Dynamical Lifshitz spacetimes and aging phenomena 2013 年 3 月 25 日露共同研究ミニワークショップ 吉田 健太郎 ( 京大理 ) 鵜沢報仁 ( 関西学院大 ) 氏 との共同研究: arXiv: [hep-th] 1
2 0. イントロダクション
3 AdS/CFT 対応の研究の方向性 ・現実的な理論への応用 - QCD や物性系への応用 ・具体的な検証、基礎的な側面の研究 - 可積分性 (日露共同研究の主題) 今日はこちらの方向での話 話す内容 非平衡状態 平衡状態 緩和 緩和過程の AdS/CFT 対応に基づいた重力解による記述 時間が経てば、 時間に依存する厳密解を type IIB SUGRA で構成
4 老化現象 (aging phenomena) 非平衡状態から平衡状態へと非常にゆっくりと緩和 ( 人間の老化に似ている ) 例: ガラス状態 短距離では、結晶格子のような秩序構造がある。 一方、長距離では秩序構造が見られない。 然るべき物質で、急激に融点以下の温度に冷やす ( 過急冷却 ) と ガラス状態を構成できる。 急激に温度を変える、あるいは結合定数を変えるなどの操作は、 クエンチ (quench) と呼ばれる。 メモ
5 老化現象における特徴的な振る舞い 1 ) 時間並進不変性がない 2 ) ダイナミカル スケーリング 3 ) ゆっくりとした緩和 : 動的臨界指数 (dynamical critical exponent) 秩序状態の見られる典型的な長さのスケール 時間と共にべき的に大きくなる (指数関数的ではない)
6 1. シュレディンガー時空 とリフシッツ時空 (5 分 ) 2. 時間に依存するリフシッツ時空解の構成法 (5 分 ) 3. 解 の振る舞いと老化現象 (5 分 ) 4. まとめと今後の展望 トークのプラン
7 1. シュレディンガー時空 と リフシッツ時空 [Kachru-Liu-Mulligan, ] [Son, ][Balasubramanian-McGreevy, ] 関連文献: [Donos-Gauntlett, ]
8 変形項通常の AdS 1) 時間並進、 2) 空間並進、 3) 空間回転、 4) スケール不変性 5) ガリレイ変換、 6) 位相変換、 7) 特殊共形変換 ( のときのみ ) ( 任意の ) シュレディンガー時空 シュレディンガー対称性 [Son, ][Balasubramanian-McGreevy, ]
9 通常の AdS からの変形 1) 時間並進、 2) 空間並進、 3) 空間回転、 4) スケール不変性 ( 任意の ) リフシッツ時空 `` リフシッツ対称性 ’’ [Kachru-Liu-Mulligan, ] NOTE ガリレイ不変性はない NOTE リフシッツ代数はシュレディンガー代数の部分代数
10 超弦理論への埋め込み シュレディンガー時空 リフシッツ時空 リフシッツ時空の弦理論への埋め込みにはトリックが必要だった ! c.f., No go theorem [Li-Nishioka-Takayanagi, ] [Balasubramanian-Narayan, ] [Donos-Gauntlett, ] [Hartnoll-Polchinski-Silverstein-Tong, ] [Maldacena-Martelli-Tachikawa, ] [Herzog-Rangamani-Ross, ] [Adams-Balasubramanian-McGreevy, ] [Hartnoll-KY, ] リフシッツ時空の埋め込みには2年近くかかった。 [Donos-Gauntlett, ]
11 リフシッツ時空の埋め込みのトリック 1) のシュレディンガー時空 (wrong sign) から出発 2) 計量を次のように書きかえる リフシッツ時空 方向をコンパクト化 [Donos-Gauntlett, ] [Donos-Gauntlett, ] これは弦理論に埋め込める NOTE が時間になる ガリレイ不変性がなくなる
12 2. 時間に依存するリフシッツ時空解 の構成法 [Gibbons-Lu-Pope, hep-th/ ] [Chemissany-Hartong, ] 関連文献: [Uzawa-KY, ]
13 時間に依存する D3- ブレイン解 (type IIB SUGRA) Chemissany-Hartong 解の一般化 [Chemissany-Hartong, ] ディラトン ( 定数 ) 線形アクシオン 1/2 BPS D3- ブレイン解 [Gibbons-Lu-Pope, hep-th/ ] c.f., [Uzawa-KY, ] が時間方向
