5 時 限 目 第2章 機械・電気・計装設備の役割と維持管理 2.3  電気設備の役割と維持管理 2.3.1 受電・変電・配電設備 2.3.2 運転操作設備 2.3.3 無停電電源装置 2.3.4 発電設備 2.4  計装設備の役割と維持管理 2.4.1 計装設備 2.4.2 監視制御設備.

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5 時 限 目 第2章 機械・電気・計装設備の役割と維持管理 2.3  電気設備の役割と維持管理 2.3.1 受電・変電・配電設備 2.3.2 運転操作設備 2.3.3 無停電電源装置 2.3.4 発電設備 2.4  計装設備の役割と維持管理 2.4.1 計装設備 2.4.2 監視制御設備 4時限目は,以下のようなカリキュラムで行います。 第2章 機械・電気・計装設備の役割と維持管理 2.3 電気設備の役割と維持管理 2.3.1 受電・変電・配電設備 2.3.2 運転操作設備 2.3.3 無停電電源装置 2.3.4 発電設備 2.4 計装設備の役割と維持管理 2.4.1 計装設備 2.4.2 監視制御設備

2.3 電気設備の役割と維持管理 2.3.1 受電・変電・配電設備 受電 変電 配電 電 気 2.3 電気設備の役割と維持管理 2.3.1 受電・変電・配電設備 ポンプ・バルブ等水道設備  ⇒ 電気をエネルギー源として動作 電  気 電力会社から購入 受電 使用機器の定格電圧に変換 変電 本章では、水道施設で使用されている電気設備の役割と維持管理について説明します。 まず最初に、受電、変電、配電設備について説明します。 浄水場やポンプ場などの水道施設で使用されているポンプやバルブなどの設備は、電気をエネルギー源としているものがほとんどです。電気は、太陽光発電や水力発電などにより自ら発電している場合を除き、通常は電力会社から購入することとなります。購入した電気は、電圧を変換させないでそのまま各設備に供給する場合もありますが、通常は、各設備の定格電圧に変換させる必要があります。変換した電気を、ポンプやバルブなどの設備に供給することになります。 この電力会社から電気を購入することを受電といい、そのための設備を受電設備といいます。また、各設備の定格電圧に電気を変換することを変電といい、その設備を変電設備、各設備に供給することを配電、そのための設備を配電設備といいます。 ポンプ等の各設備に供給 配電

受 電 設 備 ①特別高圧受電(AC7,000V超)  ・特別高圧ガス絶縁開閉装置(GIS) ②高圧受電(AC600V超~7,000V以下)  ・柱上気中開閉器(PAS)  ・断路器(DS)  ・遮断器(CB) ③低圧受電(AC600V以下)  ・アンペアブレーカー 続いて、受電、変電、配電の各設備について説明します。まず受電設備です。 受電設備は、受電する電圧により、その設備内容が大きく異なります。契約電力が2,000kW以上の場合、受電は特別高圧、通称特高と呼ばれる、交流の場合7,000ボルトを超えた電圧で受電することになります。特高受電の場合、六フッ化硫黄という絶縁ガスにより絶縁を行う「特別高圧ガス絶縁開閉装置、GIS」が一般的に使用されます。 契約電力が50kW以上2,000kW未満の場合は高圧受電となり、交流での受電電圧は600ボルトを超え7,000ボルト以下となります。高圧受電の場合の受電設備としては、電力会社との責任分界点となる柱上気中開閉器、保守点検時に電路を確実に切り離すために使用される断路器、電力機器の負荷電流を開閉するための遮断器などがあります。 契約電力50kW未満は低圧受電となり、交流では600ボルト以下での受電となります。低圧受電の場合は、契約値を超える電流が流れた時に、自動的に回路を開放するアンペアブレーカーが設けられます。このブレーカーは、需要家の開閉器盤内部に納められますが、電力会社の所有物となっています。

変 電 設 備 ①ガス絶縁変圧器  ガス(ex.SF6)による絶縁  消火設備が不要 ②モールド(乾式)変圧器  油を使用しないため、消火設備が不要  小型、軽量 ③油入変圧器  絶縁油による絶縁  絶縁性能は高いが火災の危険性有 次に変電設備について説明します。 変電設備としては変圧器が使用されますが、変圧器は大きく分けると、ガス絶縁変圧器、モールド変圧器、油入変圧器の3種類があります。 ガス絶縁変圧器とは、六フッ化硫黄ガスのような絶縁性の高いガスにより絶縁を行うものですが、六フッ化硫黄ガスは不燃物であるため、消火設備の設置が不要であるなどの特徴があります。 モールド変圧器は、乾式変圧器とも呼ばれており、絶縁油を使用しない変圧器です。油を使わないため、ガス絶縁変圧器同様、消火設備が不要です。また、絶縁油のための設備が不要なため、設備の小型・軽量化が可能となります。 油入変圧器とは絶縁油を使用した変圧器で、油を使っているため消火設備が必要となる場合があります。

配 電 設 備 ①高圧配電設備 断路器、遮断器、変圧器、高圧電磁接触器、計器類等が一つの箱内に収納されたキュービクル式が主 ②低圧配電設備 配 電 設 備 ①高圧配電設備  断路器、遮断器、変圧器、高圧電磁接触器、計器類等が一つの箱内に収納されたキュービクル式が主 ②低圧配電設備  高圧配電設備同様、キュービクル式が主  キュービクル内部には、配線用遮断器、漏電遮断器、電磁開閉器等を収納 続いて配電設備です。 水道設備には、高圧で駆動する設備と低圧で駆動する設備がありますが、いずれもキュービクル式と呼ばれる配電設備が主になっています。キュービクル式とは、金属製の箱の中に配電設備を収納したものであり、充電部が閉鎖されているため感電の危険性が少ないことや、省スペース化を図れるなどの利点があります。 高圧キュービクルの中には、高圧ポンプの始動・停止などに用いる高圧電磁接触器や計器類が収納されているほか、断路器や遮断器などの高圧受電設備、変圧設備の高圧変圧器が収められています。 また、低圧キュービクルの中には、配線用遮断器や漏電遮断器、電磁開閉器等が収納されており、バルブやポンプなどの電動機の始動・停止などを行っています。

