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Published byJacopo Simonetti Modified 約 5 年前
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菊池 均 y@kkch.net 名鉄病院 予防接種センター
ワクチンの話題 水痘・帯状疱疹と、百日咳 菊池 均 名鉄病院 予防接種センター 2019/10/25 富山大学
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名鉄病院 予防接種センター 海外渡航者前ワクチン接種 定期予防接種 留学前接種 赴任家族に定期接種 が必要
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情報源 渡航医学先進国の知識を日本の状況に適用する 予防接種ガイドライン(毎年更新) 予防接種の手引き 近代出版
予防接種の手引き 近代出版 感染症予防必携 日本公衆衛生協会 予防接種に関するQ&A集 日本ワクチン産業協会 (2018がウエブ公開) 海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス2019 横浜市衛生研究所 各国の予防接種 : 114か国の定期予防接種 WHO International travel and health Country List : 黄熱、マラリア要求詳細。各国がWHOに報告。あたらずとも遠からず。 Disease distribution maps : 感染症常在地域マップ。渡航者説明用に印刷しておく。 CDC Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases 通称 Pink book (ウエブ公開) 米国の予防接種マニュアル。appendixに実用資料多数。 CDC Travel : 国別情報: Destinations CDC Vaccine :
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情報源: 教科書
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接種部位
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皮下注射 出典:Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases 13th Edition (2015) Chapter 6, CDC Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases The Pink Book: Course Textbook - 13th Edition (2015)
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筋肉注射 出典:Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases 13th Edition (2015) Chapter 6, CDC
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筋肉注射の注意点 ワクチンでは やっちゃダメ! 肩峰下滑液包注射に ならないように! 体格に応じて、刺入 深さを調節 刺す時の感触を 大切に
患者の体が逃げると こうなりやすい 体格に応じて、刺入 深さを調節 1インチにこだわらない 刺す時の感触を 大切に ワクチンでは やっちゃダメ! 六号通り診療所所長のブログより引用
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接種の注意点 西暦で記録 既往歴・現症 接種記録を残す 現在の症状(体温37.5度以下) アレルギー、免疫抑制状態の確認 過去の接種歴の確認
母子手帳に記録 記録カードを作る 接種者サインをする
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破傷風トキソイド USAでは20歳以上で10年ごとにTdap定期接種 外傷で傷口から入り、傷口が閉じた後に嫌気的に増殖
外傷後の安全な治療を期待できない滞在ですすめる。 基礎接種 0,3~8wk, 6~18M。 追加接種 10年毎 外傷ハイリスク者は、5年毎にブースター 生年別の 抗体保有状況 定期予防接種への破傷風導入が1968 (S43)。 20才以下 ⇒ 原則不要(定期接種でDPT, DT 11~12才) 20才以上~S43生 ⇒ 追加1回 S43以前生 ⇒ 基礎接種から行う 基礎接種していなければ ⇒ 基礎接種 USAでは20歳以上で10年ごとにTdap定期接種 外傷後もTTでなくTdapを使う
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破傷風抗毒素抗体陽性率 昭和44年(1969年)以降生の抗体陽性率はワクチン世代で高値。 生年
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外傷後の破トキ(T)とγグロブリン 破傷風を起こす可能性の高い汚い創の場合 破傷風を起こす可能性の低い創の場合 TT 1) TIG TT
