コーパス言語学入門 第 2 回
授業名:情報システムコース実験演習 ( 後期 ) 火曜第 2 フレーム 担当部分:言語情報処理(コーパス言語学 入門) 担当教員:藤 正明 日時: 10 月 5 日・ 10 月 7 日・ 10 月29日・ 11 月 2 日の 3 時 30 分から 5 時 50 分。 教室: 2 号館教育用計算機室( 113 教室)
10 月 5 日:コーパスを使ってみよう (1) ―BNC を使った no matter 構文の分析 11 月 12 日:コーパスを使ってみよう (2) ―BNC を使った except 構文の分析 11 月 19 日 18 時:レポート〆切
毎回課題をレポートとして提出してもらい、その内容 で評価する。 提出先: (このアドレスはレポートの提出のみに用いること。 連絡事項は、 まで。) 件名:各回のメールの件名をそれぞれ、言語情報学1、 言語情報学2、とする。 締め切り:すべてのレポートの〆切は11月19日 (金)午後6時まで。(第1回目のレポートを書き直 して提出することも可能。その場合は、件名を言語情 報学1(改訂版)とすること。) どうしても欠席する必要のある人は事前に相談するこ と。
レポート作成にあたっては、他人のレポー トを見て書いたと判断される場合は、見た 方も、見せた方も、不正行為を行ったもの として処理するので、そのようなことは絶 対に行わないこと。
1.英語の等位接続詞と前置詞
1. 英語の等位接続詞と前置詞にはどのよう な種類があるのか? 2. 英語の等位接続詞と前置にはどのような 違いがあるのか?
2.1. 等位接続詞 (coordinate conjunction, coordinator: Conj) and, or, but, for 2.2. 前置詞( preposition:P) 1) 単純前置詞 ( at, on, in, from, to, etc.) 2) 複合前置詞 ( into, onto, within, etc.) 3) 群前置詞 ( in addition to, etc.)
さまざまな種類の統語範疇(語、句、文)を接続することが できる。 名詞 (N): the [ N [ N man] and [ N woman]] 動詞の原形 (V): John will [ V [ V print] and [ V publish]] his book. 前置詞 (P): movement [ P [ P from] and [ P to]] the city 形容詞 (A): a [ A [ A black] and [ A white]]] dog 副詞 (Adv): [ Adv [ Adv slowly] and [ Adv steadily]]] 動名詞 (Ving): John likes [ Ving [ Ving printing] and [ Ving publishing]] his own books. to 不定詞 (Vto): He tried [ Vto [ Vto to go] and [ Vto to meet him]]]. など。他にも、冠詞、代名詞、疑問詞などがある。
さまざまな種類の統語範疇(語、句、文)を接続することが できる。 名詞句 (NP): [ NP [ NP the man] and [ NP the woman]]] 動名詞句 (VPing): He likes [[printing his own books] and [publishing them]]. 動詞句 (VP): John will [ VP [ VP print his book] and [ VP publish it]]. 前置詞句 (PP): We are [ PP [ PP inside one region] and [ PP outside the other]]. 形容詞句 (AP): She is [ AP [ AP very kind] and [ AP extremely informative]].
独立文(平叙) : [ S [ S It was raining] [ and [ S we were at home]]]. 独立文(疑問) : [ S [ S What is this] [ and [ S who made it]]]? 補文(平叙) : I believed [ S [ S that he was ill] [ and [ S (that) he couldn ’ t find a good job]]]. 補文(疑問) : I asked her [ S [ S if she knew him] [ and [ S what she wanted him to do]]].
等位接続詞句は現れる位置が決まっていて、文中 を自由に移動できない。 John will print his book [and publish it]. *[And publish his book], John will print it. *John, [and publish his book], will print it.
1.前置詞の直後に来られる範疇は、名詞句( NP) 及 び動名詞句 (VPing) のみ。 NP: in [ NP the car] VPing: He did it for [ VPing saving money]. 2.前置詞句は文中のさまざまな位置に生じることが できる。 In the car, John will eat cookies made by her. John, in the car, will eat cookies made by her. John will, in the car, eat cookies made by her. John will eat, in the car, cookies made by her.
John as well as his friends doesn ’ t smoke. Mary sang as well as Tom. (1) Mary sang in addition to Tom. ( 擬似等位接続詞の用法、「上手に」という意味は ない) (2) Mary sang well and Tom sang well, too. (副詞 well の同等比較構文で、「上手に」という意 味あり) ★疑似等位接続詞の用法は(1)のみ!
現代語の except の持つ二つの制約 [1] except 句は前置できない *Except Mary, everyone came. (<= Jane Ausitin の時代ではどうだったか?) [2] except 句の先行詞は every, all などを含ま なければならない *The building was empty, except this room.
現代語の except for はそのような制約を持たな い [1] except for 句は前置できる Except for Mary, everyone came. [2] except for 句の先行詞は every, all などを含 む必要は無い The building was empty, except for this room. ⇒ なぜ?
Project Gutenberg から Jane Austin ( ) の作品を 4 つ( Sense and Sensibility, Pride and Prejudice, Mansfield Park, Emma) をダウンロードし、コーパスを作り、以 下の問い答えなさい。 問1)コーパスの分析 例外を表す except 句が文頭に前置されている例はある か、 except for 句が文頭に前置されている例はあるか、 調べなさい。 問2)問1の結果に基づいて、18世紀後半から19世 紀前半にかけての英語と現代英語の違いについてわか ることを論じなさい。
注: BNCweb に登録し、 BNCweb を利用できるよう にしなさい。 問3)擬似等位接続詞 as well as 構文は、等位接続 詞 (and) と前置詞 (in addition to) のどちらの性質を 持っているのか、 BNCweb からデータを挙げて、次 の仮説のどれが正しいか論じなさい。 仮説1) as well as は等位接続詞と同じ性質を持っている。 仮説2) as well as は前置詞と同じ性質を持っている。 仮説3) as well as は両方の性質を同時に持っている。