自分と仲間の身を守るためには ~電気、極低温ガス、高強度レーザー~ エネルギー理工学専攻 一野 祐亮.

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自分と仲間の身を守るためには ~電気、極低温ガス、高強度レーザー~ エネルギー理工学専攻 一野 祐亮

0. 基本中の基本 ( 感電の防止 ) 電気に関連した作業 ブレーカー、電源を切る 電気が流れていなければ感電しない。

エネルギー理工学専攻安全講習会(電気関 係) 1. 電気に関わる災害 1.1 感電 感電の危険性を左右する因子 感電予防上の注意 1.2 電気火災の防止 1.3 強力電磁波照射による傷害 2. 安全に実験を行うために 2.1 実験を行う前に 2.2 研究室で使用している実験機器 各種電源 工作機器 高圧ガス、極低温液化ガス レーザー、紫外線の照射

1.1.1 感電の危険性を左右する要因 50 / 60 Hz の交流が人体に流れた場合 mA A. 電流値 流れる電流値は荷電部分の電圧値と 人体や介在物の抵抗に依存 ● 体内抵抗: 150 ~ 500 Ω ● 皮膚抵抗: ~ 5 kΩ (乾燥した手) ~ 2 kΩ (濡れた手) 濡れた手で荷電部をさわるとより危険 B. 人体の抵抗値 2050 生体計測用電極など から直接感電 0.1 mA でも 心停止の可能性!

● 致命傷を受ける閾値電流:通電時間に依存 ● 頭部:窒息、呼吸停止を招く ● 心臓付近を電流が流れるときわめて危険 10 kV 以上の高電圧: 電撃で飛ばされた後の転倒・転落等の二次災害が多い ~ 3 kV の高電圧: 接触と同時に引きつけられ、感電時間が長くなる 左手でのスイッチの開閉は避ける。 ヘルメットの着用 C. 通電時間 D. 感電箇所

1.1.2 感電予防上の注意 A. 安全限界を超えて荷電部へ接近しない B. 活線・死線の区別を確認する(コンデンサーの端子間の短 絡) C. 機器の整理につとめる D. 安全用具を必ず使用する E. 作業中はその作業に専念する・・・・ 感電を防止するための対策 (1) 電気器具の接地(アース)を確実にとる。接地には実験室の 3 端子コンセン トや電源盤などのアース端子を用いる。通常 (300 V以下)の低圧用機器には第 3 種 接地 (100Ω 以下 ) をすると規定されている。 (2) 高電圧や大電流の通電部や帯電部に触れることがないように、絶縁体で遮 蔽する。 (3) 電気機器からの漏電を避けるため、付着したゴミや油を取り去る。 (4) 万一事故が発生した場合には、迅速に電源を遮断できるように配電盤の位 置と操作法を常に頭に入れておく。 (5)濡れた手で電気器具やコンセントをさわらない。 実験に際しての確認・注意点

AC 6600 V の受電版 ・基本的に立ち入らない ・盤操作は職員が行う

(1) 漏電漏電ブレーカーの使用 ケーブルからの漏れ電流が建物などに流れ ジュール熱により発火 (2) 過熱 ● 電熱器具: 取り扱い不良、通電状態で放置 保守不良 ● 電気配線:ジュール熱による発熱 ● 電動機:絶縁劣化、短絡など ( 3 )絶縁破壊 本来電気的に絶縁されている箇所の絶縁劣化により 多大な電流が流れて発火 1.2 電気火災の防止 電気に起因する火災・爆発

A. 適正な配線の使用 過負荷の回避。配線用電線の許容電流値を知り、 適正なものを使用。 B. ケーブルに損傷を与えないように配線 C. 接続端子のゆるみを確認 D. 荷電部の露出の防止 E. 接地 保護接地による漏電、感電事故の防止 F. 漏電遮断機の使用 漏電が生じた場合回路を瞬時に遮断 火災を防止するための対策(電気回 路)

