線群 [用語] ① 完了呼 : 発信者が通話の目的を完了した呼 ② 不完了呼 : 接続不能の状態となって 通話の目的を完了できなかった呼 ③ 即時式 : 接続不能のとき呼を拒絶する方式 ④ 待時式 : 接続不能のとき接続可能になるまで待ち, 空き回線により接続する方式 ⑤ 完全線群 : すべての出線が使用中でなければ 接続不能とならない交換線群 ⑥ 不完全線群 : いずれかの出線が空いているにもかかわらず 接続できないことがある交換線群

41 (2) 同時接続数における ポアソン生起とマルコフ過程
入線数が無限大で,出線数が有限個 n の交換機接続を考える。 出線 入線 r (同時接続数) 交換機 n:出線数 無限大 入線数が無限であるから入線側の呼数は,0~∞までを取りうる。 出線数が n であるため同時接続数の取りうる値は 0 ~ n である。 また,接続は即時式完全線群であるものとする。

42 (a) 前提 呼の生起は互いに独立であり,どの時間でも同じ確率で発生し,
非常に短い時間だけに着目すると1つの呼だけが生起するポアソン生起であり, 平均保留時間は指数分布に従うものとする。 ある時刻の回線保留数(同時接続数と呼ぶ)が r 個である確率を Pr(t0+Δt )と して, ① 時刻 t0で(r-1)個の同時接続があり, Δtの間に1つの呼が生起する。 ② 時刻 t0で(r+1)個の同時接続があり, Δtの間に1つの呼が終了する。 ③ 時刻 t0で r 個の同時接続があり, Δtの間に呼の変化が起きない。 という関係を考える。

43 (b)マルコフ過程が成立する場合の式 以上の関係が成立すると,以降の状態の推移は,t 0 の状態
によってのみ決まり,時刻の設定にかかわらず,そのときの状態が同じであれば 推移の確率は同じであり,それ以前の推移とは独立である。 このような確率過程をマルコフ過程と呼ぶ。 マルコフ過程が成り立つ場合は, 同時接続数が r となる確率をPr ,呼量を a とすると次の式が成立する。 (1)

44 (3) アーランのB式 式の展開① まず(1)式を次のように変形する。 (2) この式に r = 0 を代入し,P-1 = 0とすると,
(4) 更に r = 2 を代入すると, (5)

45 式の展開② 更に r = 3 を代入すると, (6) 以下,同様にして, (7)

46 式の展開③ ここで, だから, (8) したがって,同時接続数 r の確率Pr は (9)

47 式の展開④ 即時式の場合,損失呼は拒絶され消滅するので,有効な呼量 ac は, 同時接続数 r と確率 Pr の積の総和であるから,
(10)

48 式の展開⑤ したがって,呼損率 は, (11) この式をアーランB式またはアーラン損失式と呼ぶ。

49 式の比較 比較すると r = n のとき,以下の式が一致する。 (9) 一つの呼が生起したとき,入線の同時接続数が n である割合
を呼損率とみなすことを示している。 すなわち,損失呼は消え去っていくことを仮定しているので, これを損失呼消滅の仮定という。 (11)

50 (4) 即時式完全線群の他の理論式との比較 即時式完全線群の理論式には,アーランB式以外にモリナ式,
エングセット式(以前マーチン式とも呼ばれていた)等があり, これらの比較を示す。             条件 生起呼 損失呼 式 入線数 出線数 条件 処理 アーランB式 無限大 有限 ランダム呼 消滅 モリナ式 無限大 無限大 ランダム呼 保持 エングセット式 有限 有限 平滑呼 消滅 (またはマーチンの式)

