第4章 労働に関する統計 ー 経済統計 ー.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
少子高齢化社会と年金 澤崎 下村 戸田 山川 中京大学総合政策学部 大森ゼミⅱ. 労働力の枯渇 生産年齢人口の減少 参照 平成 25 年度総務省「人口統計」 現状 高齢者を労働力として活躍させよう.
Advertisements

Yamamoto.S Hukuchi.K Ishige.H Matsumoto.D
© Yukiko Abe 2012 All rights reserved
社会保険の適用拡大について.
最低賃金1000円の是非.
8章非正規従業員と派遣労働者 D班 上田 川辺 天野 大谷 樋口 藤田.
第4章 労働に関する統計 ー 経済統計 ー.
第8章 非正規社員と派遣労働者 ~コンティンジエント・ワーカーの活用~
© Yukiko Abe 2015 All rights reserved.
社会保険ワンポイント情報 15号 パートタイマーへの社会保険適用拡大 社会保険加入対象者の新しい要件 適用拡大の対象となる事業所は?
日本消滅 ~若者の失業の先に~ 龍谷大学 小峯ゼミナール第2班 平成18年10月28日.
安心して好きな仕事ができますか? E040070   内林武生.
男性の育児が肥満に与える影響 富山大学 経済学部 経済学科 孫田 篤 専門ゼミ-報告会.
8章 非正規従業員と派遣労働者 C班 太田・鈴木・荻原・遠藤・キー 2015/06/03.
2007年度後期 労働法政策 第3講 非典型的労働 パートタイム労働法 労働者派遣法.
社会保険ワンポイント情報 5号 年度更新の注意点 年度更新のポイント! 算定対象となる賃金とは?
第4章 労働に関する統計 ー 経済統計 ー.
第2章 全数調査と標本調査 ー 経済統計 ー.
再就職後の賃金が、離職前の賃金より低い場合には
社会保険ワンポイント情報 12号 新年号『2016年はこうなる! マイナンバーと社会保険料』 マイナンバー制度スタート
社会保険ワンポイント情報 3号 年金事務所の調査とは? 年金事務所調査のポイント 年金事務所の調査に持参する物
財 務 戦 略 論 第2回 マネー・マネジメント②.
経済学入門 13 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2010年7月26日
女性の就業機会拡大に関する調査報告書 (概要)
大阪における雇用実態把握調査 〔中間とりまとめ〕 集計結果から見える特徴点
Ooshiro.R Sanada.H Nishimura.A Miyamoto.A Wakabayashi.A
32 奈良県の雇用の動向.
立命館土曜講座 2009年11月 「雇用の喪失と克服の展望」
6: 失業とインフレーション/デフレーション
担当者: 河田 正樹 年度 経済統計講義内容 担当者: 河田 正樹
東北地方太平洋沖地震被害に伴う 雇用調整助成金の活用Q&A
2004年度専修大学経済学部 作間「経済統計学」講義
第4章 労働に関する統計 ー 経済統計 ー.
GDPに関連した概念.
第1回家計班 これからの日本の経済成長は 可能であるか
日本の就職、失業問題と雇用保険  湯澤脩平.
第10章 失業と自然失業率 失業率はマクロ経済学においてGDP(5章)、インフレ率(6章)と並び重要な指標 各国の失業率(2012年、%)
学生 12月~1月の求職者の動き ポイント② ポイント③ フリーター 中途社員
求職者支援制度 があります! 訓練受講で つながる就職  雇用保険を受給できない求職者の皆さまへ 職業訓練受講給付金 
マクロ経済学初級I 第4回.
© Yukiko Abe 2008 All rights reserved.
「働き方」に関する詳細・お悩みは【相談窓口】へ 改正法の詳細は厚生労働省HP『「働き方改革」の実現に向けて』をご覧ください。
3.派遣労働者の活用 ・派遣システム 派遣先 派遣元 派遣業 派遣労働者
第12回 介護福祉士の就労実態 と専門性の意識に関する調査 平成29 年(2017年) 3 月
第4章 労働に関する統計 ー 経済統計 ー.
人材育成 1.従業員の雇用 1-1 従業員採用への配慮事項 1-2 人材の募集 1-3 労働契約の締結 Appendix-1 労働者保護法規
【女性の労働~就業者数と失業者数の比較~】
東北太平洋岸4県44市区町村の震災前経済規模 全企業数 全労働者数 44市区町村 32,341社 363,796人 青森県 5,286社
2018/11/9 第7章  非正規従業員と派遣労働者 E班 岩橋・片山・高倉・水上・森下.
第4章 労働に関する統計 ー 経済統計 ー.
「働き方」に関する詳細・お悩みは【相談窓口】へ 改正法の詳細は厚生労働省HP『「働き方改革」の実現に向けて』をご覧ください。
 脱・フリーター社会                                      京都大学橘木研究室         
経済学入門 13 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2010年7月26日
国際比較ゼミナール ~労働市場の各国比較~
© Yukiko Abe 2011 All rights reserved.
看護師等の就職支援について     静岡労働局職業対策課.
4章 都心と地方の賃金格差 非正規雇用者に対する最低賃金を比較すると地方になるにつれて賃金 は低くなる
5章 労働時間管理 B班 大下内・平野・兵藤・すまだ・渡辺.
おおさかQネット 「女性就労促進」に関するアンケート 調査結果概要
労働経済学 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法
© Yukiko Abe 2015 All rights reserved
(6)分布と変化①総人口 分析の 視点 ①総人口の分布(H22) ②総人口の分布の変化(=H22-H12)
資料1-3 若年未就業者の状況について.
第2章 全数調査と標本調査 ー 経済統計 ー.
第4章 労働に関する統計 ー 経済統計 ー.
<労働需供の推移に影響する要因> 企業の人事制度は、その時々の経済情勢や社会情勢によって左右される。
21年度から実施する施策~雇用保険のセーフティネット機能を強化します。
厚生労働省・茨城労働局・ハローワーク常陸鹿嶋
第4章 労働に関する統計 ー 経済統計 ー.
労働時間の構成 所定労働時間 所定外労働時間
Presentation transcript:

第4章 労働に関する統計 ー 経済統計 ー

この章の内容 Ⅱ 賃金、労働時間に関する統計 Ⅰ 経済活動人口に関する統計 ) 経済活動人口のとらえ方 ) 就業状態の区分 Ⅰ 経済活動人口に関する統計 ) 経済活動人口のとらえ方 ⅰ) アクチュアル方式による経済活動人口 ⅱ) ユージュアル方式による経済活動人口  ) 就業状態の区分 ) 失業に関する問題 Ⅱ 賃金、労働時間に関する統計 ) 賃金に関する統計調査 ) 労働時間に関する統計

Ⅰ 経済活動人口に関する統計 a) 経済活動人口のとらえ方 経済活動人口=働いている人+働きたいのに仕事がない人 =働く意思のある人口 Ⅰ 経済活動人口に関する統計 a) 経済活動人口のとらえ方  経済活動人口=働いている人+働きたいのに仕事がない人           =働く意思のある人口 アクチュアル(actual)方式 - 特定期間内に少しでも仕事をした人、および求職活動をした人をとらえる → 労働力人口 ユージュアル(usual)方式 - 普段の状態として仕事をしている人をとらえる → 有業者人口 ※ 普段仕事をしていない人(主婦など)が、調査期間内にたまたま日雇いのアルバイトをした場合、労働力人口には含まれるが有業者人口には含まれない。

ⅰ) アクチュアル方式による経済活動人口 国勢調査 労働力調査(指定統計第30号、総務省統計局) 国勢調査の際に、9月末1週間の就業状態について調査している。   → 労働力に関する全数調査 労働力調査(指定統計第30号、総務省統計局) 毎月末1週間の就業状態について調査するものであり、全国約4万世帯、10万人を選ぶ標本調査である。 調査世帯は2ヶ月間継続して調査され、1ヶ月ごとに半数がいれかえられる。 ← ローテーションシステム このローテーションシステムによって、入職・離職の動きをとらえることができ、標本誤差の動きを小さくすることができる。

ⅱ) ユージュアル方式による経済活動人口 就業構造基本調査(指定統計第89号、総務省統計局) 5年ごとにおこなう大規模標本調査であり、平成14年調査では約44万世帯、約110万人を調査した。 就業の有無に加え、転職希望、追加就業希望の有無などが調査される。 平成14年調査ではユージュアル方式に加え、アクチュアル方式の設問も入れた。 ⇒ 都道府県別失業率の推計

b) 就業状態の区分 アクチュアル方式 従業者 休業者 就業者 完全失業者 労働力人口 非労働力人口(通学、家事、リタイヤ) 15歳以上人口 2007年8月現在(単位:万人) 従業者 休業者 就業者 完全失業者 6313 労働力人口 非労働力人口(通学、家事、リタイヤ) 6446 133 6695 15歳以上人口 249 11046 4344 季節調整後 3.8% 完全失業者 - 現在仕事がなく、仕事を探しているもののうち、仕事があれば            すぐ就ける者

ユージュアル方式 仕事が主な者 仕事は従な者 有業者 無業者 15歳以上人口

<女子の就業状況>

失業率の国際比較(ILO資料より作成)(単位:%)

c) 失業に関する問題 失業率 - 以前は3%に達すれば多かった。1999年から5%前後の状態が4,5年続いていた。現在は4%前後で推移している。 失業率増加の主な原因 中高年のリストラ 学卒未就業 などがある。

