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心理学概論Ⅱ 第5講 2011年10月25日(火) 担当:岡田佳子
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重要なお知らせ 11月8日(火曜日) 休講になります ※補講、レポートなどは詳細が決まったらお知らせします
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第5講 社会心理学の基礎(2)のつづき
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授業で取り上げる主な内容(予定) 1.社会的認知/態度と態度変化 (個人・対人レベル)1回
(個人・対人レベル)1回 ⇒人をどのように理解・判断するか?態度が変化するのはどのようなとき? 2.社会的影響(集団ベル)2回 ⇒集団や社会、多人数者の意見からどのような影響をうけるか? 3.他者への関わり(対人レベル)1回 ⇒人を助ける心理とは・近くに人がいることの影響・・・他? 4.集団と個人(集団レベル)1回 ⇒なぜ、集団間にステレオタイプや偏見、差別がうまれるのか?
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社会的影響(social influence)
わたしたちの信念、態度、行動は 他者の存在のあり方やコミュニケーションによって どのように影響をうけるのか?
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なんでこんなことが起こるのでしょう? (サラリーマン編)
ここ数年でクールビズが話題になったが、そもそも日本のサラリーマンはなんであんなに暑い真夏にありえないぐらい暑いスーツとネクタイをするんだろう?(かわいそうでなりません) (繰越している人は)有給休暇が年間40日も余っているのに、なんでみんな休みをとらないんだろう?(かわいそうでなりません)
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なんでこんなことが起こるのでしょう? (大学生編)
体育会系サークルでは、イッキ飲みってなんでみんなやるんだろう? どうして授業中に一度私語が始まるとだんだんと大きくなってゆくのだろう・・・自分たちだけが話していることに気づくと静かになるのはなぜだろう?
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今日はなぜこのような現象が起こるのかについて、社会心理学の立場から見ていきたいと思います。
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1-1.集団規範(group norm) 集団内の成員に期待される標準的な考え方や行動様式。その集団において成員がとるべき行動に関する基本的な枠組みを提供する。 規則として成文化されたもの 例)校則や法律など(車内ではマナモードに設定し、通話はおやめ下さい) 暗黙のルールあるいは判断基準(こちらが多い) 例)常識や掟など(電車で化粧しない。会社勤めの人はスーツを着るものだ。会社にジーパンで行ってはいけない。夏でもスーツを着るものだ)
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このような規範はどのような過程を通して作り出されるのだろう?
実験的に検討したのがシェリフ(1936)
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集団規範の形成実験 シェリフ(Sherif,1936) ○闇の中で静止している光点を見つめると、それが動いて見えるという自動運動現象を利用
○被験者は完全暗室の中に1人で入れられ、約2秒間呈示される光点の見かけ上の運動量を報告 ○判断値の大きく異なった2~3人が同じ部屋に入れられ、同様の手続きで光点の運動量を報告 ○報告は声に出して行われるので、相手の判断値がわかるようになっている。
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自動運動現象 闇の中で静止している光点を見つめると、実際にはそれが動いていないのに、それが動いて見えるという現象。
夜空の星をじーっと見つめていると、かすかに動いているような気がしません?
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結果(プリントの図1参照) 1人では判断値がバラバラだったのにも関わらず、集団になると、被験者たちの判断値が近づき、やがて安定してくるようになった(図a) ⇒被験者たちの間に、動きの量についてどの位の判断をしたらよいのかの基準が成立したため
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結果(つづき) 逆に集団で判断する場面の後で個人で判断する場面にうつると、集団での判断値が維持される(図b)
⇒集団規範は一度形成されると個人においても行動や判断の基準として存在しつづける
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2-1.同調(conformity) 集団圧力(group pressure) 同調(conformity)
集団には、成員たちに対して意見や態度、行動などを同じにさせようとする圧力が働く 「斉一性の圧力」(pressure toward uniformity)ともよばれる 同調(conformity) ⇒このような状況のもとで、個人の行動や信念が集団の基準に一致した方向へ変化すること
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まぁ、集団に同調することってよくありますよね。日常でも。 それでは・・・ 明らかに誤った判断でも同調は起こると思いますか?
まぁ、集団に同調することってよくありますよね。日常でも。 それでは・・・ 明らかに誤った判断でも同調は起こると思いますか? このことを巧妙な実験で示したのがアッシュ(Asch,1955)
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いくらなんでもこんなの間違えるわけない!
実験を紹介する前に・・・ プリントの図2を見てください 左のカードと同じ長さの線を右のカードのA、B、Cから選んでください。 端から順に口頭で回答お願いします。 いくらなんでもこんなの間違えるわけない!
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同調実験 アッシュ(Asch,S.E.,1955) ○未知の8人の学生をコの字型に着席させて左のカードと同じ長さの線を右のカードから選ばせる
同調実験 アッシュ(Asch,S.E.,1955) ○未知の8人の学生をコの字型に着席させて左のカードと同じ長さの線を右のカードから選ばせる ○本当の被験者は7番目に回答する人のみ。あとはサクラ ○18回のうち12回は、サクラが全員一致で誤った回答を行う 被験者の回答は・・・?
