NPO法人財務データベース からみた情報開示の現状と課題

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1 ( 様式8 ) 提案書雛型ア 資料2 - 1 (提案者名を記載) ○○○○ 受付番号 ア.地域見守りサービス創出における調査 平成 23 年度医療・介護等関連分野における規制改革・産業創出実証事業 ( IT 等を活用した医療・介護周辺サービス産業創出調査事業) 提案書 (提案事業のタイトルを記載:
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受付番号 平成 23 年度 東北復興に向けた地域ヘルスケア構築推進事業 (被災地域における医療・介護周辺サービスの提供拠点整備の推進及び医療情報 等の共有システムの推進のための調査事業) 提案書 事業区分 イ-1:被災地における医療情報等の共有等を可能にするシステム の推進の調査事業 (平成22年度医療情報化促進事業の検討内容を踏まえ、被災地において被災.
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【1 事業の内容及び実施方法】 1.1. 事業内容(実施方法を含む) 破断試験の計測準備
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日米NPOの収入構成の比較 寄付の内訳 日本 アメリカ 国際平均 事業収益 52% 57% 53% 行政資金(外郭団体分含む) 45%

連合が提案する「子育て基金(仮称)」 現行の次世代育成支援制度の課題 1 日本労働組合総連合会(連合)
地方におけるデータ活用人材の育成について
フランスの年金調整会議 年金調整会議は、2000年に創設された。常設の団体であり、メンバーは国会議員、経営者・労働組合の代表、専門家、国の代表である。その主たる目的は、フランスの年金制度を監視すること、年金に関連する公的政策への勧告をすることであり、専門的知識と全ての参加者による協議に基づいている。
【1.1事業の目的・内容について】 4.2 (別紙1) 提案書雛型 内容及び達成目標 記述内容
ソリマチ 会計王14NPO法人スタイルの 特徴と活用方法 日 時:2013年9月30日(月)
平成30年度観光地域動向調査事業「那覇空港における二次交通利用動向調査」
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企業を調査客体とする統計調査の 回収率の最近の動向について 日本統計学会 (大阪大学) 国士舘大学 山田 茂
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【1.1 事業(調査)目的】 1 8.1 (別紙1) 提案書雛型 本事業(調査)の目的について 記述内容
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財団への寄付 年度のための地区研修・協議会 2016年4月9日 RID2660 地区ロータリー財団委員会
あなたにも届けたい。串間のめぐみ、 串間のぬくもり。串間の魅力を。 平成27年度決算 串間市連結財務諸表を公表します。 本市都井岬にて撮影.
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行政保有データ(統計関連)の棚卸し集計結果 (平成29年12月取りまとめ)
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【3.6 実証実験を進める上での課題、明らかにしたい事項】
【1 事業の内容及び実施方法】 1.1. 事業内容(実施方法を含む) 水素発生量評価試験
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IoT活用による糖尿病重症化予防法の開発を目指した研究
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第1回平成23年度知的資産経営レポート作成検討委員会 参考資料
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地方公営企業法適用の目的について 資料1-2 《会計制度によるちがい》
19 ¥36,000/税抜 ¥70,000/税抜 会計王NPOで経理を効率化!本業の活動へ注力しましょう! ✓ ✓ ✓ ✓
(提案事業のタイトルを記載:80文字以内) ○○○○○○○○○○○○ (提案者名を記載) ○○○○
「地域経済産業活性化対策調査(沖縄市が整備するアリーナ施設を核としたまちづくり等に関する基礎調査)」
【1 研修の目的、内容及び実施方法】 1.1 研修目的
平成25年度オープンデータ実証実験 自治体行政情報実証(概要)
行政保有データ(統計関連)の棚卸し結果概要 (平成29年12月取りまとめ)
事業区分: 課題調査事業 コンソーシアム等名称: ○○ 事業名: △△ 代表団体名: □□ 参加団体: ▲▲、■■ 協力団体: ●●、◎◎
地方公共団体オープンデータ推進ガイドラインの概要
1業務の実施方針等に関する事項 【1.1調査内容の妥当性、独創性】
「農地中間管理機構」広報業務委託提案書 参考 イメージ 平成30年○月 (株)○○○○企画.
単独事業者での応募にあたっては、コンソーシアム等名称、参加団体の記入は必要ありません。 事業区分: 課題調査事業 コンソーシアム等名称:
行政保有データ(手続等関連)の棚卸結果概要 (平成30年3月とりまとめ)
1業務の実施方針等に関する事項 【1.1事業実施の基本方針、業務内容等】
平成30年度「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(実証事業分)」沖縄における交通機関への海外決済手段の導入実証事業
【1 事業の内容及び実施方法】 1.1. 事業内容(実施方法を含む) 薬品配管施工設計・保守点検架台製作
01STEP 02STEP 03STEP 04STEP 次期観光戦略マネジメントサイクルの強化 観光事業者との情報共有
社会的企業(Social Business)
平成30年度 交通結節点創出等による利用促進方策 及び最適な公共交通料金の検討に関する調査業務 提 案 書
平成25年度オープンデータ実証実験 統計情報・データカタログ実証(概要)
(別紙1) 提案書雛型 令和元年度 沖縄型テレワーク実装推進調査 ー提案書ー                        (日付)                        (企業名)                        (連絡先等)
地方公共団体のオープンデータ取組済み(※)数の推移
(別紙1) 提案書雛型 那覇空港におけるレンタカー貸渡の 満足度向上のための実証事業 提 案 書                        (日付)                        (企業名)                        (連絡先等)
オープンデータ流通推進コンソーシアム 情報流通連携基盤・外部仕様書 (平成24年度版) Call for Comment結果報告
行政保有データ(行政手続等関連)の棚卸結果概要 (平成31年3月とりまとめ)
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NPO法人財務データベース からみた情報開示の現状と課題 2007年3月27日 大阪大学OSIPP NPO研究情報センター

