噴煙観測と火山ガス防災 鹿児島大学噴煙研究グループ 木下紀正, 金柿主税, 三仲 啓, 土田 理, 松井智彰, 八木原寛, 飯野 直子, Andrew Tupper (Darwin VAAC, 豪 ) 科研費特定領域研究「火山爆発のダイナミクス」 A05 班「噴火の長期予測と災害軽減のための基礎科学」

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噴煙観測と火山ガス防災 鹿児島大学噴煙研究グループ 木下紀正, 金柿主税, 三仲 啓, 土田 理, 松井智彰, 八木原寛, 飯野 直子, Andrew Tupper (Darwin VAAC, 豪 ) 科研費特定領域研究「火山爆発のダイナミクス」 A05 班「噴火の長期予測と災害軽減のための基礎科学」 2003 年度会議,北海道 2003 . 10 . 21

噴煙映像観測の諸問題 噴煙と火山ガスが大気中で挙動をともにする → 火山ガスの動態解明 火山灰煙:航空機が遭遇 → エンジン停止な ど : 降灰による生活,産業被 害 観測法:自動継続観測(ビデオ・デジタルカ メラ), 蓄積・ライブ画像のイン ターネット公開, クローズアッ プと広角観測,記録間隔, 可視 +近赤外観測(高温検出・遠望等) 関連データとの総合的解析,シミュレーショ ン, モデル実験

西太平洋域 における 火山噴煙 自動観測

桜島山麓における火山ガス 高濃度事象と噴煙の挙動 木下紀正 [1], 金柿 主税 [1], 後藤和彦 [2], 岩田志乃 [1] ,小山田恵 [1] ,日高耕一 [3] [1] 鹿児島大・教育, [2] 鹿大・南西島弧, [3] 名大・ ST 研鹿児島観測所 以下、 No.16 まで地球惑星関連学会2003 よ り要約 No.11 は動画 (mpeg) ,他の動画はここでは省略

映像観測点と SO 2 ・ SPM 観 測局 V, D V V D

+火山ガス測定局 と 映像観測点

映像観測点 地点 L(m)L(m) Camera ( Interval ) *OH ( m )f ( mm ) B 鴨池港 9800Wide Video (8 sec) T 垂水 12700Tele Video (8 sec) Digi Still (1 hr.) I8700Digi Still (1 day) C 寺山 9700Tele Video (6 sec)420 *OH は観測地点の標高 Observation Height 。

1999 年 SO 2 100ppb 以上の時間数

火山ガス測定局の SO 2 高濃度事象の季節特性 地点火口からタイプ低気圧 A 有村南側冬型 1 、 2 、 11 、 12 月東 S 桜島町役場北側夏型 7 、 8 月西 K 黒神東北東 完全に南風になる前後の 5 、 6 、 8 月北 AK 赤水西 完全に北風になる前後の 3 、 10 、 11 月南 鹿児島市環境保全課 (A,K) 、鹿児島県環境生活部 (S,AK) から のデータ提供を頂いたことに深く感謝いたします。

1999 年 1 月の SO 2

1 月 29 日 from B 有村へ吹降ろし 7-8h(194 ppb)

1999 年 3 月の SO 2

赤水への吹降ろし h 1640 ppb

1999 年 8 月の SO 2

桜島町役場への吹降ろし

1999 年 12 月有村の SO 2 ・ SPM 12/21 6:00-8:00 Max 8270ppb

高濃度事象の主因 山岳波に沿った噴煙の吹降ろし

高濃度事象の副因 日中の対流混合による引き降ろ し

火山ガスには水蒸気以外に様々な成 分が含まれている( CO2, H2S, SO2, HF, HCl, ・・・)。 比重の大きいガスは地形・気象条件 によっては空中に拡散されず、濃集 して災害に至りやすい。 有毒ガスが生命に与える影響は意外 と大きく、時に多くの犠牲者を出し ている。 伊豆大島火山博物館火山災害展示コー ナー

火山ガスの危険性と2つの形 態 低温型と高温型の区別 低温の噴気口や地中の割れ目からにじみ出る低温 型ガスがあまり拡散せずに発生源の近くや低地に 数千~数百 ppm の濃度で滞留すると極めて危険 阿蘇や桜島・今回の三宅島の場合のような、 活発な火山活動で放出される高温型の火山 ガスでは、気塊の温度の違いが決定的 [ 近藤 他 ] 強風による吹き付け・吹き降ろしに直撃さ れることを第一に警戒すべき

参考HP 火山ガスのページ 火山と噴煙の写真やビデオ映像 volc NOAA/AVHRR による三宅島の噴煙