RABJメディアアイデンティティ調査① 広告に求められるものの変化と ラジオ媒体の新しい価値観に関する検証 調査監修:専修大学 経営学部 教授 石崎 徹 調査実施:㈱ビデオリサーチ ㈱日本リサーチセンター
2.AIDMA→AISAS (©dentsu) 【検証にあたって】 1.広告の役割の変化 経済環境、情報環境の変化に伴い、広告の役割は、認知の獲得から ブランドロイヤリティの構築へとシフトしている。 2.AIDMA→AISAS (©dentsu) かつて広告はAIDMA理論で語られるように、A:アテンション(注意喚起)つまり 「認知の獲得」が主目的。 しかし、インターネットの普及等の情報環境の変化により、情報の検索・共有化に 力点が置かれるように変化。 そこで重要となるのがブランドロイヤリティの構築である。 3.リーチ&フリークエンシー 認知の獲得が主目的であった時代の広告は、リーチ&フリークエンシーが 重要な課題であったが、今はブランドロイヤリティを高めること、 ロイヤルユーザー(確実な顧客)を生み出すことの重要性が増している。 ■AIDMAモデル Attention (注意が喚起される) Interest (興味が生まれる) Desire (欲求が生まれる) Memory (記憶される) Action (購買行動をおこす) ■AISASモデル Attention (注意が喚起される) Interest (興味が生まれる) Search (情報を検索する) Action (購買行動を起こす) Share (情報を共有する) ■リーチ&フリークエンシー 認知の獲得を考える上で重要な考え方。 「リーチ=どれだけ多くの人に接触するか」 「フリークエンシー=何回接触するか」 この視点から、テレビや新聞が優れたメディアであるという考え方が生まれる。 ■ブランドロイヤリティ そのブランドに対する好意度や忠誠心のこと。ブランドロイヤリティが高いと、生活者のリ ピート購入・利用につながる。「認知=購買」ではなく「ブランドロイヤリティの向上=購 買」と考える場合には、必ずしもテレビや新聞が優れたメディアであるとは言えない。そこに ラジオが活用の可能性がある。 <デビット・アーカーによる ブランドエクイティ(ブランドの資産価値)モデル> 1.ブランドロイヤリティ (そのブランドに対してどれだけ好意度や忠誠心があるか) 2.ブランド認知 (そのブランドの名称・内容がどれだけ認知されているか) 3.知覚品質 (そのブランドの品質がどのように感じられているか) 4.ブランド連想 (そのブランドに関してどのような思い出、経験があるか) 5.その他の所有資産 (そのブランドが持つ特許、商標、チャネル関係など) 4.メディアの役割 現代の広告戦略においては、メディアの役割を捉え、目的別に使い分ける必要がある。 ①リーチ&フリークエンシーで認知を獲得するメディア(量が得意なメディア) ②受け手の共感を得てブランドロイヤリティを高めるメディア(質が得意なメディア) 広告の役割は認知を獲得することとされた。 どれだけ多くの人に何回触れられるかという リーチ力が重視される。 2 商品を認知するだけでは購買行動には 結びつかない。ブランドロイヤリティを高める 広告の内容・質が重視される
5.ラジオの役割 6.これまでの「絆」 7.【仮説1】 新しい「絆」 テレビや新聞が ①リーチ&フリークエンシーで認知を獲得するメディアとするならば、 ラジオやインターネットは ②受け手の共感を得てブランドロイヤリティを高めるメディアである。 では、なぜそのような定義づけが可能なのか。 その鍵を握るのが、ラジオが持つといわれてきた「絆」である。 6.これまでの「絆」 これまで「絆」といわれてきたものは、番組(コンテンツ)⇔リスナーの間に成立するもの であった。 番組を提供する広告主やブランドに関わるものではなかった。 7.【仮説1】 新しい「絆」 もし「絆」が番組⇔リスナーだけでなく、 番組を通じて広告主⇔リスナーの間にも存在することが証明できればラジオにとっての大きな価値になる。 さらに、この「絆」が他の媒体にないラジオ固有の機能だとすれば、大きなセールスポイントになる。 これまでも「絆」という言葉はラジオ業界でよく使われてきた。 しかし、広告主とってメリットとは感じられていなかった。 番組とリスナーの間の深い関係が、どのような広告効果に繋がるか不明であったためである。 改めて「絆」と呼ばれているものを捉え直し、ラジオのセールスポイントに変える必要がある。 3
