Paroscientific 社・水晶振動式深度計への ナノレゾリューションテクノロジーの適用 Paroscientific 社日本総代理店 東邦マーカンタイル株式会社 大井 拓磨.

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Paroscientific 社・水晶振動式深度計への ナノレゾリューションテクノロジーの適用 Paroscientific 社日本総代理店 東邦マーカンタイル株式会社 大井 拓磨

ナノ分解能水晶振動式深度計 その 1  新開発のナノ分解能の水晶振動式絶対圧深度計について 【 水晶振動式深度計の基本原理 】 水晶振動子に電圧をかけると水晶が振動します 。 この振動する周波数を一般的に発信 周波数といいますが 、 この発信周波数は水晶に加わる力によって変化します 。 水晶振 動式センサは 、 この水晶の特性を利用したもので 、 荷電された水晶振動子の発信周波 数を測定することによって圧力を検出しています 。 8B7000-I-005 の内部構造を図 1 に 示します 。 外からの水圧はブルドン管を通じて水晶振動子に伝えられます 。 水晶振動 子にはあらかじめ励磁電圧が与えられていて 、 加えられた圧力に応じた共振周波数が 出力されるようになっています 。 水晶振動子の内部気室は 10↑-8Pa の絶対真空になっ ていて 、 この値が基準圧となっています 。 温度補正用の水晶振動子も内蔵されていま す 。 ナノ分解能周波数 カウンター + 双方向 RS232C I/F + 構成は従来の製品と変わらない 図1図1

ナノ分解能水晶振動式深度計 その 2  新開発のナノ分解能の水晶振動式絶対圧深度計について 【 動作原理 】 水晶振動子の発信周波数 ( 公称 35kHz ) は 、 発信周波数より高周波の基準周波数 ( ク ロック周波数 ) によって測定されます ( 周波数カウント方式 )。 この方法では 、 ク ロックのカウント時にクロック波形のタイミングによる最大 “1 カウント ” の 「 カウン ト誤差 」 と 、 信号の立ち上がり 、 立ち下り時の jitter による 「 タイミング誤差 」 の二つ の誤差によって 、 分解能は制約されます 。 従来の方式では 、 発信周波数をカウントす る時間を測定開始から終了までの時間 ( この場合サンプリング周期 ) とし 、 その時間 を基準となるクロック周期 ( 68 ナノ秒 ) で計っていました 。 このため例えば 、 1 秒サ ンプリングのときの分解能は約 1ppmFS ( 百万分の一 ) レベルが限界でした 。

ナノ分解能水晶振動式深度計 その 3  新開発のナノ分解能の水晶振動式絶対圧深度計について 【 ナノ分解能の実現 】 誤差を小さくして分解能をナノレベルに高めるために 、 二つの方法がとられました 。 一つは周波数カウント方式において 、 カウント処理を行う時間を発信周期の 4 サイク ル分 ( 114 マイクロ秒 ) として 、 サンプリング周期よりも短い周期で処理 ( オーバー サンプリング ) することで 、 データの S/N 比を改善する方法であります 。 8B7000-I- 005 ( ナノ分解能深度 ) では 、 カウントに使用するクロック周期を 68 ナノ秒 ( 周波数 14.7MHz) から 17 ナノ秒 ( 周波数 59MHz) に変更して精度を上げています 。 もう一つは 、 カウントするデータ ( 発信周期の 4 サイクル分 ) に対して 、 デジタルローパスフィル ター ( IIR フィルタ ) を適用し 、 高周波ノイズ ( 10 ~ 100Hz もしくはそれ以上 ) を低減 しています ( これら二つの方法を使って処理することをメーカーでは IIR ナノレゾ リューションテクノロジーと呼んでいます 。)。 なおこの方法では 、 タイムドメイン の分解能はフィルタのカットオフ周波数に依存します 。 カットオフ周波数はユーザー により設定可能 ( 0.023Hz ~ 1.4KHz ) となっています 。