暴露前予防: S43年以前生まれは、定期接種していないものとみなして、T→T→DTPの0,3-8w,6-12M S44年以降生まれは、定期接種でDPTを受けているので、ブースターとして、DTaP 1回接種 暴露後予防: 破傷風トキソイドとガンマグロブリン250IU 接種を検討 治療:抗生物質とガンマグロブリン5000IU 破傷風を起こす可能性の高い汚い創の場合 破傷風を起こす可能性の低い創の場合 TT 1) TIG TT 3回未満 ○ × 3回以上 × 2) × 3) 接種歴 TT: 破傷風トキソイドワクチン TIG: 抗破傷風ガンマグロブリン 1) 受賞後24時間以上たっているときは投与する。 2) 最終接種から5年以上経過しているときは接種する。 3) 最終接種から10年以上経過しているときは接種する。 出典:外傷後の破傷風予防のための破傷風トキソイドワクチンおよび抗破傷風ヒト免疫グロブリン投与と破傷風の治療
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ジフテリア・百日咳・破傷風(DTP3種混合)
百日咳は単独ワクチンがない。成人の百日咳が問題。 日本では DTP(DTaP) 0.5mlで tDaPとして使用するとよい。 ビケンのDPTが、成人も適用を取って2018年1月発売再開。DPT-IPVより廉価 破傷風の基礎接種には不十分の可能性があるがブースターとしては充分。 DTP世代に有効。 海外では、成人用3種にTdapが存在(apは無細胞性百日咳) オーストラリア、米国では産科見舞いにも百日咳を要求。コクーン戦略
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百日咳予防の課題 日本国内の百日咳患者は、思春期や成人での百日咳患者の割合が増加。(小児科定点)
青年・成人において、百日咳患者数増加 (百日咳 2005~2007 , IASR Vol. 29 p : 2008年3月号) 思春期や成人の百日咳は診断・治療が行われないまま見逃され、新生児・乳児への感染源となる。感染源対策として、百日咳流行対策が重要。 小児科学会 予防接種に関する要望書 2008/7/24 DTII期接種に百日咳を加えること、成人予防接種の考え方の導入などについて要望 学会が厚生労働省に要望書提出 DT2期をTdapへ! ?百日咳の流行の実態は? ?DPT追加接種の安全性? 百日咳の全数報告調査を開始 DPT追加接種の治験を開始 2016年2月承認取得 日本国内の百日咳予防の課題について説明致します。 日本国内の百日咳患者数は、小児科定点報告にもかかわらず。近年では思春期や成人の患者数の割合が増えています。 この状況下で、特に問題となるのが、思春期や成人が生後3か月未満のワクチン未接種の乳児への感染源になり得るという点です。 国内では生後3カ月未満の乳児は、ワクチンによって免疫をつけることができないために、入院、場合によっては亡くなったりすることもあります。 百日咳は、子どもたちだけの病気ではなくて大人の病気に変わってきたということ、その大人がワクチン未接種児への感染源になることがあるため、この世代の百日咳対策が課題となっています。 14
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全国約3,000か所小児科定点医療機関による百日咳患者数
百日咳の患者数 ◉ 百日咳患者報告数は、小児科定点からの報告であるにもかかわらず、15歳以上の割合が高いことが特徴です。 ◉ 思春期や成人の百日咳は典型的な症状を示さない事があるため見逃され、ワクチン未接種の新生児・乳児への感 染源となる場合があります。 ◉ 思春期や成人の集団感染を適時、的確に把握するために、百日咳は全数把握疾患に変更されました(2018年1 月より)。 全国約3,000か所小児科定点医療機関による百日咳患者数 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 患者数 (人) 60 50 40 30 20 10 15歳以上の患者割合 (%) 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 (年) 33.7 40.7 44.2 52.8 41.0 37.6 33.9 26.3 28.5 2,932 6,753 5,208 5,388 4,395 4,087 1,662 2,066 2,675 2,989 患者報告数 割合(15歳以上) 百日咳の感染症発生動向調査が開始された1982年以降、百日咳患者数は増減を繰り返しながらも近年では当時の約10分の1に減っています。 一方、患者の年齢構成を見てみると、15歳以上の割合は、2010年のピーク時には52.8%となり、その後2014年まで減少していますが、最近は上昇傾向にあります。 国立感染症研究所 感染症疫学センター : IASR 2017; 38(2) : 23-38 感染症発生動向調査事業年報より作成 15
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年齢・年齢群別の抗PT抗体保有状況 年齢・年齢群別の抗PT(百日咳毒素)抗体保有状況(2013年度感染症流行予測調査) 16
