オープンソースと知的財産権 2005年10月 弁護士 椙山敬士
目次 1.知的財産の概略・・・著作権と特許 権 2.プログラムに関する知財政策の歴史 3.オープンソースの法律関係 著作権法と契約法(民法) 4.オープンソースと特許法の関係
知的財産権 知的財産権(知的所有権、無体財産権) – 工業所有権 → 産業財産権 (特許、実用新案、意匠、商標) – 著作権 – 不正競争防止法、民法
知的財産権 工業所有権 (特許・商標等) 著作権 民法 不正競争防止法
知的財産権 侵害の効果 ・差止請求権(これから止めよ) ・損害賠償請求権(今までの分、金払 え)
著作物の例示 著作権法10条1項 (ⅰ)小説、脚本、論文、講演,その他の言語の著 作物 (ⅱ)音楽の著作物 ( ⅲ)舞踏又は無言劇の著作物 ( ⅳ)絵画、版画,彫刻、その他の美術の著作物 ( ⅴ)建築の著作物 ( ⅵ)地図又は学術的な性質を有する図面,図表,模 型その他の図形の著作物 (ⅶ)映画の著作物 (ⅷ)写真の著作物 (ⅸ)プログラムの著作物
著作権と特許との比較表 著作権法特許法 ①保護対象著作物発明 ②保護要件創作(無方式主義) → 内国民待遇 発明(出願・審査・登 録) → 国毎の審査 ③保護期間創作から死後50年ま で 出願から20年
1970年のガルビー論文 プログラムの特徴・・・機械という側 面と言語という側面 コピーが容易であること、進歩性のな いプログラムが多いこと 第三の立法 5ないし10年の保護 形式審査、登録 独自製作は許される
プログラムに対する知財政策 1983年・プログラム権法x 1985年・著作権法改正 (無方式主義、特別規定 1973年・特許庁の審査基準その他
オープンソースに関連する法 律 著作権法 契約法(民法) 特許法
著作権法 著作物を創作した者が持つ権利(著作 権) =プログラムを創作した者の権利
契約とは? 当事者間の約束(合意) 当事者間のルール 申込と承諾の合致により成立する
売買契約 家の所有権者 (売主) 買主 売る 買う買う
著作権のライセンス契約 著作権者ライセンシー ライセンス =権利不行使の約束 =禁止行為の解除
条件付ライセンス 著作権者ライセン シー これこれの条件を満たせ ば、権利行使しない 承諾 申込
GPLライセンス 著作権者ライセン シー 承諾 申込 GPLに書いてある条 件
GPLライセンス 著作権者ライセン シー GPL条件 FSF GPL条件 プログラムを作成した 者 Or 譲受人
契約の当事者 著作権者と利用希望者
GPL契約の成立 承諾がなされた時 → 利用開始ではなく、対 象プログラムを改変または頒布したときに ライセンス条件を承諾したものとみなす。 (5条。民法526条2項の意思実現による 成立) ライセンス条件違反により、ライセンスは終 了し、 著作権不行使の約束もなくなる。 Ex コピーすれば著作権侵害
特許の問題 アイデアの保護(著作権は表現の保護) 同一の者が、著作権者であり特許権者である場 合 → オープンソースにしながら (著作権の不行使を約束しながら)同じソフト につき特許権を行使するのは権利の濫用 そうでない場合、オープンソースは著作権だけ の問題だから、別の特許権者の権利行使は妨げ られない。
特許 著作権者Aライセンシー B 特許権者 C 契約 差止 損害賠償
侵害の判断手法 (著作権の場合) 原告 プログラム 被告 プログラム 比較
侵害判断の手法 (特許法の場合) クレーム(言語) プログラム <原告> プログラム <被告> 比較
ソフトウエア関連特許の種類 機械の発明の一部、機械の一部の発明 OS, ミドルウエア 通信方法 画面 業務処理 ビジネス方法
ソフトウエア関連特許の例 描画すべきキャラクタ列の各キャラクタデータを入力する手段と、上 記キャラクタ列を弓型に配列すべきことが指定されているとき、上記 キャラクタ列のうち最初のキャラクタの描画始点を表す第一点の位置 と、上記キャラクタ列のうち最後のキャラクタの描画終点を表す第二 点の位置と、描画すべき弓型配列の高さを表す第三点の位置とを指定 するデータを入力する手段と、上記第一点から上記第三点を通って上 記第二点に至るまでの円形又は楕円形の一部を表すキャラクタ配列軌 跡を演算する手段と、キャラクタ配列軌跡上に上記キャラクタ列の各 キャラクタを割り付けると共に、当該割り付けられた各キャラクタの 大きさ及び回転角を決定する手段と、上記キャラクタ列の上記割り付 けられた一つのキャラクタと、次のキャラクタとの関係で、間隔を変 更するか否かを判断する手段と、間隔の変更が必要であるとの判断結 果が得られたとき、上記次のキャラクタを所定量だけ移動させる手段 とを具えることを特徴とする版下デザイン装置
パテント・コモンズ IBM の方針 独占禁止法、ミスユース