リスナー=広告主(ブランド)間にあると考えられる「絆」の検証 8.【検証1】 リスナー=広告主(ブランド)間にあると考えられる「絆」の検証 広告、番組、リスナーの関係性について、検証調査を実施した。 <検証のポイント> ①リスナーは番組の提供広告主をどの程度認知しているか。 ②リスナーは番組を通じ広告主にどのような印象を持っているのか。 ③それは他の媒体と比べてどのような特徴を持つのか。 9.ラジオとインターネットとの関係 「4.メディアの役割」で挙げた②質が得意なメディアの1つにあてはまるのが インターネットである。インターネットとラジオは親和性(なじみ)が高いと言われてきた。 これは「ながら」聴取ができるということが主な理由であったが、定量的に証明はされていない。 また、このことが広告主にどのようなメリットを与えるのかが不明で、セールスポイントとはならなかった。 10.インターネットの3分類 ①認知の獲得は最終目的ではないが、全ての基本となる。 ②この検証では、番組を通じて生まれる広告主への親近感やポジティブイメージを 広告主との間の「絆」として明らかにした ③他媒体との比較により、これがラジオならではのアドバンテージとなることを明らかにした。 「親和性」は、インターネット利用時にアナログラジオがながら聴取される、という生活者側からみた特徴であった。これまでのアナログラジオの範疇では広告主へのセールスポイントとなってこなかったが、radiko等のインターネットラジオの普及が進みパソコンを通じたラジオ聴取が一般的になれば新たな意味を持ってくる。 今回の検証では、メディア側からラジオとインターネットを比較し、 2つのメディアは同じような特徴を持つ同質的なメディアであることを明らかにした。 マスメディア Yahoo! 同好会メディア ブログ・SNSなどのCGM 1対1メディア メール・Skypeなどのツール <出典> 社団法人日本アドバタイザーズ協会実施 2010年「重点広告戦略の方向」アンケート調査 青山学院大学 教授 小林保彦氏 による定義 4
11.【仮説2】 インターネットとラジオの同質性 11.【仮説2】 インターネットとラジオの同質性 インターネットの中でも同好会メディアに分類されるサービスは、その性質から、 ラジオと同様の特徴があることが想定される。 その2つが同質である場合には、同じターゲットに対して相乗的なコミュニケーションが 可能となる。 これがラジオとインターネットのみに成り立つ関係だとすると、大きなセールスポイント となる。 12.【検証2】インターネットとラジオの同質性についての検証 インターネットとラジオの相互の関連性、相乗的コミュニケーションの可能性を 明らかにするための、検証調査を実施した。 <検証のポイント> ①インターネットとマス4媒体のイメージ・接触態度にどのような相似・相違があるか。 ②インターネットとラジオの間にどのような関係が成り立つか。 5
【調査概要】 ①これまでの媒体調査との違い ②調査の手法について 生活者全体からサンプル抽出する一般的な媒体調査では、マーケット全体における各メディアのパワーを知ることはできるが、個々のメディアの特性、特にリーチ型メディア以外の特性を捕らえることは難しかった。 そこで、本調査ではラジオ聴取者を対象とし、これまで見えていなかったラジオの特性を明らかにする。 ②調査の手法について 1)調査の精度・信頼性を高めるため、同種調査を同時期に2系列、専門領域の異なる 2社に実施依頼した。 A メディアリサーチを主に行っている㈱ビデオリサーチ B 消費財のリサーチを主に行っている㈱日本リサーチセンター 2)調査全体の対象者はラジオの能動接触者としたが、コンテンツに関わる項目では、 それぞれの媒体の接触者であることを調査の前提とし、ニュートラルな分析を行った。 3)その結果、2社で同様の結果が出た。 6
