2015.5.22 第39回山口県学校環境衛生研究大会 於：山口市 2015.5.22　第39回山口県学校環境衛生研究大会　於：山口市 危険ドラッグの基礎知識 山口県学校薬剤師会　 理事　井向　雅美

大畠中学校 周東総合病院

本日の内容 乱用薬物について 危険ドラッグとは？？ 薬物乱用防止教室

　　　乱用される薬物の種類 厚労省ホームページ 薬物乱用はダメゼッタイ（啓発資料） 「薬物乱用の現状と対策」 より

俗称にだまされない！ 覚せい剤 MDMA 大麻 ヘロイン （俗称） ｼｬﾌﾞ、ﾋﾛﾎﾟﾝ、ｽﾋﾟｰﾄﾞ、S、ｸﾘｽﾀﾙ、ｱｲｽ、 ﾀﾞｲｴｯﾄﾋﾟﾙ（やせ薬）など 覚せい剤 （俗称） ｴｸｽﾀｼｰ、ｱﾀﾞﾑ、X、罰、ｴｯｸｽなど MDMA （俗称） ｶﾞﾝｼﾞｬ、ﾊｼｭｼｭ、ﾁｮｺなど 大麻 （俗称） ﾌﾞﾗｳﾝ、ﾌﾞﾗｳﾝｼｭｶﾞｰ、H、ｽﾏｯｸ、ｽﾉｳ ﾎﾜｲﾄｽﾀｯﾌなど ヘロイン

薬物乱用の本当の恐ろしさ 薬物依存（Drug Dependence) 強い依存性 　「１回だけ！」は許されません

依存性薬物の心身に及ぼす作用の特徴 ＋＋＋ ― ＋＋ ＋ ± 中枢作用 薬物のタイプ 精神依存 身体依存 耐性 催幻覚 精神毒性 法的分類 抑制 ｱﾍﾝ類 ＋＋＋ ― 麻薬 ﾊﾞﾙﾋﾞﾂｰﾙ類 ＋＋ 向精神薬 ｱﾙｺｰﾙ ＋ その他 ﾍﾞﾝｿﾞｼﾞｱｾﾞﾋﾟﾝ 有機溶剤 ± 毒物劇物 大麻 興奮 ｺｶｲﾝ 覚せい剤 LSD ﾆｺﾁﾝ 出典：「依存性薬物と乱用・依存・中毒」より

風鈴とクーラー

依存とは？？ パチンコで勝ったことのない人は パチンコにはまらない！ 酒を飲んでいい気分になったことのある人しか 酒にはまらない！ 　　　パチンコにはまらない！ 酒を飲んでいい気分になったことのある人しか 　　　酒にはまらない！ 人は、気分がかわるものにしかはまらない！ いったんはまると、人はてっとり早く簡単に強力に 　　気分を変えてくれるものを求めていく！ 埼玉県立精神医療ｾﾝﾀｰ　成瀬暢也

一度の好奇心からはじまる一生の闘い 薬物乱用　⇒　薬物依存　⇒　慢性中毒

　　H26年7月22日 　　　「脱法ドラッグ」に代わる新呼称名が選定 「危険ドラッグ」

危険ドラッグとは？？ 大変危険で違法なドラッグです！ 全部危険なドラッグです!! 「合法ドラッグ」 「脱法ハーブ」 本当は 「合法」と称して販売されることから、他の薬物よりマイルドだとの誤った印象を与える。

オシャレなパッケージで、使用者の抵抗感をなくしている。 身体に影響がなく、安全であるかのように誤解を与える。

危険ドラッグとは？？ 危険ドラッグには、既に規制されている麻薬や覚せい剤の化学構造を少しだけ変えた物質が含まれており、体への影響は麻薬や覚せい剤と変わりません。それどころか、麻薬や覚せい剤より危険な成分が含まれていることがあります。 実際はどんな危険性があるのか、分かりません。

危険ドラッグとは？？ O N 危険ドラッグ製造工場では、薬物の知識を全く有しないアルバイトとして雇われた従業員が、化学物質の入った水溶液を植物片に吹きかけ、扇風機で乾燥させた後、製品化しています。従業員が「化学物質の分量は適当」と話していることからも、危険ドラッグは、製造過程が不確かで何がどれくらい含まれているか分からない、非常に危険な薬物と言えます。 広報けいしちょう第68号ｗｅｂ版より

危険ドラッグの例 乾燥させた植物片 化学物質 商品によって含有量が異なるため、体に及ぼす影響がわからず大変危険です。 危険ドラッグ どんな成分･不純物か分からない 商品によって含有量が異なるため、体に及ぼす影響がわからず大変危険です。 危険ドラッグ 乾燥させた植物片に何等かの化学物質が混ぜてある

