日本語 WWW 情報を用いた COCET3300 英単語学習支援に関する研究 情報・知能工学専攻 博士前期課程2年 渡邉 雄大 指導教員 河合 和久
研究背景 高等専門学校(高専) 五年間の一貫教育によって専門的知識、技術を 習得させることを目的とした高等教育機関 高専教育の成果は企業側から高く評価されてい る 高専の学生は大学生と比べ英語力が低い 学年が上がるたびに専門科目の授業や実験が多 くなり、英語科目の授業が減少 大学受験がないため、英語を学習する意欲が湧 きづらい
COCET3300 英単語リスト 出現頻度の高い順に並ぶ 意味の内容は簡潔に記載
COCET3300 学習用アプリケーション メディア教育開発 センターが開発 インターネット経 由でアクセスでき、 誰でも使用が可能 e- ラーニングによる 学習機能、学習進 度の自己管理機能 等
先行研究(1) 「 Web ページを用いた COCET3300 英単語学習 支援システムの開発」 ( 石川 哲郎,2011) Web ページ閲覧中に英単 語にハイライトを表示 COCET3300 英単語を出 現頻度ごとにハイライトで 強調 マウスカーソルを乗せる ことで意味をポップアップ 表示 英語 日本語
先行研究(2) 「日本語 WWW 情報における COCET3300 英単 語の出現頻度に関する研究」 ( 林 佑樹,2011) – COCET3300 英単語日本語訳の Web ページ中での 出現傾向
研究目的 ブラウザ Firefox を用いたアドオンの開発 インターネットの閲覧は英語学習の好き嫌い に左右されない わざわざ学習時間を取る必要がない 英単語が目に触れる機会を増やす 日本語文から英単語の表示 英語に苦手意識を持つ人も抵抗が少なく学習 できる 登録する英単語は COCET3300 から
システムの概要 Web ページの日本語からポップアップで 英単語を表示 苦手意識を持つ人も継続して学習 COCET3300 英単語の日本語訳に類語を関 連付け 出現単語数、種類の増加を期待 英単語学習に役立つ機能 学習の復習、確認
大まかな処理の流れ
類語の登録 類語は日本語 WordNet より登録 – (独)情報通信研究機構が開発 – 例 形 ― 型、形式、像、形態 – 英語の類語辞書をもとに開発
ポップアップ実行例
ポップアップ実行例(2)
学習支援機能 ページジャンプ機能 – 任意の英単語が出現した最後のページを開く 確認テスト機能 – 現在の Web ページ内に出現する英単語のテス ト COCET3300 英単語辞書機能 – COCET3300 英単語に特化した辞書機能
ページジャンプ機能
確認テスト機能
COCET3300 英単語辞書 ① 検索された日本 語訳に対応する 英単語を表示 ② 英単語と日本語 訳 ③ 選択されている 日本語の類語 ④ 英単語の出現回 数、確認テスト の結果 ⑤ 英単語に対する 簡単な解説 ① ② ③ ④ ⑤
評価と検討 類語の追加によって得られる効果の検討 評価に利用する Web ページ – 初心者のためのポイント学習 C 言語 – 豊橋技術科学大学 – 日本生命保険相互会社 評価システム – 類語ありシステム(システム A ) – 類語なしシステム(システム B ) – 2011 年度調査に用いたシステム(システム C )
結果(1) 初心者のためのポイント学習 C 言語 – 総単語数 総出現 COCET3300 英単語数 Web ページにおける COCET3300 単語の割合 英単語種類 システム A % 934 システム B % 457 システム C % 227
結果(2) 出現回数 英単語
結果(3) 豊橋技術科学大学 – 総単語数 総出現 COCET3300 英単語数 Web ページにおける COCET3300 単語の割合 英単語種類 システム A % 731 システム B % 348 システム C % 189
結果(4) 出現回数 英単語
結果(5) 日本生命保険相互会社 – 総単語数 8447 総出現 COCET3300 英単語数 Web ページにおける COCET3300 単語の割合 英単語種類 システム A % 688 システム B % 304 システム C % 167
結果(6) 出現回数 英単語
システム B とシステム C の比較 システム B とシステム C の出現英単語の数 – 3つの Web ページ合わせて 1.54 倍 システム B とシステム C の出現英単語の種 類 – 3つの Web ページ合わせて 1.90 倍 増加する割合が低い
システム A とシステム B の比較( 1) 出現単語数の比較 – 初心者のためのポイント学習C言語: 4.10 倍 – 豊橋技術科学大学: 4.93 倍 – 日本生命保険相互会社: 3.82 倍 出現単語の種類の比較 – 初心者のためのポイント学習C言語: 2.04 倍 – 豊橋技術科学大学: 2.10 倍 – 日本生命保険相互会社: 2.26 倍
システム A とシステム B の比較( 2) 1つの英単語が出現する回数の比較 – 初心者のためのポイント学習C言語:約 2 倍 – 豊橋技術科学大学:約 2.35 倍 – 日本生命保険相互会社:約 1.69 倍
類語による英単語再出現 Web ページ中から表示される英単語が類語 で表示される割合 – 初心者のためのポイント学習C言語: 52.3 % – 豊橋技術科学大学: % – 日本生命保険相互会社: %
考察 1つの英単語が出現する回数 Web ページ中から表示される英単語が類語 で表示される割合 繰り返し出現による継続学習の効果
まとめ Web の閲覧中に学習するシステムの開発 各種機能で英単語学習の支援 類語を追加で継続的な学習効果を期待 今後の課題は効果の検証
エビングハウスの忘却曲線
ジップの法則について 出現頻度が k 番目の要素は全体に占める割 合が 1/k に比例するという経験則 – 英単語の使用頻度のほかにも、都市の人口や Web ページのアクセス頻度などにおいて成立 出現頻度上位の要素の全体 に占める割合が他の個々と 比べ圧倒的に高くなる
ジップの法則について(2) COCET3300 は出現頻度ごとに並べられているが、個 々の出現頻度がどの程度であるかという情報はない 英単語の出現頻度を表すジップの法則を用いて算出 COCET3300 英単語はたった 3300 種しかない理工系英 単語群であるため、一般的に使われる全ての英単語 と比べ圧倒的に種類が少なく内容も偏りがあるため 、ジップの法則をそのまま適応できるわけではない レベル分けを行う際の一つの目安として使用し、感 覚的に均等となるようあのようにレベル分けを行っ た