大阪府都市基盤施設維持管理技術審議会 第1回 下水等設備部会 ~戦略的な維持管理の推進について~

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大阪府都市基盤施設維持管理技術審議会 第1回 下水等設備部会 ~戦略的な維持管理の推進について~ 資料3-2 大阪府都市基盤施設維持管理技術審議会 第1回 下水等設備部会 ~戦略的な維持管理の推進について~ 《河川設備・海岸設備》 それでは河川設備及び海岸設備についてご説明いたします。 河川室河川環境課の西口です。 宜しくお願いします。 大阪府都市基盤施設維持管理技術審議会 下水等設備部会

1.施設の現状 1-1 検証対象施設《河川設備》 ①水門 ②排水機場(ポンプ場) 1-1 検証対象施設《河川設備》 ①水門 河口部や、河川合流点に高潮、洪水対策にて設置。プレートガーダ式のローラーゲートが多いが、全国的にも珍しいアーチ型水門も設置されている。 ②排水機場(ポンプ場) 河川の内水排除を目的に設置。全国でも有数の規模となる口径4000㎜前後の立軸ポンプをはじめ、排水機場を有している。 ではまず、施設の現状についてでございます。 大阪府においては、河川設備として、河川の河口や合流点付近に、高潮や 洪水の防御を目的とした水門や排水機場が設置されています。 たとえば、左上のアーチ型水門は、全国でも大阪にのみ設置される珍しい 水門で、水路の幅が約60mほどととても大きな水門であります。 また、排水機場についても、全国的にも大きなサイズのポンプを設置した 排水機場が多いことが大阪の特徴でございます。

1.施設の現状 1-1 検証対象施設《河川設備》 ③防潮扉(陸閘)、堰 ④ダム(放流設備) 1-1 検証対象施設《河川設備》 ③防潮扉(陸閘)、堰 防潮扉はプレートガーダ式の鋼構造物が多く、堰はゴム製の空気式のものが設置されている。 ④ダム(放流設備) ダムの安全確保や貯水池の水位低下、河川の正常な機能維持等を目的にダムから水を放流する目的で設置されている。 箕面川ダムの例 狭山池ダムの例 また、河川を横断する橋梁には、堤防を切り欠いた場所に設置される防潮扉や、 河川の水位を一定に保つ、ゴム製の起伏堰が設置されております。 また、下のように河川の流水を貯留するダムには、ゲートなどの放流設備が設置されています。 放流管 取水ゲート 取水ゲート 放流ゲート 放流管 放流ゲート

1.施設の現状 1-1 検証対象施設《河川設備》 ⑤電気設備 監視制御設備 受変電設備 自家発電設備 1-1 検証対象施設《河川設備》 ⑤電気設備 水門、ダム、排水機場等を作動させ、操作、監視するために各施設に設置されている。 監視制御設備 受変電設備 自家発電設備 また、水門、排水機場、ダムを操作したり、電源を供給する設備として、 写真のような、監視制御設備、受変電設備、自家発電設備がございます。

1.施設の現状 1-1 検証対象施設《海岸設備》 ①防潮設備・・・沿岸部に設置され、津波・高潮の浸水を防除する鋼製施設 1-1 検証対象施設《海岸設備》 ①防潮設備・・・沿岸部に設置され、津波・高潮の浸水を防除する鋼製施設 水門 樋門 門扉 ②排水設備・・・防潮設備の閉鎖に伴い、河川の排水を行い上流域の浸水を防除する施設 海岸設備も河川設備と同様に、沿岸部には水門・樋門、道路横断部に門扉が 設置されております。 またこれらの閉鎖時に、内水排除するための、排水機場も設置されております。 排水施設(ポンプ) 排水施設(エンジン) 電気設備

1.施設の現状 1-1 検証対象施設《水門の機器構成例》 水門全開時 扉体 操作設備 開閉装置 受変電設備 自家発電設備 ITV・照明 1-1 検証対象施設《水門の機器構成例》 操作設備 開閉装置 水門全開時 受変電設備 扉体 自家発電設備 一つ、水門を例にとって構成される機器類を挙げてみました。 大きくわけて、これら6つの設備が組み合わされて、水門が構成されております。 ITV・照明

1.施設の現状 1-2 施設の施工年次《河川設備・海岸設備》 ①水門、排水機場 1-2 施設の施工年次《河川設備・海岸設備》 ①水門、排水機場 ○大阪府では、室戸台風をはじめとするジェーン台風、第2室戸台風といった台風による高潮被害への対策として、昭和40年代に防潮水門、防潮扉が多く整備されており、昭和50年代には、洪水対策として、排水機場の整備が多く勧められてきた。  近年では、洪水対策としての流域調節池の整備及び、過去に高潮対策として設置された防潮扉について、津波対策として、防潮扉の更新(電動化)事業が多く実施されている。  機械電気設備については、その耐用年数が土木施設と比較して短いことから、計画的な更新が必要となるものであり、特に電気設備をはじめとする安全性、信頼性の確保が必要な設備については、予防保全として、計画的な施設の補修、部分更新を行ってきたところである。 これらの施設の施工年次についてでありますが、 大阪府では、昭和に入り、3つの大きな台風によってひきおこされた高潮により 大きな被害をうけました。 このことから、昭和40年代には、防潮堤の整備とともに水門と防潮扉の整備が 進められました。 また、昭和50年代には、洪水対策としての排水機場設備の建設がピークを 迎えました。 近年では、雨水を貯留する調節池事業や、過去に高潮対策として整備された 防潮扉を、津波対策として更新する事業が多いのが特徴となっております。 機械電気により動作する設備は、そのライフサイクルが土木施設と比較して 短いことから、定期的、継続的な更新を実施しなければなりません。