共 通 設 備 ①管理設備 状態監視のための電気計器・表示装置 ②接地設備 機器及び人身事故の防止 ③保護継電器設備 共 通 設 備 ①管理設備  状態監視のための電気計器・表示装置 ②接地設備  機器及び人身事故の防止 ③保護継電器設備 次に、共通設備について説明します。 主な共通設備として、①管理設備、②接地設備、③保護継電器設備があります。 管理設備とは、指示計などの電気計器や表示装置のことを言い、設備の運転状態を監視するための基本となるものです。 接地設備とは、金属のキュービクルなどを大地と接続し対地電圧の上昇を抑制することにより、感電事故や機器の誤動作を防止するためのものです。保護継電器設備とは、短絡電流などの異常電流や雷サージなどの異常電圧から設備機器を保護するとともに、電気事故発生時に他需要家への波及を防止するために設けられます。保護継電器には、過電流継電器、過電圧継電器、地絡継電器など様々なものがありますが、これらの継電器により遮断器を開放させます。保護装置は電力会社の変電所にも設置されていますが、波及事故防止のため、変電所の遮断器よりも受電用主遮断器を早く動作するように保護継電器を整定する必要があります。このように保護継電器の整定することを「保護協調をとる」と言います。  異常電流や異常電圧から設備を保護し、電気事故発生時に他への波及を防止

2.3 電気設備の役割と維持管理 2.3.2 運転操作設備 水道設備を操作及び制御するための設備 2.3 電気設備の役割と維持管理 2.3.2 運転操作設備 水道設備を操作及び制御するための設備 ◎バルブの開閉 ◎ポンプの運転・停止 ◎浄水処理量に応じて、薬品注入量を変更したり、ろ過速度の設定 続いて、「2.3.2 運転操作設備」について説明します。 ここで言う運転操作設備とは、水道設備を操作したり制御するための設備のことです。 具体的には、バルブの開閉やポンプの運転・停止などの操作や、浄水処理量に応じて薬品注入量を変更したりろ過速度を設定するような自動制御を行うための設備です。

代表的な運転操作設備① (1) 動力制御盤  動力負荷を運転させるための制御機器等を内蔵した盤。制御対象の機器の近くに設置されることが多く、自立型・スタンド型・壁掛型がある (2) プログラマブルロジックコントローラ(PLC)  ソフトウェアによりシーケンス制御を行う装置 では、代表的な運転操作設備について説明します。 最初は、動力制御盤です。動力制御盤とはポンプの制御や換気ファンの運転停止などに使われる盤で、機器の近くに設置されることが多く、自立型、スタンド型、壁掛型があります。盤面には操作スイッチや表示器、指示計などの計器類が取り付けられ、内部には配線用遮断器や電磁リレーなどが組み込まれます。 次にプログラマブルロジックコントローラですが、通常PLCと呼ばれます。これは、電磁リレーやタイマーなど使用する代わりにソフトウェアによりシーケンス制御を行うものです。 シーケンス制御とは、あらかじめ定められた順序または手続きに従って制御の各段階を逐次進めていく制御であり、分かりやすく言うと、動作規則をあらかじめ設定し、一度運転を開始するとその規則に従って動作をするように制御することです。  シーケンス制御:あらかじめ定められた順序または手続きに従って制御の各段階を逐次進めていく制御

例)配水池流入バルブのシーケンス制御 流入量=0 m3/h 流入量=400 m3/h(定常) 定常復帰 流入量=700 m3/h 水位 3.6m 3.0m 3.5m 3.2m 具体的に、配水池の流入バルブのシーケンス制御について例により説明します。 今、水位3mから3.6mの間で運用している配水池を想定します。この定常の状態において、流入量は時間400立方メートルであるとします。この配水池において、今水位が3.65mになったとすると、流入バルブを全閉にして水位が下がるのを待ちます。水位が3.5mまで低下した時に定常状態に復帰し、定常の流入量に戻します。 一方、水位が低下し2.9mになった時を考えます。この時は流入量が時間700立方メートルになるまで流入バルブを開けます。その状態で水位が回復するのを待ち、3.2mになった時に定常状態に復帰させます。 シーケンス制御とは、これら一連の動作をPLCなどを用いて制御することを言います。

代表的な運転操作設備② (3) プロセスコントローラ(PCS)  対象設備単位でシーケンス制御を行うための装置 (4) コントロールセンタ  配線用遮断器、保護装置、表示器などを一つにまとめたユニットを複数収納したキュービクル型制御盤 運転操作設備の説明に戻ります。 プロセスコントローラ、PCSと呼ばれる装置について説明します。これはPLCよりも複雑で数の多い機器のシーケンス制御を行う装置であり、浄水処理プロセスなど設備単位の制御に用います。 次にコントロールセンタです。これは、ポンプなどの機械類のモータ群を集中管理するための設備であり、配線用遮断器、保護装置、表示器などを一つにまとめたユニットを複数収納したキュービクル型の制御盤です。