51 (5) 即時式完全線群負荷表 式(11)で,呼量を確保するための必要最低限の出回線数を計算するのは 面倒であるため,アーランB式を数表化しておくのが一般的である。 その表は即時式完全線群負荷表と呼ばれる。 例えば,呼損率 0.1,運ばれた呼量 10 アーランとすると加わる呼量は   a = ac /(1-B) = 10/0.9 ≒ 11.1 とできるので,B = 0.1 かつ a>11.1 となる最小の n を見つけると,n = 14 となる。  (単位:アーラン)  (単位:アーラン) 呼損率 B n        呼損率 B n

52 即時式完全線群負荷のグラフ 以下は,即時式完全線群をグラフにしたものである。 B=0.1 加わる呼量(単位・アーラン) B=0.01
出線数 n

53 [補足] 理解を深めるために,即時式完全線群負荷表を生成するための Visual Basic for Excel プログラム例を示す。
シート“Sheet1”のセルA2にnの最大値を入力し,セルB3,C3,D3,・・・に 呼損率Bの値を並べ,実行すると,即時式完全線群負荷表が生成される。 [補足] Function 呼損率計算(A, N) ‘ 呼損率の計算 分子 = 1: 分母 = 1 For i = 1 To N 分子 = 分子 * A / i: 分母 = 分母 + 分子 Next 呼損率計算 = 分子 / 分母 End Function Function アーラン(N, B) A1 = 0: A2 = N Do While A1 < A2 A = (A1 + A2) / 2: BB = 呼損率計算(A, N) If Abs(B - BB) < Then アーラン = A Exit Function ElseIf BB > B Then A2 = A Else A1 = A End If Loop Loop アーラン = A End Function Sub ボタン1_Click() With Worksheets("Sheet1") Num = .Cells(2, 1) If Num = 0 Then Exit Sub For N = 1 To Num .Cells(N + 3, 1) = N Next j = 2 Do While Val(.Cells(3, j)) <> 0 B = .Cells(3, j) .Cells(N + 3, j) = アーラン(N, B) j = j + 1 End With End Sub

54 (6) 呼損率数表 加わる呼量に対して出線数別の呼損率を示した呼損率数表も用いられる。 例えば入線に8アーランの呼量が加わり,
出線数を10として表を索引すると, 呼損率は0.122となる。 したがって,出線数に運ばれる呼数は    ac = 8×(1-0.122)= 7.02 [アーラン] 加わる          出  線   数 呼 量 3  4  5  6  7  8  9  10  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13 

55 (7) アーランC式 入線数が無限大でランダム呼,出線が有限 n 本, 待合せに制限がないものとし,
保留時間は指数関数で与えられるものと仮定する。 呼が生起したとき,出線が会話中のため待合せに入る確率(待合せ率と呼ぶ)は, 以下の式で与えることができる。 待合せ率: (12) この式を待時式完全線群におけるアーランC式またはモリナの待合せ式と呼ぶ。

56 待合わせ時間 t 時間以上待ち合わせる確率: 式(12)の確率で待ち合わせた呼の 平均待合せ時間および t 時間以上待ち合わせる確率は,
交換機の平均保留時間を h とすると, 平均待合せ時間: (13) t 時間以上待ち合わせる確率: (14)

57 待合わせ率の例 以下の表では,平均待合せ時間は平均保留時間を単位として示す。
  M(0) 待合せ率M(0)単位:アーラン  平均待合せ時間(W/h)         出線能率(η=a/n) 出線数 % 1.0% 10.0% % 7.3% 25.0% % 14.3% 34.7% % 20.2% 41.3% % 25.2% 46.3% % 29.3% 50.1% % 32.8% 53.2% % 35.8% 55.8% % 38.4% 58.0% % 40.8% 59.9% % 42.8% 61.5% % 44.7% 63.0% % 46.4% 64.2%

58 待合せ率をグラフ化すると,呼損率に非常によく似ている。
待合わせ率のグラフ 待合せ率をグラフ化すると,呼損率に非常によく似ている。 M(0)=0.1 待合せ率 M(0)=0.01 M(0)=0.001 出線数 n