1.施設の現状 1-2 施設の施工年次 ②ダム ●箕面川ダムの施工年次 ●狭山池ダムの施工年次 ⇒ダム供用開始後、31年経過 1-2 施設の施工年次 ②ダム ●箕面川ダムの施工年次 ●狭山池ダムの施工年次  箕面川の治水対策については、昭和42年7月の北摂豪雨による多大な流域被害を契機に、ダム建設及び河川改修を推進。  西除川の治水対策については、昭和57年 8月の豪雨による西除川・東除川流域の多大な洪水被害を契機に、農業用ため池であった狭山池を、洪水調節機能を有するダムに改築するためのダム建設及び河川改修を推進。 北提 西提 東提 南提 S42 豪雨災害発生⇒計画立案 S43 実施調査着手(ダムサイトの選定、地質調査他) S47 建設工事着手(工事用道路他) S52 ダム本体工事着手 S55 試験湛水開始 S57 ダム完成 S58 試験湛水完了⇒ダム供用開始 H9  管理用道路、親水護岸、植栽区域整備(~H14) H19 堰堤改良事業による施設更新(~H23) 大阪府のダムは、多大な流域被害をもたらした昭和42年の北摂豪雨や、 昭和57年豪雨を契機に整備が進められました。 ダム供用開始から30年以上経過する箕面川ダムでは、 耐用年数を超過した電気設備を、平成23年度に更新しております。 ダムの機械・電気設備についても、堤体とは異なり、水門や排水機場と同様、 継続的な更新を実施しなければなりません。 S55 実施計画調査に着手 S57 豪雨災害発生⇒計画立案 S63 建設工事に着手(本体工事発注) H8  第1回試験湛水(北提部分) H9  第2回試験湛水(西堤部分) H12 堤体ブロック据付完了、表面処理完了 H13 第3回試験湛水(池全体)⇒ダム供用開始 ⇒ダム供用開始後、31年経過 ⇒ダム供用開始後、12年経過

1.施設の現状 1-3 施設の劣化、損傷状況《河川設備・海岸設備》 ①水門、防潮扉 扉体腐食 扉体内部腐食 地下道配管腐食 1-3 施設の劣化、損傷状況《河川設備・海岸設備》 ①水門、防潮扉 扉体腐食 扉体内部腐食 地下道配管腐食  水門、ダム、排水機場をはじめとする機械設備は、その使用環境等が設備によって異なることから、その損傷形態も様々である。  機械設備は、摩耗、腐食、疲労によって損傷が発生し、様々な故障、不具合の原因となる。 つづきまして、これらの施設の劣化・損傷状況についてご説明いたします。 まずは、水門、防潮扉の劣化、損傷についてです。 水門では、左上や真ん中の写真のように、ゲート部の桁など構造部において、 錆が発生したり、地下道での配管腐食などが外観上見られます。 また、水門の地下道内ではの配管腐食も発生しております。 一方、左下の巻上装置は、一見、健全そうですが、外観だけでは その損傷は把握できません。 水門巻上装置

1.施設の現状 1-3 施設の劣化、損傷状況《河川設備・海岸設備》 ①排水機場等 ポンプ孔食 除塵機腐食 エンジン損傷 外観上異常が 1-3 施設の劣化、損傷状況《河川設備・海岸設備》 ①排水機場等 ポンプ孔食 除塵機腐食 また、排水機場の劣化損傷状況については、こちらのとおりです。 左上はポンプの内部写真なんですが、水が流れるケーシングという 鋼製の部分に孔食が生じるなどしております。 また、下の写真にあるように外観上は異常がないように見えても、 内部では、エンジンの損傷が発生していたりということもあります。 外観上異常が 見られなくとも エンジン損傷

2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-1 点検の種類《河川設備》 2-1 点検の種類《河川設備》 点検分類 点検体制 契約(※) 点検内容 点検頻度(*) 施設数  定期 (試運転) 直営 試運転による動作状況の点検 1回/月 水門   25施設 排水機場 6施設 防潮扉 79施設 調節池 24施設 定期 委託 (メンテ・総合) 異常確認、油脂注入、 清掃など 2~9回/年 定期 (年点検) 委託 (メーカー随契) 各種計測、分解整備 1回/年 日常 直営 施設の異常確認 (水門、排水機場) 1回/週 定期 委託 (メーカー随契) (メンテ・入札) 異常確認、油脂注入、 清掃など 1回/月 ダム    2施設 ・アースフィルダム ・ロックフィルダム つづきまして点検の種類についてです。 河川設備につきましては、表右側にあるような施設を管理しておりまして 水門25施設をはじめ、施設の規模、特性に応じた点検を実施しております。 特に、水門、排水機場につきましては、 月に一度、直営職員により試運転を実施する以外に 月点検、年点検で委託業者が設備の計測、分解整備点検を実施しております。 ダムについては、月に一度、直営職員又は委託業者により設備の外観確認及び メンテナンスを実施する他、洪水期の前後に半年点検、年点検等により メーカーが設備の計測、分解整備点検及び試運転をおこなうなど 精密点検を実施しております。 定期 各種計測、分解整備 2回/年 定期 (年点検) 分解精密点検 試運転による動作状況の点検 1回/年 ※入札:一般競争入札、総合:一般競争入札(総合評価落札方式)、随契:随意契約