失業率にあらわれない雇用環境の悪化 ニート フリーター 失業者 就業者 完全失業者 非労働力人口 不完全就業 - 正社員ではなく、パート・アルバイト、契約社員などの形での雇用(特に若者) ⇒ 就業者に入る 潜在的失業 - 労働市場に出ることをはじめからおこなわない(主婦、ニート) ⇒ 非労働力人口に入る ※ニート(Not in Education, Employment, or Training)   学校に通っておらず、働いてもおらず、職業訓練もおこなっていない者   15歳~34歳の非労働力人口のうち、通学も家事もおこなってない者⇒2004年で約64万人 ニート フリーター 失業者 就業者 完全失業者 非労働力人口

雇用環境の悪化をとらえるための労働力調査の改正 労働力調査特別調査(総務省統計局) - 毎年2回(2月と8月)、約4万世帯に、転職の希望、不完全就業、就業異動などを調査  ⇒ 2002年1月より労働力調査に統合し、毎月1万世帯を調査 求職理由の区分を4区分から6区分に変更した 改正の概要はこちら(2ページ目の8に記載されている) http://www.stat.go.jp/data/roudou/pdf/gaiyou.pdf

雇用状況を表す業務統計 職業安定業務統計(厚生労働省) - 職業安定所(ハローワーク)にくる求職者数と求人数の業務統計 職業安定業務統計(厚生労働省) - 職業安定所(ハローワーク)にくる求職者数と求人数の業務統計 求人倍率は、求職者1人あたりにどの程度の求人があるのかを示す指標であり、1を超えている場合には求職者が全員何らかの職に就けるということを示している。⇒ミスマッチの問題 雇用保険業務統計(厚生労働省) - 失業して職業安定所に登録し、雇用保険の給付を受けている者の統計

Ⅱ 賃金、労働時間に関する統計 a) 賃金に関する統計調査 毎月勤労統計調査(指定統計第7号、厚生労働省) Ⅱ 賃金、労働時間に関する統計 a) 賃金に関する統計調査 毎月勤労統計調査(指定統計第7号、厚生労働省) 全国調査(約33000事業所) - 全国の結果を出すことが目的 地方調査(約43000事業所) - 都道府県別の結果を出すことが目的 特別調査(約77000事業所)  常用労働者1~4人の事業所について毎年7月実施  各事業所全体での労働者数、労働時間、賃金を調査する。   ⇒ 1人あたりの平均賃金が分かる 常用労働者5人以上 毎月実施

賃金指数(事業所規模30人以上、現金給与総額、2005年=100) 厚生労働省『毎月勤労統計調査』より作成 名目賃金指数 - 物価上昇を考慮に入れない 実質賃金指数 - 物価上昇を考慮に入れる

事業所全体で支払う賃金の合計と労働者数から1人あたりの平均賃金が分かる   事業所全体で支払う賃金の合計と労働者数から1人あたりの平均賃金が分かる   ⇒ 労働者の構成を考慮されていないという欠点がある。 (例) 事業所Aは50歳以上がほとんど、事業所Bは20~30歳代中心     → 事業所Aの方が1人あたり平均賃金は高くなって当たり前   事業所全体だけでなく、そこで働く個人別の賃金についても調査する必要がある。

賃金構造基本統計調査(指定統計第94号、厚生労働省) 毎年7月に、6月分の賃金について調査をおこなう。 全国の常用労働者5人以上の事業所の中から約70000事業所、およびそこで働く労働者約1400000人を選び調査する。 事業所全体の労働者数などだけではなく、個人別の賃金、労働時間などが調査される。  <給与の分類>                                   所定内給与               決まって支払われる給与    本給、家族手当など    現金給与総額                      所定外給与             特別に支払われた給与     時間外手当 休日出勤手当 など 賞与(ボーナス)など

標準労働者 - 学校を卒業してからただちに就職し、同一企業に勤めているとみなされる労働者

企業規模別賃金格差(男子、全産業、決まって支払われる給与) (厚生労働省『賃金構造基本統計調査』より作成) (大企業=100)

(厚生労働省『平成18年賃金構造基本統計調査』より作成) 男女間賃金格差(一般労働者の平均) (厚生労働省『平成18年賃金構造基本統計調査』より作成) (同条件の男子を100としたときの女子)

b) 労働時間に関する統計 毎月勤労統計調査 賃金構造基本調査 これらから労働時間に関する統計を得ることができる。 <労働時間の分類>  <労働時間の分類>               所定内労働時間   総実労働時間      正規の始業時間と終業時間の間の実労働時間               所定外労働時間                           早出、残業、休日出勤などの実労働時間   総生活時間 - 労働時間 ≒ 余暇   余暇のすごし方についての統計は「社会生活基本調査」(指定統計第114号、総務省統計局)がある。 これらから労働時間に関する統計を得ることができる。