「地場のベンチャーが 地域活性化に果たす役 割」 情報通信月間特別企画シンポジウム ユビキタスエコノミー&ソサイエティー ーイノベーション・ ICT 等による地域活性化ー「観光の視点 から」 パネルディスカッション2 2007 年 6 月 22 日(金) 15:15 ~ 15:30 田村真理子 日本ベンチャー学会 事務局長
CIA シンポジウム 日本ベンチャー学会事務局長 田村真理子 2 1.中小・ベンチャー企業等に見る地域資源の活 用 ● 地域に存在する特有の経営資源と差別化のポイント ①観 光 型:食材としての地域内の農林水産品の使用 温泉の知名度 ②農林水産型:原材料としての地域内の農林水産物の活用 地域の知名度 ③産地技術型:販売先との強固な信頼関係 商品デザインやイメージ 2007 年度版中小企業白書より作 成
CIA シンポジウム 日本ベンチャー学会事務局長 田村真理子 3 2.地域資源活用 新商品・新サービス創出の効果 ②農林水産型 ③産地技術型 ・地域資源が、新商品の開発による新 たな事業を創造する可能性など ・地域資源に伝統的な技術を応用する ことで新商品などを創出する傾向の 割合が高いなど ・温泉地内における共通手形の発行 健康・美容関連のツアー企画など 2007 年度版中小企業白書より作 成 ①観 光 型 3つのタイプいづれも地域資源を活用して新商品・新サービスを創出した企業の方が、 増収傾向企業がやや多い。
CIA シンポジウム 日本ベンチャー学会事務局長 田村真理子 4 四国:(株)内子フレッシュパークからり 年 4 月に創立し、増収増籍の決算を続けて現在、 49 人の社員を雇用するまでに事業は拡大。 地元にこだわった直売所、レストラン、農産加工場 を経営。利用者は 60 万人を超え、交流と情報化によ り順調に売上を伸ばし、農家の所得向上に寄与する。 多くの内子町民( 677 名)が出資した第三セクター。 農産物を中心に地域資源を活用。町民の資本で就業 の場が確保され、地域活性化の一翼を担うまでに成 長している。 内子フレッシュパークからり HP より抜粋
CIA シンポジウム 日本ベンチャー学会事務局長 田村真理子 5 内子フレッシュパークからり HP より抜粋
CIA シンポジウム 日本ベンチャー学会事務局長 田村真理子 6 九州:(株)ウッドサークル 年 9 月設立。杉間伐材を使った食品トレーの開 発・販売で全国展開。FFCテクノロジーによる、 化学的除菌法を取らず健康に付加を与えない木材加 工技術、免疫木材の開発。 その技術を地場産業の家具の開発に応用し、地域の 家具メーカー 10 社と連携し全国展開。パラマウント ベッド ( 株 ) 発注の医療家具に免疫木材イムウッドの採 用、受注を伸ばす。 2007 度東京都の賃貸マンションに起健康家具イム ウッド家具を地元ベンチャーグループ企業で納品。 2007 年 2 月新工場可動。 ウッドサークル HP より抜粋
CIA シンポジウム 日本ベンチャー学会事務局長 田村真理子 7 中国:漂流岡山 年、岡山県内産果物のインターネット販売を主 たる業務として創業。 消費者ニーズである『適熟果物』を実現するために、 特に県内若手農業者との信頼関係を構築。 若手農業者は各地域で情報が分断され、販路も乏し いことから農業者のネットワーク『地産地消ギルド 岡山』 2005 年に設立、事務局として農業者を取りま とめる。その農業者グループが差別化を求めるスー パー等に受け入れられ地元農産品の卸し業に取り組 んでいる。 有限会社 漂流岡山 HP より抜粋
CIA シンポジウム 日本ベンチャー学会事務局長 田村真理子 8 有限会社 漂流岡山 HP より抜粋
CIA シンポジウム 日本ベンチャー学会事務局長 田村真理子 9 4. 地域資源活用の問題点(1) ①観 光 型 ・問題点は地域全体のまとまりをどうす るか。 ⇒観光地においては、 1 社の努力のみな らず地域全体の魅力を高めることが 必要。 ⇒地域一丸となって活性化に取り組む 仕組むつくりなどが容易ではない。 ⇒温泉宿泊施設では、施設の新設や維 持・修繕に多額の設備投資が必要。 ⇒事業化に伴う資金調達が困難。 2007 年度版中小企業白書より作 成
CIA シンポジウム 日本ベンチャー学会事務局長 田村真理子 10 5 .地域ブランドのイメージとは ● こだわり・本物 ⇒ 魅力的・健康的 ● 期待・信頼 ⇒ 無農薬・無添加 ● 差別化・高付加価値化 ⇒ 高価 ● 手に入りにくい・期間・地域・数量限定 ⇒ 地域らしい 手作り ● その他 2007 年度版中小企業白書より作成
CIA シンポジウム 日本ベンチャー学会事務局長 田村真理子 11 6.地域ブランド構築のポイント ● 地域イメージの価値の明確化 ● 強み・弱みの徹底的な検証と統一的なコンセプトが必要 ● 消費者のニーズを把握しながら顧客を選定し、販売方法を明確化 ・卸し(百貨店、商社、スーパー等) ・直販(道の駅、物産展、アンテナ ショップ等) ・通信販売、オンラインショップ ● 価格戦略とマーケティング戦略が課題 ⇒ リピーター、口コミ ● 主体的に取り組む旗振り、キーマンがカギ ⇒ 地場の中小・ベン チャー企業の役割 ● 地域ブランドの取り組みが一過性のものではなく、成果を出していくこと が大切 ● 行政や商工団体等だけでなく、地域内の生産者や住民、 NPO 、中小・ベン チャー企業、その他の団体、さらには地域外のものとも連携し、統一的な コンセプトのもとで取り組むことが重要 2007 年度版中小企業白書より作成
CIA シンポジウム 日本ベンチャー学会事務局長 田村真理子 12 7.まとめ ・ 地域資源を認識している割合は、観光型で9割、農林水産型で6割、 産地技術型で3割と大きな差があった。 ・地域資源活用のきっかけとしては、 地域資源が地元の特産・特色であった ことが 高い割合を占めている。 ・地域の中小・ベンチャー企業は 地元が持つものの市場価値を 十分に認識し て、 外部の意見も参考にしつつ地域資源を活用していくことが必要。 ・自社の強みを見出して差別化を図るとともに、消費者ニーズが多様化している 中では、「地域」自体の差別化が求められている。 ・ 改めて地域を見直し、地域資源の活用により地域内外の需要を取り込むことで、 中小・ベンチャー企業の持続的成長と地域全体の活性化を図ることがポイント だろう。 2007 年度版中小企業白書より作 成