2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-1 点検の種類《海岸設備》 点検分類 点検体制 点検概要 点検頻度 施設数 定期 直営 稼働状況の確認 2-1 点検の種類《海岸設備》 ①防潮設備(水門・樋門・門扉) 点検分類 点検体制 点検概要 点検頻度 施設数 定期 直営 (職員・管理員) 稼働状況の確認 1回/月 (岸和田水門) 委託 (メーカー・随契) 各種計測・運転確認 1回/年 水門・樋門 53施設 門扉 151施設 (樋門・門扉等) (メーカー・一般) 各種計測・精密点検 ②排水設備(ポンプ・エンジン) 点検分類 点検体制 点検概要 点検頻度 施設数 定期 (エンジン) 委託 (メーカー・随契) 分解精密点検 随時 排水ポンプ 25施設 エンジン 17施設 定期 直営 (市職員) 稼働状況の確認 1回/月 海岸設備につきましては、表右側にあるような施設を管理しておりまして、 記載のとおり河川設備同様、施設の規模、特性に応じた点検を実施しております。 定期 (ポンプ) 委託 (メーカー・随契) 各種計測・運転確認 3回/年 ※入札:一般競争入札 、 総合:一般競争入札(総合評価落札方式) 、 随契:随意契約

2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-1 点検の種類《河川設備、海岸設備》 ①水門、排水機場等 試運転点検 月点検 年点検 2-1 点検の種類《河川設備、海岸設備》 ①水門、排水機場等 試運転点検 実負荷運転を基本とし、五感により運転時の状況把握、全般的な故障兆候の発見、異常時対応、設備内部(不可視部分の防錆、防塵、なじみ等の機能維持及び、運転操作員の習熟度を高める。 直営にて、点検を実施(点検員8人/1水門施設あたり) 月点検 定期試運転の前後に機器の状況確認をする点検。 設備各部の異常の有無や、障害発生の状況の把握ならびに各部の機能確認等のため、目視による外観の異常の有無及び、前回点検時からの変化の有無について確認を行う。 メーカー及びメンテ業者に委託して業務を実施する。 このように定期点検の考え方については、 試運転点検により、職員が直営にて、目視、触診を中心に その状況把握しております。 1回の試運転では、1施設あたり、概ね8名程度の職員が現地に向かい、 状況確認を行います。 一方、月点検は試運転の前後に、メーカー等委託業者が各部の機能確認を 目視を中心に行います。 年点検では、委託業者が、各部の詳細な点検、計測を実施し、 異常の把握を行います。 これらの点検結果は、報告書にて、直営職員に情報共有がなされます。 年点検 月点検より詳細な各部の点検及び計測を実施し、各構成機器の異常損傷や状態の把握による健全度を評価すること、設備の信頼性の確保と機能の保全を図ることを目的に実施する。 主に、メーカーに委託することで業務を実施する。 13

2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-1 点検の種類《定期点検》 ②ダム 月点検 半年点検 年点検 2-1 点検の種類《定期点検》 ②ダム 月点検  ダムの設備各部の異常の有無や障害発生の状況把握並びに各部の機能の確認などのため、当該設備の使用状態に応じて、目視による外観の異常確認及び前回点検時以降の変化の有無の確認を行うもの。 半年点検  洪水期前後のダムにおいて、各設備に機能障害等の異常の有無を発見することを目的に、月点検より詳細な各部の点検及び計測を実施し、各構成機器の異常損傷や状態の把握による健全度を評価すること、設備の信頼性の確保と機能の保全を図る。 年点検 また、ダムの定期点検の考え方につきましては、 ・月点検、半年点検、年点検を委託業者により実施しております。  動作確認は年に一度実施し、データ計測及び異常の有無の 把握を行います。 ・これらの点検結果は、報告書等にて、直営職員とも情報共有がなされます。  洪水期を控えたダムにおいて、各設備が万全の機能を発揮できるようにすることを目的に、半年点検より詳細な各部の点検及び計測を実施し、各構成機器の異常損傷や状態の把握による健全度を評価すること、設備の信頼性の確保と機能の保全を図るとともに、各設備の作動確認及び試運転を実施し、運転時の状況把握、全般的な故障兆候の発見、異常時対応、設備内部(不可視部分の防錆、防塵、なじみ等)の機能維持など詳細且つ総合的な設備点検を行う。

