『お姫様とジェンダー』につ いて 山澤成康
若桑みどり( 2002 )『お姫様とジェン ダーアニメで学ぶ男と女のジェンダー学 入門』ちくま新書 有馬哲夫( 2001 )『ディズニーとは何 か』NTT出版
ジェンダーとは 生物学的性差ではなく、文化的、社会的、 政治的かつ心理学的な性差のこと 「女は子供を生み育てるために存在して いる」 「育児をするのだから家庭にいるのが女 の義務だ」 「母性愛は女性の存在理由であり、本能 である」 「子供を産み終わった婆あは生きている 価値がない」
プリンセスストーリー 以下若桑( 2002 )より 困難を自力で克服して幸福を実現するの は男の子 女の子は、王子様と会えるよう、美しく なければならない。 終わりは「幸せな結婚」
プリンセスストーリー 世界でどれほどの女の子が、自分がプリ ンセスに生まれなかったことを悔しく 思っただろう。 プリンセスではないと悟ったとき、可能 な方法は王子様を見つけること 王子様と結婚できないとさとったときど うするのだろう?
幻滅の人生 もし王子様がこなかったり、王子様に 「愛されない」場合には彼女の人生は失 敗である。 こんなふうに他人に幸福にしてもらうこ とを教えられた女の子が、これからの世 界に生きて、社会に貢献していけるだろ うか。
プリンセス、2つのタイプ 以下有馬哲夫( 2001 )より 白雪姫、シンデレラ、眠れる森の美女 リトルマーメイド、ポカホンタス、美女 と野獣
フェミニストの白雪姫への批 判 グリム童話では白雪姫は家事などしない。 ディズニーでは進んで家事をする。 グリム童話では、継母を赤く熱した鉄の 靴をはかせて苦しめて殺す。(白雪姫は それを見て楽しむ)
シンデレラの上昇志向 腹違いの姉妹 原作では、それまでの所行を許されて、 宮殿に住む グリムでは、小鳥に目をつつかれて失明 する。 ディズニーでは、品が悪い女としてだけ 描かれる
シンデレラ 原作では「心優しい娘」が強調される グリムでも控えめな乙女 ディズニーでは、継母や義理の姉妹には 自己主張し、反抗する。積極的に幸せを つかみとろうとしている。
眠れる森の美女 原作では 100 年眠りについていて、王子は 100 年後の世界の青年。 原作では、結婚後の物語もある。 原作では王子の戦う相手はメールフィセ ントではなく、彼女とこともたちを食べ ようとする義理の母。
プリンセスストーリー 男の関心と愛情を得るために他の女と競 争し、男に選んでもらうことによって自 分の価値を決めてもらおうとする枠組み。 プリンセスにとって、結婚とは現状から 抜け出して高い地位と富を得ること。 人柄や才能ではなく、美しさと身のこな しの優雅さで選ばれる。
ディズニーフェミニズム スタッフに女性が加わる リトル・マーメイド(1991) 美女と野獣 ポカホンタス
DVD で比較 「白雪姫」 出会いの場面( 4 ) 小人の部屋へ入ってからの行動( 9 ) 王子様の力で生き返る( 26 )
「美女と野獣」 ベルの性格(3) 野獣との会話(11) ベルの力で野獣が王子様に(20)
魔女の呪いを解いた「アナ雪」 こんにちは 山澤ゼミ 2 年の萩原です。 みなさん プリンセスに憧れたことはあります か? 大きなお城に綺麗なドレス、イケメンな王子様 … わたしは可愛くて美しくていいなと思います。 そこでプリンセス ストーリーに込められた意 味について調べてみました。
白雪姫 白雪姫の願いは「誰か愛して ここに来て」「いつか 王子様が」であり 最終的に王子様と結ばれてハッピー エンドになります。 ↓ 女性にとって 自分を養ってくれる相手と巡り合い結 ばれることが一番の幸せという描き方ではないでしょう か。
美女と野獣 ベルは読書に夢中になり 男性、結婚に興味がありません。 村の人々は「とても風変わりな子」と歌います。 ↓ 結婚相手として最高の男性 ( ガストン:村で一番のお金と権 力を持つ ) に気に入られいて 彼と一緒になれば将来は安定 なのにそれに目もくれないなんて信じられない、と解釈で きるのではないでしょうか。主人公は新たな価値観を持ち 始めているのに対し、世間はそのままという状態を表して います。
塔の上のラプンツェル これまでの男女の家柄設定を振り返ると、 王家の者は男性のみ、または男性と女性 の両方でした。 しかし、この物語では女性であるラプン ツェルのみが生来のプリンセスです。 プリンセスの相手は、あこがれの相手で はありません。 ↓ お金と権力のある男性、つまりプリンス と結婚することが女性の幸せであるとい う概念を打ち破ったのではないでしょう か。
アナと雪の女王 エルサは物語の序盤でお姫様 ( 実質的な権力を持たない少女 ) から女王 ( 社会的責任を負う大人の女性 ) になります。 大人である女王は 白雪姫の女王、眠れる森の美女のマレ フィセントなど多くの場合悪役であり 醜く年老いた姿とし て描かれてきました。戴冠式を境にお姫様でいられなくなっ たエルサにはまさに魔女になるしかないように思えます。 しかし、エルサは悪役にはなりません。 王子様によって救われる=男性に選ばれることによってもう 一度お姫様になるわけでもありません。 エルサを救うのは妹であるアナの愛です。 ↓ 「お姫様の時期を過ぎた女性は魔女になるしかない」という 呪いから女性を救ったのではないでしょうか。
ヒロインが善良、純真、正直であるこれまでの ディズニー映画位の主人公の性質は女の子の価 値観の形成にプラスの効果をもたらしたでしょ う。しかし 幸福の形は様々です。 ディズニー映画は世界中の人々に愛され 影響 を与えています。 これからは自分の意志で力で 自分の人生を切 り開いて生きていくヒロインとその物語がつく られていってほしいと思います。