主に2013年7~9月に採取された血清の測定結果 80 90 100 50 60 70 20 30 40 10 (%) 抗体保有率 1 2 3 4 5 6 7 8 9 11 12 13 14 15 16 17 18 19 0~5 M 20~24 (歳) 6~11 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69 70~ 低下 上昇 年齢/年齢群 ※0~5ヵ月群、15歳、16歳は10名未満の結果 [抗体価測定:酵素免疫法(EIA法)/n=1308] IgG抗体価 (EU/mL) ≧1 ≧5 ≧10 ≧50 ≧100 現在、国立感染症研究所では、5年毎に全国の保健所に依頼する形で各年齢層での血清を幅広く集め、年齢別の抗体保有状況を調べています。 2013年の結果では、予防に必要とされる10EU/mL(ELISA単位)以上の抗PT抗体保有率が生後6~11カ月で最も高くなっています。これは、ワクチン接種による上昇と考えられます。 5歳くらいになると30%以下まで落ちてしまいます。ところが、6歳以降はワクチン接種をしていないにもかかわらず抗体価が上昇しており、百日咳の感染が推察されています。さらに、11歳頃にも段階的な上昇が認められることから、ここでも感染していることが考えられます。 この抗体保有状況からは、5~6歳頃と11~12歳頃にワクチンを接種することで感染のリスクを抑えることができると考えられますが、残念ながら、日本ではこの年齢での定期接種の機会がないので、このため5歳以上の患者が増えていると考えられています。 [2013年度百日咳感受性調査実施都道府県] 北海道、東京都、福井県、愛知県、愛媛県、高知県、福岡県 国立感染症研究所. 百日せきワクチン ファクトシート, 2017年2月10日より一部改変 16
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2018年1月1日から5類の全数把握疾患に 届出基準 症状や所見から疑いかつ下記の検査所見により診断
検査確定例と接触歴があり百日咳の臨床的特徴がある場合 検査方法 検査材料 分離・同定による病原体の検出 鼻腔、咽頭、気管支などから採取された検体 PCR法による病原体の遺伝子の検出 ※ PCR法はLAMP法などを含む 抗体の検出 (ペア血清による抗体陽転又は抗体価の有意な上昇、又は単一血清で抗体価の高値) 血清 【解説】 2018年1月より百日咳は、全ての医師が届出を行う全数把握の対象疾患に変更されました。小児科定点からの届出基準では、定点でない医療機関での発生についてサーベイランスで見つかりにくいなどの問題がありました。 医師は「病原体診断に基づいて百日咳を検査診断し、百日咳と診断した場合には、7日以内に全年齢で報告する」ことになります。 診断基準は、従来まで臨床診断を中心とした診断でしたが、LAMP法による病原体遺伝子の検出、抗体の検出などによる診断が求められるようになりました。 成人も含めた百日咳の対策を考える際に重要なことは、「百日咳が一体、日本でどういう状態になっているか。疫学や疾病負荷の実態はどうなっているのか」を正しく理解することで、これが適切に運用されれば日本の百日咳の現状をより正確に知ることができるようになります。 2017年までとの違い 小児科定点から全医療機関報告へ:小児だけでなく成人を含めた動向の把握 臨床診断例から検査診断例へ:より特異度の高い症例の把握 出典:第8回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会 (2018年5月17日)「資料6:2018年第1週から第16週に感染症発生動向調査(NESID)に報告された百日咳症例のまとめ」 17 17
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百日咳症例の年齢分布と予防接種歴 (2018年第1週~第52週)(n=11,190*)
年齢中央値:11歳 範囲:0-91歳 【解説】 こちらは、年齢群別の百日せきワクチン接種歴別での百日咳症例報告数です。 9歳をピークとする学童期症例の大多数が百日咳含有ワクチン4回接種完了後となっています。 この年代へのDPTワクチンの追加接種により、 百日咳患者を減少することが可能と考えられる 。 出典: 国立感染症研究所 感染症疫学センター・同細菌第二部 2019年1月7日現在 (掲載日:2019年3月27日) (*)百日咳 感染症法に基づく医師届出ガイドライン(初版)に則った症例のみを抽出 18 18
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百日せきワクチンの接種スケジュール ◉百日せき含有ワクチンの米国と日本における接種スケジュールの違い
3~6か月 1~2歳 4~6歳 11~12歳 米国 日本 DTaP 3回 DTaP 1回 TdaP 1回 DT アメリカと日本の百日せきワクチン接種スケジュールについて紹介します。 アメリカでは6回接種されています。思春期世代へのワクチン接種は、ジフテリアと百日咳の抗原量を少なくしたTdapが使用されています。 日本の百日咳に対する予防接種はDPT-IPV (4種混合ワクチン)を2歳までに4回接種しますが、それ以降は百日咳に対する免疫獲得の機会がありません。 4回接種後は時間の経過とともに感染防御免疫が低下するため、百日咳に対する追加免疫獲得の機会がない年長児や、成人の発症が注視されています。 Tdap:欧米では、乳幼児用のDTaPワクチンからジフテリア、百日せき抗原量を減量した思春期・成人用の三種混合ワクチン(Tdap)が開発され、欧米を中心に導入されている。 国立感染症研究所:百日せきワクチンに関するファクトシート(平成22年7月7日版)より作成 19
