第1節 コンピュータにおける 情報のあらわし方 第1節 コンピュータにおける 情報のあらわし方 1 アナログとディジタル 2 コンピュータとディジタル情報 3 数値の表現 4 画像と動画の表現 5 音の表現とAD・DA変換
1 アナログ信号とディジタル信号 「アナログ」や「ディジタル」とはどういうものだろうか。 1 アナログ信号とディジタル信号 「アナログ」や「ディジタル」とはどういうものだろうか。 「アナログ」や「ディジタル」には,それぞれどのような特徴があるだろうか。
アナログとは アナログ量 連続的に変化する量。 例) 圧力や温度 アナログ表現 連続的に値の変化をあらわす方法。 例) 水銀体温計
ディジタルとは ディジタル量 ディジタル表現 連続していない値をとる量。 例) ものの個数,人の人数など 数字で直接あらわすような方法。 例) ものの個数,人の人数など ディジタル表現 数字で直接あらわすような方法。 例) 電子体温計
アナログ表現とディジタル表現 アナログ表現 ディジタル表現 連続的な値を読み取ることができる。 誤差や読み取り精度があって,いくらでも正確に読み取ることができるわけではない。 保存や伝達が難しい。 ディジタル表現 表示されているもっとも下の桁より細かい違いは,読み取ることができない。 値を読み取ることは容易である。 保存や伝達が容易である。
アナログ信号とディジタル信号 アナログ信号 アナログ量にもとづく,連続的に変化する信号。 伝達される間に少しでも変化すると,もとにもどせない。
アナログ信号とディジタル信号 ディジタル信号 2つの状態の区別だけにもとづく信号。 伝達する間に少しくらい変化しても,完全にもとにもどせる。
ディジタル信号の特徴 時間がたった 場合 何度も複製した場合 カセットテープ (アナログ録音) 音の劣化はさけられない。 少しずつ雑音が混ざって,音が悪くなる。 CD (ディジタル録音) 音の劣化はほとんどない。 もとの情報と変わることがない。
2 コンピュータとディジタル情報 コンピュータは,情報をどのように扱っているだろうか。 2進数,16進数とは,どのような数だろうか。
情報の最小単位 コンピュータでは,データを「電圧が低いか,高いか」という2つの状態を数字の0と1に対応させて,処理したり記憶したりしている。 ビット コンピュータが扱う情報の最小単位。 1ビットは,0か1かの状態をあらわす。
ビット数と状態の数 1ビット増えると,表現できる状態の数は2倍になる。 16ビットならば,8ビットの256(28)倍,65536通りの状態が表現できる。
ビットとバイト ビット ビット列 バイト コンピュータで扱う情報の最小単位。 コンピュータは情報をビットの並びで扱う。 1バイト=8ビット 1KB(キロバイト)=1024バイト=210バイト 1MB(メガバイト)=1024KB=220バイト 1GB(ギガバイト)=1024MB=230バイト
10進数,2進数,16進数 10進数 2進数 16進数 10で桁があがる数。 0~9 私たちが普段使っている。 2で桁があがる数。 0,1 10で桁があがる数。 0~9 私たちが普段使っている。 2進数 2で桁があがる数。 0,1 コンピュータの内部で使われている。 16進数 16で桁があがる数。 0~9,A~F コンピュータ内部の情報をわかりやすくするために使われている。
10進数と2進数 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 10 11 100 101 110 111 1000 1001 1010 2をあらわす。 4をあらわす。 8をあらわす。 10をあらわす。
10進数と16進数 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 10進数の 10から15のかわりに A~Fを使う。 16をあらわす。
2進数と10進数の計算 2進数から10進数へ 10進数から2進数へ 2進数は,下の桁から1の位(20),2の位(21),4の位(22),・・・をあらわす。 引くことができれば1,できなければ0を,その桁に入れる。
文字コードとコード系 文字コード コード系 文字をコンピュータで扱うために,それぞれの文字に固有に番号を割りあてる。 使いたい文字の範囲を決めて,文字コードを定めたもの。
いろいろなコード系 ASCIIコード JIS8ビットコード JIS16ビットコード 事実上,世界的な標準になっている。 7ビットで表現できるが,通常は先頭に0をつけて8ビットで扱われている。 JIS8ビットコード ASCIIコードの拡張領域に「かな」を割りあてたもの。 JIS16ビットコード 漢字も扱えるようにしたもの。
日本語のコード系 1バイト文字 2バイト文字 エンコーディング ASCIIコードやJIS8ビットコードなどは,1バイトで表現できる。 漢字は数が多いので,2バイトで表現している。 JIS16ビットコードやUNICODEがある。 エンコーディング ファイルに格納するときのビット列の配置方法。 JIS16ビットコードでは,ISO-2022-JP,EUC,シフトJISなどの違いがある。
3 数値の表現 コンピュータの内部では,数値をどのように表現しているのだろうか。
整数型数値と実数型数値 小数点がつかない数値 小数点がつく数値
コンピュータ上の数値 数学などで扱う数値 コンピュータ上の数値 扱える数の大きさや細かさには限界がない。 整数は小数(実数)に含まれる。 扱える値に範囲に限界がある。 有限の長さのビット列であらわしているため。 整数型数値と実数型数値は,あらわし方も性質も違っている。
整数型数値の表現 符号ビット 2の補数 先頭の1ビットをいい,0のときに0および正を,1のときに負をあらわす。 負の数まで含んだ整数型数値を扱うときには,この方法を使う。 引き算と足し算を,同じ回路でおこなうことができるため。
2の補数 2の補数 2進数表現で,0と1を反転して,1を加えたもの。
2の補数の演算 8 と -5 を足してみよう・・・・・。
計算結果は有限である 計算結果はいつも正しいか? 計算の結果が,あらわせる範囲をこえた場合は,正しい結果は得られない。 3ビットの2の補数では,これは-3をあらわす。
実数型数値の表現 浮動小数点表現 有効数字をあらわす仮数部と,小数点が何桁目にくるかをあらわす指数部に分けるあらわし方。 0.0314 = 3.14 × 10-3 大きな数や細かい数をあらわすことができる。 あらわせる範囲 -9.999 × 1099 ~ 9.999 × 1099 絶対値がもっとも小さい数 ±0.001 × 10-99 仮数部 指数部 (仮数部4桁,指数部2桁の場合)
浮動小数点表現の誤差 浮動小数点表現は,有効数字が決まった桁数しかない近似値である。 「2」は有効数字の桁数から はみだしている。 正の数を足したのに,値が増えない!?
