OpenOffice.org のバグがなおるまで

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OpenOffice.org のバグがなおるまで 2010/09/25 中本 崇志

OpenOffice.orgで必死な人 自己紹介 中本崇志 本職は学生 OpenOffice.orgに関わって8 or 9年目 bluedwarf@bpost.plala.or.jp http://bd.tank.jp/w/?FrontPage_ja 本職は学生 OpenOffice.orgに関わって8 or 9年目 OpenOffice.orgにパッチ提供 (開発者ではありません) CalcのASC/JIS関数 再変換機能 OpenOffice.orgで必死な人

今日の話 バグ報告からリリースまで 知って欲しいのは... 開発の大変さ バグをなおすのはそんなに簡単な話ではない バグがなおるまでにどれぐらいかかるのか? 2 OpenOffice.org のバグがなおるまで

バックグラウンド 慢性的に開発者不足 http://slashdot.jp/it/article.pl?sid=08/12/30/1321216 「Linuxのカーネル開発にアクティブに関わっているのは160人以 上いるのとは対照的に、OO.oではアクティブな開発者は24人と、 統計開始以来最少である。どんなに良く見積もっても、開発的観点 からいえばOO.oは停滞しているとしか言えない」 (Michael Meeks, 2008/12/30) コードの規模が大きく複雑 (西木毅 「OpenOffice.orgの独自コンパイル」 第5回関西OpenOffice.org勉強会 より) ファイル数が173,927 ファイル容量が3.7G C++の行数 625万行 参考例)Linuxカーネル 約1000万行

バックグラウンド とにかく開発は大変です!

バグが修正されるまで バグの発見 CWSへの取り込み バグの報告 Integration 開発版・ベータ版 開発者側での バグの再現 パッチの作成 リリース

バグ報告のポイント バグ再現条件の明確化 開発者側で再現しないバグはバグではない! 細かな再現条件が開発者側のヒントになり得 る バグの適切なランク付け 実際にあった例 SUSE Linuxでバグが再現 IIIMFと何かの組み合わせでバグ発生するこ とが判明 Microsoft Office IME 2007が無いと再現しない

相当なタイムラグ バグが修正されるまで バグの発見 CWSへの取り込み バグの報告 Integration 開発版・ベータ版 開発者側での バグの再現 パッチの作成 リリース

パッチの作成 これが大変なんすよ... 普通のデバッガが使えなかったり 再コンパイルにもそこそこ時間がかかったり 例) 9時間デバッグした挙句、3行修正しただけ。 取り込んでリリースに至るまでに数ヶ月

バグが修正されるまで バグの発見 CWSへの取り込み バグの報告 Integration 開発版・ベータ版 開発者側での バグの再現 パッチの作成 リリース

Integrationとは? MWS 注) ちょっと情報が古いかもしれません MWSからCWSを分岐 (誰でもできる) CWS3 CWS2 (QAによるチェック) CWS1

バグが修正されるまで バグの発見 CWSへの取り込み バグの報告 Integration 開発版・ベータ版 開発者側での バグの再現 パッチの作成 リリース

リリースのスケジュール Code Freeze 数ヶ月前 RC版が出てからリリースまで 1ヶ月前後 タイムスパンが長いです。

バージョンアップについて ロードマップ http://development.openoffice.org/releases/ooo_roadmap.pdf 2.3 2007/09 2.3.1 2007/12 3.0 Beta 2008/05 3.0 2008/10 3.0.1 2008/12 2.4 2008/03 2.4.1 2008/06 2.4.2 2008/10 3.0 Beta2 2008/07 3.1 2009/02 3.1 2009/03 3.1.1 2009/06 カレンダー表記にすると... 2007 2008 2009 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 すでに、3.0.1や3.1が予定されている。 カレンダー表記にすると、6ヶ月ごとにメジャーバージョンアップ、その中間でマイナーバージョンアップをしている。メジャーバージョンアップでは、新機能の追加がされ、マイナーバージョンアップではバグフィックスのみ行われる。3.0が出たとお祭り騒ぎみたいになったけれども、見方によっては、そういったメジャーバージョンアップの流れの1つに過ぎないと見ることもできる。 このようなリリース体制は2.2のときからのもので、これからもしばらく続くものと思われるので、今後も6ヶ月ごとに新機能を盛りこんだリリースが続けられるだろう。 2.3.1 2.4.1 3.0.1 3.1.1 2.3 2.4 3.0 3.1 約6ヶ月ごとにメジャーバージョンアップ、その中間でマイナーバージョンアップ

まとめ バグ報告からリリースまでは長い 開発者やパッチ貢献者にバグを早くなおさせることが 重要 (開発者・パッチを書ける人を増やしたい...) 2 OpenOffice.org のバグがなおるまで