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テトラビックに含まれる百日咳防御抗原 PT、FHA
が含まれています。 ◉ 抗PT抗体は百日咳毒素を中和・無毒化することで、毒素がもつ種々の作用を抑制することから、百日咳の予防に 対して中心的な働きをします。 ◉ 抗FHA抗体は百日咳菌の気管上皮細胞への付着を阻害し、感染の成立を阻止する働きがあります。 血清型2凝集原または血清型3凝集原: Fimbriae(Agglutinogen2 or 3) 血清型および菌凝集に関与する表層抗原であり、気管上皮細胞への付着に関与する。 パータクチン:Pertactin (69Kd outer membrane protein) 表在の膜蛋白抗原で、気管上皮細胞への付着に関与する。 線維状赤血球凝集素: FHA(Filamentous hemagglutinin) 主要な防御抗原の一つで、細胞への付着、赤血球凝集作用がある。 抗FHA抗体は、百日咳菌の気管上皮細胞への付着、定着を阻害し、感染成立を阻止する働きをする。 百日咳毒素:PT(Pertussis toxin) 主要病原因子であると同時に、最も重要な発症防御抗原であり、抗PT抗体は百日咳の予防に対して中心的な働きをする。 種々の生理作用(白血球増多、ヒスタミン増感など)を引き起こすが、抗PT抗体によって毒素を中和、無毒化することでこれらの作用を抑制する。 百日咳菌の主要病原因子 百日咳菌の高倍率走査型 電子顕微鏡写真 PT、FHAの電子顕微鏡写真 一般財団法人 阪大微生物病研究会提供 ワクチン最前線Ⅱ-その戦略的展開-, 医薬ジャーナル社, 1991 ワクチンハンドブック, 国立予防衛生研究所学友会 編, 1994 テトラビック、トリビックには発症防御抗原としてPT、FHAが1:1に精製されて含まれています。ここでは、PTとFHAについて詳しく説明します。 PTは、百日咳菌の主な病原因子であり、かつ最も重要な発症防御抗原です。 白血球増多、ヒスタミン増感などの生理作用を引き起こします。 PTに対する抗体はこれら種々の生理作用を中和、無毒化することで、百日咳の発症を防御するとされています。 PTは百日咳菌のみが産生する毒素で、抗PT抗体は百日咳の予防に中心的な働きをすると考えられています。 一方、FHAは百日咳菌の増殖中に菌体表面や周囲に分泌される線維状のタンパク質で、細胞への吸着や赤血球凝集作用を示しますが毒性はありません。 FHAに対する抗体は百日咳菌の気管上皮細胞への吸着・定着を阻害し、感染の成立を阻害するものと考えられています。 百日咳菌の接着因子は、FHA以外にも複数あるため、発症を防ぐ点では、PTが最重要抗原となります。 20
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百日咳の発症と病原因子 主な病原因子と機能 百日咳菌 飛沫・接触感染 気道上皮に菌が付着 定着・増殖 菌体の病原因子 百日咳発症
◎百日咳発症と病原因子 主な病原因子と機能 百日咳菌 飛沫・接触感染 線維状赤血球凝集素 (filamentous hemagglutinin:FHA) 繊毛(fimbriae:Fim) 接着因子 気道上皮に菌が付着 パータクチン(pertactin:PRN):付着因子 BrkA:血清抵抗性、付着因子 Vag8:付着因子 SphB1:FHAを修飾 気道定着因子:付着因子 オートトランス ポーター 定着・増殖 菌体の病原因子 毒素 百日咳毒素(PT):ADPリボース転移酵素活性 リンパ球増加、ヒスタミン感受性 アデニル酸シクラーゼ:アデニル酸シクラーゼ活性 貪食作用の阻害 炎症反応の抑制 壊死毒素:トランスグルタミナーゼ活性 気管上皮細胞毒素:繊毛破壊 図は、百日咳菌の感染と発症のメカニズムを示しています。 百日咳菌には種々の病原因子がありますが、大きくは百日咳毒素(PT)などの「発症」に関わる因子と線維状赤血球凝集素(FHA)などの「感染つまり細胞への接着」するための因子に分けられます。 百日咳菌は、患者の咳や痰から飛沫感染して気道上皮に菌が付着します。この菌の接着には、接着因子としてFHA、Fim働きます。 定着した菌が増殖し、毒素や菌体から分泌される病原因子が関与することで発症します。 菌の産生する毒素の中にはPT、アデニル酸シクラーゼ、気道上皮細胞毒素、壊死毒素があります。 現行の無菌体百日せきワクチンは、無毒化したPT(百日咳毒素)とFHA(線維状赤血球凝集素)を主要抗原としています。 PT抗原は主要病原因子であるとともに、感染防御抗原であることを証明されています。 発症を防ぐという点においてはPTが重要であり、現行の百日せき含有ワクチンは「発症阻止ワクチン」と言えます。 百日咳発症 21 阿部 章夫著 もっとよくわかる! 感染症;病原因子と発症のメカニズム 羊土社, 2014, P142-53より作成 21
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トリビック治験 百日咳PT, FHAのブースター反応率
トリビックの一部変更承認申請に関する臨床試験データの概要 ワクチン評価に関する小委員会2016/6/22
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トリビック治験 ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイドのブースター反応率
