珪化木を模倣した電波吸収用フェライト多孔体の作製 セラミックス基盤工学研究センター 複合機能研究グループ

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珪化木を模倣した電波吸収用フェライト多孔体の作製 セラミックス基盤工学研究センター 複合機能研究グループ 珪化木を模倣した電波吸収用フェライト多孔体の作製  セラミックス基盤工学研究センター 複合機能研究グループ CRL 1. Introduction 3. Results and Discussion (1) 焼成温度によるXRDパターンと圧縮強度  近年、私たちの身の回りには様々な帯域の電磁波が入り乱れており、それらが高周波化することで電子機器から建材に至るまで遮蔽、吸収する機能の必要性がますます高まっている。また電磁波の人体への影響も懸念されており、電磁的両立性(EMC)は社会の要請であるといえる。本研究は電波吸収材料として利用可能なフェライト多孔体を珪化木化の手法をとり入れて作製した。 XRD 圧縮強度 スピネル型フェライト Fe2O3  0.172 MPa  珪化木 自然界には木が化石化した珪化木というものが存在する。成分がSiO2であることから珪化木と呼ばれている。珪化木の形成過程については、十分に解明されていないが、太古の樹木が地殻変動などにより、泥や砂や火山灰に埋まり、何百万年という長い歳月を経て、泥や砂の成分である珪酸を含んだ水分が細胞や導管内に少しずつしみ込み、シリカ(SiO2) に置換していったものと考えられている。  0.115 MPa   測定不能   測定不能  1200℃以上でFe2O3が見られなくなった。また圧縮強度も温度上昇とともに上がった。 (2) VSMによる磁気特性と結晶相の同定 (1200℃) 天然の珪化木 珪化木の形成過程  木の構造は三次元的に連結した細胞と一次元的に配向した気孔に特徴付けられ、細胞や導管の大きさは木の種類によって多種多様である。珪化木は、外形も微構造も元の木の構造を保持しており、珪化木を模倣することによって、木が持つ多孔性をセラミックスで再現することを試み、これまでに、SiC化木やTiO2化木、また人工骨材料のテンプレートとしてアパタイト化木を作製した。  飽和磁化4.1kGの軟磁性体であり、格子定数とTcはそれぞれ8.39と310℃となり、右の表に示す文献値と比較すると前駆体の組成と近いものが作製できたと言えるが、多少誤差が生じている。この誤差を詳しく調べるためEDSによる測定を行った。  珪化木の微構造 針葉樹 (杉) 広葉樹 (ブナ) (3) 試料の微細構造とEDSによるマッピング図 (1200℃) 面分析による組成比 →  Ni : Zn : Fe = 0.65 : 0.32 : 2.00 SiC化木 (ブナ) TiO2 化木 (樅) アパタイト化木 (桂) 30μ Fe Ni Zn  本研究はフェライトをゾルから調製することで組成の変化の容易さ、また多種多様な木材を用いることで穴の大きさの制御が可能であることを利用し、様々な周波域で利用可能なフェライトの多孔体が作れるのではないかと考え、その作製を試みた。 点分析による組成比 → Ni : Zn : Fe = 0.56 : 0.42 : 2.00 10.65 : 3.29 : 2.00 2. Experimental 10μ Fe Ni Zn  得られた試料は木の微細構造を保持しており、孔の大きさは10μm、結晶粒は1~3μmであった。また偏析は結晶粒そのものに起こっており、大幅にNiが多い部分が他の結果に誤差を生んでおり、ムラのない部分は0.5 : 0.5 : 2に近く測定器の誤差も考慮に入れると、ほぼ前駆者の組成に近いことが分かる。 (4) 周波数の変化による透磁率(m ,m )の変化 (1200℃) ・ 実験値 ・ 文献値  電波吸収に大きく影響するm の値は文献値と同様、m が下がった後にピークを示している。しかし多孔体はバルク体とは異なりmが高周波域で再び上がりはじめている。この傾向は非常に興味深く、今後さらに高周波域までの検討が必要である。   硝酸鉄、硝酸亜鉛、硝酸ニッケルを、Ni0.5Zn0.5Fe2O4の組成になるように1M調製し、そこへ3Mのクエン酸溶液を混合し、70度で3日攪拌しフェライトゾルを調製した。十分に乾燥させたスギの木片をゾルの調製時に加えておき、ゾルができるまでの間、十分に含浸させた。その後これらの木片を100℃で24h乾燥し木片中にフェライトのゲルを析出させた後、空気中800℃~1400℃で10h焼成し、フェライト多孔体の作製した。 NiZn系フェライトの透磁率(バルク体) 作製したNiZnフェライト多孔体の透磁率 Nagoya Institute of Technology Ceramics Research Laboratory