2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-1 致命的な不具合をも逃さない《河川設備・海岸設備》 ★ 防災施設は信頼性の絶対的確保が最優先 2-1 致命的な不具合をも逃さない《河川設備・海岸設備》 ★ 防災施設は信頼性の絶対的確保が最優先 ◆防災施設は、いつなんどきも稼働させなければならない施設である。 ◆実際の本運転は少ないうえ、試運転(動作確認)も、潮位、交通量などの条件により、管理者の都合で運転が行えない。 こういった水門、排水機場といった防災施設については、 動かないことが致命的な不具合となります。 しかし、洪水や、台風などの時しか運転しないことから、 実際の運転頻度は、非常に少ないものです。 例えば、水門であれば、年に1度あるかないか、 排水機場であれば、年数回程度です。 このような、防災施設が常に信頼性高く動作するため、 試運転点検による機能確認は必要不可欠なものでありまして、 直営職員自身が、自ら目視と触診等で状況把握をすることで 致命的な不具合を逃さないよう、異常の早期発見に 努めております。 ◆試運転点検は、機能の状況を確認できる唯一の機会。 ◆直営職員による確認と計測データにより、異常の早期発見を徹底していく。

2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-1 致命的な不具合も逃さない《河川設備》 ①水門、排水機場、防潮扉 2-1 致命的な不具合も逃さない《河川設備》 ①水門、排水機場、防潮扉 ○点検の視点:施設の所定の機能を確保する安全性・信頼性の高い運転を確保する。 ①試運転による動作確認によるチェック項目・ ◆例(水門巻上装置 運転時直営点検チェックシート) この試運転点検の際、水門、排水機場では、 全ての職員が、同じ視点で機器の動作確認ができるように このような点検チェックシートを作成し、動作状況の把握をおこなっております。 これらの点検履歴は、現場でチェックした用紙をそのまま保管、蓄積しております。

2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-1 致命的な不具合も逃さない《海岸設備》 ★ 運転記録・点検記録票 2-1 致命的な不具合も逃さない《海岸設備》 ★ 運転記録・点検記録票 ○点検者の違いによるバラつきを防止し、   チェックする項目を統一、固定 ○経過観察するデータについては、   その変化をグラフ処理するとともに、   不具合兆候がみられた箇所については   補修実施に活用 海岸設備についても同様です。 点検後このようなチェックシートを紙で保存しております。

2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-2 致命的な不具合点を見逃さない《河川設備、海岸設備》 ●不可視部分等の点検 ポンプ羽根分解点検整備 2-2 致命的な不具合点を見逃さない《河川設備、海岸設備》 ●不可視部分等の点検 防災施設は、様々な部品にて組み上げられた精密機械であり、数多くの不可視部分が存在する。 これら不可視部分は、運転時間、経過年数に基づき、分解整備等により内部の状況を確認する。 ポンプ羽根分解点検整備 ポンプ軸分解点検整備 軸継手分解点検整備 日常点検、定期試運転に加え、設備の状況を考慮しながら、分解整備点検を実施し、不可視部分の損傷の有無などを点検するとともに、消耗部品の交換を行う。 点検データは、紙媒体の報告書にて、保存 ⇒前回計測データとの比較などを実施。 しかし、定期試運転でも発見できない情報も多いのが、機械電気設備の特徴です。 機械設備は、数多くの目に見えない部分が存在することから、 定期的な点検に加え、ポンプ本体、ディーゼル機関などの分解整備点検を実施し、 内部の劣化損傷状況の確認と整備、そして消耗部品の交換を実施しています。 ポンプを駆動するディーゼル機関や、ポンプ本体の水中部点検などは、 6年~10年周期で実施しております。 これらの分解整備点検結果は報告書等で直営職員と情報共有されております。 ポンプ水中部点検     6~10年周期 ポンプ駆動用機関分解整備 6~10年周期 エンジン分解点検整備

2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-3 効率的・効果的な点検に向けた取り組み《河川設備》 ①水門、排水機場、防潮扉 2-3 効率的・効果的な点検に向けた取り組み《河川設備》 ①水門、排水機場、防潮扉 ⇒標準耐用年数を迎えつつある。 長寿命化計画の策定(平成21年度~) ①中長期的保全計画   ・機器取替、更新、分解整備等計画 ②年度保全計画    ・各施設の点検・整備の計画 ③維持管理台帳の整備   ・点検・整備・更新履歴   ・事故・故障履歴 ④データ蓄積 河川用ゲート設備点検・整備・更新検討マニュアル(H20.3) 河川ポンプ設備点検・整備・更新検討マニュアル(H20.3)  (国土交通省 総合政策局・河川局) 大阪府では、長寿命化目標使用年数の概ねの目安として、現在施設の劣化状況等を考慮し、以下のとおり設定した。 ◆ 水門設備   80年(従来の標準耐用年数40年※) ◆ 排水機場設備 60年(従来の標準耐用年数30年※) 今後、この年数まで健全に施設を管理していく上では、維持管理の『質』の向上が重要。 このような維持管理を行ってきておりまして。 今、水門設備では設置から40年、排水機場設備では30年と、 従来考えておりました標準耐用年数を迎え、 それを超えようとしているのですが、 現在のところ施設な健全なものも多くございます。 そこで、大阪府では水門、排水機場の長寿命化計画を平成21年度より 順次策定中です。 これは、現在の施設劣化状況から、概ねの目安となる年数を設定し、 この年まで健全に施設を管理していくことを目標としております。 但し、この年数まで利用していく上では、 設備維持管理の質の向上が重要と考えております。 ※河川設備更新検討要綱(H6 建設省河川局)