代表的な運転操作設備③ (5) インバータ盤  電気的に直流から交流を生成する電力変換装置 (6) 現場操作盤  設備の近くに設置し、機械の状態監視、運転・停止などの操作を行う盤 (7) 補助継電器盤  シーケンス制御を行うため、リレーやタイマーなどを収納している盤 次にインバータ盤ですが、これは電気的に直流から交流を生成する電力変換装置です。制御装置と組み合わせて使用することにより、省エネ効果をもたらすこともできるため、近年利用分野が拡大しています。また、インバータとは逆に、交流から直流を生成する装置のことをコンバータ盤と言います。 続いて現場操作盤について説明します。現場操作盤は、機械に状態監視や運転・停止などの操作を行う盤であり、設備の近くに設置されます。動力制御盤と似たような設備になりますが、現場操作盤の内部には制御機器が設置されることはありません。 最後に補助継電器盤について説明します。これはシーケンス制御を行うために設けられる設備ですが、ソフトウェアにより制御を行うPLCとは異なり、リレーやタイマーなどのハードウェアを使いシーケンス制御を行います。

2.3.3 無停電電源設備 1)無停電電源設備の役割 直流電源 交流電源 12 無停電電源設備には直流電源と交流電源があります。 2.3.3 無停電電源設備 1)無停電電源設備の役割 直流電源       交流電源 無停電電源設備には直流電源と交流電源があります。 ・直流電源を使用する負荷 ①停電時でも作動しなければならないものです。 → 受配電設備の遮断器の制御電源,発電機の始動及び初期励磁電源  → 停電時に蓄電池から電源が供給できるように直流を用います。 ②その他 直流電動機を使用する電動弁です。 ・交流電源 安定した電源・信頼性を要するもの 監視制御設備,通信機器,計装設備(水位計,流量計,弁開度計,水質計器,調節計等) 12

2)無停電電源設備の構成 13 直流電源設備構成(図の青枠内) ①交流を直流に変換する整流装置。通常はこの出力を負荷に供給。また、蓄電池の充電も行います。 ②停電時に直流を供給するための蓄電池。 ③蓄電池の充電は約120Vで行われ、負荷にもこの電圧が加わると機器の焼損等を招くため、負荷電圧補償装置により、負荷の許容範囲に電圧を落とします。 無停電電源設備(図の赤枠内) ①直流電源設備の出力を交流に変換するインバータを追加したものです。 ②インバーター故障時に商用電源へ切り替えれる(バイパス運転)ようにしておく切替スイッチです。 13

(1)蓄電池 鉛畜電池 MSE形 アルカリ蓄電池 14 蓄電池 金属間の化学反応によるエネルギーを電気エネルギーとして取り出します。→放電 鉛畜電池            MSE形 アルカリ蓄電池 蓄電池  金属間の化学反応によるエネルギーを電気エネルギーとして取り出します。→放電 電気エネルギーを与え、金属を元の物質にもどします。→充電 各蓄電池の特徴 ・鉛蓄電池は安価です。 ・MSEは,補水が不要などメンテナンスフリー。近年は長寿命形の採用が多い。但し、周囲温度25℃の状況での寿命 ・アルカリ 高率放電特性良 一般にアルカリ電池は短時間に大電流を取り出せる高率放電型であり, 鉛電池は比較的小電流で長時間電力供給を必要とする負荷に適しているといわれています。 【参考】 蓄電池価格例 100AH  鉛蓄電池(HS) 54セル     1.765,800      MSE長寿命形 54セル     2,358,000 アルカリ蓄電池(AMH) 86セル  3,895,800 14

(2)整流装置 充電方式 浮動充電 均等充電 回復充電 15 [充電について]  充電方式   浮動充電  均等充電  回復充電 [充電について] 直流電源は通常、商用電源を整流(交流→直流)したものを負荷に供給しています。 蓄電池は負荷に電気を供給していなくても,自己放電により容量が減少していきます。 このため,常時,自己放電分を補うように充電する必要があります。 充電は常時、負荷に直流電源を供給しながら行われます。 ①浮動充電 常に定電圧を加え、充電しておきます。 ②均等充電 長時間使用している場合,自己放電等で生ずる充電状態のばらつきが発生しセル間の電圧や比重にバラツキが生じます。 均等充電はそれを防止し充電状態を均一にするために行う充電です。 ③回復充電 放電した蓄電池を,次回の停電に備えて容量が回復するまで充電します。 [整流装置] サイリスタ方式とスイチング素子(IGBT)方式。図はスイッチング素子を用いた方式です。 この場合、1台のユニットが故障してもこれを切り離し、他のユニットにより運転を継続できます。 15

(3)負荷電圧補償装置 負荷へ印加 ・整流装置 ・負荷電圧補償装置 蓄電池の充電 [負荷電圧補償装置] ・整流装置         ・負荷電圧補償装置 [負荷電圧補償装置] 蓄電池の充電電圧(約120V)。これが負荷にそのまま加わると機器の焼損等に至ります。 よって、負荷に加わる電圧を許容範囲内(100V±10V程度)に落とします。 そのため、シリコンダイオード(SD1,SD2)の電圧降下を利用します。 浮動充電(120V) MC1:ON  MC2:OFF → SD2による電圧降下 均等充電(124V) MC1:OFF  MC2:OFF → SD1,SD2による電圧降下 蓄電池の充電

(4)インバータ 17 インバータ 青色部分の直流を交流に変換する装置は, 交流→直流(順変換:コンバータ) 直流→交流(逆変換:インバータ) CVCF(Constant Voltage Constant Frequency) 定電圧定周波電源装置は, 図で言えば、蓄電池を除いた部分 UPS(Uninterruptible Power Supply) CVCFに蓄電池を付加したもの。本図になる。停電時でも電源供給できます。 VVVF(Variable Voltage Variable Frequency) CVCFとは逆に、周波数や電圧を可変し電動機の速度制御をおこなうものをVVVF)といいます。 17

