天動説と地動説 2008.11.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
火星の気象と気候 2004 年 11 月 10 日 小高 正嗣北海道大学 地球惑星科学専攻. 講義の概要 太陽系の惑星概観 太陽系の惑星概観 地球型惑星と木星型惑星 地球型惑星と木星型惑星 地球と火星の比較 地球と火星の比較 火星の気象と気候 火星の気象と気候 探査衛星による最新の気象画像 探査衛星による最新の気象画像.
Advertisements

スイングバイを行う惑星 探査機軌道の再現 B 上杉耕玄. 目的・研究概要 スイングバイを再現するために 3 次元の運動方程式を ルンゲクッタを用いて解き, 精密な太陽系シミュレー タを作成した. 各惑星とパイオニア 10 号の初期位置と初期速度を打 ち上げの 1 ヶ月後,6 ヶ月後, スイングバイの.
第 21 章 私たちはひとりぼっち か? 宇宙の生存可能性についての疑 問
関西学院大学オープンセミナー 2010年6月12日.  決定論的現象 天体の運動のように未来が現在により決 まっている現象  偶然的現象 偶然的な要素が加わり、未来の予測が不可 能な現象 気象、地震、災害、事故、宝くじ 株価、寿命、 … … … … … … … ….
多面体の画面への投影 ケプラーの太陽系モデルとミウラ折 り 宇宙物理・数理科学研究室 情報システム学科 B 奥野駿哉.
神戸大・理 2009 年度 地球および惑星大気科学実習 (2009/07/17) 資料をもとに作成.
光学と力学 井上慎 光量子科学研究センター 学術俯瞰講義「光の科学」、 2012 年 10 月 18 日.
天王星の発見  ハーシェル:偉大なる観測家 ハーシェル – アマチュア天文学者出身  妹カロリーネの献身カロリーネ  親友:マスケリン  最高の望遠鏡を裏庭に裏庭  恒星の距離測定を目指して  運命の夜:1781年3月13日 運命の夜  次へ 次へ.
天王星の発見  ハーシェル:偉大なる観測家 ハーシェル  アマチュア天文学者出身  妹カロリーネの献身カロリーネ  親友:マスケリン  最高の望遠鏡を裏庭に裏庭  恒星の距離測定を目指して  運命の夜:1781年3月13日 運命の夜  次へ 次へ.
北軽井沢駿台天文講座 ΔT (地球の自転の減速) 相馬 充(国立天文台) 北軽井沢駿台天文台(北軽井沢「一心荘」) 2012 年 8 月 3 - 6 日.
Venus は 五芒星 を描く? 天動説の複雑さに秘められた幾何学的秩序 --- 『ダビンチ・コード』
観測手法と望遠鏡の 仕様について 矢野太平(理研) ●大角度はなれた同時サーベイについて ●サーベイ方法について ●観測精度について
赤外線で見通す銀河系               ー木も森も見たいー 長田哲也 (宇宙物理学教室) 夜空.
TMT可視分光観測のサイエンス <太陽系外惑星の光と影の観測>
星の測り方 ~「星を測る」とは?~ 天文普及ボランティア 浅井 直樹 近代天文学において、星を測ることにどんな意義があったのか。
自己紹介 山﨑 孝治(やまざき こうじ) Koji Yamazaki
国立天文台 定例観望会 2007年4月13日(金) 担当 高梨 直紘
国立天文台 太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲保
木火土金水(もく・か・ど・ごん[きん]・すい)の五惑星のうち3つが同時に見えます
宇 宙 宇宙観の変遷.
第5章 運動を解明した人々: コペルニクス・ケプラー・ガリレオ
基礎地学II 宇宙論(2/3) ー自然哲学から自然科学へー
人類を変えた望遠鏡.
宇宙を感じる.
小惑星を探れ! 村仲 渉 (木曽高校)  杉本 寛 (上宮高校)  佐藤 駿 (オイスカ高校)  鈴木 寿弥 (磐田南高校) 池内 苑子 (大宮高校)  吉川 優衣 (広島国泰寺高校)  斎藤 杏奈 (洗足学園高校)  §1.はじめに ②太陽から小惑星までの距離 小惑星の軌道は円と仮定する。小惑星の軌道半径をaA、周期をTA、地球の軌道半径をaE、周期をTEとすると、時間tでの小惑星の移動距離dA、地球の移動距離dEは、