2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-3 効率的・効果的な点検に向けた取り組み (現状の取組み) ●ダム設備の長寿命化計画について ②ダム 2-3 効率的・効果的な点検に向けた取り組み ②ダム (現状の取組み)   ①各設備(各種ゲート、バルブ等)の点検整備結果の要点整理    ・点検、整備、更新履歴    ・事故、故障履歴   ②データ蓄積 ●ダム設備の長寿命化計画について  これまでダムの各設備は、各ダムで定める点検整備基準に基づき、日常点検等を実施し、その点検結果等を踏まえ、補修や設備の更新等を行い、ダムの安全性及び機能の長期的な保持に努めていたところである。  また、H25.10に国交省通達により、長期的視点を踏まえたダムの維持管理及び設備の更新等について、ダムを構成する設備ごとに中長期的な維持管理方針を定めた「ダムの長寿命化計画」を策定する重要性が示されたことから、今後、府管理ダムについても、ダム土木構造物並びに、機械設備・電気通信設備について、以下の要領等を参考にダムの維持管理、設備の更新等に係る方針を検討していく。 ダムにつきましては、現状の取り組みとしては、点検整備記録の整理を 実施しておりますが、 水門、排水機場同様長寿命化計画を今後順次策定予定です。 ①ダム土木構造物等 … ダム総合点検実施要領(H25.10) ②機械設備       … ダム用ゲート設備点検・整備・更新検討要領                  ダム用ゲート設備点検・整備・更新等マニュアル(案)(H23.4) ③電気設備       … 電気通信施設維持管理計画指針(案)

2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-4 点検データの蓄積内容・活用《河川設備》 ①点検データは、委託成果品として、紙媒体で5年程度管理。 2-4 点検データの蓄積内容・活用《河川設備》 ①点検データは、委託成果品として、紙媒体で5年程度管理。 ②故障・不具合履歴は部分更新の判断基準として使用。 ③計測データは、一部電子データで傾向管理を開始したところ。   傾向管理項目(例) ・エンジンの振動測定 ・油圧作動油の成分分析 ・水門扉体電気防食の防食電位 ・自家発電設備の騒音値 (傾向管理例) 自家発電設備の振動測定結果 扉体電気防食電位結果 また、点検データの蓄積につきましては、 月点検、年点検結果は、現在委託業者の報告書を 紙媒体で保管している状況です。 故障・不具合の履歴についても、過年度からの蓄積をおこなっており 施設の部分更新の判断基準として利用しております。 また、試運転時、年点検時の計測データの傾向管理も 一部実施を始めたところであります。

2. 点検及びデータの蓄積の検証 2-4 点検データの蓄積内容・活用《河川設備・海岸設備》 ○ 現在所有する点検データ 2-4 点検データの蓄積内容・活用《河川設備・海岸設備》 ○ 現在所有する点検データ 定期点検、試運転結果データ ○「現状の機能確認」、「不具合兆候の把握」を目的としたもの ○点検者の主観によって点検結果が判断される データ蓄積、活用について ○点検結果は紙媒体での保存が多い。    (※試運転点検結果、委託点検結果) ○補修工事について、点検結果、不具合履歴を用いるなど活用 ○故障不具合情報は、事務所内で保管、情報が収束 このように施設の長寿命化に向けた点検、データの蓄積を実施して きておりますが、 現在の点検は、あくまで、現状の機能確認としての性格が強いものです。 また、先ほどお見せしたよう試運転点検結果は定性的な点検チェックリストとなり、 点検者の主観、技術力によって結果が変化するリスクがあります。 データを「蓄積」し、組織として全体で「活用」していくという視点では、 現在、紙媒体での保存が中心となっており、 補修工事の実施に際して、点検結果などを活用はしておりますが、 故障不具合情報は、事務所内で収束している状況です。 河川設備、ダム設備、海岸設備における点検の現状につきましての ご説明は以上です。

3.維持管理手法の検証 3-1 現在の維持管理の流れ《河川設備・海岸設備》 点検 定期点検 日常点検 精密点検 評価 劣化度評価 補修 3-1 現在の維持管理の流れ《河川設備・海岸設備》 点検 定期点検 (月、年)委託 日常点検 精密点検 年1回、整備、計測等により設備の状況を確認 週1回程度、職員が施設の巡回点検を実施 設備の劣化状況把握を踏まえた 評価 損傷度ほかを踏まえ5段階に区分 劣化度評価 補修 軽微な損傷は、補修工事を実施 部分更新 施設の全体の健全度から判断 月1回を基本に、試運転を行い、動作確認等調査 試運転点検 (月) 不具合箇所の経過観察 早急に補修を必要とする場合に工事を実施 緊急補修 引き続きまして、現在の維持管理の流れについてご説明いたします。 現在の維持管理につきましては、 左側の列のように試運転点検、定期点検、精密点検などのデータを 総合的に確認して、真ん中の施設の劣化度評価を行います。 そこで、基準となるラインを下回るようであれば、 補修又は、部分更新等に進めていくという流れになっております。