14 以下、 と置く ( 通常の double scaling limit) NOTE u の定数シフトに対して不変だが、 v については不変ではない Near-horizon limit Double scaling limits
15 Donos-Gauntlett のトリックを実行 [Donos-Gauntlett, ] リフシッツ部分 KK-circle + S 5 対称性: 1) 時間並進不変性はない 2) のスケール不変性 時間に依存するリフシッツ時空解 [Uzawa-KY, ]
16 3. 解の振る舞いと老化現象 [Horowitz-Way, ] 関連文献: [Uzawa-KY, ]
17 解の書き換え: 変数変換 計量 2つの領域: ( 時間 τ を一定 ) AdS リフシッツ 境界近傍 ホライズン近傍 として、解の時間発展を見てみよう
ホライズン 境界 リフシッツ
ホライズン 境界 リフシッツ AdS
ホライズン 境界 AdS
21 老化現象との関係? 非平衡状態 ( ガラス状態 ) : リフシッツ 平衡状態 ( 緩和した状態 ) : AdS の物理的解釈 : 典型的な緩和時間 AdS のみ ( 直ちに緩和する ) リフシッツのみ ( 全く緩和しない ) 平衡状態の典型的な長さ と整合的 Conformal boundary の計量より
22 Conformal boundary 共形変換 NOTE 通常の NR 背景と違い、 conformal boundary をきちんと定義できる 解を r で書く 減速膨張
境界 ホライズン 短距離 AdS リフシッツ AdS 空間に支配される 小さい平衡状態
境界 ホライズン 長距離 AdS リフシッツ リフシッツ時空 の影響を受ける 長距離では非平衡
境界 ホライズン 平衡状態の相関長 AdS リフシッツ
26 での解の振る舞いは? 計量 ある時刻で、 となる z が存在し、 時間に依存する特異点 KK-circle の半径がゼロに潰れる。 時間発展の様子を見てみよう。
27 ホライズン 境界 EAdS 特異点
28 ホライズン 境界 EAdS 特異点 リフシッツ
29 量子クエンチ (quantum quench) ? 有効結合定数 で無限大 ``Big Bang singularity’’ 特異点が境界に到達することにより、リフシッツ時空で埋め尽くされ、 conformal boundary が定義できるようになる。 c.f., holographic quantum quench [Das-Nishioka-Takayanagi, ] [Basu-Das, ] 非平衡状態の生成 (pre-Big Bang!?)
30 リフシッツ時空に対する考え方 通常のリフシッツ時空には、それ自体で問題点がある ホライズンで発散する潮汐力 低エネルギー有効理論として、重力解を信頼できない ・ 弦理論の補正は、 AdS 半径と 以外に影響しない ・ 高次元に拡張しても、解決しない [Horowitz-Way, ] [Adams-Maloney-Sinha-Vazquez, ] ・ 弦理論への埋め込みを考えると、構成上、不安定 [Donos-Gauntlett, ] とフローしない限り、問題は解決しない 時間に依存する解として解釈すると、自然に問題が解決
31 4. まとめと今後の展望
32 まとめ 時間に依存するリフシッツ解を type IIB SUGRA の厳密解として構成 老化現象との関係 今後の展望 FRW 宇宙を conformal boundary に持つ模型の構築 対数的老化現象を記述できるか? 有限温度化、 GKP-Witten 的に応答関数の計算 3) 緩やかな緩和 1) 時間並進不変性がない 2) ダイナミカル スケーリング の3つの条件を満たす。
33 Aging 代数に基づくホログラフィック老化現象 [Jottar-Leigh-Minic-Pando Zayas, ][Minic-Pleiming, ] 時間並進不変変数変換で時間依存性が消える 空間並進、空間回転、スケール不変性、 ガリレイ、位相変換、特殊共形変換 我々の解の対称性は aging 代数よりも小さい Aging 代数 : 問題点 NOTE Aging 代数をどれぐらい尊重するべきか? Aging 代数に基づく先行研究 ( 共にリフシッツ代数の部分代数ではある )