麻薬と危険ドラッグの例 麻薬 危険ﾄﾞﾗｯｸﾞ DOM DON* 2，5-ｼﾞﾒﾄｷｼ-4ﾒﾁﾙｱﾝﾌｪﾀﾐﾝ 2，5-ｼﾞﾒﾄｷｼ-4ﾆﾄﾛｱﾝﾌｪﾀﾐﾝ *DONは平成22年9月24日に指定薬物となりました。 ちょっと化学構造を変えているだけで、体への影響は麻薬と同じ又はそれ以上です。 法律の網の目を巧妙にすり抜けるかたちで、販売されている。

大麻と危険ドラッグの例 危険ドラッグに含まれる合成カンナビノイド 大麻の精神活性物質 合成ｶﾝﾅﾋﾞﾉｲﾄﾞは大麻の20倍強力な作用 （指定薬物） 合成ｶﾝﾅﾋﾞﾉｲﾄﾞは大麻の20倍強力な作用 ⇒　危険性が極めて高い！

指定薬物 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（旧薬事法） 「指定薬物」とは、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する 蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（麻薬、向精神薬等を除く） 「指定薬物」は、厚生労働省令で定める もの以外の用途（販売･授与･所持購入･譲り受け等）使用してはならない。 （指定薬物:約１４００物質）

取り締まりが難しい？ 麻薬など （規制） 危険ドラッグ （未規制） 法規制を受ける薬物が 含まれていない ⇒ 未知の薬物 法規制がある 　（規制） 危険ドラッグ 　（未規制） 法規制を受ける薬物が 含まれていない　⇒　未知の薬物 　　法規制がある しかし、ヒトが使用すると幻覚や興奮作用などを示す。

包括規制のイメージ 平成25年3月 わが国の薬物対策としては初めての包括指定が公布された。 包括規制のイメージ　 平成25年3月 わが国の薬物対策としては初めての包括指定が公布された。 基本骨格には、多様な置換基が結合する箇所があり、その置換えパターンの変化によって、類似構造をもつ多様な物質（危険ドラッグ）が生まれてくる。 厚労省ホームページ 指定薬物を包括規制する省令の公布  「別紙」　より

指定薬物：1454物質 平成27年2月9日より 新たに11物質を指定薬物に指定した省令が施行されました。 （平成27年2月18現在） 厚労省ホームページ 健康・医療 「薬物乱用防止に関する情報」 より

危険ドラッグの危険性 強い依存性 抑制作用 興奮作用 主に 共通 「幻覚妄想」 「精神運動興奮・不穏・攻撃性」 「意識障害」 ハーブ系 リキッド系 パウダー系 抑制作用 「幻覚妄想」 「精神運動興奮・不穏・攻撃性」 強い依存性 興奮作用 「意識障害」 「多彩な身体症状」

イメージ戦略にだまされない！ 「違法ではない」＝「合法」偽装 「お香」の例 「ﾊﾞｽｿﾙﾄ」の例 「ﾊｰﾌﾞ」の例 「ｱﾛﾏ」の例 「指定薬物」等に指定された化学構造と 一部異なる化学構造を含んだ薬物を使用 販売方法：ﾊｰﾌﾞ、ｱﾛﾏ等と称し、法の網をくぐり抜けるために用途 　　　　　　　を偽って、店頭やインターネットを通じて販売。

危険ドラッグを使うと、どうなるの？？ 危険ドラッグは商品によって、成分や含有量がまちまちであり、意識を失ったり、暴れたりなど、様々な健康被害が報告されています。 最悪の場合は死に至ってしまうこともある危険なドラッグです。病院に救急搬送されても、成分がわからないため適切な治療ができないこともあり、大変危険です。 急性 中毒 救急 搬送 何が起こるか予測不可能！ 死亡

健康被害等 平成26年12月4日（中国新聞） 平成26年9月20日（中国新聞） 平成27年3月6日（中国新聞）

危険ドラッグによる救急搬送 H22 H23 H24 H25 H26 (1～6月) 合計 ０ １ ８ １０ 25 ７ ３ ３６ ２ 15 95 山口県 ０ １ ８ １０ 広島県 25 ７ ３ ３６ 島根県 ２ 福岡県 15 95 62 26 198 東京都 127 473 344 150 1,120 全国 85 602 1,785 1,346 621 4,439 （単位:人） 「危険ドラッグ」によるものと疑われる救急搬送人員数　消防庁（平成26年9月16日）発表

薬物関連障害の主乱用薬物

危険ドラッグ使用による交通事故の検挙状況（全国） H23 H24 H25 H26（1～6月） 危険運転致死傷 13 23 17 過失運転致死傷 4 1 2 物損交通事故 5 15 9 総　計 22 39 28 （単位:件） 山口県警察本部　組織犯罪対策課データより （H23年以前のデータなし）