3.維持管理手法の検証 3-1 現在の維持管理の流れ《河川設備・海岸設備》 ○点検による損傷度の現況調査判定(劣化度)基準 3-1 現在の維持管理の流れ《河川設備・海岸設備》 ○点検による損傷度の現況調査判定(劣化度)基準 点検項目 現況A  現況B 現況C 現況D 現況E 支障なし 経過観察 劣化進行防止 劣化進行の抑制 延命対策 計画的補修 全体的な改築・更新 外観 劣化無し 若干の劣化あり 劣化あるが、支障なし 劣化あり 修繕で対応 根本的な対策必要 動作状況 順調 たまに異常発生 運転に支障なし 異常箇所は多いが、 運転に支障無し 応急措置等で対応 運転に支障をきたす 故障 初期故障のみ 偶発故障 故障発生 故障頻度の増加 維持費 コスト縮減可 安定 増加傾向 増加している 大がかり補修 機能 支障無し 要請機能変化なし 設計基準等対比すべき 信頼性・経済性を考慮して改築すべき 部品 手配に多少時間かかる 製作中止 (代替品対応) 代替品対応 部品手配困難 年数 設置後5年未満 設置後10年未満 標準耐用年数未満 標準耐用年数 5年超10年未満 10年以上(機械) 社会的要因 設計基準等の変化により課題あり 設計指針改定等で強度不足 振動・騒音等周辺環境への影響 能力不足が明らか 劣化度については、こちらの表の左側にあるような 外観、動作状況をはじめとする8項目について、 直営職員が、定期点検結果、試運転点検結果、分解整備点検結果などを 確認した上で総合評価を実施いたします。 目安として、D判定で補修を実施し、E判定で更新の目安としております。 この評価は水門や、排水機場を構成する各設備毎に作成します。 各水門、排水機場の設備毎に5段階評価

3.維持管理手法の検証 3-2 現在の維持管理手法《河川・ダム設備》 現況評価判定 こちらが、現況調査(老朽化)を判定したシートとなります。 3-2 現在の維持管理手法《河川・ダム設備》 現況評価判定 こちらが、現況調査(老朽化)を判定したシートとなります。 お見せしているものは排水機場についての判定シートなのですが 排水機場を構成しております設備である 制水扉、ポンプ、原動機など各々の設備について、 先ほどご説明しました外観、動作状況、故障など8項目について チェックを行い、レーダーチャートを作成し、劣化度管理をしております。

3.維持管理手法の検証 3-2 現在の維持管理手法《河川・ダム設備》 施設 維持管理手法 補修時期や手法の考え方 課題 水門設備 状態監視型 3-2 現在の維持管理手法《河川・ダム設備》 施設 維持管理手法 補修時期や手法の考え方 課題 水門設備 状態監視型 ・防食工の補修   5~10年周期で定期的に塗装塗替 ・扉体等鋼構造物は設計肉厚管理 ・可動部は試運転状況、故障の発生頻度  の増加を目安に精密点検を実施 部分更新時期 の見極め 補修のタイミング 排水機場設備 ・可動部は試運転状況、故障の発生頻度  ・鋼構造物は定期点検で腐食管理 ダム放流設備 ・各構成機器の異常損傷や部材の孔食等が検出された場合に補修を実施 電気設備 時間計画型 部品手配状況・標準耐用年数をもとに 更新を検討 突発故障 点検による劣化度評価をしたことにより、 施設の補修を実施していくこととなるのですが、 水門、排水機場設備については、鋼構造物が多く、 まずは、錆等による部材劣化を抑止することが重要です。 現在、例えば水門の扉体では5~10年周期で 防食塗装の塗替えを実施しております。 また、排水機場でのポンプ、エンジンなどの機械設備は、 試運転状況や故障の発生頻度をみて分解整備により 不具合箇所の補修を実施するというものであります。 一方電気設備については、部品の手配が困難になったときなど、 時間計画型の保全手法となります。 課題としては、補修及び更新を実施するタイミングが難しいところです。 ※水門設備には、防潮扉、堰を含む ※電気設備には、受変電設備、監視制御設備、自家発電設備、テレメータ設備、遠隔操作通信設備を含む

3.維持管理手法の検証 3-2 現在の維持管理手法《海岸設備》 施設 維持管理手法 補修時期や手法の考え方 課題 水門 状態監視型 3-2 現在の維持管理手法《海岸設備》 施設 維持管理手法 補修時期や手法の考え方 課題 水門 状態監視型 10年周期で塗装塗替を実施 点検で不具合予兆を確認した段階 鋼部材の劣化予測 樋門 門扉 排水設備 劣化予測 電気設備 時間計画保全型 更新時期の見極め 昇降設備 海岸設備についても、点検結果による健全度評価にもとづき、 不具合が発生する前に補修をしております。 ただ、あくまで予兆確認後の措置であり予測までは至っていないこと、 また、定性的評価にとどまり定量的評価までは至っていないことが現状です。 河川設備では、国の長寿命化に関するマニュアルが整備されておりますが 海岸設備が4省庁所管にまたがり、長寿命化に関する国の統一マニュアルが 整備されておらず、河川設備等を参考にしながら実施していることも 要因の一つとなっています。

3.維持管理手法の検証 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因: 《機械設備》 【腐食】 水門扉体 ポンプケーシング ポンプ羽根 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因: 《機械設備》 【腐食】 水門扉体 ポンプケーシング ポンプ羽根 水門や、防潮扉の扉体などでは、塩分の付着、塗装の劣化等に起因する主桁、補助桁等の部分的な腐食がみられる。腐食のうち、故障、動作不良に至る要因となるものについては、経過観察が重要である。 排水機場の主ポンプでは、排水時に河川水に混じった不純物などの接触、電食などが原因と考えられるポンプ本体のケーシング、羽根(インペラ)において、部分的な孔食が発生している状況である。 水門や排水機場で発生する主な劣化損傷要因について検証いたしますと 施設の損傷因子として、一つ目は、「腐食」です。 ポンプなどの没水部、塩分濃度が比較的高い沿岸部などで これらの腐食の傾向が強くみられますが、 機能不全に陥るような腐食、劣化がないかどうかという視点で 状態監視などで確認していくべき項目であると考えております。