2.3.4 発電設備 1)非常用発電設備 ディーゼル発電 ・ガスタービン発電 燃エネルギー → 往復運動 2.3.4 発電設備 1)非常用発電設備 ディーゼル発電     ・ガスタービン発電 燃エネルギー → 往復運動     → 回転運動     熱エネルギー → 回転運動   発電設備は、非常用発電設備と自然エネルギー利用の発電設備について説明します。 非常用発電設備には、 ①照明,計装,一部のバルブ駆動用等の保安電力を確保するための施設保安用電力 ②停電時における断・減水の影響を最小限にとどめるために,送・配水系ポンプの運転を行う施設運転用電力 があります。 発電機を駆動(回転)する方式としてディーゼルとガスタービンがあります。 ディーゼルは、空気を吸入し圧縮すると高温化し,そこへ燃料油を噴射し燃焼・膨張(爆発)させる事によりシリンダを動かし,この往復運動をクランク軸により回転運動に変えて発電機を動かしています。 ガスタービンは,圧縮機・燃焼器・タービンの3要素から構成され,圧縮機で加圧した気体を燃焼器で過熱し,発生した高温高圧のガスでタービンを回して,圧縮機の駆動と外部への有効な仕事を取り出します。 18

発電設備の構成例 19 ディーゼル発電設備の構成例を示します。 電力を発生する発電機、発電機を駆動(回転)させる原動機の他、さまざまな付帯設備が必要です。 ⑤始動装置は,車のエンジンと同じように蓄電池を用いセルモーターによりクランク軸を回転させる電気式と、空気槽に貯えておいた圧縮空気によりクランク軸を回転させる空気式があります。 ⑥冷却装置は,現在は、車と同じように冷却水を循環させるラジエーター方式が採用されます。 ⑦排気装置は,原動機の排気口,消音器,そして排気管や煙突などから構成されます。 車(電気自動車除く)と対比すると、エンジンにタイヤがついているか発電機がついているかの違いです。       19

非常用発電設備による電力供給 商用電源の供給が停止し、非常用発電設備で電力供給する場合の方式として,左の図は、母線全部に電源が供給され、各フィーダー等で負荷への供給を制限します。 図の例では、全ての負荷に電源が供給されていますが、実際は発電機の容量から負荷制限されます。 中央は、母線で非常用負荷を分割しておく方式です。非常用負荷のみ発電機から電源が供給されます。 右は、更に、フィーダーで非常用負荷を分割しておく方式です。インターロックが簡素化されます。 遮断器のインターロック 非常用発電設備では、電力会社との連系(接続)を想定していないので,非常用発電設備から電源供給中に、商用電源が復旧し両者が接続された状態にはできません。 これを避けるため、インターロック条件を設ける必要があります。 20

2)自然エネルギー利用 (1)太陽光発電設備 システム例 21 (1)太陽光発電設備 太陽光の持つエネルギーを半導体で吸収して電気的エネルギーに変えるものです。 ただし、これは直流なので、交流に変換するインバータが必要になります。 太陽光パネルの構成は、セル→モジュール→アレイとなます。 水道事業では、浄水場や配水池の上部を利用して設置できる場合があります。 システム例 左図は、余剰がある場合は、電力会社へ売電します。 右図は、発生電力を全て電力会社へ売電。施設内で使用する電力は買電です。 <参考> 太陽電池の種類は,以下のものがあります。 ①結晶系(シリコン) ②非結晶系(アモルファスシリコン) ③CIGS(銅・インジウム・ガリウム・セレンの化合物) 再生可能エネルギー固定価格買取制度についてです。 平成24年3月末の単価は,以下の通りとなっています。 太陽光  42.0円(10kW以上:20年、10kW未満:10年) 水力   35.7円(200kW未満:20年) 風力   57.75円(20kW未満:20年) 21

(2)水力発電設備 ・水車 ・設置事例 ペルトン水車 落差 発電機 22 (2)水力発電設備 既設原水弁 水 車 浄水場    貯水池 原水導水管 余剰水圧 (2)水力発電設備 水の落差により水車を回転させて,この力で発電機を回転させています。 水の位置エネルギーと運動エネルギーを電力エネルギーに変換するものです。 電気の出力は落差と水量の積によって決まるので,水の量が多いほど,流れ落ちる高さが大きいほど増えます。 数千kW程度以下の比較的小規模な発電は,小水力発電設備となります。 特に出力が小さいものを「マイクロ水力」と呼ぶ場合があります。 水道事業で設置している事例では,図の貯水池と浄水場までの導水管に存在する有効落差(余剰水圧)の利用があります。 落差 発電機 22

2.4 計装設備の役割と維持管理 2.4.1 計装設備 ・水質,水量及び水圧等の品質管理の向上 2.4 計装設備の役割と維持管理 2.4.1 計装設備 ・水質,水量及び水圧等の品質管理の向上 ・施設の稼働状況の把握並びに合理的な制御による運転の安定性及び安全性の確保 ・異常時における迅速かつ適正な対応 ・労働の軽減,安全衛生の維持などによる労働条件の向上 ・薬品,動力等の適正使用による生産性の向上 ・適切な情報管理による水道施設全体の運転管理や保守管理機能の向上 水道施設の計装設備は,水道施設を円滑に管理するためのもので,施設の運転や管理に必要な情報を迅速かつ的確に把握し,操作に反映させるための設備です。 計装は,単に施設の監視と制御のための設備としてだけでなく,情報を有効に活用するための技術も含めた広い意味のものとして定義されています。 水道施設における計装機器設置の目的は,取水,導水,浄水,送水及び配水などの各施設の計測,制御の自動化及び集中管理を行うことによって,操作の容易性,確実性及び安全性等を確保するとともに適切な情報管理を通じて水道施設全体の運転管理や設備管理を効率化することです。 計装機器は,適切に設置し,そのことによって次のような効果が期待できます。 23