ナノ分解能水晶振動式深度計 その 3  新開発のナノ分解能の水晶振動式絶対圧深度計について 【 カットオフ周波数と分解能の関係 】 カットオフ周波数と分解能の関係を図 2 に示します 。 この図から 、 例えばカットオフ周波数 0.7Hz では分 解能 ppm となり 、 従来方式で 1 秒サンプリン グ時の分解能 1ppm に比べて約 1000 倍程度向上して いることがわかります 。 また 、 20Hz サンプリングで 計測する場合は 、 カットオフ周波数を 11Hz もしくは 5.5Hz の設定となりその時の分解能は 0.14ppm ( FS=2000m の深度計で 0.28mm ) または 0.045ppm ( FS=2000m の深度計で 0.009mm ) となることが期待されます 。 図2図2

ナノ分解能水晶振動式深度計 水槽実験 8B2000-I ( レンジ = 2000m )  写真の通りに水槽に約 5cm ほどの水を張りそこへ深度計を設置しました 。 深度計 の圧力導入ポート上には約 2cm の水がのっている状態となります 。 その水槽を手 で揺らし水面をわずかに波立たせることでその水圧変化を PC 記録します 。

通常の観測モード ( STD モード ) 深度計レンジ FS=2000m 設定 XM = 0 ( STD モード ) PI=666 m Sec ( 1Hz) 分解能 1ppmFS=2mm 2 mm A 1Hz

深度計レンジ FS=2000m 設定 XM = 1 ( IIR モード ) PI=10 m Sec ( 100Hz) IA=6 cutoff 周波数 22Hz 分解能 0.35ppmFS=0.7mm 2mm B 22Hz

深度計レンジ FS=2000m 設定 XM = 1 ( IIR モード ) PI=10 m Sec ( 100Hz) IA=7 cutoff 周波数 11Hz 分解能 0.14ppmFS=0.28mm 2mm C 11Hz

深度計レンジ FS=2000m 設定 XM = 1 ( IIR モード ) PI=10 m Sec ( 100Hz) IA=8 cutoff 周波数 5.5Hz 分解能 45ppbFS=0.09mm 1mm D 5.5Hz

深度計レンジ FS=2000m 設定 XM = 1 ( IIR モード ) PI=10 m Sec ( 100Hz) IA=9 cutoff 周波数 2.8Hz 分解能 14ppbFS=0.028mm 1mm E 2.8Hz

深度計レンジ FS=2000m 設定 XM = 1 ( IIR モード ) PI=10 m Sec ( 100Hz) IA=10 cutoff 周波数 1.4Hz 分解能 4.5ppbFS=0.009mm 0.4mm F 1.4Hz

深度計レンジ FS=2000m 設定 XM = 1 ( IIR モード ) PI=10 m Sec ( 100Hz) IA=11 cutoff 周波数 0.7Hz 分解能 1.6ppbFS=0.0032mm 0.2mm G 0.7Hz

ナノ分解能水晶振動式深度計  新開発のナノ分解能の水晶振動式絶対圧深度計について 【 cutoff 周波数と分解能の関係 】

ナノ分解能水晶振動式深度計  新開発のナノ分解能の水晶振動式絶対圧深度計について 【 IIR ローパスフィルターの特性 】 数字 5 ~ 12 は cutoff 周波数 を決める IA の値です 。 ( 前ページ参照 )

ナノ分解能水晶振動式深度計  新開発のナノ分解能の水晶振動式絶対圧深度計について 【 まとめ 】 グラフ (A) 従来 (STD) モードで 1Hz サンプリングの場合はその 1 秒間の水晶振 動子の周波数変化の平均値をカウント・演算し約 1 秒ごとに出力します 。 静圧計測に むいています 。 グラフ ( B ~ G ) は高速サンプリングの場合 、 得たい現象にあったサンプリングと カットオフ周波数 ( 分解能 ) を選択できるので動圧の観測に適しているといえます 。 カットオフ周波数はローパスフィルターとも呼ばれ水圧の高周波ノイズを除去する効 果もあります 。 フィルターの特性は前での通りです 。

深海底での従来カウンター深度計と ナノ分解能深度計の比較観測例

ナノ分解能水晶振動式深度計 図面 1

ナノ分解能水晶振動式深度計 図面 2

ナノ分解能水晶振動式深度計 図面 3