犯罪予防 2011/05/09 高橋担当
日本における指紋登録の現状 ・かつては外国人登録の際に指紋の押捺・提出が義務付けられていた が、人権侵害に当たるという反発があったため、徐々に緩和されて ゆき1999年には全ての外国人に対して撤廃された。 ・アメリカ同時多発テロを受けて2007年からは入国する外国人に対し 再び指紋採取、顔写真撮影などが義務化された。 ・日本人や永住外国人で指紋登録をされるのは原則犯罪者のみ。 ・人権団体からの反発は根強い。
指紋登録に関する諸外国の動向 ・アメリカでは同時多発テロ以降、テロ対策が進められ日本と同様 に外国人に対し指紋採取、顔写真撮影などを義務付けた。これに 対する反発も多く、例えばブラジル政府はアメリカ人観光客のみ を対象に指紋登録を義務化するなど、外交問題に発展するものも あった。 ・韓国では北朝鮮の諜報部員対策で外国人に対し指紋登録を義務化 していたが、人権侵害の恐れがあるとして2004年に一時撤廃され た。しかし同様にテロ対策の必要から2012年に指紋採取、顔写真 撮影などが義務化される予定。ただし韓国は全国民も指紋採取が 義務化される。 ・なおアメリカが義務化した時点では外国人の指紋採取を義務化し ている国は皆無だったが、テロの危険が高まる中、近年は増加傾 向である。EUは域外からの入国者に対し2015年からの義務化を決 めている。
主な批判の内容 ・人権侵害にあたる 調べた範囲ではどこがどう人権を侵害しているのかには触れ 調べた範囲ではどこがどう人権を侵害しているのかには触れ られていなかった。ただ侵害していると主張する団体は多く プライバシーの侵害とかのたまっている。 ・差別にあたる 自国民を指紋採取の義務化の対象にしているのは韓国のみ。 日本を含む多くの国では外国人のみが対象であり、また大使 などの国賓は対象外とされていることも反発を生んでいる。 犯罪者と外国人で括られることを嫌う人もいる。 ・韓国での問題 指紋登録を拒否する国民もいる。韓国では指紋登録をしない 国民には投票権が与えられない。国に管理されているという 漠然とした不快感があるらしい。
反論 ・プライバシーの侵害? ヒトゲノムの解析ではよくその手の議論があるがそれに 乗っかっただけに思える。指紋からはなんの個人情報も ヒトゲノムの解析ではよくその手の議論があるがそれに 乗っかっただけに思える。指紋からはなんの個人情報も 読み取れない。鍵などに指紋認証を使う場合もあるが、 データだけあっても再現なんかできないし、指紋の採取 自体その人の触れたものならなんでもできるから気にし ても仕方がない。 ・外国人差別? もともとテロ対策を目的としているのだから自国民への 義務化は必要がない。ロシアとか中国は意味がありそう だけれど。ただそれは本来的な意味に過ぎず、登録した 以上は一般犯罪においても照合されるためその点におい ては差別があると言える。ただそれにより容疑者から外 れることもあり犯罪者以外にはむしろメリットになる。 あくまで自国籍の犯罪者と外国人犯罪者の差別である。
反論2 ・国賓は対象外 入国する外国人は自分の意志で来るのに対し、国賓は国 が招いているのでテロ対策、もしくは防犯目的での指紋 入国する外国人は自分の意志で来るのに対し、国賓は国 が招いているのでテロ対策、もしくは防犯目的での指紋 採取の対象には不適であること(危険人物を国が招くこ とはない)、また当然行動は国によりある程度把握され るために不要である。指紋と顔写真よりよほど身元が割 れている。 ・国民管理への嫌悪感 指紋からは何も読み取れないし、登録したところで照合 以外に使い道もないので根拠が薄い。戸籍登録も嫌なん だろうか。住所と名前を登録するなんてまさに国民管理 だと思うけれど。投票権と結びつけるのは効果的ではあ るが、制限選挙にあたると思われるので民主制を採用し ているなら確かに問題がある。
指紋登録のメリット ・過去に国内で犯罪歴のある入国を未然に防げる 例えば日本で指紋採取をしていなかった時期は名前による 例えば日本で指紋採取をしていなかった時期は名前による チェックのみであり、旅券を偽造するまでもなく改名すれ ば合法的な手段で入国ができた。改名が珍しくない国も多 い。なお指紋採取が復活した際、初日に5人の不法滞在歴 のある外国人が入国を拒否されている。 ・犯罪捜査に有効 事件現場に指紋が残っていてもある程度犯人に目星がつい ていないとあまり意味がないが、全国民登録していれば検 索するだけですぐ逮捕。指紋の誤認率は10万分の1ほどで ありかなり正確。他人の指紋を移植しても自分の指紋に変 わるらしい。 ・遺体の身元確認 地震があったので重要性はわかりやすい。持ち物が無けれ ば身内に確認してもらうしかないが地震のように一度に行 方不明者が大量にでると誰が身内かもわからない。指紋は そうそう無くなることはない。
