原始星形成過程の解明 町田正博、犬塚修一郎 (天体核研究室) 星が大人になるまで 原始星:収縮するガス雲中で誕生する星の赤ん坊(100万年)

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原始星形成過程の解明 町田正博、犬塚修一郎 (天体核研究室) 星が大人になるまで 原始星:収縮するガス雲中で誕生する星の赤ん坊(100万年) 原始星段階:質量をガス雲から獲得している段階(1千万年) 前主系列段階:準静的収縮、ガス降着止まる(1千万年) 主系列星段階:水素核燃焼 (1千万年から100億年) 町田正博、犬塚修一郎 (天体核研究室)

? 星の誕生の前と後 分子雲コア 分子雲 誕生前 連星 誕生直後 原始星からのジェット おうし座星形成領域 円盤と惑星 原始星 ~1Rsun 理論での理解必要 ~104 AU 原始星からのジェット Science誌: Breakthrough of the Year 2008 第1位「細胞の初期化」 第2位 「太陽系外惑星探し」 Seeing Exoplanets 第3位 「がん遺伝子」  第4位 「新しい高温超伝導体」  第5位 「活動中のたんぱく質を観察する」 名古屋大のHPから 分子雲 おうし座星形成領域 円盤と惑星 HST 2

? 分子雲コアから 原始星形成まで の時代を埋める理論研究 1次元輻射流体計算の結果 ガス温度 分裂⇒連星 ガスの温度 等温収縮期 主系列星へ の時代を埋める理論研究 1次元輻射流体計算の結果 等温収縮期 断熱降着期 第二収縮期 原始星形成期 Log T (K) 104 高速ジェット 分裂⇒連星 低速アウトフロー ファーストコアの形成 水素分子の解離 原始星の誕生 103 ガス温度 分子雲コア 102 At first, I will show the schematic view of the cloud and temperature evolution. This is result of the 1 dimensional calculation including the radiative effect. This panel shows the temperature evolution of the cloud against the central density or spatial resolution. Cloud collapses isothermally before central density reaching the 10 to 10 /cc like this. This is the isothermal phase. After then, the cloud collapses adiabatically because the cloud becomes optically thick. And an adiabatic core is formed at the center of cloud. We call this phase as adiabatic phase. Then ,the central density exceeds over about 10 to 15, again cloud collapses rapidly because of dissociation of the molecular hydrogen. We call this phase as second collapse phase. After the H2 dissociation ends, the second core is formed at this point. Some calculation use ideal MHD approximation, however, the non-ideal MHD calculation is not valid. Because in this period, the magnetic field is removed from the central core by the Ohmic dissipation. I will discuss this effect later. However, Magnetic field is important for star formation. 10 ガスの温度 Log n (cm-3) 105 ガスの数密度 1010 1015 1020 Spatial Scale (AU) 104 典型的なスケール 100 1 0.1 3 3

? スケールの比較 分かりやすい単位系 進化全体で 100万分1に収縮! ファーストコア(理論) 分子雲コア(観測) 原始星 (観測) ~104AU ~1AU ~0.005AU ~1/200 ~1/10000 分かりやすい単位系 ~200 m 東京ドーム ピンポン玉 米粒 の1/70 0.1 mm ~2 cm ~7 mm

全て?の時期に生じる 星形成で重要な3つの問題 角運動量・磁束問題 アウトフロー・ジェットの問題 連星形成問題 原始星:~kGの磁場、~dayの回転周期 異なる2成分のフロー(ジェット、アウトフロー):駆動メカニズム? 分裂条件、遠隔・近接連星の起源? 全て?の時期に生じる 5

磁束・角運動量問題とは、 磁束問題: F/Fcri~1(分子雲) ⇔ F/Fcri~10-5 (原始星) 角運動量問題:  j~1021 cm2s-1(分子雲) ⇔ j~1016 cm2s-1(原始星) 磁束保存、角運動量保存 磁束、角運動量を捨てないと原始星になることが出来ない 分子雲コア 原始星 空間サイズ ~6-7桁異なる 回転 磁力線 フラックスの保存から R~105 AU、 n~103-5 cm-3 B~10-6 G, Ω~10-14 s-1 R~1 Rsun、 n~1022 cm-3 B~103 G, Ω~10-5 s-1 (9桁) 6

星形成研究の歴史 紀元前:星の発見 1609年:望遠鏡の発明(ガリレオ・ガリレイ) 青:観測 赤:理論 紀元前:星の発見 1609年:望遠鏡の発明(ガリレオ・ガリレイ) 1700年代:連星の発見(ハーシェル、望遠鏡で軌道運動、50個の連星) 1800年代:星雲説(カント、ラプラス) 1945年:原始星の発見(TTuri型星,スペクトル; A.H.Joy) 1961年:Hayashi Trackの理論(原始星から主系列星への進化、林忠四郎) 1960~: 連星の大規模サーベイ:ほとんど連星! 1960-70年代:ガス収縮の解析的研究、1次元球対称(Larson, Penston) 1980年:最初の原始星アウトフローの発見(R.L. Snell) 1980-1990年代:多次元数値計算:回転、分裂(等温、n<1011cm-3,観山等) 2000年代:断熱段階までの計算(n<1016cm-3)、磁場の影響 2006年:分子雲から原始星誕生(n>1021cm-3)までの直接計算達成          (Machida et al. 2006, Banerjee & Pudritz 2006) ガス収縮の研究

