高松市手話通訳訴訟 ~きこえないお母さんの権利を奪わないで~ 1 平成 25 年 4 月 22 日 高松地方裁判所平成 24 年(行ウ)第 5 号 第一回口頭弁論期日原告代理人意見陳述.

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高松市手話通訳訴訟 ~きこえないお母さんの権利を奪わないで~ 1 平成 25 年 4 月 22 日 高松地方裁判所平成 24 年(行ウ)第 5 号 第一回口頭弁論期日原告代理人意見陳述

原告 池川洋子さん 高松市在住 4 1歳 2人の娘の 「お母さん」 ・「手話」で話すろ う者 2 いつでも、どこでも、どんなこ とでも 手話通訳を!

高松市の手話通訳派遣却下処分 長女が入学を希望する 東京の専門学校の保護者説明会 3

高松市の派遣却下処分は、 憲法、条約、法律すべてに違 反! 憲法 障害者権利条約 障害者基本法 障害者自立支援法 高松市の要綱 運用基準 派遣却下処分 4 上位 下位

裁判での請求 5 ①派遣却下処分の取消 ②自己負担した手話通訳費用 5,140円 ③権利を侵害された慰謝料 10万円

6

手話通訳派遣の依頼 期日:平成 23 年 7 月 24 日 場所:東京の専門学校 時間: 11 : 00 ~ 12 : 00 内容:保護者説明会 7

高松市の FAX 回答 保護者説明会は、出席する必要性に乏し い! 「出席が必要な理由」「高校の先生の意 見」 を示して! 8

保護者説明会は、 親の当然の権利 です! ・どんな学校か知りたい。 ⇒親の当然の権利 ・電話で問合せができない。 ⇒聞こえる保護者と違う ・手話通訳がなければ、情 報がなく、子どもの進路 について助言できない。 ⇒親の義務を果たせない 2011 年 6 月 28 日 9

高松市からの質問 お子様が専門学校に入学すること は 決定ですか、白紙ですか? 2011 年 6 月 30 日 10

そんな質問は、 おかしいです! 入学は、子ども が決めること! ⇓ どんな学校か、 安心して通えるか、 親として知りた い! 通訳が必要! 11

12

しかたなく、自費で、 東京のセンターに派遣を依 頼・・・ 13

14

15

16

以下、原告代理人の 主張を述べます。 17

高松市の派遣却下処分は、 憲法、条約、法律すべてに違 反! 憲法 障害者権利条約 障害者基本法 障害者自立支援法 高松市の要綱 運用基準 派遣却下処分 18 上位 下位

憲法違反! 19 第 14 条「平等権」違反 第 13 条「個人の尊重」違反 第 25 条「生存権」違反 第 26 条「教育権」違反 第 21 条「情報取得権」違反

憲法第25条、13条、14条 違反 憲法第25条(生存権) 「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」 ⇓ 社会保障制度 ・個人の尊重(憲法第13条)、 「人間らしく」生きるための支援、条件整備 ・平等の実現(憲法第14条) 障害を理由とする社会的不利益の是正 20

憲法第 26 条違反 親が子供を教育する権利 ⇓ 保護者説明会で、子どもが入学を希望 する学校についての説明を受けるこ とは、 聞こえる親にとっても、 聞こえない親にとっても、 当然の権利! 21

憲法第21条違反 第 21 条 手話通訳などの情報保障を受ける権利は、 「情報取得権」 「コミュニケーションの権 利」 聴覚障害者にとって、重要な権利 ! 22

表現の自由(憲法第21条) と は 情報の発信だけでなく、取得も ⇓ コミュニケーションの権利 ⇓ 考えを発信、他人と議論 人間として成長、社会参加 そのためには手話通訳、要約筆記 等が必要! 23

憲法違反! 24 第 14 条「平等権」違反 第 13 条「個人の尊重」違反 第 25 条「生存権」違反 第 26 条「教育権」違反 第 21 条「情報取得権」違反

障害者基本法違反 憲法 障害者権利条約 障害者基本法 障害者自立支援法 高松市の要綱 運用基準 派遣却下処分 25 上位 下位

憲法第21条に基づく障害者基本法違 反 障害者基本法第3条第3項 ①意思疎通のための手段 ②情報の取得又は利用のための手段 ⇓ 手話(条文に規定)、要約筆記などそれぞ れの 障害の特性に合った手段の選択の機会の確 保 と拡大 26

手話を言語と規定 改正障害者基本法の 意味を問う訴訟 平成23年8月5日、障害者基本法改 正で、法律で「手話」が「言語」と規 定された後の最初の裁判! 27

高松市の要綱等、処分の (旧)障害者自立支援法違反 憲法 障害者権利条約 障害者基本法 障害者自立支援法 高松市の要綱 運用基準 派遣却下処分 28 上位 下位

まず、高松市の要綱等に基づく、 派遣却下処分の理由について、 検討します。 29

高松市の派遣却下処分の理由 ① 高松市内に原則として限定! + 市長が特に必要であると認める程度の客 観的な重要性に乏しい(例外に該当しな い) ② 専門学校は該当しない! ⇓ いずれも行政内部の「要綱」等の内規 の不合理さに原因! 30

31 ①市内に限定する根拠? 奉仕員の派遣範囲は、本市の区域内とす る。ただし、市長が特に必要であると認 める場合は、この限りでない。 (高松市の要綱第5条) 31 ⇓ 市長が認める場合以外は、市外で、 当たり前の生活、活動ができない!?