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百日せき含有ワクチン DPT-IPV セービン: DPT-IPV ソーク: DTP : Tdap : (国内未承認)
テトラビック (ビケン) クアトロバック (KMB) DPT-IPV ソーク: スクエアキッズ (北里第一三共) DTP : トリビック(ビケン) Tdap : (国内未承認) Boostrix (GSK) Adacel (Sanofi Pasteur) 24 24
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Sanofi Pasteur(Quadracel) Sanofi Pasteur(Adacel)
ワクチン 百日せき防御因子 ジフテリア (Lf) 破傷風 ポリオ PT(μg) FHA(μg) 69kD Fim 1型 2型 3型 備考 DPT-IPV 北里第一三共(スクエアキッズ) 6.0 51.5 5.0 1 ≒15 ≒2.5 40 8 32 ソークIPV 阪大微研(テトラビック) 23.5 - ≦15 ≦2.5 1.5 50 セービンIPV 化血研(クアトロバック) 8.0 32.0 ≦16.7 Sanofi Pasteur(Quadracel) 20 3 5 15 DPT GSK(Infanrix) 25 10 Tdap GSK(Boostrix) 2.5 Sanofi Pasteur(Adacel) 2 DT 0.1mL 換算 北里第一三共・阪大微研 ≦5 ≦1 化血研 ≦2 武田薬品工業 ≒5 ≒1 破傷風TT ≦10 北里第一三共・阪大・生研 破傷風トキソイド含有ワクチン0.5mLの抗原量 69kDはパータクチンともいう。 BoostrixとAdacelを比較すると、百日咳の量がAdacelが少ない。 スクエアキッズは、SanoふぃのQuadracelに似ている。 ビケンのテトラビックは、GSKのInfanrixに組成が似ている。 各製品添付文書より抜粋
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百日咳追加接種のごたごた DT2期の追加接種目的で、DPT(ビケン、化血研)と、Tdap(Sanofi Pasteur)が治験
→ ビケン(トリビック)のみ承認 百日咳患者全数報告から、5~16才にピークがあることが判明 MR2期接種時にDPTとIPVを接種するべきではないか? 海外ではその時期に接種している。 DPT-IPVは5回目の追加接種の認可が取れていない。 DPT(トリビック)とIPV(イモバックスポリオ)をMRと共に接種するのが良いのでは? DPT-IPVの追加接種を5才にもってきたらどうか? 財務省の財布のひもが固くて、財源がないとワクチン追加が通らなかった 消費税UPで財務省のひもはどうなる? じゃぁDT2期はどうするか?
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ポリオ いわゆる小児麻痺 WHO主導で世界で撲滅活動が行われた。 日本では1960年に、1961年にワクチン導入。OPVを2回接種。少ない。
流行国では、小児へのOPV4回接種+予防接種キャンペーン+AFPサーベイ 患者数が減少したら、段階的にIPVへ切り替える。 ワクチン由来ポリオウイルス(VDPV)の放出拡散を防ぐため 2型ポリオ野生株は撲滅状態のため、OPVを3価から2価に変更 →流行国でもOPV2価+IPVに変更 ポリオ拡散を防ぐ為、非流行国でのポリオウイルス、ポリオワクチンを廃棄 →2019年3月、ポリオNT検査中止に。 日本では1960年に、1961年にワクチン導入。OPVを2回接種。少ない。 世界的には、OPVまたは不活化ワクチン(IPV)を3~5回接種。 米国ではIPV4回接種。海外でOPVを接種してきた人には、IPVとOPVの合計4回接種すること、4回目は4才以上で接種する事を求めている。 日本では2012年に定期接種はIPVに移行した。2014年8月にOPVは終了した。 流行地で、医療機関や、人道支援ボランティア等現地の貧困層と接触する場合や汚水と接する場合、ポリオワクチン接種。
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2004年頃インド周辺とナイジェリア周辺にまで封じ込めたが、再流行。 2019年3月現在、WHOの指定するポリオのリスク国
ポリオ野生株流行国はパキスタン、アフガニスタン、ナイジェリア。ポリオ接種接種推奨。 ワクチン由来ポリオ株流行国は、cVDPV3はソマリア、cVDPV1はインドネシア、パプアニューギニア。cVDPV2はコンゴ民主共和国、ケニヤ、ニジェール。 ポリオ推奨、ポリオ要求は、WHO ITH, IAMAT参照 出典:WHO international travel and health homepage
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ポリオ患者発生状況 2018年WPV (野生株,濃青) : 33例、cVPDV (ワクチン由来株,濃橙) : 104例
(1/1~ 10/16) 出典: WHO GPEI
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アンゴラ カメルーン 中央アフリカ共和国 チャド 中国 コンゴ民主共和国 赤道ギニア エチオピア ガーナ