多層格子法+3D Resistive MHD Code 以後我々の 取り組み 多層格子法:広範の空間スケールを任意の           解像度で計算可 流体:Resistive MHD 方程式 + 自己重力 星形成に適用:分子雲コアから原始星まで計算 空間10桁 (1019 cm~109 cm), パーセク~太陽半径まで 密度コントラスト20桁(103 cm-3~1023 cm-3) 同時刻、異なる空間スケール 8 8

磁場の散逸:Resistivity hの見積り B Resistivity h Resistivity Ohmic dissipation Magnetic Reynolds number Reynolds number Re Well-Coupled Well- Coupled Cloud Protostar Cloud evolution 中間密度(1012 cm-3<n<10 15cm-3):オーム散逸により磁場が散逸(熱化) 高密度(n>1015 cm-3)でメタルの一部がイオン化 ⇒ 電荷が上昇 ⇒ hが減少 9

シミュレーション のセッティング Ω L=4 Rotation Axis 球対称、平衡なガス雲+微小揺らぎ (収縮を促進) Bonnor-Ebert Sphere Rotation Axis Magnetic Field Line Ω B 4.6x104 AU L=4 シミュレーション のセッティング 球対称、平衡なガス雲+微小揺らぎ (収縮を促進) 磁場、回転(パラメータ) スパコンでひたすら計算 Maximum grid level: 31 (I, j, k) = (128, 128, 128)x 31 グリッド生成条件:Jeans長を分解 因みに、一様グリッドだと・・・ (1千億x1千億x1千億 のmesh必要) 計~1033メッシュ    ポイント 初期値 中心密度:n=104 cm-3 スケール: L = 4.6x104 AU 質量: M =14 Msun 温度: T=10 K 磁場強度:~10-6 G 角速度:~10-14 s-1 10

分子雲コアから原始星形成までの直接計算(世界初) 等温収縮 ファースト コア形成 断熱収縮 アウト フロー 磁気散逸 第二収縮 原始星形成 &ジェット nc=104 cm-3 nc=109 cm-3 nc=1011 cm-3 nc=1013 cm-3 nc=1015 cm-3 nc=1017 cm-3 nc=1021 cm-3 nc=1022 cm-3 11

磁場の散逸:Ohmic dissipation Grid level L =14 (Side on view) 磁束 vs 中心密度 Ideal MHD model 100 AU Resistive MHD model 磁場の進化 ファーストコア形成直後:コアの回転によりトロイダル磁場生成⇒ アウトフロー駆動 ファーストコア内部:Ohmic dissipationがeffective ⇒磁場の散逸 ⇒磁力線とガスがdecouple 磁力線:磁気テンションにより引き伸ばされる 高密度:磁場とガスが再びカップル ⇒磁場の再増幅 ガス:高速で回転 12

異なるコアから異なる2つのフロー 進化の段階で2種類の異なるフロー ファーストコアからのアウトフロー 原始星(セカンドコア)からのジェット 中心部を ~1000倍 拡大 v~5 km/s 360 AU 0.35 AU v~50 km/s 進化の段階で2種類の異なるフロー L=14 L=25 ファーストコア  n~1011 cm-3, r~10-100 AU セカンドコア(原始星)  n~1021 cm-3, r~0.01 AU 13 13

長周期連星 短周期連星 単星 ガス収縮中の分裂と連星形成 背景の色 弱い←磁場→強い ガス収縮中の分裂と連星形成  長周期連星 短周期連星 単星 背景の色 青:ファーストコア段階で分裂     wide binary (rsep > 1 AU) 赤:第二収縮期以降に分裂, Close binary (rsep < 1 AU) 灰色:分裂無し single star 遅い←回転→速い 弱い←磁場→強い 14 14

磁束・角運動量問題 アウトフロー・ジェットの問題 連星形成問題 まとめ:問題の解決 Ohmic dissipationによる磁場の散逸 ⇒ ~kG磁場を持つ原始星 (磁束問題解決) アウトフロー、ジェット、磁気制動による角運動量輸送                 ⇒ ~daysの回転周期を持つ原始星(角運動量問題解決) アウトフロー・ジェットの問題 異なるコアから2成分のフロー アウトフロー:強磁場(磁気散逸の外側)、磁気遠心力風⇒広い開口角 ジェット:弱磁場(磁気散逸の内側)、磁気圧駆動風⇒狭い開口角 速度の違い:ファーストコアと原始星の重力ポテンシャルの違い 連星形成問題 回転:分裂を促進 ⇔ 磁場:分裂を抑制(磁気制動、アウトフロー) 観測との比較から分裂可能領域の同定, ER /EMが唯一のパラメータ 2つの典型的な分裂時期:遠隔連星と近接連星の起源