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アッシュの実験のイメージ !? ? C C サクラ 被験者 C サクラ C サクラ C サクラ C サクラ それでは答えて サクラ 実験者
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結果 集団圧力のない統制条件 集団圧力条件 ⇒同調はたとえその規範が誤ったものであっても起こる 誤答は1%に満たない
多数者の判断に同調した誤答が全判断の32%に達する 74%の被験者が少なくとも1回は誤答。 ⇒同調はたとえその規範が誤ったものであっても起こる
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アッシュの実験のイメージ !? C C C サクラ 被験者 C サクラ C サクラ C サクラ C サクラ それでは答えて サクラ 実験者
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補足 自分以外に1人でも味方(正しい判断をする人)がいると、同調はほとんど起こらず、自分も正答を答えられる。
⇒多数派が全員一致であるかどうかが、同調行動を規定する重要な要因
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なぜ多数派に同調するのか? 端的に言うなら 「間違わないため」「他者から好かれるため」
ドイチェとジェラード(Deutch&Gerard,1955) 社会的影響は2つの要素に分けられる ①情報的影響(informational social influence) ←「間違わないため」 ②規範的影響(normative social influence) ←「他者から好かれるため」
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情報的影響(informational social influence)
他者の意見や判断を参考にして、より適切な判断や行動を行おうとすること ⇒シェリフの実験がこれに該当 例)新入生のイッキ飲み アルコールを飲むと自分がどうなるのかについて十分な経験がない。どれだけ飲めるか判断できない。そんなとき、自分と同じ立場にある他の新入生がイッキ飲みをしているという情報を使って、自分も大丈夫だろうと判断する ⇒他の新入生がイッキ飲みを続ける限り自分もイッキ飲みを続ける ※イッキ飲みは絶対にやめましょう 例)大学の講師の服装 会社員は夏でもスーツだけど、大学の先生も夏でもスーツかなぁ?周りの講師をやっている友人に聞いてみる「なに着てる?」女性は夏はスーツじゃない人多いみたいだから、スーツじゃなくてもいいかな。
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規範的影響(normative social influence)
他者からの称賛を得たい、罰を避けたいという動機に基づいて集団規範に合致した行動をとること ⇒アッシュの実験がこれに該当 例)新入生のイッキ飲み 「本当は未成年だからそもそもお酒は飲みたくない」「もうだめだ、気持ち悪くなってきた」「これ以上イッキはやりたくない」でもここで断ると場をしらけさせるな。皆から馬鹿にされるかな。嫌われるかな。※イッキ飲みは絶対にやめましょう 例)有給が取れない 「権利としての有給」という規則とは別の暗黙裡の集団規範が働いている(まぁせいぜい取って夏に3日ぐらいじゃない?みたいな)。それから逸脱すると周囲の人々の非難や排斥を招くと考えてあまり取らない ⇒みんな休まない⇒集団規範を一層強化(悪循環)⇒ますます休まない
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2-3.少数派が多数派を動かすとき 少数派は多数派には絶対にかなわないのか?いつも影響を受けるばかり?
モスコヴィッチ(Moscovici,S) 少数派が目標達成のために多大の犠牲を惜しまず、一貫性のある判断をしつづけると多数派に葛藤が起こる 自らの立場に疑問を抱き、少数派の議論に目を向け、やがてその正当性を認め影響を受ける
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2-3.少数派が多数派を動かすとき 少数派は多数派には絶対にかなわないのか?いつも影響を受けるばかり?
モスコヴィッチ(Moscovici,S) 少数派が目標達成のために多大の犠牲を惜しまず、一貫性のある判断をしつづけると多数派に葛藤が起こる 自らの立場に疑問を抱き、少数派の議論に目を向け、やがてその正当性を認め影響を受ける
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少数派のサクラが一貫して「緑」といい続けると、影響を受けて「緑」と答える人が出てくる(図3)
参考:モスコヴィッチの実験のイメージ 青 青 緑 緑 青 青 サクラ サクラ 少数派のサクラが一貫して「緑」といい続けると、影響を受けて「緑」と答える人が出てくる(図3)
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多数派への同調と少数派の影響の違い 多数派への同調は、表面的(内心はそうは思っていない)なことが多い。
少数派の影響は、集団に新しい観点、創造的な議論を生む(本気でうーんそうかもしれんなぁと思わせる) 多数者とは異なる意見を述べる少数派が存在する集団は全体として新しく、正しい反応を示す割合が高いこともわかっている。 多数派だけの集団は、なんでも自動的に決まっていってしまう⇒集団思考(再来週やります)に陥る危険。
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余談 「12人の怒れる男」という映画見たことある人? 12人の陪審員。最初は11:1で有罪派が多かったが1人が無罪を論理的に主張していったらだんだん無罪派が増えて最後は全員無罪に転じるという話。 この映画は、少数派の影響過程の例で大変有名です。 さらに余談 「12人の優しい日本人」(三谷幸喜・東京サンシャインボーイズ脚本)というのがあるらしい。見比べてみて感想を聞かせてください。
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