ITERにおける科学研究 「ITER燃焼プラズマ研究の新領域」 平成16年3月30日 原研 菊池 満 東大 吉田善章 九大 図子秀樹

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 宇宙は何からできてくるか ? 理学部 物理 森川雅博 宇宙を満たす未知のエネルギー:暗黒エネル ギー 局在する見えない未知の物質:暗黒物質 銀河・星・ガス 何からできているか … 2006/7/25.
Advertisements

相対論的場の理論における 散逸モードの微視的同定 斎藤陽平( KEK ) 共同研究者:藤井宏次、板倉数記、森松治.
宇宙ジェット形成シミュレー ションの 可視化 宇宙物理学研究室 木村佳史 03S2015Z. 発表の流れ 1. 本研究の概要・目的・動機 2. モデルの仮定・設定と基礎方程式 3. シンクロトロン放射 1. 放射係数 2. 吸収係数 4. 輻射輸送方程式 5. 結果 6. まとめと今後の発展.
Zピンチ慣性核融合 Z-pinch Driven Inertial Confinement Fusion 高杉 恵一 量子科学フロンティア 2002年10月24日.
YohkohからSolar-Bに向けての粒子加速
Nagai laboratory.
原子核物理学 第3講 原子核の存在範囲と崩壊様式
平成20年度 核融合科学研究所共同研究 研究会 「負イオン生成および負イオンビーム加速とその応用」 プロセスプラズマのPIC計算のモデリング
自己重力多体系の 1次元シミュレーション 物理学科4年 宇宙物理学研究室  丸山典宏.
太陽多波長フレアデータ解析研究会 NSRO-CDAW10 ピーク時のループトップ電波源(2周波)の高さ (統計解析)
実習B. ガンマ線を測定してみよう 原子核・ハドロン研究室 永江 知文 新山 雅之 足立 智.
内部導体装置Mini-RT 真空容器内に超伝導コイルを有する。 ポロイダル方向の磁場でプラズマ閉じ込め。 ECHでプラズマを加熱。
「高強度領域」 100 MW 〜 1 GW 50 Pcr 〜 500 Pcr 高強度レーザーパルスは、媒質中で自己収束 光Kerr効果
ITERプラズマの 高ベータ化の新領域 小関隆久a)、小野靖b)、高瀬雄一b) 、杉原正芳a) 日本原子力研究所a) 、東京大学b)
ダイバータープラズマにおける熱流束に関する実験的研究(ヘリオトロンJにおける周辺プラズマの揺動と熱輸送の計測)
代替エネルギー源について 作成者:Welasha、Morgan、Jennifer
原始惑星系円盤の形成と進化の理論 1. 導入:円盤の形成と進化とは? 2. 自己重力円盤の進化 3. 円盤内での固体物質の輸送
5.アンテナの基礎 線状アンテナからの電波の放射 アンテナの諸定数
相対論的輻射流体力学における 速度依存変動エディントン因子 Velocity-Dependent Eddington Factor in Relativistic Photohydrodynamics 福江 純@大阪教育大学.
学年 名列 名前 福井工業大学 工学部 環境生命化学科 原 道寛
反応性流体力学特論  -燃焼流れの力学- 燃焼の流体力学 4/22,13 燃焼の熱力学 5/13.
流体のラグランジアンカオスとカオス混合 1.ラグランジアンカオス 定常流や時間周期流のような層流の下での流体の微小部分のカオス的運動
相対論的衝撃波での粒子加速 プラズマの不安定性による磁場の生成と粒子加速について 国立天文台 加藤恒彦.
ー 第1日目 ー 確率過程について 抵抗の熱雑音の測定実験
数値相対論の展望        柴田 大 (東大総合文化:1月から京大基研).
Lorenz modelにおける 挙動とそのカオス性
電磁流体力学乱流の高精度・高並列LESシミュレーションコード開発研究
Fermi Bubble と銀河中心の巨大構造
QMDを用いた10Be+12C反応の解析 平田雄一 (2001年北海道大学大学院原子核理論研究室博士課程修了
ダブルパストムソン散乱計測を用いた 2方向圧力同時計測