ポリオ接種推奨国(=ポリオ発生国) 2019年10月16日現在 アンゴラ カメルーン 中央アフリカ共和国 チャド 中国 コンゴ民主共和国 赤道ギニア エチオピア ガーナ ギニア インドネシア ケニヤ ラオス リベリア マダガスカル モザンビーク ミャンマー ニジェール ナイジェリア パプアニューギニア フィリピン シエラレオーネ ソマリア 南スーダン ウクライナ ポリオ発生国からの入国者にポリオワクチンを要求する国 アフガニスタン、ベリーズ、ブルネイ、エジプト、グルジア、インド、 イラン、イラク、ヨルダン、レバノン、リビア、モルジブ、モロッコ、 ネパール、オマーン、パキスタン、カタール、セントキッツネイビス、 サウジアラビア、セーシェル、スリランカ、シリア
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ポリオワクチン 1975〜77年生まれの者 は I 型の免疫が低かったため、追加接種の実施を厚生労働省は推奨。 ポリオ追加接種方法:
小児の定期接種でOPV2回接種後、IPV1回追加、以後10年ごとに1回追加 小児の定期接種でIPVを4回接種後、5年後にIPV1回追加、以後10年ごとに追加。 成人の場合、IPV1回ポリオ追加。 IPV単味と、DPT-IPV、セービンIPVとソークIPV 野生株由来IPV: イモバックスポリオ(IPV)、 スクエアキッズ(DPT-IPV) ワクチン株由来IPV: テトラビック(DPT-IPV) 、 クアトロバック(DPT-IPV) 流行地に行くなら、海外でポリオ予防実績の豊富な野生株由来を使いたい。 スクエアキッズは2020年5月頃に販売停止予定なので注意。
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麻疹・風疹・おたふく・水痘 2007年 関東の大学を中心にで麻疹流行 2012~13年 関東、関西、福岡、鹿児島で風疹流行
2007年 関東の大学を中心にで麻疹流行 2012~13年 関東、関西、福岡、鹿児島で風疹流行 → 青年層の免疫低下 個人防衛:抗体検査と追加接種を。 麻疹: NT法≧4倍 PA法≧256倍 風疹: HI法 男≧16倍 女≧32倍 EIA/IgG 男≧6.0, 女≧8.0 おたふく: EIA/IgG 5.0以上 水痘: IAHA法 4倍以上 EIA/IgG 4.0以上 環境感染学会「医療関係者のためのワクチンガイドライン 第2版」に基づく抗体測定の場合は麻疹をPAで測ると良い。
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MMR(麻疹、流行性耳下腺炎、風疹) 日本では2005年からMR(麻疹、風疹混合)ワクチン2回接種 先進各国はMMRを2回接種 日本では、
それまでは1回接種のみ。 1989年4月~1993年4月までMMR実施した。 かつて日本では自然感染がブースターになっていた。 臨時で3期、4期のMR接種 先進各国はMMRを2回接種 日本では、 麻疹はここ数年は輸入が中心になった。 2014年に小流行 風疹は2012年以降大流行した。 できるだけ抗体を測定し、陰性の場合にのみ接種する。 USAでは成人になったらMMRと水痘を1回追加接種。
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麻しんの世界流行 ヨーロッパでの流行 反ワクチングループのキャンペーン、難民受け入れ
2018年前半の麻疹報告数 (1)ウクライナ2万3070人(死者8人)(2)セルビア4954人(同14人)(3)フランス2579人(同2人)(4)イタリア2020人(同4人)(5)ギリシャ2130人(同2人)(6)ロシア1396人(同2人)(7)ジョージア1128人(同2人) Measles case distribution by month and WHO Region ( ) WHO Measles and Rubella Surveillance Data
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麻しん確定患者数
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名古屋市は2010年度からおたふくかぜワクチンの半額助成を開始。
2016年には累積接種率が80~90%に達した。
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狂犬病 致死的な疾患。 患者報告数が多いのはインド 媒介動物はイヌだけではない。 かまれる前にワクチンを打つ方法=暴露前接種
発病したらほぼ100%死亡。 患者報告数が多いのはインド 媒介動物はイヌだけではない。 アジア・アフリカ:イヌ アメリカ: アライグマ、吸血コウモリ ヨーロッパ: キツネ かまれる前にワクチンを打つ方法=暴露前接種 かまれた後にワクチンを打つ方法=暴露後接種 海外でかまれて、暴露後接種をするかどうか迷ったら、接種する。 暴露後接種の判断について 日本は狂犬病清浄国。日本で咬まれた場合、通常狂犬病ワクチンは不要だが、 外来種(アライグマ)に咬まれた場合、外航船のクルーの犬だった場合、 出自不明の輸入動物に咬まれた場合、などなど、迷うことも多い。 迷ったら、接種する。(あとからとりかえしつかないため)
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狂犬病流行地図 出典:WHO international travel and health homepage