水道施設の計装設備は,流量,水位,圧力,水質などの監視,浄水場等の薬品注入制御及び監視,無人施設の遠方監視制御など,水道施設全般において使用されており,高い信頼性と安定性,かつ適切な精度が求められています。 また,施設の状態把握のため計測機器,計測値を指標に置換える変換器や遠方に伝送する伝送器,信号をもとに表示等を行う指示計・表示灯,記録を残すための記録計・積算計,各計測値の上限・下限を設定する設定器,各機器に運転・停止や量の増減のための信号を送る制御設備などの機器があります。 24 24

(1)流量計測   流量は,流体が単位時間あたりに流れている体積または質量の割合を表す量で,単位時間で流れる流体の体積で示す流量を体積流量,質量で示す流量を質量流量という。 差圧流量計は,配管中に孔の開いた板(オリフィス)または途中を細く絞った短管(ベンチュリ管)を挿入するとその前後に圧力差を生じます。 この差圧は,流量の二乗に比例するので,この差圧を測定することによって流量を測定することができます。 ベンチュリ式流量計 (差圧流量計) 25

超音波流量計検出部・変換器 電磁波流量計の検出器・変換器 ウォルトマン流量計 面積式流量計 超音波流量計は,流体中を伝播する超音波の速度または周波数が流体の流速によって変化することを利用した流量計で,時間差法とドップラー法があります。 時間差法は,管路の上流と下流に送受信器を取付け,交互に超音波を発射して,それぞれの伝播時間の差から流量を測定する方法です。 ドップラー法は,流体中に発射した超音波の周波数と浮遊物により反射した周波数との間にドップラー効果による偏位を生じるので,この周波数の差を検出して流量を測定する方法です。 電磁流量計は,測定流体の流れと直角な向きに磁界を加えると,流れの向きと磁界の向きの両者に対して直角の方向に起電力を生じます。 この起電力は流量に比例するので,この起電力を検出して流量を測定します。 面積流量計は,鉛直なテーパー管内に自由に上下するフロートを設け,下方から上方へ流体を導き入れるとフロートの位置が流量と一定の関係にあることを利用して流量を求めるものです。 ウォルトマン流量計は,羽根車式流量計のひとつで,流れの中に置かれた羽根車の回転数が流速に比例することを利用したもので,羽根車の形状によってプロペラ型,タービン型などがあります。 ウォルトマン流量計  面積式流量計 26

(2)圧力計測  圧力計は,圧力を液柱などの変化量で直接読みとるものや圧力を機械的な変位に変え指針を振らすなどして測定するもの,機械的変位を電気信号に変えて指示計で読みとるものなどがある。 圧力計は,圧力を液柱などの変化量で直接読みとるものや圧力を機械的な変位に換え指針を振らすなどして測定するもの,機械的変位を電気信号に変えて指示計で読みとるものなど,測定方式によりブルドン管式,ベローズ式,ダイヤフラム式,静電容量式,半導体式などがあります。 27

(3)水位・液位計測 液面や粉体面を直接検出する直接法と、液位等と直接関係する他の量を測定してレベルに変換する間接法がある。 (3)水位・液位計測  液面や粉体面を直接検出する直接法と、液位等と直接関係する他の量を測定してレベルに変換する間接法がある。 水位、液位計は,大別して液面または粉体面の位置を直接検出する方法と変位と直接関係する他の量を測定し,それからレベルを推定する2つの方法があります。 前者は,直接法,後者を間接法といいます。 水道施設上では,池や槽に貯まっている水や薬液等の液面の高さを把握するために用いられ,測定方法により投込み式,圧力式,フロート式,超音波式,静電容量式などがあります。 フロート式水位計  超音波水位計 投げ込み式水位計 28

(4)重量計測 粉体や粒体の重量を測る方式に用いられており,ホッパーやタンクなど容器の中に入っている測定対象物の重量を測定するものである。 (4)重量計測  粉体や粒体の重量を測る方式に用いられており,ホッパーやタンクなど容器の中に入っている測定対象物の重量を測定するものである。 粉体や粒体の重量を測る方式に用いられており,ホッパーやタンクなど容器の中に入っている測定対象物の重量を測定するものです。 測定方式は,半導体式,静電容量式などがあります。 重量計 (ロードセル) 29

(5)温度計測 温度計は,大別して熱電対温度計と抵抗温度計があり,水道施設では,原水・配水温度や室温,気温などの測定に使用されている。 (5)温度計測  温度計は,大別して熱電対温度計と抵抗温度計があり,水道施設では,原水・配水温度や室温,気温などの測定に使用されている。 温度計は,大別して熱電対温度計と抵抗温度計があり,水道施設では,原水・配水温度や室温,気温などの測定に使用されている。測定方式は,測温抵抗式,熱電対式,圧力式などがあります。  熱 電 対 式 30

(6)水質計測 水質計器は,濁度,pH,アルカリ度,残留塩素,電気伝導率,その他の水質測定を行う計器を総称したものである。  水質計器の配置状況 31

ア)濁度計  濁度計は,水の濁りの指標である濁度を測定する計器である。原水の監視,浄水場や浄水の処理過程で濁度の測定管理は重要な項目の一つである。 濁度計は,水の濁りの指標である濁度を測定する計器です。 原水の監視,浄水場や浄水の処理過程で濁度の測定管理は重要な項目の一つです。 測定方式は,主に透過光・散乱光比較方式と表面散乱光方式があり,測定対象は原水,沈澱水,ろ過水,浄水などです。 高感度透過光・散乱光比較方式濁度計 32