危険ドラッグ乱用の実態（県内） 20 8 11 39 1 9 2 H23 H24 H25 H26 （1～6月） 総計 通報件数 内救急搬送 20 8 11 39 内救急搬送 1 9 死者数 2 （単位:件） 山口県警察本部　組織犯罪対策課データより （H23年以前のデータなし）

危険ドラッグ関連の事件 平成26年7月23日　 （朝日新聞DIGITAL） 危険ドラッグの原料を中国から密輸し、インターネットで全国1万人以上に販売していたとみられる危険ドラッグ店の経営者が、警視庁に逮捕された。 神奈川・横浜市の危険ドラッグ店経営者(44)は、2014年10月、国際郵便で、危険ドラッグの原料となる麻薬や指定薬物あわせておよそ1kgを、中国・北京から成田空港に販売目的で密輸した疑いが持たれている。 容疑者は、神奈川県や静岡県で、危険ドラッグ店3店舗を経営していたほか、全国およそ60店舗に危険ドラッグを卸し、全国1万5,000人ほどにネット販売を行っていたとみられる。 平成27年2月27日　 （フジテレビ系　FNN）

危険ドラッグの規制 ３年以下の懲役又は３００万円以下の罰金又はこれらが併科 平成19年４月：販売禁止「指定薬物」を規定（初の法規制） 平成25年３月：包括的に指定薬物を指定（化学構造類似薬物も対象） 平成25年10月：麻薬取締官・員による取り締まり権限の付与 平成26年４月：指定薬物の所持、使用、購入等の禁止 　　　　　　　　　　３年以下の懲役又は３００万円以下の罰金又はこれらが併科 平成26年７月：池袋の事件（6月）で使用された物質を指定薬物 　　　　　　　　　　　に緊急指定

危険ドラッグの規制 平成26年７月：新呼称の決定（脱法ドラッグ ⇒ 危険ドラッグ） 平成26年７月：「危険ドラッグ乱用根絶のための緊急対策」 平成26年７月：新呼称の決定（脱法ドラッグ　⇒ 危険ドラッグ） 平成26年７月：「危険ドラッグ乱用根絶のための緊急対策」 　　　　　　　　　　　総理の指示　①取締の徹底、②規制の見直し等 平成26年８月：無承認医薬品としての取り締まりの強化（取締の判断 　　　　　　　　　　　の基準、手順を明確化） 平成26年８月：指定薬物の疑いがある物品の検査命令・販売停止命令。 　　　　　　　　　　　広告を掲載したサイトの削除要請。 平成26年12月：医薬品､医療機器等法により、検査命令・販売停止命令 　　　　　　　　　　　 の対象の拡大　⇒　全国5店舗に減少

危険ドラッグ販売店舗に対する検挙対策（山口県） 第一弾の壊滅作戦 ・下関市東大和町　危険ドラッグ販売店「AMS420」 ・6月11日に事件着手、経営者等を逮捕し、壊滅 平成26年6月14日（山口新聞） 第二弾の壊滅作戦 ・下関市竹崎町2丁目　危険ドラッグ販売店　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　「CRAZY HERB」 ・9月19日に事件着手、経営者等を逮捕し、 　壊滅 平成26年9月20日（山口新聞）

危険ドラッグ まとめ オシャレなパッケージ ⇒ 使用者の抵抗感を減少。 危険ドラッグ　まとめ オシャレなパッケージ　⇒　使用者の抵抗感を減少。 「合法」と称して販売されることから、他の薬物よりマイルドだとの誤った印象を与える。 どのような成分が入っているか不明（未知の物質）であり、最悪の場合死亡する。（治療困難） 依存性がある。（窃盗・恐喝につながる危険性） 乱用　⇒　自動車運転　⇒　 交通死亡事故 社会秩序(被害者、家族・救急・医療警察行政・ﾏｽｺﾐ等)を乱す。 反社会的な団体の収入源。

薬物乱用防止教室 薬物乱用の基礎知識 薬物乱用が心身にもたらす影響 薬物乱用が社会にもたらす影響 断り方とその後の対応 悩んだときは、まず相談！

啓発 リーフレット

自分を勇気づける５つのステップ 自分が大切に思うもの 自分を本当に大切に思ってくれている人 自分が得意なこと 自分の将来の夢や目標 正しい知識

自分を勇気づける５つのステップ 自分が大切に思うもの 自分を本当に大切に思ってくれている人 自分が得意なこと 自分の将来の夢や目標 正しい知識

君の一生けんめいに会いたい

学校がなすべきこと！！ 学校に通うことが薬物乱用の抑止力！ 子供たちの居場所をつくる（ﾄﾞﾛｯﾌﾟｱｳﾄさせない） 子供たちと向き合う時間を！ 文部科学省　学校健康教育課 健康教育調査官　北垣邦彦

ご清聴ありがとうございました<m(__)m>