③調査内容の詳細 調査A ビデオリサーチ実施 調査内容 調査対象者が自分の意思で定期的に接触しているラジオ・テレビ番組を3番組まで挙げてもらい、番組イメージ、提供広告主名の純粋想起率およびイメージを調査する。 調査方法 WEB調査 調査エリア 1都3県(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県) 調査対象者 ①男女15~69歳(中学生除く) ②ラジオの能動接触者(自分の意思で聴きたいと思って定期的に聴いているラジオ番組がある) 有効サンプル数 606サンプル 調査期間 2010年2月12日(金)~2月14日(日) 調査B 日本リサーチセンター実施 調査内容 ①調査対象者に最も好きな番組を挙げてもらい、 番組イメージ、提供広告主の意識レベルでの想起率、イメージおよび効果を調査し、4マス+インターネットの媒体間比較を行う。 ②各媒体全般のイメージ・接触態度を調査する。 調査方法 WEB調査 調査エリア 1都3県(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県) 調査対象者 ①男女15~69歳(中学生除く) ②ラジオの能動接触者(週に1回以上楽しみにして聴いているラジオ番組がある) 有効サンプル数 1055サンプル 調査期間 2010年2月25日(木)~2月27日(土) ■調査内容について 回答にあたっては、放送局名をリストから選択した上で、番組名および提供広告主名を 自由記述してもらった。それをもとに番組を特定し、広告主名の正誤を判定した。 また、それぞれの番組・広告主について印象等を質問した。(具体的広告主・番組名は非公開データ) 想起番組数は、ラジオ750番組(1人あたり1.24番組)、テレビ923番組(1人あたり1.52番組) であった。テレビの方が回答番組数が多かったが、これはラジオ番組はワイド番組が多く、同じ時間 接していてもテレビと比べて接触番組数が少なくなるためだと考えられる。 ■調査エリアについて 上の番組照合を簡便にするため、VR広告統計が実施されている地区のうち、首都圏1地区に限定し て調査を行った。 ■調査対象者について 対象年齢は聴取率調査に準じ、そこからWEB調査で親の同意が必要となる中学生を外し15~69 歳とした。ラジオの特長をより明確につかむため、対象は能動的なラジオリスナーに限定した。この 調査では、自分の意志で定期的に接触しているラジオ番組がある人とした。全回答者のうち、このス クリーニングを通過した有効サンプルの出現率は、28.8パーセントであった。テレビ番組の質問に あたっては、有効出現社を同様の条件でさらにスクリーニングしたが98.8%が通過した。 7
④調査対象者のラジオ・テレビ接触量(VR調査) 調査対象としたラジオリスナーの多くはテレビも視聴しており、テレビを見ないと答えた人は7サンプル(1.2%)のみであった。 1日あたりの接触時間では逆にテレビの方が長く、平日でラジオの1.5倍、土日では2倍程度となっている。 ここでは調査対象者がテレビをよく見ていることから、 ラジオに能動的に接触している人が特殊なサンプルではないことを示した。 8