YT2003 論文紹介 荻原弘尭.
重力・重力波物理学 安東 正樹 (京都大学 理学系研究科) GCOE特別講義 (2011年11月15-17日, 京都大学) イラスト
基礎宇宙物理学 II 電磁流体力学入門 第1回 天体活動現象入門 2011年4月8日.
Azimuthal distribution (方位角分布)
安東 正樹池本尚史,小林洸,坪野公夫 (東京大学 理学系研究科)
参考資料 球状トカマク プラズマの閉じ込め 電流駆動・立ち上げの意義 低アスペクトの利点 中心ソレノイドの役割 中心ソレノイド無しの核融合炉.
磁気回転不安定性によるブラックホール降着流の角運動量輸送機構の 解明
乱流プラズマの 構造形成と選択則の総合的研究 伊藤 早苗 九州大学・応用力学研究所 分担者 矢木雅敏、河合良信、篠原俊二郎、
プラズマ発光分光による銅スパッタプロセス中の原子密度評価
量子力学の復習(水素原子の波動関数) 光の吸収と放出(ラビ振動)
LHC計画が目指す物理とは × 1:ヒッグス粒子の発見 2:標準理論を越える新しい物理の発見 未発見!
東邦大学理学部物理学科 宇宙・素粒子教室 上村 洸太
ITER定常運転の新領域 九大 花田 和明 原研 藤田 隆明 京大 前川 孝 物理学会領域2シンポジウム
(昨年度のオープンコースウェア) 10/17 組み合わせと確率 10/24 確率変数と確率分布 10/31 代表的な確率分布
2. 浮上磁場とリコネクション 様々な太陽のジェット現象 -----宮越 2. 対流現象を粒子で追いかける -----野澤
開放端磁場における低温プラズマジェットに関する研究
Charmonium Production in Pb-Pb Interactions at 158 GeV/c per Nucleon
Mini-RT装置における 強磁場側からの異常波入射による 電子バーンシュタイン波の励起実験
新潟大学集中講義 ープラズマ物理学特論ー (天体電磁流体力学入門) 2004年1月19日ー1月21日
サーマルプローブを用いたイオン温度計測の新しいアプローチ
九州大学 猿渡元彬 共同研究者 橋本正章 (九州大学)、江里口良治(東京大学)、固武慶 (国立 天文台)、山田章一(早稲田理工)
タンパク質-リガンド複合体への共溶媒効果の系統的解析
大阪市立大学 宇宙物理(重力)研究室 D2 孝森 洋介
これらの原稿は、原子物理学の講義を受講している
潮流によって形成される海底境界層の不安定とその混合効果
核融合炉における多変数制御、分布制御に向けた制御器設計
プラズマの渦構造 ーその宇宙論的起源を考えるー
強結合プラズマ 四方山話 − 水素とクォーク、高密核融合、 クーロンクラスター、そして粘性 −
地球近傍における宇宙線陽子・反陽子空間分布シミュレーション
実験結果速報 目的 装置性能の向上 RF入射実験結果 可動リミター挿入 RFパワー依存性 トロイダル磁場依存性 密度依存性
大規模シミュレーションで見る宇宙初期から現在に至る星形成史の変遷
課題研究 P4 原子核とハドロンの物理 (理論)延與 佳子 原子核理論研究室 5号館514号室(x3857)
【第六講義】非線形微分方程式.
大型ヘリカル装置における実座標を用いた 粒子軌道追跡モンテカルロコードの開発
プラズマ未知の構造 吉田・比村・小川研究室 実験棟 1階 1E1 先端エネ プラズマとは 固体・液体・気体を超えた第4の物質。 研究の目的
2016年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
2017年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
0次元計算による定常高イオン温度STの可能性
北大MMCセミナー 第23回 Date:2014年3月6日(木) 16:30~18:00 ※通常と曜日が異なります
北大MMCセミナー 第94回 附属社会創造数学センター主催 Date: 2019年1月25日(金) 16:30~18:00
Presentation transcript:

ITERにおける科学研究 「ITER燃焼プラズマ研究の新領域」 平成16年3月30日 原研 菊池 満 東大 吉田善章 九大 図子秀樹 日本物理学会シンポジウム 「ITER燃焼プラズマ研究の新領域」 ITERにおける科学研究 平成16年3月30日 原研 菊池 満 東大 吉田善章 九大 図子秀樹

4つの力で2番目に弱い力”電磁気力”によって1億分の1のサイズで高温プラズマを閉じ込め ITER計画:地上に太陽の実現を目指す21世紀の人類最大の挑戦の1つ 地上の太陽は、太陽の1億分の1 4つの力で2番目に弱い力”電磁気力”によって1億分の1のサイズで高温プラズマを閉じ込め 6.2m 14m 物理量  ITER  太陽    比         プラズマ 外径   16.4m 140万km ~1億分の1 中心温度 2億度 1500万度 10倍 中心密度 1020m-3 1032m-3 1兆分の1 中心気圧 ~5気圧 ~1012気圧 千億分の1 発熱密度 600kW/m3 0.3W/m3 2百万倍 反応 DT反応 PP反応 質量  0.35g 2x1030kg 6x1033分の1 燃焼時定数 200秒 100億年  1015分の1 140万km 自然界の4つの力で最も弱い力”重力”によって高温プラズマを閉じ込め Hans Bethe 1億5千万km -1-

ITERとアカデミーとの関わり ・プロジェクトは「複合」という方向性(縦糸)で動いている。 ・本来アカデミーが大事にすべき横糸が何か. ・真剣に取り組むべき問題点を「要素還元」する努力が必要。 ・縦糸であるITERが,どの程度学界を刺激できるか. ・ITERの命運を握るものは何なのか? ITERという太い縦糸は「新しい横糸」を必要としているのか、それとも「既成の横糸」で済むのか? 吉田善章 -2-

開発 宇宙開発 高エネルギー科学 学術 ITERとアカデミーとの関わり 具体性/個別性/複合 核融合炉 開発プロジェクトとアカデミーとの関係 パラダイムシフトは必要か? これまでの核融合研究 高エネルギー科学 学術 抽象性/普遍性/要素還元 -3-

ITER計画(縦糸)の2つの側面 到達し得る技術目標を定めそれを着実に達成する。 [ 段階的開発方式]   [ 段階的開発方式] 2. 核融合炉に必要な未踏の技術の開発に挑戦する。   [ ブレークスルー] -4-

アカデミー(横糸)の2つの側面 分野学と基礎科学 1. 普遍性 ⇔ 共通性を見い出す 2. 独自性 ⇔ 研究対象としての特異性 - 5 -       分野学と基礎科学 1. 普遍性 ⇔ 共通性を見い出す 2. 独自性 ⇔ 研究対象としての特異性 岸本泰明 H11,戦略分科会 - 5 -

「ITERプラズマがもたらす新領域とは何か?」 本シンポジウムの課題設定 「ITERプラズマがもたらす新領域とは何か?」    閉じ込めと輸送:福山*、洲鎌、矢木、岸本    定常運転   :花田*、藤田、前川    高ベータ化  :小関*、高瀬、小野、杉原    計測     :笹尾*、草間、居田  ○ITERとこれまでのプラズマの違いは以下の2点   ・α粒子による自己加熱   ・サイズの差による異なる無次元量 -6-

ITER (国際熱核融合実験炉) ● ★ ▲ ● ● ▲ ★ ★ ★ ★ ★ ● ▲ ★ ●:ITER高Q運転 (新たな領域) ★:核融合発電実証プラント  (最終目標) 無次元量で見たITER、発電実証プラント ITERによってもたらされる新たなパラメータ空間 高自己加熱率 fa> 0.67 (Q >10) ● ★ ▲ ● ● ▲ ★ 高磁気レイノルズ数S ~ 1010 ★ 高a/ri ~ 500-1000 ★ ★ 高ベータ > 5% 高自発電流fbs ~ 80% ★ ● ▲ 低衝突度 v* ~ 10-2 ★ 発電実証プラント:デイスラプション頻度〜1回/2年以下 -7-

