Fukuyama City Hospital Sorafenib とは Sorafenib とは 2012 年 7 月 28 日 福山市民病院 内科 ○ 辰川 匡史 藪下 和久 下江 俊成 坂口 孝作
Fukuyama City Hospital 肝臓がんは進行度によって治療が異なりま す。 進行度 ステージ(癌取り扱い規 約) Ⅰ ⅡⅠ Ⅱ Ⅲ ⅣaⅣa ⅣbⅣb 手術 RFA 動注 RT 化学療法 肝移植 TACE ( 血管造影 )
Fukuyama City Hospital ネクサバール 新しい 抗癌剤 内服薬 (のみぐすり) 手術・ラジオ波・血管造影( TACE ) の対象にならない、進行した肝臓がん で使用する。
Fukuyama City Hospital Sorafenib =ネクサバールとは ネクサバール ® 2009 年 5 月より保険収 載 分子標的薬 RAF を中心とした、細 胞内増殖に関与し腫瘍 の増殖を抑制 血管新生因子抑制効果 もある
Fukuyama City Hospital ネクサバールのエビデンス(実証された効 果) 同じ条件の患者さんを ネクサバールを 飲む人、飲まない人に振り分けで比較す ると … 飲んだ人 299 人 飲んだ人 299 人 飲まない人( Placebo) 303 人 飲まない人( Placebo) 303 人 1 年生存率: 44 % 生存期間中央値: 46.3 週 1 年生存率: 33 % 生存期間中央値: 34.3 週 ネクサバールを使う =11.5 ヶ月 ネクサバールを使わない =8.5 ヶ月
Fukuyama City Hospital ネクサバールのエビデンス
Fukuyama City Hospital 進行した病期( StageIV )に対する 治療選択肢 ネクサバール( Sorafenib ) 動注療法 ( CDDP ) – 肝内にカテーテルを挿入し 抗癌剤を注入す る。 –TACE と違うのは、肝臓全体に抗癌剤をゆき わたらせることと、塞栓術を併用しないこと 。 その他の抗癌剤治療 ( TS-1 ・5 FU など ) 脈管浸潤がある場合は 放射線治療を併用 することも
Fukuyama City Hospital ネクサバールの利点 欠点 進行肝がんに対し、初めて 予後延長効 果が認められた化学療法 内服薬であり、入院の必要がない 肝外転移にも効く 数ヶ月の予後延長効果で一錠 ¥5000 高いとるか、安いととるか …… 肝機能が悪化する、副作用(手足症候群 ) 門脈浸潤などにはあまり効果がない 肝機能が悪い人には使えない
Fukuyama City Hospital 当院でのネクサバールの成績 服薬期間の中央値= 85 日生存中央値= 7 ヶ月 (210 日 ) 一年生存率 :36% TTTF( 服薬期間 ) Overall Survival ( 生存期間 ) 2009 年 5 月から 2012 年 6 月まで 当院では Sorafenib を 119 例の患者さんで使用した Child-Pugh B 29 %あり Sharp 試験よりも条件は悪い
Fukuyama City Hospital 開始から1ヶ月での Child-Pugh Score の変化 開始時 一ヶ 月後 開始時 CP score n ネクサバール開始後 30 日での CP score の変 化 改善変化なし悪化 +1+2 以上 total (46%) (58%) (38%)71522 (55%) (67%) total11910(8%)39 (33%) (59%) 度数が 10 以下については % 表示を省略した
Fukuyama City Hospital ネクサバールの副作用 手足症候群 (Hand Foot Syndrome) 皮膚症状・脱毛 食欲不振・全身倦怠感 下痢 肝不全の進行 まれに肝性脳症・ DIC などの重篤な副作用
Fukuyama City Hospital ネクサバールの功罪 ネクサバールを使用すると 多くの症例で肝 予備能がある程度悪化する。これは抗腫瘍効 果とは独立している。 高い効果が予想されても肝予備能の落ち込み がひどい場合は続けられない。その場合は用 量を調節して使用しうまくいく事もある 中には非常に効果が高い症例もある。
Fukuyama City Hospital 限度額申請について ネクサバールは一錠 5000 円と高価ですが、現 在の日本の医療制度では月辺りの医療費がい くらになっても、所得に応じて限界が設定さ れそれ以上払う必要はありません(多くは月 6-8 万) ただし通常一旦は通常の金額を払い、数ヶ月 後に申請し差分を払い戻す、という手順をと ります (つまり一時的に見せ金がいる)。 高額医療費の限度額申請をしておけば、支払 いの段階で過剰な払いをする必要がない。