政策として 指紋採取にどれだけの費用がかかるのかは調べられなかった。探偵会社は10万で依頼を受けるらしいが。 ただ一度登録してしまえばあとは産まれてくる人だけ でよいので長期的に見れば出費は小さく、捜査費用も 抑えられ経済的。 義務教育期間であることと年齢を考慮すると中学校で 採取するのがいいか。上の世代はどこかで一時的に増 税して登録と引き替えに1万円プレゼントが効率がよ さそう。登録しなかったら自宅に来られたあげく1万 もらえないとか。それも拒否なら逮捕で。 対象は領域内の全ての人間。国賓は除く。あくまで実用性を考慮しているのであり、差別解消が目的ではない。 指紋を変える技術が生まれそれを利用し犯罪をした人間 には公務妨害とか上乗せで重罰にしたあげくGPSでも埋め込む。
監視カメラの現在の普及具合 ・イギリスが圧倒的に多く420万台 イギリスを除く西ヨーロッパが合計650万台 アジア諸国が合計300万台 イギリスを除く西ヨーロッパが合計650万台 アジア諸国が合計300万台 その他の地域で合計200万台 ・日本では警視庁により防犯を目的として繁華街、街頭、 街路周辺に設置されている。鉄道も鉄道各社の判断で、 テロ対策や各駅の状況を確認するために設置している。 ・イギリスでは1993年のバルガー事件という少年が幼児を 殴って蹴って線路において轢殺した事件において踏切の 監視カメラの映像で解決に至ったことを受け一気に監視 カメラ設置の世論が高まった。
監視カメラの効果 ・2005年のロンドン同時多発テロで監視カメラの映像が決め 手となり短期間で実行犯全員が特定された。日本でもマン 手となり短期間で実行犯全員が特定された。日本でもマン ション等の監視カメラが犯人特定に役立った例は多くある。 ・防犯効果はあまり期待できない。そもそも監視カメラがある 場所で犯罪が起こるから特定に役立つわけだし、気づかな かった場合もあるだろうがそれも同様に効果がない。イギリ スの内務省の調査でも街灯の方がよほど効果があるという 結果がでている。犯罪の抑止を狙う場合は露骨に設置する 必要があるがそうすると証拠の記録という目的が果たせな い。ただ地域によっては高い防犯効果がでているところもあ り一概に判断はできない。
プライバシーについて ・監視員がつかない場合でも映像として残る。 ・カメラが設置されるのは当然公共の場であり、プライバシー が制約を受けるのは当然だが、実際には人が見てなけれ ば許される行為もあり、人目がないところに人目を作り出す のは息苦しいかもしれない。 ・日本での世論調査で監視カメラの効果は若干のプライバ シーの侵害を上回ると答えた人が9割だったという結果も ある。イギリスでも同様の世論が支配的。 ・日本では明確な設置基準や運用に関する規定がない。 ・イギリスでは1人平均1日に300回カメラに写っている。
その他に考えられる問題 ・費用 監視カメラは普通に購入すると1台100万円ほど。治安のいい 日本でそれほどの額を使うのは効果に見合うか。 監視カメラは普通に購入すると1台100万円ほど。治安のいい 日本でそれほどの額を使うのは効果に見合うか。 ・悪用 自治体や政府がただちに悪用するとは考えにくいが、独裁政 権誕生の素地になりうる可能性は大きい。また外部から乗っ 取られたり情報が流出した際のリスクがかなり大きい。行政単 位での管理だと規模も大きくなる。 ・規定 例えばプライバシーを考慮して監視員は常駐させず、犯罪が 発生した場合のみ録画をみると決めたところで、それが遵守 されているかは確かめにくく、また当然撮影される側も知る由 がない。規定が機能するか疑問が残る。
政策として 現時点では大規模な監視カメラの設置はデメリットの方が 大きいように思われる。ただもちろん犯罪多発地域での設置は費用対効果が大きくまた人通りが多いところではもともと人目が多いためプライバシーの問題もだいぶ緩和されるように思う。これは従来通りの方針。 またマンション単位など、該当する人の同意を得られる場合の設置は推進されるべきで、監視カメラの設置に補助金を出すのは、一元管理の危険も回避されるため有効だと考えられる。