. 7 . 8 シンポジウム 「 2020 年代の光赤外スペース計画 および 分野横断プロジェクトの展望」 惑星間スペース赤外線望遠鏡 EXZIT 計画 関西学院大学 松浦 周二 CIBER/CIBER-2 collaboration EXZIT 検討チーム ソーラーセイル WG
. 7 . 8 宇宙赤外線背景放射の観測 宇宙進化研究の重要課題 初期密度ゆらぎ〜現在の宇宙構造形成過程の解明 進化の中間段階にある「初代天体」「再電離期」がカギ 10 36 秒 38 万年 1 億年 10 億年 100 億年 現在の宇宙 初代天体・宇宙再電離 の紫外線 近赤外線宇宙背景放射 JWST でも個別検出不可 → 積算光を捉える 赤方偏移
. 7 . 8 これまでの CIB 観測 CIBER launch at WSMR :50 MDT Black Brant VC MK1 + Terrier MK70 NASA Sounding Rocket for CIBER 「あかり」衛星 年 ロケット実験 CIBER: Cosmic Infrared Background ExpeRiment 2009 年 2 月, 2010 年 7 月, 2012 年 3 月 & 2013 年 6 月 AKARI
. 7 . 8 CIB 観測結果 長年の課題 ー 背景放射の赤外線超過問 題 系外銀河の積算 ( 既知の放射 ) 測定された 背景放射の明るさ 深刻な差 波長 [μm] 背景放射の明るさ [nW m -2 sr -1 ] 黄道光の影響を いかに除去? 黄道光 超過は宇宙初期 に起源をもつ か?
. 7 . 8 CIB ゆらぎ観測 思いがけない結果 ー Intra-halo Light の寄 与? 波長 [μm] ゆらぎ振幅 [arbitrary] 近傍銀河ダー クマター・ハ ローの星々 「あかり」 & Spitzer 初代天体 Zemcov et al. Science (2015) CIBER Imager 視野 2度角
. 7 . 8 次期ロケット実験 CIBER-2 の狙い ハロー星 IHL モデル あかり ゆらぎ振幅 (5’-20’ scale) [nW m -2 sr -1 ] 波長 [μm]
. 7 . 8 CIB 絶対値観測の重要性 相対的 CIB ゆらぎ 近傍宇宙起源( IHL ) δI / I 〜 10% 初期宇宙起源( EoR ) δI / I 〜 1% CIB ゆらぎと絶対値の両者を測定できれ ば放射源への強い制限になる
. 7 . 8 黄道光の日心距離変化 惑星間ダスト分布モデルからの予測 小惑星帯以遠( > 3AU )では一桁以下に低減 黄道光観測によるダスト分布や組成の研究 5. 2AU (Jupiter orbit) 1. 5AU (Mars orbit) 1. 0AU (Earth orbit)
. 7 . 8 EXZIT – 惑星間ダスト雲からの脱 出 小惑星帯以遠での CIB 観測では地球軌道と比べて, 一桁以上の系統誤差の低減が期待される.
. 7 . 8 探査工学/惑星科学/天文学 理工学総合ミッション トロヤ群小惑星探査 子機着陸、その場分析 到着までのクルージング期 に惑星間空間の科学観測 ( EXZIT はその CIB 観測装置) 2020 年代打上げ目標 ISAS 戦略的中型ミッション DS にて 3 候補の1つに選定 システム成立性検討継続 → 年度内審査( SRR )? ソーラー電力セイル( SPS ) 〜 50m
. 7 . 8 EXZIT の仕様 探査機 I/F 面 深宇宙 (放射冷却) 宇宙背景放射 MLI 熱シールド 断熱脚 ( GFRP ) アルミ構体
. 7 . 8 探査機機器配置 EXZIT
. 7 . 8 SPS ミッションの主な特徴 ①世界初の光子と電気のハイブリッド推進 ②世界最高性能のイオンエンジン ③世界初の小惑星帯以遠での CIB 観測 ④世界初のトロヤ群小惑星のその場観測 ⑤世界初のトロヤ群小惑星の試料分析 ⑥世界初の外惑星領域往復 ⑦世界最高速度の地球帰還カプセル 世界第一級の成果創出を目指し,各分野のフ ラッグシップ・ミッションを日本がリーダーと して実施する.