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狂犬病ワクチン 2019年7月 Rabipur が発売。筋肉注射のみ。(皮内接種法は未認可)
世界標準のプロトコルがようやく使えるようになった。 出荷量はこれまでのKMBと同程度なので、暴露前には不足。暴露後は可能。 咬まれる前の接種=暴露前接種(pre-exposure) WHO2010方式:0,1w,3-4w WHO2018方式: 0,1w-1Y ← WHOのPosition Paperで、2回にする推奨。 咬まれた後の接種=暴露後接種(post-exposure) WHO2010方式: 曝露前接種歴ありの場合: 0,3d 曝露前接種歴なし/不完全の場合: 0,3,7,14,28d (essen方式) 0,7,21d 初回は2本接種 (Zagreb方式, 中国で普及) WHO2018方式: 暴露前接種歴ありの場合: 0,3d または 0d(皮内4か所接種) 暴露前接種歴なし/不完全の場合: 0,3,7,14-28d またはZagreb方式 発病後の治療方法=なし。ほぼ100%死亡 ミルウォーキープロトコル? 日本でのワクチン不足問題 平成18年に、日本人2人がフィリピンで狂犬病に感染し日本で発病し死亡した。その後狂犬病ワクチン供給が不足。
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曝露前接種の考え方 (USA) 常時空気曝露を受ける人: 研究者、洞窟探検者: 曝露時点が不明 まれに空気曝露を受ける人: 研究所勤務者
常時空気曝露を受ける人: 研究者、洞窟探検者: 曝露時点が不明 → 防御レベルの抗体を常時維持する。 → 基礎接種後、半年毎に抗体検査、陰性なら1回追加接種 まれに空気曝露を受ける人: 研究所勤務者 → 防御レベルを2年毎に確認 → 基礎接種後、2年ごとに抗体検査、陰性なら1回追加接種。 動物曝露を受けるリスクの高い人: 獣医、渡航者 → 免疫記憶を維持する。 → 基礎接種で免疫をつける。曝露を受けたら曝露後接種2回。 日本では抗体検査ができない。 空気曝露の人は、基礎接種後1年後と、5年ごとに追加接種。
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おつかれさまでした 菊池 均 y@kkch.net
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日本脳炎 宿主はブタ。媒介は蚊。日本~インドに広く分布 不活化ワクチン。 基礎接種:0, 1-4wk, 6Mの3回接種で数年~10年の効果。
定期接種歴のある場合は1回追加。 接種1~2日後に5%程度に一過性の発熱 免疫原性は高い。 2回接種で3年程度の免疫が期待できる。 間隔が伸びても免疫原性はかわらない。→ 打ち直し不要 積極的勧奨中止に対するキャッチアップスケジュール 平成18年度以前生まれ: 19才までに4回接種できる。 平成19年度~平成21年10月1日: 2期に1期の接種漏れを打てる。
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日本脳炎流行地図 出典:WHO international travel and health homepage
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日本脳炎の発生状況 宮崎 千明: 2014年度版日本脳炎ワクチン~細胞培養ワクチンと積極的勧奨の再開~, アステラス
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宮崎 千明: 2014年度版日本脳炎ワクチン~細胞培養ワクチンと積極的勧奨の再開~, アステラス
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日本脳炎流行地図 出典:WHO international travel and health homepage
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宮崎 千明: 2014年度版日本脳炎ワクチン~細胞培養ワクチンと積極的勧奨の再開~, アステラス
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日本脳炎の接種特例と不規則接種 積極的勧奨の中止(H17-H21)に対するキャッチアップ
平成7年度~平成18年度生まれ=19才までに4回定期可。 平成19年度~平成21年10月1日生まれ=2期に1期分も定期。 接種間隔は1-2が4w,2-3が6M-1Y,3-4が1w以上5Y-10Y 判断に困ったときに役に立つ、専門家の意見: 日本脳炎は免疫原性が高いワクチンなので、接種間隔が多少乱れても接種回数分だけ免疫が上がると考えて良い。 1回目と2回目の間隔は、4週間程度空けた方が抗体の上昇が優れる。
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B型肝炎 血液、体液で感染。 感染すると急性肝炎を起こし一旦治癒する。 20~30年後に肝硬変から肝癌に移行するリスク。 海外での感染リスク