リスナー=広告主(ブランド)間にあると考えられる「絆」 【検証結果(1)】 リスナー=広告主(ブランド)間にあると考えられる「絆」 ①提供広告主想起率の5媒体比較(NRC調査) 全回答番組に対する 提供広告主想起率、正答率は、 ラジオがテレビを大きく上回り、 番組に紐づいて広告が認知されて いることが分かった。 ■調査全体の質問項目と集計方法について(VR調査) 自分自身が聴きたい思って、定期的に聴いている特定のラジオ(テレビ)番組の「ラジオ(テレビ) 局」と「番組名」を最大3つまで自由記述で回答してもらった。 番組名の回答がラジオで750番組、テレビが923番組あった。 ■ここでピックアップした項目について ここでピックアップしているのは、その番組の提供スポンサー(企業名、商品・サービス名)を知って いると回答した人。およびその具体名を正解した人。スポンサー名の正誤はビデオリサーチの広告統計 等を参考にして確認した。 ※使用上の注意 テレビに関するスコアを見る際は、調査対象者はラジオの能動的リスナーであることへの留意が必要。 ただし、調査対象者のほぼ全てがテレビ視聴者である。 (P18参照) 9
②提供広告主想起率の5媒体比較(NRC調査) 最も好きな番組(ビークル)について の広告主想起率はラジオが45%と もっとも高い。 他メディアは雑誌38%、 新聞32%、テレビ25%、 インターネット23%と差が開いた。 ③提供広告主への親近率・好感率のラジオ・テレビ比較(VR調査) 全回答番組について、提供広告主に対する親近感を感じる人の割合 好感度が上がった人の割合も、 想起率と同様の傾向がみられた。 ■調査全体の質問項目と集計方法について(NRC調査) 媒体別の特長を加味し質問項目が異なる。 テレビ・ラジオ・インターネットは番組・サイトのレベルで質問しているが、 新聞・雑誌はそれがビークルのレベルでの質問になっている。 ○テレビ・ラジオ 最も好きな番組と提供広告主名を挙げてもらい、それに関連する様々な行動・イメージを調査した。 ○新聞・雑誌 最も好きな新聞・雑誌名と、よく広告を掲載している広告主名を挙げてもらい、 その広告主への好感度を調査した。 ○インターネット 最も好きなインターネットのサイトと、よく広告を掲載している広告主名を挙げてもらい その広告主への好感度を調査した。 ■質問項目について ここでピックアップしているのは、その番組の広告主(スポンサー)名または商品(ブランド)名を覚えて いる人でかつ、自由記述で具体名を記入した人(正誤は問わず) ※使用上の注意 質問項目の設計上、紙媒体に有利な条件ではあるが、これはラジオと他の4媒体を横並びに比較する ためのものである。また、調査対象者はラジオの能動聴取者に限定されているので、ラジオ以外の媒体 間比較には適さない。 ここでは、その番組を聞いて提供スポンサーに対する好感度が上がった人の割合および、 その番組の提供スポンサーに親しみを感じている人の割合を取り上げた。 10
④提供広告主への好感率の5媒体比較(NRC調査) 最も好きな番組(ビークル)について、広告主に好感を持っている人の割合のスコアは広告想起率と同様に、ラジオ・雑誌・新聞・テレビ・インターネットの順に高かった。 ⑤番組親近度と広告主への親近度(VR調査) 全回答番組に対して番組に親しみを感じる人は、 ラジオ・テレビとも9割を超えた。 しかしそれが提供広告主への親しみに結びついたのはラジオが30.0%とテレビの15.2%を上回った。 ここでは、その番組を提供している広告主(スポンサー)や商品(ブランド)に対して 好感を持っている人の割合を取り上げた。 11
⑥番組聴取(視聴)期間と広告主への親近度(VR調査) 全回答番組について6ヶ月未満の短期接触では、広告主に親しみを感じる割合はラジオとテレビとも同程度だった。 聴取期間が長くなるとラジオで親近感が深まるが、テレビでは大きな伸びは見られなかった。 ⑦番組参加と広告主への親近度(VR調査) 全回答番組について番組へメールを送る、プレゼントに応募する、イベントに参加するといった番組参加経験者は、テレビ・ラジオ共に少数であったが、ラジオでは極めて高い親近率に結びついていた。 ここでは、提供スポンサーに親しみを感じている人の割合を、番組聴取期間別に比較した。 短期間接触である6ヶ月未満、ラジオテレビとも約半数が該当する3年以上、 その中間の6ヶ月~3年未満の3区分で分析した。 6ヶ月未満ではラジオテレビとも広告主への親しみの割合に大差はなかったが、 期間が長くなるにつれラジオのスコアは上昇し、長期的に番組提供を行うことが効果的であると分かった。 12
