八王子市の がん予防推進計画策定の取組について

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八王子市の がん予防推進計画策定の取組について 「がん」にならない/「がん」による早すぎる死を防ぐ/笑顔あふれる健康なまちづくり 八王子市の がん予防推進計画策定の取組について 平成25年6月7日 八王子市健康福祉部地域医療推進課 課長補佐(成人健診・がん検診担当) 菅野匡彦 八王子市のプロフィール  東京都心から西へ約40km(新宿から電車で約40分)、面積186.31㎢ 大正6年の市制施行から90年を経た現在、人口564,500人(H25.1.1住基) 多摩地区の中核都市、21の大学を抱えた学園都市として、発展を続けています。 ミシュランガイドで、富士山と並び★★★獲得の高尾山(年間登山客250万人)を擁しているほか、観光大使として歌手 北島三郎さん、ファンキーモンキーベイビーズの3人、車人形の西川古柳さん、将棋の羽生善治さんら八王子ゆかりの方々活躍しています。 特定健診・がん検診等については、市内のおよそ200の医療機関で実施しています。

国・都の役割、市の役割 2人に1人ががんになり 昭和56年より死因の第1位 3人に1人ががんで亡くなる 平成18年 「がん対策基本法」制定 平成18年 「がん対策基本法」制定 国 自然減10% 喫煙率減1.3% がん検診3.9% 医療の均てん化4.9% 平成19年 「がん対策推進基本計画」策定 全体目標 平成28年の「がんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少」 総合的 ①がん予防(早期発見) 計画的 都道府県に計画策定義務 国・都 八王子市 ②医療の均てん化 ③がん研究の推進 ⇒都 がん対策推進計画 予防と早期発見⇒基礎自治体の役割大 個別目標 すべての市町村で、精度管理・事業評価と 科学的根拠に基づくがん検診の実施 平成28年度までにがん検診受診率50% がん検診無料クーポン推進事業 科学的根拠に基づく検診実施への転換 (対象年齢の見直しなど) 受診率向上事業(個別勧奨) ピンクリボン、がん撲滅キャンペーン がん検診事業評価(精度管理は高水準) ⇒未達成 若年層~50代の受診率が低迷 ⇒未だに指針外あり

がん検診 受診率推移・受診者数と検診費の推移 市のおこなうがん検診の検診費は過去10年間で2.8倍になりましたが、それに伴い受診者数も2.5倍に増え、受診率も伸びて取り組みの成果が表れています。財源の確保は大きな課題ですが、がん検診は継続的に受診していただくことが大切であり、今後のがん検診推進のため市民の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

策定の経過と体制 八王子市がん予防推進計画 24年度 「がん予防推進計画策定検討委員会」 23年度 「がん予防対策検討会」 22年度 「がん予防およびがん 検診に関する意識調査」 市民8,000人対象 23年度 「がん予防対策検討会」 (検討会4回、 実務担当者部会4回)を開催 検診の科学的根拠を専門的見地から評価・分析し、検討する専門家会議 24年度 「がん予防推進計画策定検討委員会」 検討委員会5回、精度管理部会5回 市民団体や公募市民を含む会議 庁内にがん予防推進庁内連絡会議設置 八王子市がん予防推進計画 策定作業 策定準備作業 「パブリックコメント」の実施(12月)