複雑系としての燃焼プラズマ 基本構造としての線形科学 21世紀の物理学:複雑系科学 − 生命の機構や社会現象の解明 新しい横糸? -8- 遠平衡統計力学 21世紀の物理学:複雑系科学 − 生命の機構や社会現象の解明 多階層・複合系 としての 核融合プラズマ 新しい横糸? カオス <初期値ヘの鋭敏性> −ディスラプション ・磁場の無秩序化 ・カオスの縁 ・ニューラルネット 基本構造としての線形科学 アトラクター <散逸系の落ち着き先> −プラズマの安定保持 ・平衡点/遷移 ・リミットサイクル(ELM) ・ストレンジアトラクタ <新古典理論>無衝突域(v*<<1)微小散逸 磁場方向:自発電流/回転,NB/EC/LHCD 磁場直交: 熱輸送係数cNC ,粒子流VNC <線形安定性- プラズマと波> 輸送:ITG,ETG,CTE,GAM,CDBM,KBM MHD:K-B,TM,AE, <平衡理論> 磁気面:エルゴード定理、GS方程式 運動学的平衡:Canonical Equi. 突発現象 <拮抗からの開放> −非線形DTM崩壊  磁気Re数 − 乱流−  ETG ストリーマー −太陽フレアー −じんましん? 自己組織的臨界状態 −分布の硬直性/Bohm輸送 ETGストリーマ セミグローバルITG 砂山の雪崩 1/f2 則 冪乗則(地震、都市人口、単語使用頻度) <構造形成> ・波数空間カスケード (乱流揺動) −帯状流、帯状場 -8-

閉じ込め状態の多様性とITERの燃焼制御 - 9 -

ITER (国際熱核融合実験炉) ITERの目標設定 :Q>10誘導 到達し得る技術目標を定め着実に達成する。 [ 段階的開発方式]   [ 段階的開発方式] 真空容器 遮蔽ブランケット ITERの目標設定 :Q>10誘導 プラズマ 閉じ込め改善度 HH Ip=15MA, Q=50 閉じ込め改善(~10%) により可能 核融合出力(MW) 閉じ込め裕度20%を持って可能 Ip=15MA, Q=10 ダイバータ ポロイダル 磁場コイル 中心ソレノイドコイル (1) :合計110MWまで増設の可能性がある。 項目 値 全核融合出力         500MW Q(核融合出力/外部加熱パワー)   ≧10  平均 14MeV中性子壁負荷    ≧0.57MW/m2 プラズマ誘導燃焼時間         ≧400秒 プラズマ主半径(R)         6.2m    プラズマ副半径(a)        2.0m プラズマ電流(Ip)     15MA トロイダル磁場 @R(BT)      5.3T 加熱・電流駆動パワー     73MW(1) -10 -

ITERの閉じ込め性能(ELMy Hモード) ITERは、表面輸送障壁(ETB)をもつELMy Hモードで運転 “次元解析”という標準手法という”既存の横糸”を超えるものは必要となるか? -11 -

1.ITERはGyro規格半径の新しい領域をもたらす 乱流輸送,MHD(NTM等)の物理が異なる領域に遷移するか?連続か? a/ri Ti(keV) ITER(D) ITER(T) JT-60/JET ASDEX-U ricrit Gyro-Bohm? Bohm? 川は流れているか? ITER/ 発電炉クラス  a/ri = 500-1500 JT-60/JET a/ri = 160-370 5.3T/2.0m ASDEX-U a/ri = 60-140 Z. Lin et al. ‘02IAEA GK シミュレーション ITG乱流,無衝突・ 無外部回転 4.2T/0.8m 3.4T/1.0m Bt/a=2.5T/ 0.5m 2m 4m 6m 8m -12-

2. プラズマの熱輸送は自己組織的臨界状態か?(複雑系としての共通性) L-modeにおける輸送(熱流束と温度勾配の関係)が示す強い非線形性や、バースト状粒子束の観測、電子系シミュレーションにおけるStreamerの発見等は、非拡散性輸送を示唆? 砂山の物理:砂山の崩れと臨界勾配 砂山は臨界状態まで蓄積されある高さと勾配を持つ。 Self Organized Criticality (SOC) 「自己組織的臨界状態」仮説:多数の要素が相互作用しているような系は自ら臨界状態へ遷移する/Per Bak 井戸,HIBP,JFT-2M,2004 バースト状フラックス 1/f2 spectrum 砂山の雪崩:頻度と規模の関係は冪乗則に従う。 熱流束 温度勾配 臨界温度勾配モデル (dT/dr) crit 電子ストリーマ 角度方向 1 2 3 4 5 6 マグニチュード(mb) - LogE 1000 100 10 1 0.1 0.01 発生回数/年 地震の強度と頻度の相関 1/ f1.5 spectrum 地震:頻度と規模の関係は冪乗則に従う。 (Gutenberg-Richter則) 径方向 井戸村,ETG シミュレーション,2004 -13 -