⑧番組内広告接触の効果(NRC調査) ⑨リスナー=広告主間の「絆」 検証結果 最も好きな番組で流れる広告への接触後の変化については、心理的な部分では 広告主・商品に対する親しみに関する項目が特に高かった。 具体的行動でも、CM商品購入経験率がラジオで約10%あり、番組提供の効果が見られた。 ⑨リスナー=広告主間の「絆」 検証結果 ここでは最も好きな番組とそれを提供する広告主についての態度変容・行動の割合をピックアップした。 a.ラジオ接触者と番組の間にある絆は、広告主との間の絆にトレースされることが 検証された。 b.媒体間の比較により、それがラジオのならではの強みであることが分かった。 13
【検証結果(2)】 インターネットとラジオの同質性 ①各媒体のイメージ(NRC調査) ラジオ接触の特徴と考えられる項目を中心に、各媒体とラジオの関係を見た。 一般的なニュースや情報を得るという目的ではテレビ新聞との相似性が高かったが、 受け手と作り手の距離の近さ、本音感といった、マスメディアの中でラジオならではの特徴 と考えられていた項目ではインターネットとの同質性が強い項目が目立った。 ここではラジオの特徴を基準に他媒体との比較を行っている。 スコアの上位2媒体に①・②と記入し、ラジオとインターネットが上位2媒体の項目は背景をつけた。 流行前の情報が入手できる、つながりの強さ、参加しやすさ、同じ目線、本音が聞けるといった項目で ラジオとインターネットが高いスコアを示した。 こうした共通点の多さからラジオとインターネットには同質性がある言うことができる。 14
②ラジオリスナーとインターネット利用(NRC調査) 調査対象者の9割がPCでインターネットをよく利用しており、携帯でも3割がよく利用している。Youtube、SNS、ツイッターといった消費者生成型メディアの利用も一定度あった。 ③ラジオリスナーとインターネットでの情報検索・発信(NRC調査) 上)ここでは、ラジオリスナーがどの程度インターネットを利用しているかを調査している。 週1回以上アクセスするサイトでは、ウェブサイトをカテゴリー分類して、ラジオリスナーが様々なサイトを訪問していることを示している。ツイッターやユーストリーム等の新興サイトの訪問も一定度あり、情報感度の高さが伺われる。 下)ここではラジオリスナーがインターネット上で情報検索や情報発信を一定度行っていることが分かった。 これはAISASではSearchとShareに該当する重要な部分である。(AISASについてはP3参照) Twitterについては、同時期に富士通総研が一般を対象に実施した調査結果が公開されている。ツイッターの認知率は70.2%だったが、利用率は8.2%だった。URLは以下の通り。 http://jp.fujitsu.com/group/fri/report/cyber/research/twitter/ 調査対象者の6割が週に1回以上、趣味または仕事に関する情報を閲覧・検索している。 ラジオで発信された情報がネット上でリスナーから再発信されていることが想像される。 インターネット上で3割半ばがクチコミ情報を発信している。 15
④ラジオ⇔インターネット間の移動(NRC調査) 64.4% 41.5% タレントをキーにした、ラジオとインターネットの相互移動を見ると、 ラジオをきっかけにインターネット接触をした経験を持つ人が64%、インターネットをきっかけにラジオ聴取をした経験率を持つ人が42%、と、2つのメディアの間には約半数程度の移動が相互にみられる。 ⑤番組聴取と番組関連サイト接触(VR調査) ラジオ・テレビの全想起番組について、 番組聴取と関連サイトの接触をラジオ、テレビで比較すると、 全項目でラジオがテレビよりも高いスコアとなった。 ここでは、実際にラジオとインターネットの間を移動するリスナーが多いことが分かった。 ラジオとインターネットそれぞれに共通するコンテンツを発信することで、 もう一方に接触している人を取り込むことが可能だとここから考えられる。 ここではインターネット上の番組関連コンテンツへのアクセス割合を比較している。 その差は、出演者と結びついたブログ等で大きくなっている。 16