外傷、交通事故などでの不衛生な処置、輸血 性交渉、静脈ドラッグ 現地雇用のメイドがキャリアの場合 世界のほとんどの国では、B型肝炎を定期化。 WHOが1992年にユニバーサルを推奨 日本は世界的には特殊な選択的方法で対策を行った。 1996年 2016年10月、ついに日本もユニバーサル開始 ヘプタバックス供給停止 0.5ml : 2019年10月頃~ 0.25ml: 2020年1月頃~ 再開: 早くても、2020年半ば以降
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B型肝炎流行地図 出典:WHO international travel and health homepage
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B型肝炎ワクチン 基礎接種: 0,4w, 20w~1Y、追加接種10年ごと1回 年齢とともに免疫原性が下がる。特に30才以上。 製剤について
皮下注、筋注いずれも可。筋注の方が少し抗体上昇良い。 製剤について ビームゲン® 化血研: チメロサール入り。 10才以上用 0.5ml と、小児(10才未満)用 0.25ml がある。 成人用 10μg, 10才未満 5μg ヘプタバックス® MSD チメロサールフリー。 0.5ml バイアルのみ。 小児(10才未満)に使うときには0.25ml使用し、残りは廃棄。 年齢とともに免疫原性が激減。 Engerix B (R) GSK 成人用 20μg, 小児 10μg
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B型肝炎と接種時年齢 筋肉内投与 皮下投与 HBs抗体陽転率 100 100 HBs 抗体価 10 10 0 1 2 3 4 5 6 7
(mIU/mL) 211.7 (mIU/mL) 187.4 10~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 ≥50歳 145.3 10~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 ≥50歳 100 100 84.3 75.6 46.8 54.0 38.8 HBs 抗体価 24.2 17.5 10 10 幾何平均値 幾何平均値 0 1 2 3 4 5 6 7 (ヵ月) 0 1 2 3 4 5 6 7 (ヵ月) HBs抗体陽転率 全 体 筋肉内投与 皮下投与 92.4% (1,438/1,557例) 95.0% (662/697例) 90.2% (776/860例) 飯野四郎 他 .薬理と治療 1987 ; 15(6) : 2383-2388 山本祐夫 .薬理と治療 1987 ; 15(6) : 2389-2402 飯野四郎 他 .薬理と治療 1987 ; 15(6) : 2403-2415
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結果2 n: 菊池ら:B型肝炎ワクチン2、3、4回接種後の年齢別抗体陽性率に関する検討, 日本渡航医学会誌 ( )8巻1号 Page21-25( )
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結果1 n: 17 9 27 48 40 16 4 3回接種後の年齢別抗体価を示す。 横軸が年齢階級で、縦軸が抗体価を示す。
検査値は、茶色が0mIU/ml台、赤が1台、オレンジが2~4、黄色が5~9、黄緑が10~19、青が20~49、紫が50~99、灰色が100以上を示す。 3回接種後、0~19才は抗体陰性率は0%であった。20才代は7%、30才代は23%、40才代は25%、50才代は25%であった。このように30才代以上は4人に一人が陽転しなかった。 また0mIU/ml台の人は30才台で2%、40才代で13%、50才代で13%と、40才代以上で上昇した。 60才代はnが少ないので判断は保留する。 菊池ら:B型肝炎ワクチン2、3、4回接種後の年齢別抗体陽性率に関する検討, 日本渡航医学会誌 ( )8巻1号 Page21-25( )
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B型肝炎:40歳以上の抗体陽性率比較 Twinrix (GSK HB 20μg + HA + アルミアジュバント)
Engerix-B (GSK HB 20μg) + Havrix1440 (GSK HA) HBVacPro(Sanofi-MSD, 10μg)+Vaqta(Merq) J Travel Med Mar-Apr;18(2): doi: /j x. Epub 2011 Feb 7.
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B型肝炎:40歳以上の抗体価比較 Antibody Persistence and Immune Memory 4 Years Post-Vaccination With Combined Hepatitis A and B Vaccine in Adults Aged Over 40 Years J Travel Med Mar-Apr;18(2): doi: /j x. Epub 2011 Feb 7. J Travel Med Mar-Apr;18(2): doi: /j x. Epub 2011 Feb 7.
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