3. 散逸系の落ち着き先:アトラクター(複雑系としての共通性) 現実のプラズマ状態は、不安定性が成長しているというより、非線形過程により揺動が存在する状態が自然な状態(落ち着いている)である。その相空間構造を調べることが重要。 平衡点 リミットサイクル トーラス ストレンジアトラクタ 相空間構造 Rossler attractor 波形 平衡、遷移 ELM? TAE? 乱流輸送? 大山 武智 宮戸 -14 -

閉じ込め状態の多様性と構造形成 分布形成 -15 - 7.4m ポート 遮蔽ブランケット 真空容器 高周波アンテナ ポートリミター  真空容器  高周波アンテナ ポートリミター  第1壁   ダイバータ板 セパラトリックス 7.4m 分布形成 -15 -

Pa=3.4MeV<sv>ndnt 燃焼プラズマにおける構造形成 流れ・ 回転 構造 静電的・電磁的揺動 外部制御系 加熱・電流駆動 プラズマ表面・壁 開 放 系 磁場構造 圧力構造    温度構造 電流駆動 NC回転 流れの自己生成 Zonal流 NC電流 電流の自己生成 Zonal場 波数カスケード 空間緩和 熱流束、粒子束 非線形ルIプ 回転駆動 熱起動力dP/dr,dT/dr 加熱 ExBシア カスケード増幅 圧力の自己生成 α加熱 Pa=3.4MeV<sv>ndnt Y.Koide, IAEA1994 内部輸送障壁(ITB) 臨界状態の崩れがもたらす? -16 -

流れが引き起こす構造 E x B シアー流による乱流の分断と相関長の縮小 -17 - Lc=20cm Lc=0.4cm L-modeは相関長が長い ITBは相関長が50分の1 E x B シアー流による乱流の分断と相関長の縮小 Nazikian, Shinohara, to be submitted to Science: Correlation reflectometer -17 -

Pa=3.4MeV<sv>ndnt ITERの燃焼制御 誘導運転での先進運転(ITB有)の燃焼制御 外部制御系 加熱・電流駆動 開 放 系 圧力構造  温度構造 圧力の自己生成 α加熱 Pa=3.4MeV<sv>ndnt ELMy Hモードの燃焼制御は概ね可能。 Y. Shimomura et al., 非線形ルIプ 磁場構造 流れ・ 回転 構造 非線形ルIプ NC電流 電流の自己生成 Zonal場 NC回転 流れの自己生成 Zonal流 静電的・電磁的揺動 熱流束、粒子束 開 放 系 プラズマ表面・壁 -18 -

ITER燃焼の連続化には自発電流の利用が重要 無衝突領域(n*<<1)で、捕捉粒子の径方向軌道幅が大きいことによる速度分布関数の歪みが衝突緩和する時に発生する磁場方向流れが電流を作る。 LHCD - 19 - *:ITERのNBIは中心電流駆動のみ

ITERのQ=5定常運転運転 (A Polevoi , private communication) プラズマ電流  Ip  9MA トロイダル磁場 Bt 5.175T 主半径 R 6.35m 小半径 a 1.87m 楕円度 ka 1.9 三角度 da 0.5 密度(1019m-3) <ne> 5.3 Greenwald因子 n/nG 0.67 自発電流割合 Ibs/Ip 0.44 規格化ベータ値 bN 2.73 ヘリウム割合 <nHe>/<ne> 1.3% q(0)/qmin 1.5/1.4 閉じ込め改善度 HHy2 1.52 加熱パワー PNBI 33MW PEC 20MW - 20 -

Pa=3.4MeV<sv>ndnt 高自発電流燃焼プラズマの構造形成 流れ・ 回転 構造 静電的・電磁的揺動 外部制御系 加熱・電流駆動 プラズマ表面・壁 開 放 系 磁場構造 圧力構造  温度構造 NC回転 流れの自己生成 Zonal流 熱流束、粒子束 非線形ルIプ 圧力の自己生成 α加熱 Pa=3.4MeV<sv>ndnt NC電流 電流の自己生成 Zonal場 圧力勾配と自発電流の強い結合により電流分布の大部分が自律的に決まる。 =>ITERでは自己加熱が加わり、一層自律的な振る舞い   小ジャイロ半径であることも性質を変える要因 JET DIII-D ASDEX-U JT-60U 維持時間(秒) 自発電流割合⌒% ⌒ 中 心 軸 プ ラ ズ マ 断 面 電 流 密 度 ホ ー ル - 21 -