64ビットの浮動小数点表示 コンピュータでは,32ビット(単精度)または64ビット(倍精度)で実数型数値を表現するのが普通である。 あらわすことができる数の範囲 およそ -1.7977×10308 ~ 1.7977×10-308
4 画像と動画の表現 コンピュータの内部では,画像や動画をどのように表現して,どのように扱っているのだろうか。
明るさと色の表現 光の3原色 Blue Green Red 赤・青・緑の3色。 この3色をいろいろな明るさで混合すると,いろいろな色を表現できる。 Blue Green Red RGBカラーモデル
コンピュータでの画像の表現 24ビットカラー 3原色各色の明るさを8ビット(256段階)で表現。 6桁の16進数であらわすことができる。
2種類の画像 ピクセルグラフィクス ベクターグラフィクス 画像をピクセルに分割し,それぞれのピクセルの色をRGBカラーモデルなどで記録する。 ペイントツールで扱う。 ベクターグラフィクス 直線や円,長方形などの基本となる図形の組み合わせであらわす。 ドローツールで扱う。
画像データの大きさ ピクセルグラフィクスの画像データは,大きくなりやすい。 1024ピクセル×768ピクセルの24ビットカラーの画像データの大きさは? 1024×768=786432 ←総ピクセル数 786432×3=2359296(バイト) =2304(キロバイト) =2.25(メガバイト) データ量を圧縮して格納する工夫をした,ファイル形式が使われる。
動画の表現データ 動画の原理 フレーム 少しずつ変化した多数の静止画像を連続して表示すると,動いて見える。 動画を構成する,1つ1つの静止画。
動画データの大きさ 圧縮の工夫 前のフレームと異なる部分だけを保存する。 自然な動きの動画にするには,毎秒20~30フレームの静止画を表示する必要がある。 動画データの情報量は大きくなる。 圧縮の工夫 前のフレームと異なる部分だけを保存する。 MPEG形式
画像ファイル形式のまとめ 保存 形式 扱える 色数 特徴 静止画 JPEG フルカラー 写真の保存に適している。 GIF 256色 アイコンなどの保存に適している。 PNG WWWでよく使われている。 動画 MPEG フレームどうしの差のデータだけを格納する。
5 音の表現とAD・DA変換 コンピュータの内部では,音をどのように表現しているのだろうか。
音 音とは 空気の圧力が変化して,波として伝わるもの。 時間とともに連続的に変化するアナログ量。 ・ コンピュータで扱うには,ディジタル化する必要がある。
音のディジタル化 音は,波として表現できる。
音のディジタル化 一定の時間間隔で信号の強さを読み取る。
音のディジタル化 読み取った値をディジタル値に直す。 サンプリング誤差発生
音のディジタル化 ディジタル化した波形が得られる。 量子化誤差
コンパクトディスク 多くの人が満足する音質のために・・・ 量子化 16ビット サンプリング周波数44.1kHz
用語の整理 サンプリング(標本化) サンプリング誤差 サンプリング周期,サンプリング周波数 一定時間ごとに信号の値を読み取る。 とびとびの瞬間の値しか取りこまないことによる誤差。 サンプリング周期,サンプリング周波数 サンプリングの時間間隔,1秒間の回数
用語の整理 量子化 読み取った値を標本値になおす。 量子化誤差 実際の値と標本値との差
AD変換 AD変換 周波数 アナログ信号をディジタル信号に変換すること。 AD変換をおこなう装置をAD変換器(ADコンバータ)という。 音の波が1秒間に1回振動するとき,この周波数を1Hzという。 周波数が低い音は低い音として,周波数が高い音は高い音として聞こえる。
CDのAD変換 音の場合,もっとも高い音の2倍の周波数で標本化すれば,もとのアナログ信号をほぼ復元できる。 人間の耳は,およそ20Hzから20kHzの音を聞くことができる。 ↓ CDは,音を44.1kHzで標本化をおこない,16ビットで量子化している。
DA変換 DA変換 ディジタル信号をアナログ信号に変換すること。 DA変換をおこなう装置をDA変換器(DAコンバータ)という。
音声信号の圧縮 MP3 音声つきの動画データを圧縮する形式のMPEG1のなかの,音声信号だけを取り扱うレイヤー3とよばれるもの。 約1時間のステレオ音声を,64MBの半導体メモリに記録できる。(CDのおよそ1/10のデータ量)