鎮静管理 JSEPTIC-Nursing
目標 鎮静の目的と合併症を述べることができる。 鎮静の評価法を述べることができる。 主な鎮静薬の特徴を述べることができる。 JSEPTIC-Nursing
鎮静の目的 不安を取り除く 酸素消費量を低下させる 人工呼吸との同調性を向上させる 眠らせることではない 上記が必要と認められる患者に必要となるが、すべての気管挿管患者に必要なわけではない。 JSEPTIC-Nursing
過剰な鎮静の問題点 神経学的異常の見落とし 鎮静薬からの離脱症状、せん妄 患者のニードが分かりにくい。 PTSDのリスク 静脈血栓のリスク 呼吸器合併症 ICU在室日数増加 呼吸抑制 低血圧・徐脈 免疫抑制 人工呼吸器日数増加 鎮静は必要最低限にすることが大切 JSEPTIC-Nursing
必ず鎮静の深度を評価する 漫然と眠らせない。鎮静の目的を考え、患者 にとって適切かを考える。患者によって至適 な鎮静深度は異なるため、目標を明確に。 鎮静スケール(例えばRASSやSAS)を使用し、 鎮静状態を定期的にチェック。 意識レベルのスケールと鎮静スケールは目 的が違うことに注意。 JSEPTIC-Nursing
まずは話を聞く、説明する 挿管患者を看るときに大切なこと いきなり鎮静薬ではなく、きちんと説明し、話をする。 患者は周囲や自分の状況が分かっていないかもしれない。ライン類やチューブは自分の目で見えないことがほとんど。 まずは患者が自分で、おかれている状況を理解できるように説明する。 JSEPTIC-Nursing
まずは鎮痛を行う 気管挿管患者に対してはまずは鎮痛をしっ かり行う(フェンタニルが使用されることが多 い)。 原則的には(鎮痛なしに)鎮静薬だけ投与し ない。 JSEPTIC-Nursing
プロポフォール 覚醒が早い。呼吸抑制がある 脂質が多く含まれている。 感染源となりうるため、12時間に一回、ラインを交換する。 0.3-4.8mg/kg/hrで投与。10mg/mLの製剤であれば、 0.03-0.48mL/kg/hrとなる。体重60kgだと、1.8mL/hr- 48mL/hrで投与される。 実際は、2mL/hr-20mL/hrあたりで投与されると思ってい てよい。 JSEPTIC-Nursing
ミダゾラム 覚醒が遅い。 せん妄を引き起こすリスクが高い。健忘症状を起こすことがあ るため、自己抜去に注意(説明しても忘れてしまう)。 蓄積性がある。 離脱症状を呈することがある。 最近は、人工呼吸患者の鎮静薬として積極的には推奨されな い。 プロポフォールと比較すると血圧を低下させにくい。 0.03-0.15mg/kg/hrで投与される。緊急時には2-5mgをIVする。 希釈されて使用することが多いので、濃度を確認すること。 JSEPTIC-Nursing
デクスメデトミジン 鎮痛作用があり、呼吸抑制作用がないため、抜管 後やNPPV使用中にも使用される。 自然の睡眠に近いといわれ、容易に覚醒させること が可能。 ミダゾラムと比較するとせん妄を起こしにくい。 徐脈を引き起こすことがあるため、注意。 0.2-0.7μg/kg/hrで投与される。200μgを48mLに希 釈すると4μg/mLになる。 上記の希釈、体重60kgだと、3.0-10.5mL/hrとなる。 JSEPTIC-Nursing
鎮静薬の特徴ーまとめ 発現時間 持続時間 鎮痛 健忘 循環 呼吸 ミダゾラム プロポフォール デクスメデトミジン 0.5~5分 <2時間 なし 強い 抑制少ない 抑制あり プロポフォール 1~2分 15分 軽度 デクスメデトミジン 2時間 軽度あり ほとんどない~軽度 JSEPTIC-Nursing
最近の鎮静管理 一日一回鎮静薬を中断することにより、人工呼吸 日数は短縮するとされている。(sedation vacationな どと呼ばれる) 鎮静無しの管理: no sedation(鎮痛のみ)によって、 人工呼吸日数は短縮されるとされている。 看護師によるプロトコルの基づいた鎮静管理も人 工呼吸日数を短縮すると言われている。 JSEPTIC-Nursing
まとめ まずは鎮痛をしっかり行う。 鎮静は眠らせることではない。 鎮静には合併症が多くあることに注意。 スケールを用いて鎮静深度を確認する。 ミダゾラムはせん妄を引き起こすリスクが高い ことに注意しながら患者を看る。 JSEPTIC-Nursing
明らかに闘争的であり、暴力的;スタッフへの危険が差し迫っている +3 RASS +4 明らかに闘争的であり、暴力的;スタッフへの危険が差し迫っている +3 チューブ、カテーテルを引っ張ったり抜いたりする。または、スタッフに対して攻撃的な行動がみられる。 +2 頻繁に目的の無い動きがみられる。または、人工呼吸器との非同調がみられる +1 不安や恐れが存在するが、動きは攻撃的であったり活発であったりはしない。 -1 完全に覚醒はしていないが、10秒を超えて覚醒し、声に対し目を合わせることができる。 -2 短時間(10秒に満たない)覚醒し声に対し目を合わせることができる。 -3 声に対してなんらかの動きがある(しかし、目を合わせることができない)。 -4 声に対し動きはみられないが、身体刺激で動きが見られる。 -5 声、身体刺激で反応は見られない。 JSEPTIC-Nursing