59 出線能率(η=a/n)と出線数nの関係を示す。
出線能率のグラフ 出線能率(η=a/n)と出線数nの関係を示す。 M(0)=0.1 M(0)=0.01 M(0)=0.001

60 (8) 必要出線数 回線の使用率と平均待合せ時間の関係を出線数別に示す この図により最低限必要な必要出線数を算出することができる。 n=6

61 2アーランの負荷があり,平均保留時間2秒,平均待ち時間0.1秒以下のとき,
平均保留時間当たりの平均待合せ時間は0.1/2 = 0.05である。 したがって,W/hは0.05を下回らなければならない。 n=6 n=5 n=7 n=1 n=2 n=3 n=4 n=8 n=9 n=10 n=11 n=12 n=13 これ未満でなければならない。

62 一方,n = 4のとき使用率は2アーラン/4 出線 = 0.5, n = 5のときの使用率は,2/5= 0.4である。
図からそれぞれの交差点を求めると, n = 4のとき約0.09,n = 5のとき約0.02となる。 したがって必要出線数は最低5本となる。 n=6 n=5 n=7 n=1 n=2 n=3 n=4 n=8 n=9 n=10 n=11 n=12 n=13 これ未満でなければならない。

63 待ち合わせ時間の表を生成するためのプログラム。生成された表を折れ線グラフ化 することで使用率と平均待ち合わせ時間のグラフが得られる。
Function 待合せ率(A, N) 分子 = 1: 分母 = 1 For i = 1 To N - 1 分子 = 分子 * A / i: 分母 = 分母 + 分子 Next 分子 = 分子 * A / (N - A): 分母 = 分母 + 分子: 待合せ率 = 分子 / 分母 End Function Sub 平均待合わせ時間() With Worksheets("Sheet1") For i = 1 To 13            ‘ 出線数を1行目2列目以降に並べる .Cells(1, i + 1) = i         DT = 0.1: i = 2 Do While DT < 0.9           ‘ 使用率を1列目2行目以降に並べる .Cells(i, 1) = DT: DT = DT : i = i + 1  Loop j = 2 Do While Val(.Cells(1, j)) <> 0 N = Val(.Cells(1, j)): i = 2 Do While Val(.Cells(i, 1)) <> 0 ‘ 使用率×出線数をアーランとして待合せ率を計算する A = N * Val(.Cells(i, 1)): .Cells(i, j) = 待合せ率(A, N) / (N - A): i = i + 1 Loop j = j + 1 End With End Sub

64 (9) 総合呼損率 (a) 直列系システム 呼損率の取扱いは,信頼性計算における故障率の計算に似ている。
  直列系の総合呼損率:B =1-(1- B 1 )×(1-B 2 )×・・・×(1-B n ) 発信呼量 a 総合通呼量 a(1-B1)(1-B2)・・・(1-Bn) a(1-B1) a(1-B1)(1-B2) 呼損率 B1 呼損率 B2 呼損率 Bn

65 (b) 並列系システム 並列系の場合,総合通呼量は,
a×(1-B1)+a×B1×(1-B2)+・・・+aB 1× B 2×・・・×(1-Bn) =a×{1-B1+B1-B1×B2+B1×B2-B1×B2×B3・・・ -B 1× B 2×・・・×Bn-1+B 1 ×B 2・・・×Bn-1 -B 1 ×B 2×・・・×Bn} =a( 1-B 1 ×B 2×・・・×Bn) すなわち,並列系の総合呼損率:B = B 1 ×B 2 ×・・・×B n 発信呼量 a 呼損率 B1 a(1-B1) 総合通呼量 a×(1-B1)+a×B1×(1-B2)+・・・ aB 1 ×B 2×・・・×Bn-1 ×(1-Bn) =a( 1- B 1 ×B 2×・・・×Bn) aB1 呼損率 B2 aB1 (1-B2) aB 1 B 2・・・Bn-1 (1-Bn) aB 1 B 2・・・Bn-1 呼損率 Bn


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