八王子市が行ったこと 平成22年度 がん予防・がん検診に関する意識調査 八王子市が行ったこと 平成22年度 がん予防・がん検診に関する意識調査 対象者|8,000人  回収率|58%(記名式) 《5がん別検診受診制度の認知の有無》 60.0% ◎市のがん検診制度を知らないと答えた人     これらの市民にきちんと制度の周知を行っていくことが重要。 ◎未受診の理由  40–50歳代|忙しい。  60–70歳代|心配な時はいつでも医療機関を受診できる。        (かかりつけのお医者さんがいる) ◎市のがん検診事業への要望                                                  が第1位!     行政としての制度整備が必要。 市民全体の傾向 53.1%!!※3 「医学的根拠※4に基づいた効果のあるがん検診を実施してほしい」 53.1% 50.8% 44.7% 40.0% 34.0% 23.7% 20.0% 0.0% 胃がん検診 肺がん検診 大腸がん検診 乳がん検診 子宮頸がん検診 平成22年度、八王子市では、東京都の医療政策包括補助のがん予防対策推進計画策定支援事業、がん検診受診率向上事業による補助を受け、がん検診が始まる40歳の市民3,000人と41歳から74歳の市民5,000人に対して、がん予防・がん検診に関する調査を行いました。 なお、この補助制度は先駆的な試みについて10/10となっており、また、東京都との共同事業として、都の職員やコンサルの支援もあるなど、ヒト、モノ、カネすべての面でかなりチャレンジングな取り組みを応援していただけるものであったことを付け加えます。 さて、記名式のアンケートにも関わらず6割近い回答をいただき、市民のがんに対する関心の高さがうかがえます。 ここでは注目すべき3点を紹介します。 ①市のがん検診制度を知らないと答えた方が半数以上であったことなど、受診勧奨など制度の周知を図る必要性がわかりました。 ②未受診の理由は、年代別に異なり、40-50代では「忙しい」、60-70代では「心配な時はいつでも医療機関を受診できる」でした。 ③また、市のがん検診事業への要望ですが、すべてのがん検診を受けられる41歳から74歳の方で、「医学的根拠に基づいた効果のあるがん検診をしてほしい」が第一位となりました。 47.8%!! ※3肺がん検診調査結果。最も認知度の高かった子宮頸がんの調査結果は23.7%。 ※4がん検診について、指針などでは「科学的根拠」という言葉が多く使われていますが、一般になじみが薄いと思われるため、「医学的根拠」と言い換えてアンケートを実施しています。 八王子市がん予防対策検討委員会報告書概容改変

受診率目標に対する八王子市の現状 図.本市における5がん検診推計受診率 2.0% 6.2% 7.8% 13.6% 14.6% 市検診受診率 八王子市がん検診受診率(平成23年度) 市検診以外受診率 八王子市がん予防・がん検診に関する調査 41~69歳データ(平成22年) *白抜きの数値は、自治体検診のみの受診率を示す。 市検診 また、この調査では、市民の職域も含めた受診率をとらえることができました。 首都圏ということもあり、職域の受診者がかなり多いこと、とはいえ30%程度の受診率に留まっていることがわかりました。

八王子市が行ったこと 平成23年度 がん予防対策検討会 八王子市が行ったこと 平成23年度 がん予防対策検討会 がん予防対策検討会(親会) 実務担当者部会 精度管理について、部会で突っ込んだ個別の議論を行い、親会でがん検診そのものの在り方を検討していくというスタイル 検診別医療機関別の要精検率や、精検受診率の把握を実施 年代別受診率の国平均との比較や受診率50%までに必要な受診者数や予算規模を把握 がんによる死を防ぐためのがん予防対策は、生活習慣の改善など、個々人の努力にかかっている部分が大きいのでは、との意見もあります。もちろん喫煙対策など、個々人でも可能な予防対策もありますが、「万が一がんにかかってしまったとしても、がんを早期に発見して、早期に治療することで重症化を防ぐ」ということに関しては、科学的根拠に基づく効果の確かながん検診の実施など、行政にできることが沢山あります。 また、これまで市民団体や関係機関の個別的な努力によるがん予防のための啓発などは行われてきましたが、ますます死亡者数が増えている「がんによる早すぎる死」を防ぐためには、各主体が連携し、一丸となってがんに立ち向かう必要があります。そのため、市では「どのようながん予防対策を行うべきか」、また「がん検診はどうあるべきか」に関する検討を3年間に渡り行ってきました。具体的には、平成22年度に市民のがん予防・がん検診に関するニーズを問うアンケート調査を実施した上で、平成23年度には有識者による「がん予防対策検討会」を立ち上げ、専門家の立場から効果が期待できるがん対策について議論を重ねその内容を報告書にまとめました。そして平成24年度にはそれらの内容を踏まえ、「がん予防推進計画策定委員会」を市民団体、関係機関、市民、行政の代表者より結成し、一年間を通じて本計画の策定に向け討議を進めてきました。 このように本市では一層のがん対策推進のため、各主体の連携による「ALL八王子体制」を組み、本計画を策定することとします。