⑥番組聴取と番組関連サイト接触(NRC調査) 最も好きな番組についての、番組関連サイト接触割合は、ラジオ・テレビとも全想起番組についての結果より高い傾向がみられるが、ラジオの方がインターネットでの関連行動により結びついている。 ⑦インターネット接触(番組・出演者関連)と広告主への親近度(VR調査) 全回答番組についてネット接触経験によりラジオとテレビとも広告主への親近率は上がるが、ラジオでは40.8%まで上昇している。 上)ここでは前項の内容について、NRC調査データでも同様の結果が出ていることを示した。 下)ここでは番組関連サイトへのアクセスによる広告主への親近度を比較している。 アクセス者は親近率が大きく上昇している。 「番組のホームページにアクセスしたことがある」人と「番組出演者のホームページやブログにアクセスしたことがある」人をインターネットアクセスありとした。 17
⑧インターネットとラジオの同質性 検証結果 ⑧インターネットとラジオの同質性 検証結果 a.ラジオとインターネットには同質性があることが検証された。 b.広告媒体として相乗効果を持つことがそこから考察される。 18
【検証総括】 1.リスナー=番組=広告主の絆について 2.ラジオとインターネットの同質性について 【検証総括】 1.リスナー=番組=広告主の絆について ①ラジオ番組提供広告主は、能動的なリスナーに対して、ラジオ番組を軸とした ブランドロイヤリティの構築が可能である。 リスナーの番組関与度が高まる程、その効果は増すため、番組とリスナーの間の 絆を深めることが、広告効果へと繫がる。 ②ラジオの能動的リスナーはテレビ番組へも能動的に接触し番組への親近感もラジオと 同程度に高い。しかし、番組を通じた広告主との「絆」づくり効果は、ラジオが2倍程度高く、 これがラジオ特有のものであることが伺える。 ③ラジオ以外のメディア間では、広告主と接触者の結びつきが強いの は、 雑誌・新聞・テレビ・インターネットの順であった。 2.ラジオとインターネットの同質性について ①能動的ラジオリスナーのほぼ全てがインターネットを利用しており、 インターネットでの情報検索、クチコミの発信が行われている。 ②インターネットへの接触態度は、ラジオが持つ固有の特徴と相似している点が多い。 ③ラジオがきっかけでインターネットにアクセスすること、インターネットがきっかけで ラジオを聴取すること、能動的ラジオリスナーの半数が経験している。 ④特に能動的に聴いている番組関連サイトのアクセス率はテレビに比べて高く、 ラジオ・インターネットのマルチ接触者では、広告効果が大きく上がる。 19
【検証総括から導き出した仮説】 1.「AISAS (©dentsu) 」の時代の広告は、リーチ・フリークエンシーを目的とした媒体と、 【検証総括から導き出した仮説】 1.「AISAS (©dentsu) 」の時代の広告は、リーチ・フリークエンシーを目的とした媒体と、 ロイヤリティ獲得を目的としたマインドシェアを稼げるメディアをうまく使い分けなければ ならない。 2.リーチ&フリークエンシーがテレビ・新聞であるならば、ロイヤリティやマインドシェアは ラジオの仕事であることが今回証明された。 3.この「絆」構築力はラジオ固有の特性である。 Atention(テレビ・新聞)、Interest、Search(ラジオ・インターネット)を上手く使い分けること が重要になる。 4.ラジオとインターネットは、どちらも「顔の見えない」「2WAYメディア」であり同質性が高い。 そのため、効率的なプランニングを行うことでより深いコミュニケーションが可能である。 5.クロスメディアプランニングの要として、ラジオには新たな可能性がある。 20