3.維持管理手法の検証 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因: 《機械設備》 【摩耗】 偏摩耗 チェーン摩耗 ピストン摩耗 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因: 《機械設備》 【摩耗】 ピストン摩耗 偏摩耗 チェーン摩耗 機械設備については、年点検等で分解整備を行うことにより、部材の摩耗が発生された際に補修を実施している  特に水中部のスプロケット等では、定期的な交換を実施しているが、過去には、排水ポンプを駆動するディーゼル機関で、動力伝達をするエンジン等のピストンが異常摩耗をした事例も発生している。 つづいての損傷因子としては、「摩耗」です。 機械設備は、金属同士の接触によって、動力が伝えられていることから、 歯車やチェーンなどの摩耗は避けられません。 時間経過とともに、傾向を管理し進行度の把握が求められます。 これらも水門、排水機場としての求められる機能の不全に 陥らないよう維持管理することが重要と考えております。

3.維持管理手法の検証 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因: 《機械設備》 【疲労(損傷)】 過給器軸折損 ボルト折損 3-3 施設毎の主たる損傷・劣化要因: 《機械設備》 【疲労(損傷)】 過給器軸折損 ボルト折損  駆動用設備(ディーゼル機関)など動力伝達部分、ボルト等については、振動の発生と繰返し荷重によって、軸などの折損に至り、機能不全に直結することから、未然防止に努めなければならない。  防災施設は、常用施設と異なり、稼動時間が短い上に発停回数が多いことが特徴であり、その損傷に至る時間は、短いことを懸念しなければならない。 また、部材の疲労やそれに類する損傷による折損は、 機械設備の機能不全に直結することから 特に注意しなければなりません。 しかし、防災施設は、稼働時間が少ない割に、発停回数が多いなど、 特徴的な運転形態であり、特に荷重のかかる箇所、 高速回転箇所、振動が多い箇所への注意は必要です。

3.維持管理手法の検証 3-4 今後の維持管理の方向性《河川設備》 損傷劣化に対しての取組み 腐食 摩耗 疲労 長寿命化に向けた 取組み 3-4 今後の維持管理の方向性《河川設備》 損傷劣化に対しての取組み 腐食 摩耗 疲労 長寿命化に向けた 取組み ◆塗膜管理  構造物の腐食防止のため、塗装の状態監視を実施していく。 ◆肉厚管理  鋼構造物は、定期的な肉厚調査により設計厚を満足しているかを評価。 ⇒点検周期等を今後検討 ◆不可視部分も分解整備時に確認、傾向管理を実施。 ◆摩耗量管理  開放部、不可視部分含めて摩耗量については、動作不良を生じる基準値を下回らないこと。 ◆機械設備に対して、信頼性確保のため、定期的な分解整備を実施していくこと。 ◆突発的な故障への対処などを考慮し、部品供給の有無が重要な視点であり、時間計画型の管理も必要である。 このようなそれぞれの損傷劣化要因に対しまして まず腐食については、鋼材の防食である塗装につきまして、 劣化度を確認する状態監視と鋼部材の経年的な変化を踏まえた 肉厚管理を実施すべきと考えております。 摩耗については、施設の保持すべき機能確保を考慮し 設備の動作不良を生じる基準値(目安値)を下回らない管理とします。 また、疲労については、定期的な分解整備で不良を発見しますが、 発生が予見される場所では突発的な故障も考慮し、 部品供給面から時間計画型の管理を検討していくことが必要と考えております。 【参考】 ◆今後の塗装仕様の最適化 ◆塗膜劣化管理の最適化 ◆時間計画保全を実施する機器の核的 ◆鋼材の肉厚管理周期の決定

3.維持管理手法の検証 3-5 今後の維持管理手法《河川設備・海岸設備》 ※水門設備には、防潮扉、堰を含む 3-5 今後の維持管理手法《河川設備・海岸設備》 施設 目指すべき 維持管理手法 把握すべき事項 今後必要となる 点検・データ 水門設備 状態監視型 ・故障要因の進行データ ・劣化進行速度の把握 ・点検データの傾向管理、分析 ・土木構造物のコンクリート調査 排水機場設備 (一部時間計画型) ダム放流設備 ・劣化損傷の進行要因データ ・進行速度の把握 定期点検データ ダムの計測データ ※現状のダム管理の継続的な実施 電気設備 時間計画型 ・施設劣化状況 ・部品供給状況 ・従来通り 昇降設備 このように、劣化要因を踏まえた今後の維持管理方法についてまとめますと、 基本、水門扉体などの鋼構造物については、防食工の保全を目的とする状態監視型とし、 可動設備など一部劣化損傷に対する信頼性と部品供給状況を踏まえた時間計画型保全が目指すべき維持管理手法と考えております。 しかし、施設の更新の判断基準となるような故障予測できる点検データとは どういったものなのか、現在、把握できておりませんので、 今後の技術革新等を考慮し、点検データ蓄積は、進めていく必要があると考えております。 ※水門設備には、防潮扉、堰を含む ※電気設備には、受変電設備、監視制御設備、自家発電設備、テレメータ設備、遠隔操作通信設備を含む