科学的根拠に基づいたがん検診による死亡率減少のための3つの段階※5 本市では、効果あるがん検診を推進しており、より高い水準を目指しています より多くの人に 有効な検診を より確かな質で 科学的に死亡率 減少効果が明らか 検診の質の向上と維持 受診率を向上させる STEP.1 がん検診の方法等の検討 (がん検診アセスメント) STEP.2 がん検診の事業評価・精度管理 (がん検診マネジメント) STEP.3 受診率対策 がん検診を行うことで、がん死亡率を確実に減少させうるか、国内外の研究を科学的に吟味し、対策型検診として実施すべきか否かの判断を「ガイドライン」としてまとめ、有効ながん検診を明らかにすることです。 有効性の確立したがん検診でも、正しく実施しなければ真の効果を発揮できません。そのため、現状のがん検診が正しく行われているかどうか検証しながら、不十分な点を改善し、精度を維持・向上させていくことが重要です。 有効性の確立したがん検診を高い精度で実施しても、多くの人が受診しなければがん死亡率の減少は達成できません。受診者の方々にがん検診に関する正しい知識を持っていただき、適正に受診していただくための対策が重要となります。 がん検診について、「科学的根拠に基づいたがん検診による死亡率減少のための3つの段階」を改めて整理しました。 「有効な検診を より確かな質で より多くの人に」これによって、はじめて死亡率減少という成果が生まれます。 特に「有効な検診を より確かな質で」行わないと、むしろ不利益の方が多くなってしまいます。 有効な検診は指針に示されていますので、一部指針外のものを指針の検診への整理を進めるとともに、本市の特徴とも入れるほどに高い精度管理レベルについて、「より確かな質」を目指すこととし、その上で、「より多くの人に」受けていただくことを目指しています。 がん検診の3本の柱はいずれか1本でも欠けていると、目標に到達できません。3本の柱が互いに支え合うことで、当初の目的である がんの死亡率の減少が達成できます。本編では、これを3段跳びになぞらえて、ホップ・ステップ・ジャンプとしています。 ※5「がん検診は誤解だらけー何を選んでどう受ける」斉藤博(NHK出版生活人新書2009/11)を参考に作成

八王子市のがん予防推進計画に盛り込むべきがん検診5つの目標 ◎今回の検討の過程で明らかになったことの1つとして、  本市には根付いた「がん」撲滅のための高い潜在能力があることが判りました。  それを活かすべく設定されたのが下記の5つの目標です。 八王子市のがん予防推進計画に盛り込むべきがん検診5つの目標 1 2 3 4 5 科学的根拠に基づくがん検診の実施(より適切な方法・間隔による) 都内区市で精密検査受診率1位 がん検診の質の高さを表す各指標※7の目標値クリア(全国の上位10%) 国のがん検診事業評価チェックリスト※8の遵守率100% 受診率を上げ続ける(40–50歳代から50%を目指す) こうした考え方で八王子市のがん予防推進計画に盛り込んだがん検診5つの目標が次のとおりです。 ※7検診の質の高さを表す各指標・・・要精検率(受診者のうち、要精密検査となる人の割合)、精検受診率(要精密検査となった人のうち、精密検査を受診した割合)、陽性反応的中率                 (要精密検査となった人のうち、がんが見つかった人の割合)、がん発見率(受診者のうち、がんが見つかった人の割合)、などがある。 ※8チェックリスト・・・ここで触れているチェックリストとは国の「がん検診事業評価のためのチェックリスト」【市町村用】を指す。検診対象者/受診者の情報管理/要精密検査率の把握/          精密検査の有無と受診勧奨/精密検査結果の把握/検診機関の委託などの6分野37項目

