ひでき http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/ 平成17年4月12日 「日本教」モデルを ネットワーク分析する ひでき http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/ 平成17年4月12日
日本教とは? 山本七平=イザヤ・ベンダサンの著書で解説された日本人特有のメンタリティーの表現。 <参照> 「日本教についてのメモランダム」 by tshpさん http://www.ne.jp/asahi/ts/hp/file1/file1017_religion_of_japan.html#Anchor1238727 ありがとうございます! さまざまな議論が「日本教」および「イザヤ・ベンダサン」をめぐってこれまでなされてきたようだが、ここではその詳細にあえてふれない。 ただ、この考え方を社会ネットワークの形として表現できないかという試みをしたい。 以下の記述は、私なりの「日本教」の印象に基づく。必ずしも、客観的な事実と一致しないことをあらかじめ、明記しておく。
「日本教」の特徴 (tshpさんのメモによる) 体系的宗教ではありません。(文字化されていない) 絶対的超越者(神など)を想定しない水平的宗教である。 組織原理が、共同体原理である。そして、秩序は敬語で保たれる。 血縁主義がない、家族制度に原則がない、能力主義である。 参照:「日本教について」( ISBN: 416715501X )
社会ネットワーク分析における二部グラフとは? ノードと属性を2つのグラフ構造体により定義する手法。 以下、二部グラフの表現を使って、社会構造を表現する試みを行う。 ノード・グラフ 属性・グラフ ノードは、ノードのリンクにおいてネットワークを形成する。 属性は、ノードとのリンクの度合いによってネットワークを定義しうる。 参照:「社会ネットワーク分析の基礎―社会的関係資本論にむけて 」(ISBN:4326601647 )by金光 淳さん
ユダヤ型:言葉で表現された一神教的世界 <二部グラフとしてのユダヤ人社会ネットワーク> すべてのノードがひとつの属性を共有している。 この属性には名前があることが本質であり、言葉で厳格に定義されている。 言葉には、必ず価値判断を含む。価値には、必ず反対の価値の含意がある。このため、「サタン」というべき負の価値を持った言葉で定義される存在を産む。 当然、「神」という属性も言葉でできているため、「サタン」という属性も言葉でできている。 あるいは、「神」は言葉で定義され、負の価値の表現として、「言葉で表現できない」という意味の形容詞を含む。 社会は、共有された属性である言葉により実行される。
ユダヤ型:言葉で表現された一神教的世界 「神」が言葉で定義されるているため、負の存在は言葉で定義されない存在としてバランスする。 個々のノードとのリンクが実在する。そのリンクのリアルさは他の属性を持つネットワークとの対照において差別化され、鮮明化される。 全体として高いクラスター係数、短いパス長が予想される。
日本型:見えない神の一神教的世界 <二部グラフとしての日本型ネットワーク> すべてのノードがひとつのカテゴリーの属性を共有している。 ただし、このカテゴリー属性には名前もなく、言葉でも定義されていない。 見えないカテゴリーであってもすべたのノードで属性を共有しているため、一神教的性質をもち、「神」に対する「サタン」というべきバランスのためだけの負をおった「言葉だけ」の存在を産む。 「神」は、言葉で語れない存在なので、「サタン」とされるのは饒舌な言説、主張などになる。
日本型:見えない神の一神教的世界 社会ネットワークは、各ノードが名前も持たない、言葉でも表されないこの属性を共有していることを前提にネットワーク化、クラスター化される。 非常に短い平均パス長の密度の高いクラスターが数多く存在するネットワークトポロジーが考えられる。 この属性を共有しないノードがを認識するという緊急時には「踏み絵」という試験によって、この言葉で表されない属性をノードが共有するかを確かめることが行なわれる。
日本型:見えない神の一神教的世界 「神」(共有された属性)とのバランスのためのに想定される負の存在 ネットワーク成立のための補助線的な仮想的存在(言葉で表されない属性) 「神」という言葉で表されない属性は、見えない。しかし、ノードのクラスター構造、リンク密度を説明するためにはその存在、機能性を想定しうる。
米国型:世俗社会 <二部グラフとしての世俗化社会:米国社会を想定> 複数のコミュニティー属性をもつノード、あるいはクラスターが並存しうる社会を「世俗化社会」と作業的に定義する。そして、この代表格として米国を想定して論を進める。 世俗化社会において属性を共有するノードのクラスターを、「コミュニティー」と呼ぶことにする。 定義により、この形のネットワークを二部グラフで表現すると、ひとつのノードがいくつかのコミュニティー属性を持っているグラフになる。 コミュニティーにより、属性の定義の仕方は大きくばらつきがある。ただし、世俗化社会においてコミュニティー間の関係は言葉で定義されなければならない。コミュニティー間の関係が定義されえないコミュニティーは他のコミュニティーとリンクできない。
米国型:世俗社会 コミュニティー間で係数の高いクラスターが形成されている。クラスター群の関係性において、係数の低い群と群の間で「対立軸」が設定されやすい。 多様なコミュニティー間の関係は、言葉により定義され、実行されるしかない。言葉によって定義されえないコミュニティー間、ノード間の関係はリンクとなりえない。
米国型:世俗社会 世俗化された社会ネットワークの中では、さまざまな属性(神)が並立しうる。 属性が基本的にノードのネットワーク構成を作る。全体のクラスター係数は低いが、同じ属性を持つノード間のクラスター係数は高い。
米国型:世俗社会 世俗化社会の中の一神教ネットワーク(コミュニティー) 世俗化社会の中の日本型ネットワーク 世俗社会においても言葉による明確な他のクラスターとの関係の定義をこばみ、一定の条件下では共有される属性のみで濃いクラスターを形成する可能性がある。 世俗化社会の中の日本型ネットワーク 世俗化された状態では、明確に属性が定義されていないため、ノードが死滅し、新たなノードが生成する、つまり「世代交代」していくとき、属性が受け継がれない可能性が高くなる。