火災を防止するための対策(意識・自 覚) (1)電気機器の周辺から異臭や火花が発生するときは、直ちに使用を止め 原因を特定する。 (2)爆発性のガスや粉塵が実験室や冷蔵庫などに充満することがないよう 万全を期す。たとえば、エーテルを冷蔵庫にしまうには火花の飛ばない 防爆型の冷蔵庫を使用する。 (3)電源やコードの容量を越えて電気機器を接続しない。 コンセントの最大容量は通常 15 A 、 通常の家庭用ビニルコードの許容容量は 7 A である。 (4)大電流を必要とするときに、長尺の電源コードを巻いて使うと発熱する ので、 できるだけ伸ばして使用する。 いわゆるタコ足配線は発熱の原因となるので止める。 (5)新たな電源線を設置する場合は、工学研究科経理掛に工事依頼書を提出 し、 専門業者に工事を依頼する。研究室で勝手に配線・設置してはならない。

1.3 強力電磁波照射による傷害 放射性同位元素 (RI) 、 X 線や紫外光など 強力電磁波 RI 、 X 線講習会を受講し、従事者登録することが必須! 実験装置の定期点検 年一回の特殊健康診断(職員は半年に一回) RI 、 X 線を使用した実験・・・ 紫外光を使用した実験・・・ 保護めがねの着用 光路を囲って漏れ光を遮断 細胞・遺伝子の破壊。火傷にとどまらず 発がんや遺伝子異常の可能性

2.1 実験を行う前に 取り扱う機器の種類 電源、工作機器、高圧ガス、。。。。 それぞれの機器の特性 使用方法、使用の際の安全性 危険性の少ない機器配置 整理整頓、後片付け 2. 安全に実験を行うためには

2.2.1 各種電源 直流電源・交流電源、コンデンサー電源 高周波電源。。。。。。。。。。。 感電事故 短絡、過電流によるケーブル過熱、破損など 2.2 研究室で使用している実験機器

高圧コンデンサー電源 スイッチング回路 (イグナイトロン) コンデンサーバンク ( V ~ 5 kV )

AC 6 kV 高電圧受電盤、高圧トランスと直流電源

HYBTOK-II B t 給電部 ・運転時は立ち入らない ・作業時は電源 off と ・電源の確認 Bv 給電部 ・運転表示ランプ(回転灯) ・ X 線モニター Bv 第2バンク

感電 露出部のシールド AC 400 V と出力部 熱プラズマ用コイル RF 高圧部 ~10 kV の遮蔽! (アクリル板で)

実験室の足元 ピット開口部ケーブルの引き回し 絶縁不良 短絡 開口部に足をとられる

・ボール盤 ・手動ドリル ・グラインダー ・スポットウェルダー、等 一安全な使用方法の習得 一整理・整頓 工作機器

液体窒素( 77.3 K )、液体ヘリウム (4.2 K) など ・直接素手で触らない!!  専用革手袋使用。 ※軍手では液化ガスがしみこみ凍傷に! ・容器には蒸発したガスの逃げ道を必ず設ける。  液体からガスへの体積変化は数百倍!爆発の危険!! ・閉めきった部屋やエレベーター内など換気の悪い所では 窒息する恐れがあるので、立ち入らない!! ・金属製のデュワービンを使用する事 。ガラス製は割れて ケガをする事がある。 ・デュワービンは使用後、中身を完全に捨てておく事。 (逆さにしておく) 極低温液化ガス

・強力な紫外、赤外、可視光線の照射  眼球及び皮膚への熱効果(失明、火傷) ・紫外光  がんの誘発、遺伝子異常 ・保護眼鏡の着用(対応波長を確認!!) レーザー、紫外線の照射 可視(青)用 紫外光用 可視(緑)用

レーザ・紫外線の照射 一強力な紫外、赤外、可視光線の照射 眼球及び皮膚への熱効果(失明、火傷) 紫外線源:水銀アークランプ、キセノンアークランプ 各種プラズマ発生装置、紫外線レーザ等 特にレーザ発振器の出力は、たとえ小電力でも 単位面積当たりの出力は非常に大きいので特に注意が必要 ・保護眼鏡の着用 ・迷光防止用のシールド ・高電圧に対する注意

それでも事故は起きる 適切な処置(判断)を 電気事故:電源を切る 火災:消火器で消火 けが人:病院へ 状況に応じて 逃げる!

実験室には危険がいっぱい! 年に数回実験室では。。。。。 毎日、危険要素が。。。 なにが危険か、なにが安全か、認識しよ う! ほとんどの事故は、起こるべくして起こ る。。 五感を研ぎ澄まし、わずかな変化にも敏感 に!

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