精度管理分析の例 大腸がん検診精度管理アンケート 分かったこと 院内の結果にバラつきが多い 定性検査にバラつきが多い 院内と定性検査の分布が重なる

精度管理結果 平成23年度検診実施分 赤字 目標値に改善 精度管理結果 平成23年度検診実施分 赤字 目標値に改善 以前より申し上げていますが、八王子市のがん検診の精度管理、すなわち品質は大変良く、いまや都内のみならず実は全国から注目され始めています。 何が良いかということですが、一つには、精密検査の受診率です。がんと疑われて精密検査をしないというのも不思議な話ですが、特に都内では、そういう方が多いのは事実です。そんな中にあって、本市の多くのがん検診の精密検査受診率は90%以上となっており、国が目標と定める全国上位10%の水準です。これは医療機関の皆様が、精密検査はとても大切なものであるということを受診者の方にしっかり説明し、また精密検査機関から検査結果がしっかり帰ってきているという証拠です。そして、がん発見率、陽性反応的中率も許容値を満たしています。このことはがんでない方をがんと疑わず、がんである方はがんではないか、としっかり判定されているということです。肺がん検診・乳がん検診委員会での読影の取り組みなど、高い質を保つ仕組みがあるとともに、一部、芳しくない数値についても、医療機関の皆様のご協力、取組みを得て、改善の見通しが出てきています。

八王子市が行ったこと 平成24年度 がん予防推進計画策定検討委員会 八王子市が行ったこと 平成24年度 がん予防推進計画策定検討委員会 がん予防推進計画策定検討委員会 精度管理部会 予防も検診も「科学的根拠」が切り口 さて、受診率の向上をテーマにお話しさせていただきましたが、実は受診率向上を含む、がん予防対策をまとめた計画を八王子市では策定し、今年度からスタートしています。22年度の調査を皮切りに、23年度は斉藤先生を座長に、がんの専門家の皆さんに委員として加わっていただき、福吉さんらキャンサースキャンの面々をコンサル迎えて、がん予防対策検討会というものを立ち上げて、市のがん検診のあり方を検討し「がん予防対策検討会報告書」をとりまとめました。特に精度管理については専門の部会を設けて、突っ込んだ議論をしていただいたところです。 そして24年度は、健康に関する市民団体や公募による市民委員にも加わっていただき、一次予防やがん教育・啓発も含めた検討を行い計画策定をめざす「がん予防推進計画策定検討委員会」を立ち上げ検討し「がん」にならない 「がん」による早すぎる死を防ぐ 笑顔あふれる健康なまちづくり」を基本理念に「がんによる早すぎる死を防ぐ」対策の推進、生活習慣病としてのがん予防策の推進、がん予防の啓発活動とがん教育の充実を3つの基本方針とした計画を策定したところです。 検討過程の特徴としては、22年度の市民アンケートで「市のがん検診に求めることの第一位」となった「医学的根拠に基づくがん検診をしてほしい」という市民の意向や、本市の検診の精度管理の成績が比較的高いということを受け、23年度、24年度の検討ではともにがん検診について「科学的根拠」ということを大前提として検討を進めたことや「精度管理部会」を設けて、がん検診の精度管理について突っ込んだ専門的な検討を行ったことが挙げられます。 「科学的根拠」を切り口とした結果、がん検診については「有効な検診を、より確かな質で、より多くの人に」がテーマとなりました。 さらにがんの一次予防についても、最近の研究でわかってきた「科学的根拠」に基づいて取り組んでいくこととし、国同様にタバコの喫煙率12%以下をかかげ、また学校を含めた教育などの取り組みも進めていくこととするなど、国のがん対策推進計画で、市区町村レベルの基礎自治体が取り組むべきテーマに集中した意欲的な計画としたところですが、ここでは、がん検診のあり方についての取り組みと目標について特にご紹介させていただきます。 特別なことというよりもABC(あたり前のことを、バカにしないで、ちゃんとやる)で進めていきます。