. 7 . 8 ミッションシーケンス <サイエンス> Ⅰ.クルージングフェーズ ・宇宙赤外線背景放射の観測 ・惑星間ダストのその場計測 ・ガンマ線バーストの観測 ・その他、惑星間磁場の計測 など Ⅱ.ランデブーフェーズ ・トロヤ群小惑星の観測 ・トロヤ群小惑星の試料分析 小惑星帯 (3AU) 木星 (5.2AU) 地球 (1AU) Ⅰ Ⅱ <スケジュール例> ・ 2021 年 08 月:打上げ ・ 2023 年 06 月:地球スイングバイ ・ 2025 年 12 月:木星スイングバイ ・ 2036 年 07 月:トロヤ群小惑星到 着 子機の着陸・試料採取・その場分 析 ・ 2037 年 07 月:トロヤ群小惑星出 発 ・ 2049 年 09 月:木星スイングバイ ・ 2052 年 07 月:地球帰還 トロヤ群小惑星( 5.2 AU ) 太陽
. 7 . 8 SPS 工学ミッションの意義 従来の太陽電池パネルと化学推進系では,小惑星帯以遠 の探査,特に,木星以遠の探査は困難. 彗星探査機 Rosetta は,約 3ton で 100kg の着陸機 Philae をトロ ヤ群小惑星より近傍の彗星へ輸送した. ソーラー電力セイルは,約 1.3ton で 100kg の子機をトロヤ群小 惑星に輸送する(ソーラー電力セイルの優位性). 中型規模での外惑星領域の探査を可能にする技術の確立. RosettaPhilae
. 7 . 8 SPS 科学ミッションの意義 <背景> 世界は,近傍の S/C 型小惑星や火星衛星から,より遠方の始 原性の高い D/P 型小惑星,彗星核,木星や土星の衛星へ向か う. 欧米のトロヤ群探査計画では,着陸・往復を含む探査実現 の見通しが得られていない. <意義> 彗星核と小惑星の狭間にあるトロヤ群の水質変成有無や同 位体比から,太陽系形成理論の巨大ガス惑星移動説を実証 できる. 光赤天連の系外惑星・原始惑星形成の研究者にも重要な課 題 クルージングサイエンス( CIB ,黄道光,惑星間ダストその 場計測,ガンマ線バースト)は,往路の早い段階から第一 級の科学成果が期待できる.
. 7 . 8 探査計画での戦略的な位置づけ ソーラー電力セイルは日本独自のアイデアであり, はやぶさ, IKAROS における技術実証を発展させることを前提に ミッションを構成しているため,日本の技術的優位性も活かさ れる.
. 7 . 8 研究コミュニティーからの支持 <探査工学> 「宇宙探査ミッションを支える宇宙技術実証プログラム」 が日本学術会議「マスタープラン 2014 」における重点大 型研究に選定. ISAS 工学委員会が戦略的中型ミッション として最優先で推薦. <惑星科学> 「ソーラー電力セイル探査機によるトロヤ群小惑星探査お よび深宇宙空間観測」が日本惑星科学会の H26 「月惑星探 査の来る 10 年」において有力候補となった. <天文学> EXZIT 計画を本コミュニティーに将来の分野融合型スペー スミッションとして提案,工程表に記載.
. 7 . 8 CIB 研究コミュニティー近年の動き <国内> IRTS, あかり, CIBER の研究チームが母体 年科研費新学術領域による研究推進 CMB コミュニティーとの連携 2014 年 EBL 井上( ISAS )ら 理論, TeV ガンマ線 研究者との連携 【コミュニティー規模】 30 名程度 <海外> COBE, CIBER の研究チームが母体 2012 年 Texas Symposium – WS on EBL 小松( MPA )ら 2015 年 2 nd WS on EBL 理論, TeV ガンマ線 研究者との連携 【コミュニティー規模】 > 30 名
. 7 . 8 EBL WS での共通認識
. 7 . 8 EXZIT の意義 CIBER-2 ( ~2018 )ほか, 2010 後半 ~2020 前半 は国内外の小型計画による CIB ゆらぎの観 測が大きくすすむ. CIB 絶対値の問題は積み残される EXZIT は, CIB 絶対値観測の決定打 工学,惑星科学,天文学が一体となり推進 新たな天文サイトとしての惑星間空間の開 拓 – 低背景放射環境の優位は CIB に限らない
. 7 . 8 EXZIT powered by Solar Power Sail ~ 惑星探査機による新しい天文学の開拓 ~ Z 分野横断ミッションは宇宙科学の未来を 拓く