しかも! 市外に派遣しても 高松市の負担は増えない! 地元の市町村に 手話通訳の申請 派遣地域に 通訳を委託 手話通訳の 派遣 32 市外に手話通訳を派遣して も 交通費などは発生しない! 高松東京

②専門学校に派遣しない根拠? 派遣対象を①役所②病院③市の主催④聴覚 障害者団体が主催する行事でかつ市長が認 めた行事。 上記以外は、⑤市長が聴覚障害者の社会参 加に寄与するものと認めた場合に限定 (高松市要綱第2条第1項) ⇓ 派遣対象を極めて限定する抑制的な要綱! 33

34 ②専門学校に派遣しない根拠? 「高松市手話奉仕員派遣事業の派遣対象の 取扱い等について」 (行政の内規) 34 区 分派遣対象事項 (5)教育に 関すること 入学式・卒業式、 PTA 総会、 教育相談、進路相談等

35 高松市は「教育」を ⇒「義務教育とそれに準ずる高校な ど」 に限ると解釈 35 専門学校 ⇓ 大学、短大、への進学率は、 現在70%を超えているのに!? 子どもが進学を希望する学校の説明会は、 重要!

高松市の要綱、処分の (旧)障害者自立支援法違反 憲法 障害者権利条約 障害者基本法 障害者自立支援法 高松市の要綱 運用基準 派遣却下処分 36 上位 下位

そもそも、高松市の要綱と処分の根 拠である(旧)自立支援法の制度と は? 目的(1条) 障害者基本法の理念にのっとり、 障害者が自立した生活を営むことができるよう に 必要な支援を行う 聴覚障害者のコミュニケーション支援の規定 (77条1項2号) 地域生活支援事業(2条)の一つ 37

聴覚障害者への支援事業 (旧)自立支援法77条1項2号 「聴覚障害者等につき、手話通訳 等を行う者の派遣事業」を行う ⇓ 市町村の責務 38

(旧)自立支援法における 市町村の責務内容は? 1条,2条1項1号 障害者基本法に則した質と量の 支援を受ける権利を保障 39

つまり 市町村には要綱の作成、処分について一 定の裁量があるが、手話通訳派遣の質や量 を裁量の限度を超えて抑制した場合 ⇓ 裁量逸脱 (旧)自立支援法,障害者基本法違反! 40

行政裁量のルール 裁量は無限定ではない! ①基本的人権⇒十分に考慮する義務 ②重視すべき事項⇒考慮する義務 ③重視すべきでない事項⇒考慮してはなら ない ④事実の評価 ⇒社会通念に合致し、合理的に 41

高松市が要綱及び派遣却下処分 にあたって考慮した内容は … ①基本的人権の保障⇒考慮不十分 憲法等に基づく基本的人権であり、 (旧)自立支援法が規定する「聴覚障害者 等の情報取得、コミュニケーションの権 利」の考慮が不十分 ②子どもの進路判断を左右する情報の重要 性 を考慮していない ③些少なコスト節減という重視すべきでな い 事項を過大に考慮 42

市外の行事に 参加したい! 子どもの進路に 関する重要な情 報がほしい! 高松市 の 些少なコストの 削減 原告ら高松市の聴覚障害者の 情報取得、コミュニケーション 権利 43 些少なコストの 削減

すなわち 高松市の要綱等・処分 (市内に限定、専門学校を除外) ⇓ 手話通訳派遣の質・量が、 裁量の限度を下回っている 裁量逸脱 ⇓ (旧)自立支援法違反、障害者基本法違反! 44

高松市の派遣却下処分は、 憲法、条約、法律すべてに違 反! 憲法 障害者権利条約 障害者基本法 障害者自立支援法 高松市の要綱 運用基準 派遣却下処分 45 上位 下位

提訴後 平成24年4月 池川さんの長女 東京の専門学校に入学 ・ 入学式への手話通訳派遣ついても、 高松市は派遣却下処分! ・平成24年9月28日 入学式について追加提訴 46

高松市の派遣却下処分は 取消されるべき 派遣却下処分は、違憲・違法 したがって、 取消を! 47

裁判所への要望 聴覚障害者の情報取得・コミュニケーションの 権利の重要性 子供の進路に関する情報の重要性 ご理解いただいた上で、ご審理お願い致します。 48

原告代理人の意見陳述は 以上です 49

口話 口の形の読み取り と 発語による コミュニケーション 50

自助・共助・公助 自助:自己の力のみ、援助がないこ と (自己負担) 共助:地域の近隣による互助 公助:国や市町村による援助 51