八王子市が行ったこと 平成24年度 がん予防推進計画策定検討委員会 八王子市が行ったこと 平成24年度 がん予防推進計画策定検討委員会 がん予防に関する科学的根拠の評価一覧 出典:独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部ホームページ http://epi.ncc.go.jp/cgi-bin/cms/public/index.cgi/nccepi/can_prev/outcome/index 予防も検診も「科学的根拠」が切り口 さて、受診率の向上をテーマにお話しさせていただきましたが、実は受診率向上を含む、がん予防対策をまとめた計画を八王子市では策定し、今年度からスタートしています。22年度の調査を皮切りに、23年度は斉藤先生を座長に、がんの専門家の皆さんに委員として加わっていただき、福吉さんらキャンサースキャンの面々をコンサル迎えて、がん予防対策検討会というものを立ち上げて、市のがん検診のあり方を検討し「がん予防対策検討会報告書」をとりまとめました。特に精度管理については専門の部会を設けて、突っ込んだ議論をしていただいたところです。 そして24年度は、健康に関する市民団体や公募による市民委員にも加わっていただき、一次予防やがん教育・啓発も含めた検討を行い計画策定をめざす「がん予防推進計画策定検討委員会」を立ち上げ検討し「がん」にならない 「がん」による早すぎる死を防ぐ 笑顔あふれる健康なまちづくり」を基本理念に「がんによる早すぎる死を防ぐ」対策の推進、生活習慣病としてのがん予防策の推進、がん予防の啓発活動とがん教育の充実を3つの基本方針とした計画を策定したところです。 検討過程の特徴としては、22年度の市民アンケートで「市のがん検診に求めることの第一位」となった「医学的根拠に基づくがん検診をしてほしい」という市民の意向や、本市の検診の精度管理の成績が比較的高いということを受け、23年度、24年度の検討ではともにがん検診について「科学的根拠」ということを大前提として検討を進めたことや「精度管理部会」を設けて、がん検診の精度管理について突っ込んだ専門的な検討を行ったことが挙げられます。 「科学的根拠」を切り口とした結果、がん検診については「有効な検診を、より確かな質で、より多くの人に」がテーマとなりました。 さらにがんの一次予防についても、最近の研究でわかってきた「科学的根拠」に基づいて取り組んでいくこととし、国同様にタバコの喫煙率12%以下をかかげ、また学校を含めた教育などの取り組みも進めていくこととするなど、国のがん対策推進計画で、市区町村レベルの基礎自治体が取り組むべきテーマに集中した意欲的な計画としたところですが、ここでは、がん検診のあり方についての取り組みと目標について特にご紹介させていただきます。 特別なことというよりもABC(あたり前のことを、バカにしないで、ちゃんとやる)で進めていきます。

2009年度と2010年度クーポン受診者、2年後の受診予約動向の比較 乳がん検診受診勧奨予約動向 2009年度と2010年度クーポン受診者、2年後の受診予約動向の比較 予約率 2倍 Ave.129件/1W 予約率48.1% 2,522/5,239 Ave.30件/1W 乳がんについても同様の傾向です。 最終的にそれまでの受診者を除いた勧奨対象者4,852人のうち、受診者は2,247人で受診率46.3%でした。 うち、マンモグラフィの勧奨対象者4,030人のうち、マンモ受診者は1,731人で受診率43%でした。 1月はキャパシティの関係で、お断りが多くでたため、抑え込まれた可能性があります。 視触診のみによる検診を合わせているとはいえ、50%近い予約率となったことは、特筆すべき点と考えられます。 今後は勧奨ハガキをお持ちの方のみ受診期間を延ばす、あるいは早期受診でノベルティグッズを渡すといった工夫が考えられます。 予約率24.0% 1,313/5,477 Ave.35件/1W ※1 八王子市では、視触診のみとマンモグラフィ併用の乳がん検診を実施しており、両者合わせた予約状況です ※2 転入、転出、死亡等の要素は加味していません ※3 予約動向のため、カラ予約や二重予約が含まれ最終的な受診者数、受診率とは一致しません ※4 事業は東京都医療保健政策包括補助メニュー がん検診受診率向上事業(補助率10/10)を活用して行いました