3.維持管理手法の検証 3-6 今後の維持管理手法《河川設備・海岸設備》 (ポイント) ・故障予知できる新たな点検項目を見つける 3-6 今後の維持管理手法《河川設備・海岸設備》 施設の長寿命化に向けて 施設 課題 課題解決に向けて 水門設備 部分更新時期の見極め 最適な補修タイミング (ポイント) ・故障予知できる新たな点検項目を見つける ・点検結果の定量的な判断基準を作成する ・故障要因となる劣化部位の特定する 排水機場設備 ダム放流設備 部分更新の見極め 定期点検データの蓄積 ダムの計測データの利用 ※現状のダム管理の継続的な実施 これらをまとめますと、 水門、排水機場などの防災設備につきましては、 先ほどの長寿命化目標年数まで健全に維持管理していくため 更新時期の見極め、そして、信頼性を確保する上での最適な補修タイミングが課題と考えております。 この点につきましては、 いつ壊れるのか、故障するのかということを把握するために ・故障予知のできる点検項目は何か? ・点検結果の定量的な判断基準は何か?  ・各設備で故障要因となる劣化部位の特定 この課題解決に向けて、どのようなアプローチをしていくべきか 今後実施すべき内容、作業、調査すべき項目について ご議論、ご審議いただければと考えております。 ※水門設備には、防潮扉、堰を含む ※電気設備には、受変電設備、監視制御設備、自家発電設備、テレメータ設備、遠隔操作通信設備を含む

4. 重点化指標 重点化指標(優先順位)の設定《河川設備》  重点化指標(優先順位)の設定《河川設備》  水門、排水機場といった防災施設は、不具合が発生した場合、その影響範囲は広域に及ぶことから、最優先に実施すべき事業であるが、各機場間の優先順位は以下のマトリクスによって判断する。 ◆社会への影響度  1.人命、財産に関する評価     流域内の病院、小中学校等重要施設の有無  2.氾濫の規模に関する評価     流域の面積 ◆設置条件  1.設置環境による評価(水質、汽水域にある)  2.耐用年数からの超過 次に、重点化指標となるマトリクスについてです。 全体検討部会で提示された素案をもとに 河川設備は、縦軸に社会への影響度、横軸に設置条件のパラメータを案として 作成いたしております。 縦軸の社会の影響度レベルは、流域内の病院、小中学校、公共施設 の有無に加え、被害の影響度として流域の面積によって評価します。 横軸の設置条件は、設置環境、耐用年数からの超過年などから 劣化進行を評価し、優先順位をつけて評価することを考えております。 河川ゲート設備点検・整備更新検討マニュアル(案)                H20.3 国土交通省

4. 重点化指標 重点化指標(優先順位)の設定《海岸設備》 ・効率的かつ効果的に維持管理を行うために、不具合が発生した場合の重点化の  重点化指標(優先順位)の設定《海岸設備》  ・効率的かつ効果的に維持管理を行うために、不具合が発生した場合の重点化の   考え方を設定する。 設備の損傷度 ★考慮すべき社会的影響度  ・設置位置<敷高等>  ・浸水リスク  ・後背地の土地利用状況  ・倒壊による二次被害 最重点化 重点化 海岸設備の重点化イメージです。 設備の損傷度と社会的影響度から、優先順位を決定しています。 社会的影響度は、設置高さ、後背地の土地利用状況などで判断します。 社会的影響度

5. 更新時期の見極めの検討 更新判定フロー(案)《河川設備・海岸設備》 START 長寿命化 更新 社会的要因による更新 更新判定フロー(案)《河川設備・海岸設備》  START 不必要 長寿命化 更新 必要 不要 社会的要因による更新 機能的要因による更新 物理的要因による更新 LCC・総合評価 LCC・総合評価必要 LCC・総合評価不要 (補修対応が不可能な設備・   時間計画保全型の設備) 更新単位:インフラ施設として求められている         機能を果たす単位の設備(機器群)   具体例)排水設備(ポンプ・駆動装置)、 水門設備(扉体・巻上装置)、         受電設備、監視制御設備、計測         設備など 社会的要因 防潮ラインの変更 構造物の再構築 法令、基準の変更 機能的要因 部品確保困難 設備の陳腐化 物理的要因 構造物の劣化 そして、河川設備、海岸設備の更新判定についてですが、 機械電気設備については、右上の更新単位に記載して おりますが、エンジンや、ポンプ、巻上機など 部分的な更新を行うことによって、 水門または排水機場といった施設全体の長寿命化を 図るということが可能であります。 部分的な更新要因に際しても 社会的要因、たとえば法令変更、整備計画変更といったものや 機能的要因たとえば予備品、技術の陳腐化によって 更新の必要があれば、更新を実施する。 それらがなければ、物理的な状態把握をおこない、 LCC等から補修工法等と更新を比較し 最適な手法をとっていくという考え方でお示ししております。 説明は以上です。

参 考 資 料

現況調査点検項目