科学概論 2004年12月2日
重力レンズ効果を想定した回転する ブラックホールの周りの粒子の軌道
謎の惑星スーパーアースを探れ! 国立天文台・成田憲保.
天体の諸階層1 太陽系 Solar system.
ティコ第2星表を用いた限界等級の測定 目的 内容 宇宙粒子研究室 竹川涼太
トランジット法による低温度星まわりの地球型惑星探索と大気調査
北海道大学・環境科学院 藤原正智 地球惑星科学II 宇宙論(2/4) 北海道大学・環境科学院 藤原正智
Basic Calculus Ptolemy and the Dynamics of the Universe [1]
Basic Calculus Ptolemy and the Dynamics of the Universe [2]
みさと8m電波望遠鏡の 性能評価 富田ゼミ 宮﨑 恵.
科学の技法 science is the theory, not the fact
暦、占星術、ギリシャ時代の宇宙観.
Basic Calculus The Greeks Measure the Universe [4]
物理学セミナー 2004 May20 林田 清 ・ 常深 博.
メディア技術と教育 メディア(media):情報媒体 情報(コンテンツ)と媒体(メディア)の分離性と依存性 人は「情報」とどのように接するか
すばる望遠鏡を用いた 太陽系外惑星系の観測的研究
第5章 運動を解明した人々: コペルニクス・ケプラー・ガリレオ
国立天文台 光赤外研究部 太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲保
世界天文年2009事業企画書 自然科学研究機構 国立天文台
天体からのcoherent emissionの実例
宇宙観の変遷 膨張する宇宙 超新星と観測的宇宙論 天文学入門講座 「宇宙論入門」 2005年5月7日
太陽系外惑星の トランジット観測 和歌山大学  教育学部  自然環境教育課程   地球環境プログラム  天文学ゼミ   玉置 順大.
系外惑星系TrES-1におけるRossiter効果の検出可能性と その観測意義
1.天体の見かけの動き どの星が近くて、どの星が遠いかわかりますか?.
物理学Ⅰ - 第 8 回 - アナウンス 中間試験 次回講義(XX/XX)終了前30分間 第7回講義(運動量)までの内容 期末試験
オリオン座流星群の ダストトレールはもっと古い
運動の規則性と不規則性 科学的認識の芽生えと発展 2012/8/4 京都教育大学 オープンキャンパス.
大離心率トランジット惑星HD17156bの ロシター効果の観測結果
天体の諸階層1 太陽系 Solar system.
ANIRによるM型星まわりの トランジット地球型惑星の観測 国立天文台 成田憲保.
重力レンズ効果による画像の変形と明るさの変化
東邦大学理学部物理学科 宇宙・素粒子教室 上村 洸太
天文学でよく使う単位 天文単位 AU 地球太陽間の距離 1.5x1011m 光年 光が1年に進む距離 9.46x1015m パーセク
小型JASMINE計画の状況       矢野太平(国立天文台)       丹羽佳人(京大).
銀河 galaxy 現在までの認識.
火星探検と太陽系のなりたち 標準一枚40秒.
Copernican Revolution
国立天文台 太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲保
惑星と太陽風 の相互作用 惑星物理学研究室 4年 深田 佳成 The Interaction of The Solar
すばる/HDSによる系外惑星HD209458bの精密分光観測
. . 5月21日朝は 金環日食を楽しもう 6月6日の 金星の太陽面通過 (約6.5時間続きます) 日食や、金星の太陽面通過を観察するには
トランジット惑星系におけるRossiter効果 I. HD209458での観測結果
ガリレオ Turning Point of Modern Science.
(FMOS戦略枠観測で余ったファイバーによる) M型星まわりのトランジット地球型惑星探し
科学概論 2005年1月27日
Presentation transcript:

天動説と地動説 2008.11

古代の世界観

星の運行 夜、空には星が光り輝く。 ①地球からみると、星は一定の速度で 周期的に回転するように見える。   周期的に回転するように見える。 ②それらの星とは異なる動きをする星がある 太陽・月 …圧倒的に、大きく、明るい。 水星・金星・火星・木星・土星 ・回転はするが、一定の速度ではない。 ・時に、回転の方向と逆向きに動くように       見える。 惑星 世界がどうなっていれば、星はまわって見えるのか

初期天動説の提唱 ・プトレマイオス (83~168) 功績: ・恒星や惑星、太陽を基に世界(宇宙)を構築した。 この世界観は、キリスト教感に合致しており、幅広く受け入れられた。

15世紀のヨーロッパ 正確な星の運行を知ることが重要となってくる。 ・大航海時代の到来 占星術・暦の作成・航海術…etc ・神聖ローマ帝国による統治 正確な星の運行を知ることが重要となってくる。 地動説の修正と起動・運行予測 火星の運動 モデルの複雑化、現実との不一致

近代地動説の提唱 コペルニクス (1473~1543) 功績: 太陽中心モデルを提唱。周転円を減らすことを可能に。(1510年 『コメンタリオルス』 ) 会合周期を利用した、惑星の公転周期の計算法を確立。(1543年 『天球の回転について』 ) ・地球を飛ぶ鳥はなぜ取り残されないか。 ・地球を動かしているもの、とは何なのか。 ・月の特異な軌道      ・現実との不一致 コペルニクス・モデルの弱点

惑星の公転周期計算(外惑星) = 687日 会合(地球-太陽-惑星が並ぶ)の周期 S 地球の公転周期 E 関係式 惑星の公転周期:P 再会合までに地球は惑星より1周多く回りました 地球-火星の会合周期  S=777日 地球の公転周期      E=365日 火星の公転周期 = 687日

論争の時代 (16C半ば) 三人の巨人 真実は、ひとつ。天動説と地動説、どちらが正しいのか。 ティコ・ブラーエ ヨハネス・ケプラー ガリレオ・ガリレイ (1546-1601) (1571-1630) (1564-1642) 占星術・天文 物理学

ティコ・ブラーエ 地球を中心に置き、その周りをその他の惑星を引き連れた太陽が回るモデルを提唱 皇帝の援助を受け、天文台『天の城』を建設 多くの弟子とともに天体観察を行う。 功績:天文学には継続的かつ正確なデータの蓄積が必要であることへの気づき     当時最高性能の設備と技術で、誤差1/60度の肉眼での観測としては驚異的な精度のデータを残す    恒星の年周視差(→図)が見られないことから、 地球を中心に置き、その周りをその他の惑星を引き連れた太陽が回るモデルを提唱

ヨハネス・ケプラー 誤り ケプラーの人生は書によって大きく異なる。 ケプラーの研究は、各惑星の軌道の精密決定に進む。 一説には、未熟児で生まれ、生まれつき目がよくなかったという。 また、自らの名をKepler Keppler等5通りに綴っている。変わり者。貧乏。 ケプラーの信念:  宇宙には、何らかの調和がある。 土星          正 6面体 木星          正 4面体 火星          正20面体 地球          正12面体 金星          正 8面体 誤り 『宇宙の神秘』 1596年 ケプラーの研究は、各惑星の軌道の精密決定に進む。

ケプラーが用いた軌道決定方法 687日毎に地球からみた 太陽と火星の位置を測定する。 太陽の位置 火星の位置 やぎ- みずがめ てんびん さそり おとめ- おうし しし かに しし-おとめ

ケプラーが用いた軌道決定方法 地球-太陽-火星が近点で一直線に並んだ時(衝)から、687日後(火星が元の位置に戻ると考えられるとき)に再度火星がどの方向に見えるかを記録する。 もっと正確に 軌道を求めたい。 →ティコブラーエに接近を試みる。