イ)pH計 pHは,水の酸性,アルカリ性を表す指標である。 ウ)アルカリ度計  アルカリ度は,水中のアルカリ分を炭酸カルシウム換算した指標である。 pHは,水の酸性,アルカリ性を表す指標であり,凝集効果や配管の腐食に影響するばかりでなく,pHの異常な降下,あるいは上昇により,原水,浄水への異物混入などを検知できることもあります。測定方式は,ガラス電極方式が主で,測定対象は,原水,沈澱水,ろ過水,浄水などです。 アルカリ度は,水中のアルカリ分を炭酸カルシウム換算した指標で,主な用途して凝集沈澱過程において,良質のフロックを生成させるためには水中に適度なアルカリ分が必要であるため使用されています。 測定対象は,原水などです。  アルカリ度計 33

エ)残留塩素計 残留塩素は,殺菌効果をみる指標として使用され,塩素処理後のろ過水,浄水に対して測定される。 エ)残留塩素計  残留塩素は,殺菌効果をみる指標として使用され,塩素処理後のろ過水,浄水に対して測定される。 残留塩素は,殺菌効果をみる指標として使用され,塩素処理後のろ過水,浄水に対して測定されます。 水中に溶存する残留塩素は,遊離有効塩素と結合形有効塩素に区別されます。 前者は,塩素(Cl2),次亜塩素酸(KClO),次亜塩素酸イオン(ClO-)で,後者は,クロラミンと呼ばれる窒素と塩素の化合物です。 無試薬式遊離残留塩素計 有試薬残留塩素計 34

オ)電気伝導率計 電気伝導率は,比抵抗(Ω・cm)の逆数で電気伝導率計は水中に溶存する電解質の総量を測定するものである。 測定方式は,交流電圧を2つの電極に印加し,電気抵抗によって生じる電圧の変化から測定する方法です。 測定対象は,原水,配水管内の水道水などです。 セ ン サ 変 換 器 35

イ)指示調節計 ロ)ワンループコントローラ(マルチループコントローラ)  調節機器は,水量,水位,圧力,水質などの計測信号と設定値を演算部によって比較してその偏差を検出し,この偏差がゼロとなるよう操作部に操作信号を出力するものである。 ・指示調節計は、目標値と連続入力信号を比較して,その偏差がゼロになるように連続的に調節演算部より操作信号を操作部へ出力する調節計機能と,設定値や出力信号の指針形指示計と一体となった計器です。 単純な制御機能しか備えていないものから,PID制御シーケンス制御や上位システムとのネットワーク機能を備え, ワンループコントローラに近い高性能のものがあります。 ・ワンループコントローラは、マイクロプロセッサを内蔵した1ループ制御機能を持たせたデジタルコントローラです。 内部のソフトウェアにより、制御演算機能が実現できるため、PID制御の他、高度で複雑なシーケンス制御を行うことができます。 ワンループ マルチコントローラ 指示調節計 36

6)信号変換用機器  水道施設の監視・制御及び情報処理を行うには,各種の機器間で様々な信号の送受信が行われている。これらの信号は,使用目的に合った信号に変換する必要がある。 信号変換用機器の種類には,種々の形式のものがあるが,水道施設で多く使われている変換用機器としては,プロセス信号変換器,直線化変換器,絶縁変換器,ディストリビュータ,交流電圧変換器などがあります。 信号変換器 各種変換器 37

7)水道の制御 流量制御  必要とする需要量を確保するための取水流量制御,ろ過流量制御,送水流量制御,送水圧力制御などがある 薬品注入制御  水質基準を満足する処理水を確保するための凝集剤,アルカリ剤,消毒剤などの薬品注入制御がある。 水道で用いられる制御の主なものは、必要とする需要量を確保するための取水流量制御,ろ過流量制御,送水流量制御,送水圧力制御などがあります。 また、水処理過程における計装制御は,水質基準を満足する処理水を確保するため,凝集剤,アルカリ剤,消毒剤などの薬品注入制御が主体となっています。 38

1)流量制御 水道施設で行われる流量制御には,取水流量制御,着水流量制御などがある。 1)流量制御  水道施設で行われる流量制御には,取水流量制御,着水流量制御などがある。 水道施設で行われる流量制御は,取水流量制御,着水流量制御などを行っています。 流量制御 39

(2)薬品注入制御 浄水場で行われる薬品注入は,注入方法として,調節弁による方法と定量ポンプを用いたポンプ注入方法に大別される。 (2)薬品注入制御  浄水場で行われる薬品注入は,注入方法として,調節弁による方法と定量ポンプを用いたポンプ注入方法に大別される。 浄水場で行われる薬品注入は,注入方法としては,調節弁よる方法と定量ポンプを用いたポンプ注入方法に大別されています。  調節弁又は定量ポンプの注入制御 40

8)制御目標値の定め方 カスケード制御 比率制御 自動制御において、制御目標値の定め方として比率制御方式とカスケード方式があります。 比率制御とは,制御量が他の量と常に一定比率となる制御です。 カスケード制御とは,一つの制御装置の出力信号によって他の制御系の目標値を決定する制御です。 カスケード制御  比率制御 41

9)自動制御 (1)自動制御の種類 ・自動制御は,図ように分類される。 42

フィードフォワード制御+フィードバック制御 フイードバック制御 フイードフォワード制御 ・フィードバック制御は,制御量を検出して得られたプロセス変量(PV : Process Variable)と目標値(ここでは設定値(SV : Setting Value))を比較し,その偏差がなるべく小さくなるように操作量(MV : Manipulate Value)を制御対象に対して出力する制御です。 ・フィードフォワード制御は,目標値に対して制御部から操作量(MV)を送出します。この制御では外乱の影響を取り除くことができないのが欠点です。 ・実際には,この外乱の影響を抑制することは困難であるため,フィードフォワード制御が単独で使用される場合は少なく,フィードバック制御と組み合わせて使用されることが多いです。 フィードフォワード制御+フィードバック制御 43