アメリカのNPOデータベース 掲載団体概数 特徴 メリット 問題・課題 GuideStar 150万 Form990 有料会員 全て網羅 財務分析データ 有料情報あり Charity Navigator 5千 格付け評価 組織の効率性などが分かる 格付けの妥当性 Give.org 1千 レポート 団体を理解しやすい 登録団体に依存 NCCS 100万 分析データ Web上で分析できる 使用方法が複雑

日本のNPOデータベース 掲載団体概数 特徴 分析を行う上でのメリット NPO広場 (日本NPOセンター) ・全て網羅 ・NPO法人が自身で更新できる ・自主公開している団体については財務データもある NPORT (NPOサポートセンター) 19,181件 (2006/5/29時点) ・NPO法人が自分で更新できる ・NPO法人以外の法人・任意団体も含む 内閣府・都道府県 所轄のNPO法人 ・提出書類が閲覧できる ・団体が提出したものを使える 各ウェブサイトを参照

NPO法人数の推移 *数値の時点は各年末 出所:内閣府「NPOホームページ」

財務データベース作成の目的 寄付が集まらない、事業性・自立性の確保は可能か、介護団体への偏り、規模の二極化 情報公開を通じたNPO法人への理解促進  団体情報の個別・一覧・時系列検索、わかりにくい財務情報の整理・集計 NPO法人の客観的な実態把握  寄付が集まらない、事業性・自立性の確保は可能か、介護団体への偏り、規模の二極化 科学的根拠に基づいた政策提言  客観情報に基づく行政・企業・市民へのアプローチ、地域の現場団体との連携の可能性

データベース作成の体制 行政 中間支援組織 NPO財務 データベース 作成委員会 分析ベースの 共有・改善提案 資料(貸借対照表・  収支計算書等)の提供 プロジェクトへの参加・  協力(三重県) プロジェクトへの参加・  協力(愛知県・山形県) 現場・地域情報の共有 分析ベースの 共有・改善提案 エントリー・シート、入力マニュアルの作成・改善 データ・報告書作成に関するアドバイス 情報公開用Webの構築 NPO財務 データベース 作成委員会

デジタル化した財務項目(1)

デジタル化した財務項目(2)

財務データベースの構築方法 各所轄庁から貸借対照表および収支計算書を入手(元データの提供) ハードコピーのものはスキャンし、PDF化 PDFでの入手 各団体の基礎情報および財務情報を入力(作成データの提供) 所在地、所轄、活動分野 独自のフレームワークにより各団体の財務情報を入力 これらをデータベース化し、Web上で公開

NPO法人財務データベースの概要 所轄庁(都道府県+内閣府)に事業報告書等を提出した全NPO法人(12,509法人)の2003年度の財務データをデジタル化 団体名、活動分野、所在地などで検索可能 MS-EXCELでの取り込みが可能 科研費プロジェクトとして実施 一般公開 URL:http://npodb.osipp.osaka-u.ac.jp

NPO法人財務データの全体像 経常支出合計:1,973.9億円(11,473) 会費収入:150.8億円(9,785) 7.6% 会費収入:150.8億円(9,785) 7.6% 寄付金収入:175.3億円(6,139) 8.9% 事業収入:1312.4億円(8,246) 66.5% 補助金・助成金:222.4億円(3442) 11.3% うち政府補助金:90.2億円(875) *括弧内はそれぞれの収入が0より大きい団体の法人数 *小数点第2位を四捨五入 *パーセントは総収入に占める割合

経常収入合計の規模分布 *図は、見易さの確保のため、経常収入合計が1億円以下の団体を表示している

経常収入合計・規模別の法人数分布 N=12,493

規模格差:経常収入のLorenz Curve

情報公開制度と会計制度

NPO法人会計制度の問題点(1) 財務諸表の形式が多様 Form990のような規定がない 税法上の財務状態の把握ができない 比較可能性が低い Form990のような規定がない 注記や付属明細がない 収入や支出の内訳明細も不明な場合が多い 税法上の財務状態の把握ができない 全体像が不明 例えば、法人税のかかる部分の特定などができない 脆弱な財政基盤や会計専門スタッフの不足 スキルのある人材の不足 スキルのある人材を雇う資金がない

NPO法人会計制度の問題点(2) 信頼性が低い 有用性が低い 会計処理の誤りが多いという、世間からの指摘がある 例えば、有効なデータが記載されている団体のうち、37%が貸借対照表の正味財産と収支計算書の次期繰越正味財産が一致しない ただし,上記のような不整合が生じる背景には、21(44%)の都道府県で、もともと会計上整合性がとれないひな形を提示しているという問題があり、世間から無用な誤解を招いているという部分もある 有用性が低い Form990にあるような小科目レベルのデータは把握はできない 例えば、行政委託金/補助金/人件費報酬額/役員等の関連当事者との取引などの把握が困難

まとめと今後の展望 NPO法人財務データベースの特徴 今後の課題 主要財務データをデジタル化して公開 原本のPDF版も公開 法人検索と網羅的・統計的な分析の両方可能 今後の課題 プロジェクトの継続性 電子ファイリング、電子公開の推進