論争の時代 (16C半ば) 三人の巨人 真実は、ひとつ。天動説と地動説、どちらが正しいのか。 ティコ・ブラーエ ヨハネス・ケプラー ガリレオ・ガリレイ (1546-1601) (1571-1630) (1564-1642) 占星術・天文学 物理学

『彼は無類の金持ちだが、富の使い方を知らない。 その富は無理にでも奪い取らねばならない』 接近 ヨハネス・ケプラー ティコ・ブラーエ 35年分の当時最高精度のデータを持つ 惑星軌道の正確な決定を目指す 自説の証明を目指す 数学的才能を持つ 『彼は無類の金持ちだが、富の使い方を知らない。              その富は無理にでも奪い取らねばならない』 1600年1月1日、ケプラーはティコに弟子入りする。

ケプラーとティコ・ブラーエ 1601年10月、ティコ・ブラーエ 死去 ケプラーはティコの後継者となり、 『帝国数学官』となる。 『ティコは彼の経験の分配に預かる機会を、少しも与えてくれません。  用事の折、ほんのついでという風にしゃべるだけです。』 ティコはケプラーになかなかデータを見せなかった。 二人は対立と中途半端な和解を繰り返す。 1601年10月、ティコ・ブラーエ 死去 死体からは水銀が検出されたという。 ケプラーはティコの後継者となり、              『帝国数学官』となる。

惑星軌道の決定 楕円 ・惑星は、一定の速さで公転していない。 ・円軌道の中心と太陽の位置は異なっている。 再度軌道を計算 ティコのデータに基づいて軌道を決定しようとするケプラー なかなかうまくいかない。→ これまでの「当たり前」を疑う ・惑星は、一定の速さで公転していない。 ・円軌道の中心と太陽の位置は異なっている。 太陽の近くでは速く、遠くでは遅く軌道上を周回している。 再度軌道を計算 僅かな(8/60度)ズレ 棄却 ・惑星の軌道は円軌道ではない。 さまざまな軌道を当てはめる。 楕円

近代地動説の提唱 コペルニクス (1473~1543) 功績: 太陽中心モデルを提唱。周転円を減らすことを可能に。(1510年 『コメンタリオルス』 ) 会合周期を利用した、惑星の公転周期の計算法を確立。(1543年 『天球の回転について』 ) ・地球を飛ぶ鳥はなぜ取り残されないか。 ・地球を動かしているもの、とは何なのか。 ・月の特異な軌道      ・現実との不一致 コペルニクス・モデルの弱点

ケプラーとガリレオ ティコブラーエ死去。後継者に。 1601 発明した望遠鏡により、 木星に4つの衛星を発見 『星界の報告』 木星に4つの衛星を発見 『星界の報告』 ケプラーの第1法則        第2法則発表『新天文学』 1609 「月」が例外ではない(地動説の裏づけ) 地球・火星・木星の衛星の数が 等比数列となっていると予想 太陽の黒点を発見          『太陽黒点についての手紙』 1612 太陽の自転も観測 木星の4つの衛星について、  第1法則と第2法則を確認。 ・地動説を唱えないよう注意を受ける。 1618- 1619 楕円軌道に関しては、 一貫して否定的見解を持つ。

世界の調和への到達 惑星の周期と軌道半径に関する「調和」の発見

ケプラーとガリレオ ケプラーの第3法則を発表 『世界の調和』 1619 『ルドルフ星表』 完成 惑星と1005個の恒星を収める。 1625             『世界の調和』 1619 A:地動説を信じる(ガリレオの代弁者) B:天動説を信じる C:専門家ではないが柔軟な考えを持つ  の三名の対話形式で持論を展開 『ルドルフ星表』 完成 惑星と1005個の恒星を収める。 1625 1630 永眠。 『天文対話』完成、刊行(2月)         発売禁止 (8月) 1632 1633 「ガリレオ裁判」にて有罪判決を受ける 1638 失明。『新科学対話』発表。 1642 トリチェリらに看取られ、死去。 アイザック・ニュートン誕生