10)制御動作による分類 (1)オン・オフ制御 図は制御出力がオンすなわち100%,あるいはオフ0%の2位置制御です。 44

(2)比例動作(P) (3)積分動作(I) (4)微分動作(D) (5)PI動作 (6)PD動作 (7)PID動作 ・比例動作とは,操作量が制御偏差の大きさに比例する動作をいいます。 比例帯が小さい場合は,オン・オフ動作状態で,比例帯が大きいと制御出力変化量が少なく安定した制御になるが大きすぎると設定値と測定値の差が大きくなります。 ・積分動作は,操作量が制御偏差の積分に比例する動作をいいます。 一定の偏差が続く間、時間に比例して操作出力が大きくなる動作です。 動作のオフセットを無くする制御動作が積分動作で,偏差があるうちは出力を修正しつづけ,自動的にオフセットを無くする動作です。 偏差分を積分し制御出力を修正することからI(Integrate)動作またはオートリセットと呼ばれています。 ・微分動作は、操作量が制御偏差の変化速度に比例する動作をいいます。 比例動作や積分動作では制御の追従が遅くなる傾向がありますが、微分動作を組み込むことで応答を早めることができます。 ・PI動作 比例動作と積分動作を組み合わせ動作です。 比例動作によって生じるオフセットを取り除くことができます。 PI動作は,プロセスの応答速度の速いものから遅いものまで 適用することができ,調節計,ワンループコントローラで最も多く使用されています。 ・PD動作 比例動作に微分動作を組み合わせた動作です。 制御量が急激に目標値から離れる場合に,その変化速度に比例した操作量を出力して制御を安定させることができます。 ・PID動作 比例動作,積分動作,微分動作を組み合わせた動作です。 比例ゲイン,積分時間,微分時間の3つのパラメータを適切に選ぶことにより,いろいろな制御系のフィードバック制御に適用することができます。 制御対象に応じて3つのパラメータを調節して,最適な制御が行えるようにすることをチューニングといいます。 45

2.4.2 監視制御設備 監視制御設備の目的 水道施設の監視、制御 監視制御設備 監視用テレビ設備 水道施設運用の高度化 情報処理設備 2.4.2 監視制御設備 監視制御設備の目的  水道施設の監視、制御 監視制御設備 監視用テレビ設備  水道施設運用の高度化 情報処理設備  遠方の水道施設の監視、制御のための情報伝送 伝送設備 監視制御設備 監視制御設備の目的は、まず水道施設の監視及び制御(コントロール)をすることです。 このための設備としては監視制御設備、監視用テレビ設備があります。 次に、運転、保全(保守管理)情報などを基に水道施設運用の高度化(経済的な施設運転、安定給水など)を図ることです。 このための設備としては情報処理設備があります。 最後に、遠方にある水道施設の監視及び制御(コントロール)をするための情報を伝送することです。このための設備としては伝送設備があります。 46

監視制御設備 設備機器 監視装置 監視盤,計装盤,グラフィックパネル, POD,VDT装置, 大画面表示装置制御 装置,PLC,PCS  監視盤,計装盤,グラフィックパネル,  POD,VDT装置,  大画面表示装置制御  装置,PLC,PCS システムの種類と構成 通信機能                    監視制御設備 以下,各設備について説明します。 監視制御設備は水道施設の運転状況をリアルタイムで的確に把握し、監視・制御するための重要な設備です。 設備機器としては監視装置、制御装置からなり、監視装置には監視盤、計装盤、グラフィックパネル、POD(Programmable Operation Display)、VDT(Visual Display Terminal)、大画面表示装置があります。 また制御装置にはPLC(Programmable Logic Controller)、PCS(Process Control Station)があります。 監視盤は、監視・操作のための器具類(計器・表示器・表示灯など)を集約監視するための装置です。 計装盤は監視・操作に必要な計装用機器(指示・記録用、調節、信号変換用、避雷の各機器)を収納する盤です。 グラフィックパネルは彫刻・塗装されたモザイクタイルを組み合わせ、アクリルパネルなどを用いて施設全体や水処理フローなどを表現し、機器の状態を明滅や計測値で表示することで全体を把握できるようにした機器です。 PODはPLC(Programmable Logic Controller)と直結した液晶の操作表示器です。 VDT装置は監視盤に実装している故障・状態表示や操作機能、計装盤に実装している指示機能など運転監視に必要な情報を任意に表示・操作し、施設及び設備単位の詳細な監視操作ができる機器です。 大画面表示装置はグラフィックパネルの代替とし、また、比較的大規模な施設ではVDT装置やミニグラフィックパネルに加えて採用されています。 PLCはリレー回路をソフトウェアに置き換えて制御を行う一種のコンピュータで、一般的にはシーケンスコントローラ、シーケンサと呼ばれます。 補助継電器盤と同様に機器を制御し、故障・状態などのON-OFF信号を監視設備へ出力する役割をになっています。 PCSはPLCより複雑なループ制御、演算制御を行うことができ制御対象設備単位に設置される制御用コンピュータです。機器の構成などはPLCと同様です。 監視制御システムは水処理施設の規模・処理方式・管理形態の違いにより大きく異なります。 小規模な施設では制御用コンピュータを使用しない方式が採用されます。 比較的小規模から中規模程度の施設では制御用コンピュータを使用し集中監視方式により監視制御を行います。 中規模から大規模の施設では制御用コンピュータを使用し分散制御方式により監視制御を行います。 情報通信方法としては一般的にLANが用いられます。 47

