企業家論⑬ 村上太一(リブセンス:インターネットメディア運営事業) (生きる意味=幸せ) 史上最年少(25歳)で東京証券取引所一部上場(2011年12月)
大学入学後の起業準備 (1)早稲田大学内のベンチャーコンテスト;大和証券の寄付講座「ベンチャー起業家養成基礎講座」を受講し、ビジネスプランを発表し、最優秀賞者に一年間オフィスを無償貸与。 事業計画の策定(逆求人と成功報酬) 最前列で受講(意欲をアピール)し、ビジネスプランを持って相談(複数講師によるオムニバス形式) 200人を超える学生にアルバイトについてアンケート調査をし、ビジネスプランを裏付けた。 プレゼンテーションでは、気合とフレッシュさが勝負(強力なライバルに学生らしさが足りないと判断)。 A4用紙12枚分のスライドでプレゼンを行った(PTは野暮ったい)。 講座のコンセプトが社会貢献と新しい価値の創造に沿う形でプレゼン。 ※オフィスがあれば、人件費はサークル感覚で0でいい。 (2)2005年7月に優勝したが、サービス開始は2006年4月1日(後期単位を修得後、2月1日に創業開始)と決めて、準備開始。 (3)ネット広告の会社でテレフォンアポイントのアルバイト(無償で営業回りに同行) (4)株式会社設立(300万円の内150万円は親から)した(未成年であったので保護者の承諾が必要だった)。ベンチャーキャピタルからの資金提供は拒否(ギラギラしていた)。
リブセンスのビジョンと経営理念 ビジョン「あたりまえを、発明しよう。」 新しい物の見方、行動の仕方が、世の中に常識として定着する。そんなサービスを開発する意志を表現している。 経営理念「幸せから幸せが生まれる会社」 人が幸せになって、自らも幸せになる会社 ※利益を出して、そこから新たな価値を創造 リブセンスの特徴 効率的な運営体制=成功報酬型ビジネスモデル×2つの強み ※WEBマーケティング技術とサービス開発力
リブセンスのビジネスモデル(アルバイト探し) (従来のアルバイト募集) (リブセンスの開業当初) アルバイト先 (アルバイト求む) アルバイト先 (アルバイト求む) 無料 掲載時に支払 無料で募集広告掲載 店先 掲示 アルバイト 雑誌(有料 で期限有り) ジョブセンス (ネット上で無期限募集) ※創業当初は応募時点で有料(リブセンスが応募時点で把握し、課金) 周 知 周知が 不十分 採用が決まら なくても有料 応 募 アルバイト探索中の人々 アルバイト探索中の人々
ビジネスモデルの修正 求人サイトに広告を出している会社に電話し、費用と応募状況を聞き、課金のタイミングを調査した。 大企業に集中し、営業活動(テレアポ⇒訪問)開始。「張り紙感覚でウェブ求人」 全国展開(ネットの世界では地域限定は意味がなく、数が重要であった) 2006年4月1日サイトをオープンする予定であったが、応募者のセキュリティと募集企業の入力画面の準備が遅れ、4月15日にオープンが遅れた(無料で期待されていなかったので、クレームは無かった)。
リブセンスのアルバイト募集(2007年3月から全国展開) アルバイト先 (アルバイト求む) 無料で募集広告掲載 祝い金によって、募集先が アルバイトを採用したこと を隠せないようになった。 (成功報酬制度の欠点克服)。 ジョブセンス (ネット上で無期限募集) 採用が決まった 場合のみ支払 (課金の時期は?) 周 知 応 募 アルバイト探索中の人々 ※祝い金の申請=採用の確定 緊急度の高さや難易度で金額差
リブセンスの主力事業のジョブセンスの収支構造 成功報酬と祝い金の差額(平均) アルバイト先 (企業) 募集件数 閲覧人数 祝い金 募集内容 の入力 成功報酬 採用決定件数 ジョブセンス (ネット上で募集) サーバー代は安い 入力は募集企業 営業はほぼ不要 システム開発(稼働率向上が鍵) 費用 口コミ効果 (広告不要) 緊急度や分 野によって 変化 祝い金 採 用 閲覧 ジョブセンス の利益 アルバイト探索中の人々
「成功報酬」と「祝い金」の模倣対策 100社以上が追随 「ノウハウの蓄積」;検索エンジン対策(上位に表示させるか、関連キーワードでヒットさせるか、近隣求人の表示などの工夫)やシステムの自社開発(変更が簡単) 「先行者利益」;「成功報酬」と「祝い金」型のサービスとしてジョブセンスが定着しているので、応募者の間に広く周知されている。募集企業も必要もないのに、サイトの切り替えや重複での募集活動の手間はかけない。 ※顧客の幸せを考えてビジネスを展開してきたことが、他社の追随をゆるさない(文化となるウェブサイトを作る)。 相手の強みを弱み(営業部隊)に変えた戦略 募集企業 応募者 正の連鎖
経営戦略 成功報酬型ビジネスモデルのタテ&ヨコ展開 経営戦略 成功報酬型ビジネスモデルのタテ&ヨコ展開 シェア (縦) 領域内での シェア拡大 事業領域拡大 ・求人情報メディア ・不動産情報メディア 事業領域 (横) +「シーズ領域の開拓」:CGM(Consumer Generated Media)やソーシャルメディア等を活用した新サービスの開発
DOOR賃貸(ネットでの賃貸物件検索および契約) 引っ越し時に不便さを痛感し、事業化 利 用 者 利用者 同じ物件が 複数のサイ トに掲載 祝い金 ネット検索 検索 問い合わせ D O O R 賃 貸 仲介業者のシステムと連携 不動産屋A 不動産屋B 不動産屋C 約200万件の情報 課 金 物件A 物件B 物件C 連絡先仲介業者2社選定
村上太一(リブセンス)の沿革(1986年生まれ) 2004年 早稲田高等学院3年時から起業を準備(簿記とシスアド取得済み)。起業のための資金稼ぎのアルバイトを探し、張り紙を見て「はなまるうどん」で働く。別の高校の吉田健太郎をプログラマーとしてスカウト。 2006年 2月 株式会社リブセンス設立(早稲田大学在籍中:桂大介取締役も) 4月 アルバイト情報サイト「ジョブセンス」開始(PC版・モバイル版) 2007年 3月 「ジョブセンス」をリニューアルし、全国展開 2008年 5月 転職情報サイト「ジョブセンス社員(リンク)」をサービス開始 8月 高田馬場へ本社移転 2009年 11月 派遣情報サイト「ジョブセンス派遣」をサービス開始 12月 渋谷に本社移転 2010年 賃貸情報サイト「DOOR賃貸」をサービス開始 本社移転(フロアー変更) 2012年 10月 東京証券取引所市場第一部上場 2013年 1月 目黒に本社移転