八王子市の受診勧奨 今後の方向性 がんによる早すぎる死を防ぐために、受診率向上効果の確認された、あるいはあると思われる取組みを実施していく 40歳のキッカケがん検診 クーポン 受診勧奨 &再受診勧奨 2年前 クーポン受診者 受診勧奨 指針内検診への誘導 視触診⇒マンモ 特定健診 同時実施 大腸がん検診のセット化等、 システム的な 組込み 受診勧奨は、他にも様々取り組んでいますが、時間の関係もありクーポンと継続受診の試みの紹介のみにさせていただきました。 さて、本市が考える今後の受診勧奨の方向性ですが、これまで取組みで効果が明らか、あるいは効果があると思われるに至った策を組み合わせて実施していきます。 ①40歳のきっかけがん検診については、今年度から、国のクーポンによる子宮頸がん、乳がん、大腸がんに加え、市独自に胃がん、肺がんの無料クーポン券を配布して、5がんすべてについて、40歳限定で受診のキッカケにしていただく施策を開始しました。 ②クーポン受診勧奨、再勧奨は効果が明らかですので、制度の続く限りキッチリやってまいります。本市の受診期間は、通常5月末から翌年1月末ですが、毎年度受診期限間際は大変な混雑となりますので、ピークカットの意味もあり、クーポン受診者のみ2月末まで1か月延長することとしています。 ③2年前クーポン受診者についても効果が明らかですので続けていきます。また、クーポンに限らず、がん種ごとに前年あるいは2年前受診者に検診受診の時期が来ていることをお知らせする受診勧奨も検討しています。 ④指針内検診への誘導ですが、本市では、乳がん検診でマンモグラフィ受診可能な医療機関が少なかったことから、視触診のみの検診を続けてきました。こちらも視触診のみの検診を連続して受けている受診者にマンモグラフィの検診を勧める受診勧奨をして、一定の効果が出ていますので、続けてまいります。また、これは、限られた財源を科学的根拠ある検診に集中して、財源上からも継続していく一つの工夫でもあります。余談ですが、制度の安定的運営のため、これまで無料としてきた70歳以上の方について、今年度から年代にかかわらず一部負担金をいただくこととしたところです。 ⑤特定健診との同時実施を勧める勧奨も昨年、一昨年と試みたのですが、今のところ思ったような成果が出ていません。がん検診を委託している医師会と相談しているところですが、今後は特定健診とのセット化など、システム的な組み込みを考えています。 もう一点、ピンクリボンなどキャンペーンは、検診開始時や受診勧奨時など、仕掛ける時期を考えて組み合わせて行います。昨年度から検診予約開始時期の5月中旬に、お笑い芸人を呼んで「そうだ!がん検診に行こう」キャンペーンを打つなど、集中的な効果の見えるキャンペーンを実施しています。実際、イベントを実施した地域の医療機関から、「市は何か仕掛けたのか、急に予約が跳ね上がった」など驚きの反響があり、医療機関のモチベーションアップにも一役買っています。医療機関の皆さんには、市は受診率向上にしっかり取り組むので、科学的根拠あるがん検診を確かな質で実施していただくようお願いしているところであり、精度管理指標については、許容値のみならず、多くの検診で目標値もクリアしているところです。 キャンペーン的なものはこれらに組み合わせる

受診率向上イメージ 22年度アンケートをもとにした八王子市がん検診受診者構成モデルを一部改編 受診勧奨の効果としてみるのであれば、どうやら無料でなく、キッカケを与えることが重要であるということがわかってきました。 そして、こうした試みによる受診率50%を目指したイメージですが、元になっているのは22年度のアンケートをもとにした5がん平均の受診者構成モデルに、現在の市のがん検診の受診率を加味して加えたものです。 相当ハードルは高いものの、不可能ではないイメージと考えています。 ただし、これを目指すために、自治体にとっての財源論というのは無視できません。がん検診費用の1/2は地方交付税により賄われている前提ですが、実態として、受診率向上は多くの自治体にとって、真水の流出に近いものです。自治体が本気にならない受診率向上はインパクトに欠けるものとなるでしょう。八王子市の場合でも、この5年で3億台だったがん検診予算が毎年1億近く増え、すでに7億規模の予算措置となっており、今後5年で少なくとも10億程度までは伸びていく見込です。 その点では、各自治体において、指針外検診から指針内検診への誘導による財源の捻出、一定の自己負担導入などとともに、受診勧奨対象者へクーポン同様に検診費用の1/2補助、あるいは指針内検診の受診率に応じた財政支援、そして特定健診と一体化し、そのアメとムチを利用するなど、国による自治体支援策、制度設計もますます重要になってくるかと思います。 職域にも多少の受診者増を期待しています。市の取り組みでは難しいのですが、これについても一定の働きかけを検討中です。そして、市の検診では、40歳キッカケ受診やクーポン券による新規受診者の掘り起しにより新規の受診者を5%掘り出すとともに、継続受診の受診勧奨により、その半分の受診者が定着していくことを考えています。目指すのは社会風土として、当然に検診を受ける社会。受けていない人が少数派で「えっ!あなた受けてないの」というのを目指しています。 22年度アンケートをもとにした八王子市がん検診受診者構成モデルを一部改編