監視制御設備(中規模) 中規模の監視制御システムの例です。 制御は分散し監視装置は計算機を使用しています。

監視制御設備(大規模) 大規模な監視制御システムの例です。 制御は分散、監視制御は冗長化、情報処理系の装置を設けています。

監視用テレビ設備 監視用カメラ設備 基本的な構成 IP方式による構成 設備機器  監視カメラ,制御盤(制御装置),操作器,モニタ装置,その他の機器・装置 システム  画像信号伝送方式  NTSC方式  IP方式(有線) IP方式(無線) ネットワークシステム  監視用カメラ設備  基本的な構成  IP方式による構成 監視用テレビ設備 施設及び設備の稼働状況を効率的に管理し、施設の異常発生時に迅速な情報収集と対応ができるように監視用テレビ設備が導入されています。 設備機器としては監視カメラ、制御盤、操作器、モニタ装置から成ります。 監視カメラはカメラ本体、ズーム(手動・電動)レンズ、カメラケース、雲台(手動・電動)を組み合わせて構成されます。 カメラには一般カメラ、カメラ本体、電動ズームレンズ、カメラケース、電動雲台が一体となった一体型、ドーム型があります。 画像圧縮方式としてはMPEG-2、MPEG-4などありますが、カメラシステムの構築にはMPEG-4が有用です。 通信プロトコルにはTCPとUDPがありますが、映像のようなリアルタイムデータを扱う場合、UDPが多く用いられます。 制御盤は複数のカメラを切替えて制御する映像・制御切替装置、画像分配器、文字発生器、録画装置、エンコーダ、デコーダなどで構成されます。 操作器はモニタ装置に表示するカメラの選択、上下左右の操作、ライトの点・消灯操作などを行う機器です。 モニタ装置はカメラで撮影された映像を視るための装置で、通常は19型程度の卓上LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)を用いる場合が多いです。 画像信号伝送方式としては、NTSC方式、IP方式(有線)(無線)があります。 NTSC方式は撮像素子から出力された、赤、緑、青のRGBの光の強さなどの情報をカメラ本体で合成して出力し、モニタ側で信号を三原色に分離して再現する方式です。 IP方式(有線)は映像・音声・制御信号をエンコーダによりIP信号に変換、もしくはIPカメラやソフトウェアなどでネットワー上にて監視画像などを取り扱う方式です。 IP方式(無線)はIP方式で遠隔地との通信を無線装置にて行う方式です。 ネットワークシステムとして基本的な構成、アナログ方式として、同軸ケーブルで映像信号を伝送し、多芯ケーブルでカメラを制御する方法が一般的です。 LANケーブルなどを用いてIPネットワークにより映像信号の伝送や制御を行うIP方式による構成もあります。   50

情報処理設備・伝送設備 情報処理設備 水運用計画システム 施設管理情報システム 災害時復旧支援システム 伝送設備 設備機器 テレメータ テレコントロール装置 ルータ 伝送の種類 有線方式 無線方式 情報処理設備、伝送設備 情報処理設備は各施設、設備から収集される運転情報や施設の保全情報などをもとに施設運用の効率化、高度化を目的に設置される設備です。 例として、まず水運用計画システムがあります。 これは、取水・浄水・配水の工程などにおいて過去の実績データを活用して施設運用支援を行うためのシステムです。 次に、施設管理情報システムです。 これは、点検や修理などの保守・点検結果、工事や修繕の完成図書、各種届出資料などを利用して水道施設・設備の保全業務や改築更新計画などを行うための業務支援システムです。 次に、災害時復旧支援システムです。 これは、地理情報システム上のデータや断水工事計画プログラムなどを用いて復旧計画作成や復旧区間特定などの業務支援を行うシステムです。 伝送設備は、遠方にある水道施設などと通信により接続し、監視制御や情報処理を行う設備です。 設備機器としては、テレメ-タ/テレコントロール装置、ルータがあります。 テレメータ/テレコントロール装置は、計測値、制御入出力、接点入出力などのプロセス信号を入出力し、制御局(浄水場)、被制御局(場外施設)間を通信する装置です。 ルータは施設または設備単位のネットワークとネットワークの相互接続を行ってデータを転送するためのゲートウェイ装置です。 伝送の種類としては、有線方式と無線方式があります。 有線方式としては、異常発生時や定時通報など断続的に監視する場合などはアナログ公衆回線、連続的に監視する場合はアナログ専用回線がよく利用されます。 通信距離によってはケーブルを自ら布設し維持管理する場合もありますが、通信事業者のサービスを利用するのが一般的です。 無線方式としては、近隣にある小規模な施設には比較的簡易で免許申請が不要な特定小電力無線が使われます。  水運用計画システム   51

その他の監視設備 その他の監視設備 簡易テレメータ 非常通報装置 クラウドシステム 維持管理上の留意点 日常点検 定期点検 クラウドシステム その他の監視設備として、簡易テレメータ、非常通報装置、クラウドシステムがあります。 簡易テレメータは、テレメータ/テレコントロール装置と同様の機能や通信手段を持ちますが、主に伝送点数が少ない小規模の施設の伝送設備として使用されます。モジュール型やプラグイン型があります。 非常通報装置は、無人施設の故障・異常発生時などに自動で警報・状態を通報する装置です。信号点数が比較的少ないので小規模施設の監視に用いられます。 クラウドシステムは、インターネットなどを介して水道施設などから収集されたデータが場外にあるクラウドサービス事業者のサーバに蓄積され、利用者がパソコンや携帯電話などからこのサーバに接続して水処理の監視・制御、帳票利用などの管理情報など各種のサービスコンテンツを利用できるものです。 維持管理上の留意点として、日常点検、定期点検があります。 日常点検は、日常の見廻りで、盤内外の発錆、汚損、変色、腐食、異常温度の有無を確認したり、計器、器具類の異音、異臭の有無や計測指示値に異常がないかを確認したりします。 定期点検は直営点検と委託点検の範囲を明確にし、点検漏れがないよう確認してください。 以上で監視制御設備の説明を終わります。 クラウドシステム 52