ITER燃焼と核融合炉の デイスラプション回避 -22-

ITERがもたらす新しい磁気再結合領域 無衝突再結合過程 h 無衝突m=1 キンク磁気再結合 T. Matsumoto, IAEA2000 1019 1020 1021 105 104 103 102 101 100 電子温度 eV 電子密度  m-3 圧縮性主要 (rs > de ) 電子慣性主要 de / rs =5 de / rs =1.75 5T ITER 電子慣性項、電子圧縮性 h 無衝突m=1 キンク磁気再結合 T. Matsumoto, IAEA2000 線形崩壊現象 非線形加速現象 注:シミュレーションでは衝突効果は入って無い。 -23-

ITERがもたらす新しい磁気再結合領域(突発現象) 磁気レイノルド数の違いが引き起こす非線形ダブルテアリングモードの突発現象Y. Ishii et al., PRL(2002) ITERの磁気Reynolds数(Lundquist数)は、大型トカマクの1桁上 r/a (I) t=300 (III) t=580 (II) t=500 AUG ~107、JT-60/JET ~ 108、ITER ~ 109 磁気Reynolds数 Sp = t / tAp 磁場拡散時間 tR=m0a2/h アルベン時間 tAp=aonemi)0.5/p KE 時間/ポロイダルアルベン時間 磁気エネルギー 運動エネルギー Sp=5x104 Sp=1x105 Sp=2x105 Sp=3.3x105 エネルギI ⌒3/1 ⌒ F3/1 q r/a ししおどし -24-

ロジスティック写像におけるカオスの発生は、コントロールパラメータへの鋭敏性をもつ 核融合炉の命運を握るもの ロジスティック写像におけるカオスの発生は、コントロールパラメータへの鋭敏性をもつ ① デイスラプション頻度:年0.5回以下 ② 運転ベータ〜できるだけ高く デイスラプション直前のポアンカレー写像 q/2p r/a デイスラプションを回避するコントロールパラメータのいくつかは分かってきている。 パラメータ鋭敏性を持つものもある。 負磁気シアーDTM(ダブルテアリングモード)デイスラプションでは、共鳴面間距離 -25-

デイスラプションの克服に向けて(ニューラルネットワーク) 燃焼プラズマのデイスラプションを予測する人工知能はどこまで賢くなれるか? dIp dPrad dli d2Prad dWdia-n Li-indi d2Ipref dWdia dIpref 2層パーセプトロンの機能 入力層 Disruption 隠れ層 (R.Yoshino, N.F. 43(2003)1771) デイスラプションの要因(R.Yoshino, N.F. 43(2003)1771)   ・密度限界   ・電流達下げ時の高内部インダクタンス   ・低密度ロックトモード   ・ベータ限界   ・負磁気シアのMHDモード   ・電流立ち上げ時の低内部インダクタンス   ・低安全係数でのMHDモード   ・垂直位置不安定性   ・機器のトラブル デイスラプション予測人工知能はどこへ 2層パーセプトロン =>3層パーセプトロン? =>カオスニューラルネット? M.Yagi, 28aXH-1カオス制御(Rossler系) -26-

トカマクシミュレーションのマイルストーン ITER建設 燃焼基本性能実験 高性能試験 国内重点化建設 高性能定常化 高性能発電実証 10PFlops GF 多階層・複合系 燃焼長時間模擬 非線形 MHD アルファー粒子MHD 高ベータディスラプション 1PFlops GKトーラス イオン・電子系 (短波長) 運動論的MHD・アルファー粒子挙動 散逸・開放系 GFトーラス イオン・電子系 開放系 TFLOPS a/ri~1000 GKトーラス イオン・電子系(長波長) 静電モデル・散逸系 GKトーラス イオン系・静電モデル a/ri~500 a/ri~200 YEAR 岸本泰明 第18回 核融合研究開発基本問題検討会 H16年1月27日  -27-

まとめ 核融合研究が始まり:プラズマ安定性を得ることが願望だった煉獄の時代に、MHD理論が花開いた。 ITERの時代を迎え、相変わらず厳密な理解に程遠いプラズマ乱流輸送を第一原理から解き明かし、それを要素還元する中から新しいパラダイムと核融合炉の輸送の制御が生まれる可能性がある。 核融合炉を目指して、デイスラプションを克服するには、「磁力線の振る舞い」の理解と制御人工知能の開発が不可欠ではないか。 -28-