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第七課 顔をなくしたふるさと 變了樣貌的家鄉. 私が生まれ育ったふるさと ── 山陰の小さな城下町なのだが、 そこを後にしたのは十歳のときのことだから、もう三十数年 も前のことになる。当時小学生だった私は、学校が終わると 仲間と集まっては、毎日暗くなるまで湖で魚釣りをしたり、 うっそうと茂る杉林に囲まれた城跡で泥だらけになって遊び.

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1 第七課 顔をなくしたふるさと 變了樣貌的家鄉

2 私が生まれ育ったふるさと ── 山陰の小さな城下町なのだが、 そこを後にしたのは十歳のときのことだから、もう三十数年 も前のことになる。当時小学生だった私は、学校が終わると 仲間と集まっては、毎日暗くなるまで湖で魚釣りをしたり、 うっそうと茂る杉林に囲まれた城跡で泥だらけになって遊び 回ったものである。 我土生土長的故鄉 ── 山陰的小城下町,離開那是十歲的時候, 所以已經是三十幾年前的事情了。當時還是小學生的我,學校 一放學就和朋友聚在一起,每天在湖邊釣魚釣到天黑、在被蔥 綠茂密的杉林圍住的城堡遺址,四處遊玩弄得一身泥巴。

3 父の転勤が決まったとき、この仲間たちと別れるのが嫌で、一人でこ こに残ると言って両親をてこずらせたこと、ふるさとの駅を離れる列 車の窓から、遠ざかっていく思い出の山や川を見つめながら身を切ら れるような思いがしたこと、みんな昨日のことのように覚えている。 父親的調職確定時,因為討厭和這些朋友們分開,所以說了要一個人 留在這,使父母親為難,從離開故鄉車站的列車窗戶,一邊注視著漸漸 遠去的記憶中的山和河川,一邊感到心如刀割,這些就像昨天的事一樣。

4 ふるさとの山に向かひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな (石川啄木『一握の砂』より) 望向故鄉的山 說不出話來 感謝故鄉的山

5 先日、仕事の関係で十数年ぶりにそのふるさとを訪 れる機会に恵まれた。ふるさとの駅に降り立って「お やっ」と思ったのは、季節はずれの笛と太鼓の音が聞 こえたからだった。 前幾天,因為工作的關係有個機會造訪久違十幾年的 故鄉。走出故鄉的車站覺得很驚訝、疑惑,因為聽到了 不合時令笛子和太鼓的聲音。

6 迎えに来てくれていた取り引き先の人に、「お祭りですか」 と尋ねると、「いいえ。地元の若い人たちが中心になって、 観光客を増やすために、ああして一年中笛と太鼓で観光客の 歓迎をしてるんです」という言葉が返ってきた。 我向前來迎接的客戶詢問「是祭典嗎」,他回我說「不是。這 是以當地的年輕人為中心,為了增加觀光客,像那樣一整年用 笛子和太鼓來歡迎觀光客」。

7 駅を出てみると、確かに駅前の広場で数人の若い人たち がはっぴ姿で太鼓を囲んでいた。今「地方の時代」とい うことで、ここ数年、私のふるさとを訪ねる観光客もず いぶん増えたのだそうだ。 一出車站,確實在車站前的廣場有幾個年輕人著祭典的短 上衣圍繞著太鼓。現在因為是「地方的時代」,所以聽說 這幾年造訪我的故鄉的觀光客也增加許多。

8 「おかげさまで、あちらこちらでいろいろな整備が進み ましてね」という説明の通り、駅前の一角は昔の面影を なくしてしまっていた。 「托您的福,各處的各種建設都進步了呢」如同他的說明 一樣,車站前的一角已經失去了當年的風貌了。

9 迎えの車の中で、取り引き先の人たちが早速仕事の打ち合 わせを始めた。しかし、私の心ここにあらずで上の空。窓の 外を流れるふるさとの景色を目にしてどこか落ち着かない。 「違う。何かが違う」という思いが頭を離れない。 在來迎接我的車裡,客戶們很快的開始討論起工作的事。但 是我卻心不在焉。看著窗外閃過的故鄉的風景讓我無法平靜。 「不對勁。總覺得有什麼不對勁」的想法在我腦中揮之不去。

10 依頼された仕事を無事に終えた後もそのことが気に なってならない。それで、ここまで来たついでに古 い友人を訪ねたいからと夕食の誘いを断り、一人で 町を歩いてみようと思い立った。 順利做完被委託的工作後還是很在意那件事。因此, 以來到這想順便拜訪老朋友為由推辭了晚餐的邀請, 決定一個人到街上走走。

11 湖で捕れた魚を、安くおいしく食べさせる食堂があっ たのを思い出し、とりあえずそこへ行ってみることにし た。懐かしい町並みを歩き、湖に架かる橋を渡って、腕 白だったころの自分に戻ってみたい。 想起了有間可以吃到便宜又美味、在湖中所捕獲的魚的 食堂,所以決定暫且先到那邊去看看。走在懷念的街道上, 走過架在湖上的橋梁,真想回到當初頑皮的自己。

12 運が良ければ、橋の上から湖に沈む夕日が見えるかもしれ ない。きっとふるさとは、昔と同じように私を迎えてくれ るに違いない。 運氣好的話,也許可以從橋上看到向湖面西沉的夕陽。家鄉 一定會跟從前一樣迎接我的。

13 昔ながらのふるさとに出会えば、心のもやもやもはっきりす るだろう。抑えようにも抑え切れないふるさとへの思いを胸 に、私は、少々の道のりも気にせず歩き続けた。 如果能見到以前的故鄉的話,我內心的鬱悶也會豁然開朗吧。 懷著想壓抑也壓抑不了的對故鄉的思念,讓我不去在意還有一 段路程,繼續走下去。


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