ニュートン重力理論における ブラックホール形成のシミュレーション 大阪工業大学 情報科学部 情報科学科 学生番号 A04-164 山田 祐太
目次 研究の動機 研究の目的 結果 まとめ 今後の課題・目標
1. 研究の動機
時空特異点 シュワルツシルド解 ・r = 0、r = 2GM/c2 で計量が無限大に発散。 Riemann Invariant
宇宙検閲官仮説 ・「特異点は事象の地平線によって必ず隠される」 という仮説。 ・ペンローズによって提唱された。 反例 軸対称に分布した粒子の崩壊シミュレーションで、地平線が形成されずに Riemann Invariant が物質の外側で無限大になった。 *S. L. Shapiro and S. A. Teukolsky, Phys. Rev. Lett. 66, 994(1991)
2. 研究の目的
研究の目的 その1 ・任意の数の粒子が、互いに重力で作用しながら 時間発展する様子を追うプログラムの作成。 研究の目的 その1 ・任意の数の粒子が、互いに重力で作用しながら 時間発展する様子を追うプログラムの作成。 1. Newtonの運動方程式を解くプログラム 2. 2次のPost-Newton近似した計量を用いて、 測地線方程式を解くプログラム
・(v/c)2 << 1を展開パラメータとして計量を展開する。 Post-Newton近似 ・一般相対論の弱い重力場での近似。 ・(v/c)2 << 1を展開パラメータとして計量を展開する。 ・2次近似で計量は 重力ポテンシャル 測地線方程式
研究の目的 その2 ・ブラックホール形成の判定を行うプログラムの作成。 1. 脱出速度による判定。(v≧cでBH形成) M:質量 r:距離 研究の目的 その2 ・ブラックホール形成の判定を行うプログラムの作成。 1. 脱出速度による判定。(v≧cでBH形成) M:質量 r:距離 2. 光の測地線方程式を解くことでの判定。 外向きに発した光が、無限遠方の時空と因果関係を持たなければBH形成
シュワルツシルド半径 が rg= 2 の場合 図1:外向きの光の軌跡
backward photon method *Peter Anninos et al, Phys. Rev. Lett. 74, 630(1995) 図2:時間を逆向きにした場合の光の軌跡
3. 結果
モデル1 球対称な重力崩壊 図3: Newtonian 図2:粒子の初期配置 (球対称に2500個分布 モデル1 球対称な重力崩壊 *free-fall time 図3: Newtonian 図2:粒子の初期配置 (球対称に2500個分布 シュワルツシルド半径 rg = 0.3) 図4: Post-Newtonian
脱出速度によるBH形成の判定 図5: t=1.05tffでの脱出速度 (Newtonian) 図6: t=1.29tffでの脱出速度 (Post-Newtonian)
光の軌跡によるBH形成の判定 図7:r=0から光を出したときの 軌跡 図8:backward photon methodによる判定
・Newtonianプログラム 粒子が集中する場所で近接散乱が頻繁におこり、粒子が r = 0.2 にとどまらない。 ・Post-Newtonianプログラム 時刻tffを境に粒子の平均速度が光速の30%に達し、誤差が増大する。
4. まとめ 一般相対論での計算が必要 ・時間発展の初期段階においては、正確な シミュレーションが行えている。 4. まとめ ・時間発展の初期段階においては、正確な シミュレーションが行えている。 ・Post-Newton近似は、BHが形成される ような時空には適応できない。 一般相対論での計算が必要
5. 今後の課題・目標 ・ コードをフル相対論にする。 ・ 事象の地平線を特定できるプログラムの 作成。 5. 今後の課題・目標 ・ コードをフル相対論にする。 ・ 事象の地平線を特定できるプログラムの 作成。 ・ 特異点形成を検証できるプログラムの作成。 ・ 球対称分布だけでなく、違う対称性で シミュレーションする。
ニュートンの運動方程式 N:粒子の総数 m:質量 xj:粒子の位置
モデル2 ドーナツ型分布