そしてできたもの・・・八王子市がこれから行っていくこと 八王子市がん予防推進計画平成25~29年度 早すぎる 基本理念  「がん」にならない 「がん」による死を防ぐ 笑顔あふれる健康なまちづくり 基本方針 1.「がんによる早すぎる死を防ぐ」対策の推進 社会や子育ての担い手である働き盛り世代のがん死亡を防ぐための施策を実施します 2.生活習慣病としてのがん予防策の推進 保健医療計画との共通指標により、がんにならないための予防策を推進します 3.がん予防の啓発活動とがん教育の充実 市民協働の取り組みや、若年層や家庭への取り組みを進めていきます さて、受診率の向上をテーマにお話しさせていただきましたが、実は受診率向上を含む、がん予防対策をまとめた計画を八王子市では策定し、今年度からスタートしています。22年度の調査を皮切りに、23年度は斉藤先生を座長に、がんの専門家の皆さんに委員として加わっていただき、福吉さんらキャンサースキャンの面々をコンサル迎えて、がん予防対策検討会というものを立ち上げて、市のがん検診のあり方を検討し「がん予防対策検討会報告書」をとりまとめました。特に精度管理については専門の部会を設けて、突っ込んだ議論をしていただいたところです。 そして24年度は、健康に関する市民団体や公募による市民委員にも加わっていただき、一次予防やがん教育・啓発も含めた検討を行い計画策定をめざす「がん予防推進計画策定検討委員会」を立ち上げ検討し「がん」にならない 「がん」による早すぎる死を防ぐ 笑顔あふれる健康なまちづくり」を基本理念に「がんによる早すぎる死を防ぐ」対策の推進、生活習慣病としてのがん予防策の推進、がん予防の啓発活動とがん教育の充実を3つの基本方針とした計画を策定したところです。 検討過程の特徴としては、22年度の市民アンケートで「市のがん検診に求めることの第一位」となった「医学的根拠に基づくがん検診をしてほしい」という市民の意向や、本市の検診の精度管理の成績が比較的高いということを受け、23年度、24年度の検討ではともにがん検診について「科学的根拠」ということを大前提として検討を進めたことや「精度管理部会」を設けて、がん検診の精度管理について突っ込んだ専門的な検討を行ったことが挙げられます。 「科学的根拠」を切り口とした結果、がん検診については「有効な検診を、より確かな質で、より多くの人に」がテーマとなりました。 さらにがんの一次予防についても、最近の研究でわかってきた「科学的根拠」に基づいて取り組んでいくこととし、国同様にタバコの喫煙率12%以下をかかげ、また学校を含めた教育などの取り組みも進めていくこととするなど、国のがん対策推進計画で、市区町村レベルの基礎自治体が取り組むべきテーマに集中した意欲的な計画としたところですが、ここでは、がん検診のあり方についての取り組みと目標について特にご紹介させていただきます。 特別なことというよりもABC(あたり前のことを、バカにしないで、ちゃんとやる)で進めていきます。

がん予防推進計画策定支援事業 実施方法 直営及び 委託(キャンサースキャン) 総事業費 22年度 2,809,363円 23年度 2,699,200円 24年度 4,049,125円 計 9,557,688円 関連事業 >受診率向上事業 >がん検診要精検受診者への 受診勧奨補助事業 >がん予防対策事業 がん予防対策検討会及びがん予防推進計画策定検討委員会  座長 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 検診研究部長 斎藤 博 先生 構成メンバー 東京医大八王子医療センター、東海大八王子病院、市医師会、保健所、市、市民団体、公募市民

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